細胞融合技術の免疫学領域への導入によって、任意の特異性をもつ抗体を意のままにつくることが可能になった。融合細胞が産生する抗体は純粋で抗体の特異性も均一であるため、抗血清が抱えていた多くの問題点は一挙に解決された。また、抗原性が弱い抗原や未知の物質などに対しても十分量の抗体を得ることが可能であるため、医学への応用は著しく高いことが期待される。例えば、腫瘍抗原の存在は永らく論議の的であったが、正常細胞とは反応せず、腫瘍細胞とだけ反応する抗体をつくり、それを用いて腫瘍抗原の性状をも明らかにされつつある。このように、微量の未知なる物質の性状を抗体の側から解析しうることは、革命的な事柄であるといわざるをえない。
本講演では、モノクローナル抗体が現代医学の基礎研究から臨床応用に至るまでの広い応用性を示すとともに、一方では、同一抗体を用いて動物実験からヒト疾患に応用可能な実例を紹介した。
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