Journal of Traditional Medicines
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29 巻, 4 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
Award of Medical and Pharmaceutical Society for WAKAN-YAKU, 2012
  • Yutaka Shimada
    2012 年 29 巻 4 号 p. 157-168
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/12/10
    ジャーナル フリー
    In this article, I reviewed our prior clinical and experimental studies about the effects of chotosan, a Kampo formula, on cerebrovascular disorders. A double-blind randomized controlled trial demonstrated that chotosan was effective on accompanying symptoms of vascular dementia. Chotosan improved microcirculation and hemorheological factors in patients with asymptomatic cerebral infarction. This formula inhibited the elevation of blood pressure, protected endothelial function, and prolonged the life span of stroke-prone spontaneously hypertensive rats. The phenolic fraction of Uncaria sinensis (US), a main medicinal plant of chotosan, had endothelium-dependent relaxation effect, and its alkaloid fraction possessed endothelium-independent relaxation effect. It was revealed that US had neuroprotective effects on glutamate- and NO donor-induced neuronal death in cultured neurons. Chotosan and US had protective effects on delayed neuronal death after transient forebrain ischemia in gerbils, and enhanced superoxide anion and hydroxyl radical scavenging activities as well as catalase activity in the brain. All of these results suggest that chotosan has such multiple pharmacological actions as improving effect on microcirculation, protective effect on endothelial function and neuroprotective effect. Therefore chotosan might be useful for prevention of the development of cerebrovascular disorders.
Regular Article
  • Kazuya Murata, Yasuyuki Tsukioka, Kikuyo Nakao, Kenzo Moriyama, Keiich ...
    2012 年 29 巻 4 号 p. 169-178
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/12/10
    ジャーナル フリー
    紅参から得た 70% メタノール抽出エキス(RG-ext)がラットの血液流動性に及ぼす作用とその作用発現成分について検討した。
    Micro channel array flow analyzer(MC-FAN)によるラット血液の全血通過時間,polybrene で誘起した赤血球凝集(PEA)抑制活性,及びユーグロブリン溶解時間(ELT)などを指標とし血液流動性を評価した。血液を低温処理すると全血通過時間が延長した。RG-ext は低温で誘発される全血通過時間の延長を抑制したが,白参エキス(WG-ext)には活性がなく,RG-ext は PEA を抑制したが,WG-ext の活性は弱かった。よって,RG-ext の血液流動性に対する作用は WG-ext より強いと示唆された。アジュバント関節炎モデルラットに RG-ext を連続経口投与すると,浮腫は抑制されなかったが,関節炎に起因する全血通過時間と ELT の延長は抑制された。RG-ext の活性成分を確認するため,各種人参サポニン [ginsenoside-Ro, -Rb 1, -Rg 1 および 20(S)-ginsenoside-Rg 3 [20(S)-Rg3]] について,低温で誘発される全血通過時間の延長と PEA に対する作用を検討した結果, 紅参特有サポニンである 20(S)-Rg3 が全血通過時間の延長を抑制し,PEA を抑制した。他のサポニンと比較して,20(S)-Rg 3 の活性が最も強力であることが判った。従って,紅参の血液流動性改善作用の一部は20(S)-Rg 3 が担っていることが明らかとなった。
  • Kiyoe Takashima, Kaori Munakata, Kenji Tsuiji, Masahiro Yamamoto, Kenj ...
    2012 年 29 巻 4 号 p. 179-185
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/12/10
    ジャーナル フリー
    漢方薬の成分の一部は腸内細菌の作用により活性化される事が知られている。一方で,漢方薬にはプレバイオティクス効果や微生物活性を有する成分が多数含まれることが知られており,漢方薬が腸内細菌叢に少なからぬ影響を与えていると推測されている。しかしながら,従来の培養法に基づく腸内細菌解析法では,漢方薬による複雑な腸内細菌叢の変化(培養不可能な菌の変化を含む)を検出することは困難であった。本研究では,感度と網羅性において優れる T-RFLP 法を用い,薬性の異なる漢方薬について,腸内細菌叢にもたらす影響の相違を検討した。 7 週齢の雄性 IQI SPF マウスに十全大補湯,補中益気湯,葛根湯,黄連解毒湯もしくは精製水(control)を,それぞれ 1 g/kg/day 連日 2 週間経口投与した。その後糞便を採取し,T-RFLP 法を用いて腸内細菌叢を網羅的に解析し,クラスター解析を行った。その結果,糞便中の細菌叢は「control・十全大補湯・補中益気湯」「黄連解毒湯・葛根湯」の 2 つのパターンに大別された。そこでさらに一般的に腸管に存在する特定の細菌に対する影響を検討する為, Bifidobacterium, Lactobacillus, Clostridium, Escherichia coli, Bacteroides fragilis の 5 属について real-time PCR を用いて解析を行ったが,処方間での顕著な差はおおむね認められなかった。ただし,十全大補湯については,Lactobacillus 属についての小さいながらも有意な減少を,補中益気湯については, E. coli の大幅な増加(数百倍)を認めた。以上の結果は,漢方薬は,その処方によって異なる影響を腸内フローラに与えること,その変化は腸内細菌のバランスを大きく変えるものではないが,特定の population に specific な影響を与えている可能性があること,を示唆している。既存のプロバイオティクスともプレバイオティクスとも抗生物質とも異なる漢方の独特の作用が,その薬効とどのように関係しているかが,今後解明されるべき課題であろう。
  • Emi Morita, Saeko Yoshihara, Hiroshi Ohta, Seiichi Katayama, Hiroshi A ...
    2012 年 29 巻 4 号 p. 186-194
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/12/10
    ジャーナル フリー
    扁鵲は,高糖質高脂肪食誘導による体重増加および内臓脂肪の蓄積に対して明らかな予防的効果を示し,臨床における報告とほぼ同様な効果が確認された。また,扁鵲の体重増加抑制効果は,投与期間後半より用量依存的な変動を示していることから,扁鵲は継続的に投与することにより抗肥満効果を高めると考えられた。さらに,扁鵲は高糖質高脂肪食誘導による食事誘導性体熱産生量および基礎代謝量の低下を予防する効果を示すことから,扁鵲は体内のエネルギー消費を促進する働きがあると考えられた。
  • Yan Wang, Qing Lin, Fumio Ikegami
    2012 年 29 巻 4 号 p. 195-202
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/12/10
    ジャーナル フリー
    本研究は葛根湯煎じ薬を試料として,簡便で能率的,かつ確実な分析方法の確立を目指し,構成生薬 7 種(葛根,大棗,麻黄,甘草,桂皮,芍薬,生姜)の 8 指標成分(ephedrine, pseudoephedrine, paeoniflorin, puerarin, glycyrrhizic acid, cinnamic acid, cinnamaldehyde, 6-gingerol)の HPLC-DAD を用いた同時分析法を新規に確立し,その有用性と汎用性を実証した。また,HPLC 試料の調製に当たっては,煎出液を茶漉しと濾紙で濾過し,次いでメンブレンフィルター(0.45μm)で濾過するという簡単な方法ではあるが,目標成分の損失と誤差が少なく,再現性が得られた。C18 カラムを用いた分析では,移動相をリン酸溶液(pH 2.0, 15mM)とアセトニトリルによるグラジエント溶出とし,各化合物の特有検出波長を用いて同定・定量を行った。本法は,葛根湯の指標成分の分析,定量に広く応用されることが期待される。
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