The Journal of Toxicological Sciences
Online ISSN : 1880-3989
Print ISSN : 0388-1350
ISSN-L : 0388-1350
10 巻, SupplementI 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 竹内 雅也, 加我 雅代, 都香 智子, 一戸 瑞枝, 岡崎 修三, 新保 幸太郎, 須藤 純一, 田辺 恒義
    1985 年 10 巻 SupplementI 号 p. 1-10
    発行日: 1985/08/31
    公開日: 2008/02/21
    ジャーナル フリー
    Halopredone acetate (THS-201) の経口, 腹腔内及び皮下投与による急性毒性試験をマウス及びラットを用いて実施し, さらに皮下投与による急性毒性については既知ステロイド剤である triamcinolone acetonide (TA) 及び methyl predonisolone acetate (MPA) を用いて比較検討した。1. THS-201のマウス及びラットの各投与経路における LD50 値はいずれも 5000 mg/kg 以上であった。経口及び皮下投与では主たる中毒症状は観察されず, また死亡も認められなかった。腹腔内投与では, 高用量群の極く少数例が, 自発運動の減少, 呼吸困難, 貧血, 斜頸等の症状を示して死亡し, 剖検により胸腺, 脾及び副腎の萎縮, 感染症の発現あるいは消化管の出血等が認められた。2. TA 及び MPA 投与では, マウス, ラットともに被毛光沢の消失, 削痩, 自発運動の減少, 貧血, 顔面のむくみ等の中毒症状を示し死亡し, 剖検では重篤な感染症の誘発とその増強, 消化管障害, 胸腺, 脾及び副腎の萎縮, また MPA 投与のマウスにのみ胸腔内出血が認められた。3. THS-201のマウス及びラットにおける急性毒性は TA あるいは MPA と比較し, 極めて軽度であった。
  • 竹内 雅也, ー戸 瑞枝, 岡崎 修三, 佐藤 美和子, 木口 雅夫, 新保 幸太郎, 須藤 純一, 田辺 恒義
    1985 年 10 巻 SupplementI 号 p. 11-39
    発行日: 1985/08/31
    公開日: 2008/02/21
    ジャーナル フリー
    局所貯留性ステロイド剤 THS-201についてラットを用い, 3箇月間連日背部皮下投与を行った後, 2箇月間の回復期間を設け亜急性毒性を検討した結果, 以下の結論を得た。1. THS-201の12.5 mg/kg 群では, ー般症状で腰部の疎毛, 投与部位の腫脹がみられ, 体重増加の抑制, 摂餌量の低下もみられた。また, 末梢血中のリンパ球率の著明な減少および分葉球率の増加を伴う白血球数の減少と関連して, 胸腺, 脾及び腸間膜リンパ節のリンパ系組織においては組織学的に著明な萎縮あるいはリンパ球の減少像が認められた。また, 血清総コレステロールおよびα2-グロブリン分画の増加, 投与部位における病理組織学的変化, 骨髄における脂肪空胞の増加が雌雄に, また雄のみに赤血球系, リン脂質, AG比, アルブミン分画及び電解質に関して軽度の変動がみられた。以上のうち投与部位の所見を除き, 回復傾向がみられた。2. THS-201 の 2.5 mg/kg 群では, 腰部の疎毛, 体重増加抑制, 雄における白血球系, 赤血球系および脂質系の変動, さらに雄では胸腺, 脾および骨髄における変化がみられたが, その程度はいずれも12.5 mg/kg 群より弱いものであった。3. THS-201 の 0.5及び0.1 mg/kg 群では検体投与の影響と考えられる変化は認められなかった。4. 死亡例が溶媒対照群及び 2.5 mg/kg 群の各1例および切迫屠殺例が 0.5 mg/kg 群の1例にみられたが, いずれも偶発と判断された。5. MPA 0.5 mg/kg 群では, THS-201 の 12.5 mg/kg 群とほぼ同様の変化が認められたが, 回復性は優れていた。6. 以上のことから, THS-201の3箇月間連続皮下投与による無影響量は 0.5 mg/kg/day であり, 確実中毒量は 2.5 mg/kg/day であることが示された。
  • 竹内 雅也, ー戸 瑞枝, 岡崎 修三, 太田 裕子, 新保 幸太郎, 須藤 純一, 田辺 恒義
    1985 年 10 巻 SupplementI 号 p. 41-69
    発行日: 1985/08/31
    公開日: 2008/02/21
    ジャーナル フリー
    局所貯留性ステロイド剤であるTHS-201についてラットにおける12箇月間の連続皮下投与を実施し, その毒性及び2箇月間の休薬による回復性を検討した結果, 以下の結論を得た。1. 試験期間中, 計15例の死亡あるいは切迫屠殺例が認められたが, いずれも偶発と判断された。2. THS-201の2.5 mg/kg/day投与群では一般症状で腰部の疎毛がみられ, 体重増加抑制, 摂餌量の減少及び雄のみに摂水量の減少も認められた。尿量の増加, 尿比重の低下及び尿中K排泄量の増加が雌のみに, また, 白血球分類ではリンパ球率の減少及び分葉球率の増加がみられ, それらに関連して軽度の胸腺の萎縮及び脾重量の減少が認められた。また血清リン脂質の増加, AG比及びアルブミン分画の減少, α2-, β- 及び γ-グロブリン分画の増加が雄のみに, 中性脂肪の減少が雌のみに, α1-グロブリン分画の減少が雌雄にみられ, 投与部位には検体残存と関連して異物肉芽腫及び膿瘍が観察された。上記の変動のうち投与部位の変化, 雌の腰部疎毛及びα1-グロブリン分画の減少, 雄の α2-グロブリン分画の増加を除き, 回復傾向が認められた。3. THS-201の0.5 mg/kg/day投与群では一般症状で雌のみに腰部の疎毛が観察され, 軽度の体重増加抑制が認められた。また2.5 mg/kg群と同様の白血球系の変動及びβ-グロブリン分画の増加及び胸腺重量の減少が雄のみに認められた。これらの変動はいずれも2.5mg/kg群より軽度であり全てに回復がみられた。4. THS-201の0.1及び0.02mg/kg/day投与群では検体投与の影響と考えられる変化は認められなかった。5. 以上のことからTHS-201の12箇月間連続皮下投与による無影響量は0.1 mg/kg/dayであり, 確実中毒量は0.5 mg/kg/dayであることが示された。
  • 井本 精一, 八幡 昭子, 小坂 恵, 釜田 悟, 竹内 雅也, 新保 幸太郎, 須藤 純一, 田辺 恒義
    1985 年 10 巻 SupplementI 号 p. 71-81
    発行日: 1985/08/31
    公開日: 2008/02/21
    ジャーナル フリー
    局所貯留性の高い関節内注射用ステロイド剤であるTHS-201の0.04, 0.2, 1.0, 5.0 mg/kg/dayの4段階用量を, 雄ラットの交配前 63日間及び雌ラットとの同居期間, また, 雌ラットの交配前14日間及び雄ラットとの同居期間, 更に交尾成立の雌動物については妊娠7日目まで皮下投与し, 雌雄ラットの生殖能力及び胚・胎仔の発育に対する影響について検索し, 以下の知見が得られた。1. 雄ラットでは, 1.0 mg/kg 以上の投与群で投与期間中に体重増加抑制が認められた。また, 0.2 mg/kg 以上の投与群で摂餌量の低下傾向がみられた。2. 雌ラットでは, 5.0 mg/kg 群で妊娠期間中に体重増加抑制がみられ, また, 体重増加量及び増加率の低下も認められた。3. 性周期, 交尾能力及び妊娠能力に THS-201 投与による影響は認められなかった。4. THS-201 投与による着床阻害作用, 胚致死作用, 胎仔発育抑制作用及び催奇形作用は認められなかった。5. 以上のことから, 本試験における THS-201 の雄雌ラットの生殖能力及び胚・胎仔の発育に対する無影響量は 5.0 mg/kg/day であると考えられた。
  • 井本 精一, 釜田 悟, 八幡 昭子, 小坂 恵, 竹内 雅也, 新保 幸太郎, 須藤 純一, 田辺 恒義
    1985 年 10 巻 SupplementI 号 p. 83-103
    発行日: 1985/08/31
    公開日: 2008/02/21
    ジャーナル フリー
    局所貯留性の高い関節内注射用ステロイド剤であるTHS-201の0.1, 0.5, 2.5, 12.5 mg/kg/day の4段階用量を, 妊娠ラットの胎仔の器官形成期 (妊娠7日目~17日目) に皮下投与し, 母動物, 胎仔及び出生仔に及ぼす影響について検索し以下の知見が得られた。1. 母動物では, 2.5 mg/kg 以上の投与群で妊娠及び哺育期間に体重増加抑制が認められた。しかし, 母動物の妊娠, 分娩, 哺育に関して THS-201 投与による影響は認められなかった。2. THS-201投与によるF1世代への致死作用, 発育抑制作用及び催奇形作用は認められなかった。3. F1出生仔の行動, 学習, 生殖能力及びF2世代の発育・成長について, THS-201投与による影響は認められなかった。4. 以上のことから, 本試験における THS-201 の母動物の生殖, 胎仔及び出生仔の発育に対する無影響量は 12.5 mg/kg/day であると考えられた。
  • 井本 精一, 八幡 昭子, 小坂 恵, 釜田 悟, 竹内 雅也, 新保 幸太郎, 須藤 純一, 田辺 恒義
    1985 年 10 巻 SupplementI 号 p. 105-122
    発行日: 1985/08/31
    公開日: 2008/02/21
    ジャーナル フリー
    局所貯留性の高い関節内注射用ステロイド剤である THS-201 の 0.05, 0.4, 3.2, 25.6 mg/kg/day の4段階用量を, 雌ラットの周産期及び授乳期 (妊娠17日目~分娩後21日目) に皮下投与し, 母動物及び出生仔に及ぼす影響について検索し, 以下の知見が得られた。1. 母動物の妊娠, 分娩, 哺育に関して THS-201 投与による影響は認められなかった。2. F1世代の発育・成長, 行動, 学習, 生殖能力及びF2世代の発育・成長について, THS-201 投与による影響は認められなかった。3. 以上のことから, 本試験における THS-201 の母動物の生殖及び出生仔の発育に対する無影響量は 25.6 mg/kg/day であると考えられた。
  • 大内田 昭信, 吉田 良一, 森田 健一
    1985 年 10 巻 SupplementI 号 p. 123-128
    発行日: 1985/08/31
    公開日: 2008/02/21
    ジャーナル フリー
    抗炎症ステロイド, THS-201 の変異原性の有無を検討するために, バクテリアを用いた復帰変異試験および培養細胞を用いた染色体異常試験を実施した。1. 復帰変異試験において, 代謝活性化の有無にかかわらず, 用いたすべての菌株に対し, 50~5000μg/plate の用量で復帰変異コロニーの増加は認められなかった。2. 染色体異常試験において, 代謝活性化の有無にかかわらず, 1.6~200μg/ml の用量で染色体異常の増加は認められなかった。3. 上記の結果から THS-201 には変異原性はないと考えられる。
feedback
Top