NS-21の光学異性体である(S)NS-21, (R)NS-21, 活性代謝物である (R/S)RCC-36およびその光学異性体である (S)RCC-36, (R)RCC-36, 加水分解物であるRCC-32, RCC-38ならびに副生成物であるRCC-66について, マウスを用いた腹腔内投与による単回投与毒性試験を実施し, 以下の成績を得た。LD
50値は, (S)NS-21の雄で199mg/kg, 雌で184mg/kg, (R)NS-21の雄で261mg/kg, 雌で240mg/kg, (R/S)RCC-36の雄で74mg/kg, 雌で100~150mg/kg, (S)RCC-36で雌雄ともに93mg/kg, (R)RCC-36の雄で83mg/kg, 雌で104mg/kgであった。また, RCC-32で雌雄ともに510mg/kg以上, RCC-38で雌雄ともに340~510mg/kg, RCC-66で雌雄ともに1000~2000mg/kgと推定された。一般状態では, (S)NS-21, (R)NS-21, (R/S)RCC-36, (S)RCC-36および (R)RCC-36で, 主に自発運動の減少, 腹臥位ないしは横臥位, 異常歩行, 間代性痙攣, 呼吸数の減少, 体温の低下, 皮膚の蒼白化, 散瞳, 腹部膨満, 粗毛などが認められた。RCC-32およびRCC-38では自発運動の減少, 腹臥位, 異常歩行, 間代性痙攣, 挙尾, 呼吸数の減少が認められ, RCC-66では自発運動の減少, 粗毛が認められた。体重推移では, いずれの被験物質においても減少ないしは増加抑制が認められた。剖検では, (S)NS-21, (R)NS-21, (R/S)RCC-36,(S)RCC-36, (R)RCC-36およびRCC-66の死亡動物で主に胸腺および脾臓の萎縮, 消化管の拡張および暗示色内容物の貯留, 腹腔内脂肪織に白色斑ないしは白色物などが認められた。RCC-32およびRCC-38の死亡動物では特に記すべき変化は認められなかった。また, (S)NS-21, (R)NS-21, (S)RCC-36, (R)RCC-36, RCC-32およびRCC-66の生存動物で腹腔内諸器官の癒着が認められた。
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