Sasa krilensis 乾燥葉から調製したクマザサエキス (固形エキス分27.8 mg/mL) は, ラット肝臓ミトコンドリアをFeSO
4/ascorbic acid で反応させると生成してくる TBARS (thiobarbituric acid-reactive substances) 量の上昇を強く抑制した。 TBARS は脂質過酸化の指標物質であり, クマザサエキスに強い抗酸化作用があることが判明した。 さらに HEL 細胞における H
2O
2 誘導アポトーシスに及ぼすクマザサエキスの影響を, JC-1 試薬を用いフローサイトメトリーで測定した。 その結果, クマザサエキスは HEL 細胞の H2O2 誘導アポトーシスを濃度依存的に抑制した。 高血糖は血管内皮細胞に酸化ストレスを誘導し, 血管障害の初期イベントにおけるリスクファクターであると考えられている。 クマザサエキスの血管保護作用の一つとして, 高濃度 (30 mM) グルコース曝露した際の正常ヒト臍帯静脈内皮細胞 (HUVEC) におけるアポトーシス DNA 断片化に対するクマザサエキスの効果を ELISA 法によって検討した。 その結果, 高濃度グルコース存在下でクマザサエキス 1 % 添加は HUVEC の DNA 断片化を完全に抑制した。 活性酸素種 (ROS) の増加は, 血管内皮機能障害の重要なメカニズムと考えられている。 HUVEC を高濃度グルコース処理後, ROS の増加はクマザサエキス 1 % 添加で完全に抑制された。 近年のヒト腫瘍研究は, 細胞接着分子が腫瘍の進展や転移に重要な役割をしていることを示唆している。 ヒト白血病 U937 細胞の angiotensin II あるいは高濃度グルコース処理した HUVEC への接着に対する影響を調べた結果, クマザサエキス 1 % 添加は U937 細胞の HUVEC への接着を完全に抑制した。 また, クマザサエキス 1 % 添加は, angiotensin II 曝露後の HUVEC における細胞接着分子 VCAM-1 及び ICAM-1 の発現レベルを著しく低下させた。 クマザサエキスに含まれる抗酸化成分を探索した結果, CoQ
9 と CoQ
10 がそれぞれ209及び305 ng/mL 含まれていることを確認した。 また抗がん, 抗ウイルス, 抗酸化作用を有するフラボノイド tricin もクマザサエキスに61μg/mL 含まれていることが見いだされた。 クマザサエキスやそれに含まれている抗酸化成分は, 糖尿病に関連する血管内皮障害や細胞接着分子による腫瘍の進展や転移の予防に有益であるかも知れない。Sasa krilensis 乾燥葉から調製したクマザサエキス (固形エキス分27.8 mg/mL) は, ラット肝臓ミトコンドリアをFeSO4/ascorbic acid で反応させると生成してくる TBARS (thiobarbituric acid-reactive substances) 量の上昇を強く抑制した。 TBARS は脂質過酸化の指標物質であり, クマザサエキスに強い抗酸化作用があることが判明した。 さらに HEL 細胞における H2O2 誘導アポトーシスに及ぼすクマザサエキスの影響を, JC-1 試薬を用いフローサイトメトリーで測定した。 その結果, クマザサエキスは HEL 細胞の H
2O
2 誘導アポトーシスを濃度依存的に抑制した。 高血糖は血管内皮細胞に酸化ストレスを誘導し, 血管障害の初期イベントにおけるリスクファクターであると考えられている。 クマザサエキスの血管保護作用の一つとして, 高濃度 (30 mM) グルコース曝露した際の正常ヒト臍帯静脈内皮細胞 (HUVEC) におけるアポトーシス DNA 断片化に対するクマザサエキスの効果を ELISA 法によって検討した。 その結果, 高濃度グルコース存在下でクマザサエキス 1 % 添加は HUVEC の DNA 断片化を完全に抑制した。 活性酸素種 (ROS) の増加は, 血管内皮機能障害の重要なメカニズムと考えられている。 HUVEC を高濃度グルコース処理後, ROS の増加はクマザサエキス 1 % 添加で完全に抑制された。 近年のヒト腫瘍研究は, 細胞接着分子が腫瘍の進展や転移に重要な役割をしていることを示唆している。 ヒト白血病 U937 細胞の angiotensin II あるいは高濃度グルコース処理した HUVEC への接着に対する影響を調べた結果, クマザサエキス 1 % 添加は U937 細胞の HUVEC への接着を完全に抑制した。 また, クマザサエキス 1 % 添加は, angiotensin II 曝露後の HUVEC における細胞接着分子 VCAM-1 及び ICAM-1 の発現レベルを著しく低下させた。 クマザサエキスに含まれる抗酸化成分を探索した結果, CoQ
9 と CoQ
10 がそれぞれ209及び305 ng/mL 含まれていることを確認した。 また抗がん, 抗ウイルス, 抗酸化作用を有するフラボノイド tricin もクマザサエキスに61μg/mL 含まれていることが見いだされた。 クマザサエキスやそれに含まれている抗酸化成分は, 糖尿病に関連する血管内皮障害や細胞接着分子による腫瘍の進展や転移の予防に有益であるかも知れない。
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