組織培養研究
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24 巻, 2-3 号
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  • 山本 直樹, 丸野内 棣
    2005 年 24 巻 2-3 号 p. 101-106
    発行日: 2005/09/30
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    網膜は種々の疾患や外傷などで傷害をうけると自然治癒は望めない組織の一つである。そこで我々は将来、臨床応用を実現することを念頭に網膜再生のモデル構築の研究を進めている。本稿では網膜の色や光を認識する神経網膜を構成する細胞(神経網膜細胞)に関する種々の細胞を用いた再生医療研究について我々の研究成果も若干含めて現状をまとめてみた。
  • 新居田 彩, 小谷 悠子, 田中 寿美子, 浅田 伸彦, 難波 正義
    2005 年 24 巻 2-3 号 p. 107-113
    発行日: 2005年
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    前回の研究で水道水で作ったイーグル最小基礎培地(Eagle's Minimum Essential Medium:MEM)の培養細胞に対する傷害性の有無を報告した。すなわち、その報告では、水道水培地でも培養細胞を増殖維持でき、水道水の細胞に対する傷害性は少ないと我々は結論した。今回はこの事実をさらに確認するために実験を行ったところ、前回の結果と一部一致しない事実が分かったので報告する。実験方法は、水道水の細胞傷害を調べるために、前回と同様に水道水に溶かしたMEMに非必須アミノ酸と10%胎児牛血清を添加した培地を用いた。使用した細胞は樹立化されたヒト肝細胞(OUMS-29)である。細胞の傷害性は主にコロニー形成法で検討した。また、細胞をコンフルエント状態(生体状態に近い条件)にした場合での水道水培地の細胞傷害を調べた。この場合は傷害された細胞から培地中に遊離されるLDH活性を測定した。さらに、今回は水道水に含まれる塩素量を測定し、塩素量と細胞傷害の関係を検討した。その結果、1)水道水の採取日の違いにより、細胞傷害が弱い場合と強い場合があること、2)水道水中の塩素量は細胞の傷害には影響を与えないこと、3)細胞がコンフルエントの状態では傷害が見られないことが判った。以上の結果を総合すると、水道水の人体に及ぼす傷害性は低いと考えられる。しかし、今回の実験は水道水の細胞に対する短期的影響について調べたものなどで、長期的影響については今後の検討が必要と思われる。
  • 伊藤 丈洋, 星 宏良
    2005 年 24 巻 2-3 号 p. 115-122
    発行日: 2005/09/30
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    HFDM-1培地は、ヒト正常線維芽細胞の増殖培養を目的として開発した合成培地である。成分組成がすべて明らかな成分既知培地であるだけでなく、動物由来成分を一切含んでいないため、ウイルス感染、異種抗原の危険性がなく、再生医療分野における利用が期待される。HFDM-1培地は、ヒト正常皮膚線維芽細胞(HDF)を用いた増殖試験の結果、継代培養を伴わない短期の増殖においては、線維芽細胞の増殖培養に一般的に使用される10%FBS含有DME培地と同等の活発な増殖能を示し、培養中における細胞形態も、正常な紡錘状の線維芽細胞様を維持した。一方、長期継代培養では、継代培養毎に増殖能の低下が観察されたが、20日間、4回の継代培養での細胞集団倍加数は、7.6PDLであった。HFDM-1培地にO.5%のヒト成人血清(HS)を添加したところ、短期増殖能及び継代限界も大幅に改善して14.2PDLに増加し、10%FBS含有DME培地の15.1PDLと同等であった。以上の結果より、HFDM-1培地は、安全性に加えて単独、または、患者個人の微量血清添加により十分な増殖能を有しており、再生医療分野における利用可能性が示された。
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