The Journal of Toxicological Sciences
Online ISSN : 1880-3989
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22 巻, SupplementI 号
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  • 西口 保幸, 吉田 勝, 垂井 睦, 中沢 素邦, 岡 高明, 岩倉 啓子, 鷲見 信好
    1997 年 22 巻 SupplementI 号 p. 1-13
    発行日: 1997/04/25
    公開日: 2008/02/21
    ジャーナル フリー
    NS-21のマウス, ラットおよびイヌにおける単回投与毒性試験を実施し, 以下の成績を得た。LD50値は, 経口投与ではマウスの雄で852mg/kg, 雌で1167mg/kg, ラットの雄で2839mg/kg, 雌で1739mg/k9, 腹腔内投与ではマウスの雄で324mg/kg, 雌で390mg/kg, ラットの雄で423mg/kg, 雌で359mg/kgであった。皮下投与ではマウス, ラットともに死亡は認められず雌雄で5000mg/kg以上であった。イヌの経口投与では5000mg/kg投与でも死亡は認められなかったが, 嘔吐がみられたことから最小致死量は求められなかった。一般状態では, いずれの動物, 投与経路においても散瞳が観察された。マウス, ラットの経口および腹腔内投与では, 自発運動の減少, 腹臥位ないしは横臥位, 呼吸数減少, 体温低下, 歩行失調, 攣縮および間代性症撃が認められ, さらにラットの経口投与で流延が, 経口および腹腔内投与では流涙がみられた。マウス, ラットの皮下投与では投与部位皮膚の痂皮形成が観察された。イヌでは散瞳の他, 嘔吐, 結膜ならびに口腔粘膜の充血, 腹臥位, 振戦および間代性痙攣がみられた。体重の増加抑制ないしは減少が, マウス, ラットの各投与経路で認められた。イヌでは体重および摂餌量の減少が認められた。剖検では, 肺の充血がマウス, ラットの経口および腹腔内投与の死亡例で認められた。小腸の拡張が, マウス, ラットの経口投与の死亡例およびラットの腹腔内投与の生存例で認められた。マウス, ラットとも腹腔内投与で, 腹腔内諸臓器の癒着が認められた。イヌでは重量の減少を伴った胸腺の萎縮が認められた。
  • 西村 信雄, 小林 淳一, 茂呂 光男, 勝亦 倶慶, 西口 保幸, 岩倉 啓子, 鷲見 信好
    1997 年 22 巻 SupplementI 号 p. 15-25
    発行日: 1997/04/25
    公開日: 2008/02/21
    ジャーナル フリー
    NS-21の光学異性体である(S)NS-21, (R)NS-21, 活性代謝物である (R/S)RCC-36およびその光学異性体である (S)RCC-36, (R)RCC-36, 加水分解物であるRCC-32, RCC-38ならびに副生成物であるRCC-66について, マウスを用いた腹腔内投与による単回投与毒性試験を実施し, 以下の成績を得た。LD50値は, (S)NS-21の雄で199mg/kg, 雌で184mg/kg, (R)NS-21の雄で261mg/kg, 雌で240mg/kg, (R/S)RCC-36の雄で74mg/kg, 雌で100~150mg/kg, (S)RCC-36で雌雄ともに93mg/kg, (R)RCC-36の雄で83mg/kg, 雌で104mg/kgであった。また, RCC-32で雌雄ともに510mg/kg以上, RCC-38で雌雄ともに340~510mg/kg, RCC-66で雌雄ともに1000~2000mg/kgと推定された。一般状態では, (S)NS-21, (R)NS-21, (R/S)RCC-36, (S)RCC-36および (R)RCC-36で, 主に自発運動の減少, 腹臥位ないしは横臥位, 異常歩行, 間代性痙攣, 呼吸数の減少, 体温の低下, 皮膚の蒼白化, 散瞳, 腹部膨満, 粗毛などが認められた。RCC-32およびRCC-38では自発運動の減少, 腹臥位, 異常歩行, 間代性痙攣, 挙尾, 呼吸数の減少が認められ, RCC-66では自発運動の減少, 粗毛が認められた。体重推移では, いずれの被験物質においても減少ないしは増加抑制が認められた。剖検では, (S)NS-21, (R)NS-21, (R/S)RCC-36,(S)RCC-36, (R)RCC-36およびRCC-66の死亡動物で主に胸腺および脾臓の萎縮, 消化管の拡張および暗示色内容物の貯留, 腹腔内脂肪織に白色斑ないしは白色物などが認められた。RCC-32およびRCC-38の死亡動物では特に記すべき変化は認められなかった。また, (S)NS-21, (R)NS-21, (S)RCC-36, (R)RCC-36, RCC-32およびRCC-66の生存動物で腹腔内諸器官の癒着が認められた。
  • 西口 保幸, 安達 孝浩, 中沢 素邦, 俵谷 武治, 内本 啓史, 吉田 勝, 石橋 成太良, 北山 英太, 岩倉 啓子, 鷲見 信好
    1997 年 22 巻 SupplementI 号 p. 27-57
    発行日: 1997/04/25
    公開日: 2008/02/21
    ジャーナル フリー
    NS-21を0, 6, 30, 150および750mg/kgの投与用量でラットに13週間反復経口投与し, さらに0, 30, 150および750mg/k9投与群については5週間の回復試験を実施して, 以下の成績を得た。1. 一般臨床検査では, 死亡が750mg/kg投与群の雄7例, 雌2例で認められ, これらの死亡動物では, 循環不全による死亡を示唆する肺のうつ血お上び水腫が共通してみられた。一般状態として散瞳, 流誕および流涙が30mg/kg以上の投与群で, 立毛が150mg/kg以上の投与群で, 自発運動の減少, 腹部膨満, 被手の汚損, 軟便, 下痢便および便量の減少が750mg/kg投与群で認められた。体重の減少ないしは増加抑制が30mg/kg以上の投与群で, 摂餌量の減少が750mg/kg投与群で, また摂水量の増加が150mg水g以上の投与群で認められた。眼科学的検査では, 一般状態でもみられた散瞳および流涙が30mg/kg以上の投与群で認められた。2.尿検査では, Na+およびK排他量の減少が30mg/kg以上の投与群で, 尿蛋白の増加が150mg/kg以上の投与群で, 尿量の減少が750mg/kg投与群でみられた。3. 血液学的検査では, HbおよびHtの減少が150mg/kg以上の投与群で, リンパ球数の減少が750mg/kg投与群で認められた。4. 血液化学的検査では, TPの増加が30mg/kg以上の投与群で, TGの減少が150mg/kg以上の投与群で, またBUNの増加が750mg/kg投与群で認められた。5. 病理学的検査では, 肝細胞肥大が30mg/kg以上の投与群で認められ, 電顕的には肝細胞における滑面小胞体の増生が30mg/kg以上の投与群で, グリコーゲン顆粒の減少が150mg/kg以上の投与群で認められた。甲状腺機能亢進像が30mg/kg以上の投与群で認められた。腎臓では慢性腎症の発現例数の増加および程度の高度化が150mg/kg以上の投与群でみられ, これに対応する電顕所見として糸球体上皮細胞の腫大, 糸球体上皮細胞内吸収滴, 糸球体上皮細胞足突起の消失, 近位尿細管上皮細胞内ライソゾームの増加および尿細管腔の硝子円柱が観察された。また, 副腎皮質の肥大が150mg/kg以上の投与群で認められた。その他, 胸骨および大腿骨の骨髄における造血組織の減少ならびに胸腺および精巣の精細管萎縮が750mg/kg投与群でみられた。6. 回復期間終了時には, 上述した変化はいずれも良好な回復性ないしは回復傾向が確認された。以上の結果, 本試験における無毒性量は6mg/kgであると推察された。
  • 岡崎 啓幸, 馬場 澄明, 池田 浩明, 千早 豊, 佐竹 茂, 永田 良一, 石橋 成太良, 岩倉 啓子, 鷲見 信好
    1997 年 22 巻 SupplementI 号 p. 59-92
    発行日: 1997/04/25
    公開日: 2008/02/21
    ジャーナル フリー
    NS-21を0, 5, 50および500mg/kgの投与用量でラットに26週間反復経口投与し, さらに9週間の回復試験を実施して, 以下の成績を得た。1. 一般臨床検査では, 死亡が500mg/kg投与群の雌2例で認められた。一般状態として散瞳, 流涎および流涙が50mg/kg以上の投与群で, 脱毛が500mg/kg投与群で認められた。体重の増加抑制および摂水量の増加が, 500mg/kg投与群で認められた。摂餌量の測定では特に記すべき変化は認められなかった。眼科学的検査では, 一般状態でもみられた散瞳が50mg/kg以上の投与群で認められた。2. 尿検査では, 尿量の増加が50mg/kg以上の投与群で, 尿蛋白の増加ならびにNa+, K+およびCl-排泄量の減少が500mg/kg投与群で認められた。3. 血液学的検査ではHb, Ht, MCV, MCH, MCHCおよびリンパ球数の減少が500mg/kg投与群で認められた。4. 血液化学的検査ではTC, PLおよびTPの増加ならびに血糖, TG, feee T3およびfree T4の減少が500mg/kg投与群で認められた。5. 肝薬物代謝酵素活性の測定では, チトクロームP-450の増加が500mg/kg投与群で, T4UDP-GTの上昇が50mg/kg以上の投与群で認められた。6. 病理学的検査では, 肝細胞肥大が50mg/kg以上の投与群で認められ, 電顕的には肝細胞における滑面小胆体の増生が50mg/kg以上の投与群で, グリコーゲン顆粒の減少が500mg/kg投与群で認められた。甲状腺機能亢進像が50mg/kg以上の投与群でみられた。腎臓では慢性腎症の発現例数の増加および程度の高度化が500mg/kg投与群で認められた。その他, 副腎皮質の肥大が500mg/kg投与群で認められた。7. 回復期間終了時には, 上述した変化はいずれも良好な回復性が確認された。 8. 血漿中のNS-21およびその活性代謝物であるRCC-36の濃度は, 投与用量の増加に伴った上昇がみられ, 用量相関的な全身的曝露が認められた。以上の結果, 本試験における無毒性量は5mg/kgであると推察された。
  • 古川 茂典, 神山 八郎, 菊森 幹人, 谷口 雄三, 西森 司雄, 石橋 成太良, 岩倉 啓子, 鷲見 信好
    1997 年 22 巻 SupplementI 号 p. 93-124
    発行日: 1997/04/25
    公開日: 2008/02/21
    ジャーナル フリー
    NS-21の活性代謝物であるRCC-36について, 0, 400, 600, 900, 1350および2030mg/kgの投与用量でのラット単回経口投与毒性試験ならびに0,3, 30および300mg/kgの投与用量でのラット13週間反復経口投与毒性試験および5週間回復試験を実施して, 以下の成績を得た。単回経口投与毒性試験 1. 死亡は600mg/kg以上の投与群の雌雄でみられ、LD50値は雌雄とも735mg/kgであった。2. 一般状態として散瞳, 流誕, 自発運動の減少, 歩行失調, 流涙および尿による下腹部の汚れが400mg/kg以上の投与群で, 呼吸数の減少および軟便が600mg/kg以上の投与群で観察され, 死亡動物ではさらに腹臥位, 横臥位, 間代性ないしは強直性痙攣が認められた。3. 体重の減少および増加抑制が400mg/kg以上の投与群でみられた。4. 病理学的検査では, 死亡動物で肺のうつ血, 気管に泡沫様粘液の貯留が認められた。生存動物については特に記すべき変化は認められなかった。13週間反復経口投与毒性試験 1. 一般臨床検査では, 被験物質投与に起因した死亡が300mg/kg投与群の雄4例, 雌9例で認められ, これらの死亡動物では循環不全による死亡を示唆する肺のうつ血お上び水腫が観察された。一般状態として散瞳が30mg/kg以上の投与群で, 流涙, 流涎, 異常呼吸音, るい痩および被毛の粗剛が300mg/kg投与群で観察された。体重の増加抑制および摂餌量の減少が30Omg/kg投与群で, 摂水量の増加が30mg/kg以上の投与群で認められた。眼科学的検査では, 一般状態でもみられた散瞳が30mg/kg以上の投与群で認められた。2. 尿検査では, 尿量の増加およびNa+排泄量の減少が30mg/kg以上の投与群で, K+およびCl-排泄量の減少が300mg/kg投与群で認められた。3. 血液学的検査ではHb, Ht, MCVおよびMCHの減少ならびにMCHCの増加が300mg/kg投与群でみられた。4. 血液化学的検査では, TGおよび血糖の減少ならびにTPの増加が30Omg/kg投与群で認められた。5. 病理学的検査では, 肝細胞肥大が300mg/kg投与群で認められ, 電顕的には肝細胞内に滑面小胞体の増生, グリコーゲン顆粒の減少およびリポフスチンの増加が捉えられた。甲状腺機能先進像が300mg/kg投与群で認められた。腎臓では近位尿細管上皮細胞内の硝子滴の増加が300mg/kg投与群でみられ, 電顕的には近位尿細管上皮細胞内のライソゾームおよび高電子密度小体の増加ならびに糸球体上皮細胞内の高電子密度小体の増加が認められた。その他300mg/kg投与群では, 副腎皮質の肥大も認められた。6. 回復期間終了時には, 上述した変化はいずれも良好な回復性ないしは回復傾向が確認された。以上の結果, 本試験における無毒性量は3mg/kgであると推察された。
  • 吉田 勝, 岡 高明, 俵谷 武治, 石橋 成太良, 中沢 素邦, 北山 英太, 安達 孝浩, 岩倉 啓子, 鷲見 信好
    1997 年 22 巻 SupplementI 号 p. 125-146
    発行日: 1997/04/25
    公開日: 2008/02/21
    ジャーナル フリー
    NS-21を0, 5, 25および125mg/kgの投与用量でイヌに13週間反復経口投与し, さらに同投与群について5週間の回復試験を実施して, 以下の成績を得た。1. 一般臨床検査では, 死亡は全ての投与群でみられず, 散瞳, 体重の減少ないしは増加抑制が25mg/kg以上の投与群で, 嘔吐, 流涎および摂餌量の減少が125mg/kg投与群で認められた。眼科学的検査では一般状態でもみられた散瞳が125mg/kg投与群で認められた。心電図検査においては特に記すべき変化は認められなかった。2. 尿検査では, 特に記すべき変化は認められなかった。3. 血液学的検査では, 血小板数の増加が125mg/kg投与群で認められた。4. 血液化学的検査では, GPTおよびALPの上昇およびalbuminの減少が25mg/kg以上の投与群でみられ, TGの増加が125mg/kg投与群で認められた。5. 病理学的検査では, 肝細胞肥大が125mg/kg投与群で認められ, 電顕的には肝細胞における滑面小胆体の増生, 小胆体由来の同心円状層状構造物が25mg/kg以上の投与群で認められた他, 肝内胆汁うっ滞および腸間膜リンパ節における巨核球の出現が25mg/kg以上の投与群で認められた。6. 回復期間終了時には, 上述した変化はいずれも良好な回復性ないしは回復傾向が確認された。以上の結果, 本試験における無毒性量は5mg/kgであると推察された。興奮に基づく頻尿や尿失禁等の症状を改善すると考えられている。今回, 著者らはNS-21の安全性評価の一環として, イヌの13週間反復経口投与毒性試験ならびに5週間回復試験を実施したので, その成績を報告する。
  • 吉田 勝, 河南 明孝, 俵谷 武治, 石橋 成太良, 中沢 素邦, 岡 高明, 北山 英太, 安達 孝浩, 岩倉 啓子, 鷲見 信好
    1997 年 22 巻 SupplementI 号 p. 147-175
    発行日: 1997/04/25
    公開日: 2008/02/21
    ジャーナル フリー
    NS-21を0, 3, 17.5および100mg/kgの投与用量でイヌに12力月間反復経口投与し, さらに同投与群について2力月間の回復試験を実施して, 以下の成績を得た。1. 一般臨床検査では, 死亡は全ての投与群でみられず, 散瞳, 嘔吐, 体重の減少ないしは増加抑制が17.5mg/kg以上の投与群で, 流涎および摂餌量の減少が100mg/kg投与群で認められた。眼科学的検査では一般状態でもみられた散瞳が17.5 mg/kg以上の投与群で認められた。摂水量の推移および心電図検査においては特に記すべき変化は認められなかった。2. 尿検査では, 特に記すべき変化は認められなかった。3. 血液学的検査では, 特に記すべき変化は認められなかった。4. 血液化学的検査では, GPTおよびALPの上昇が17.5mg/kg以上の投与群で, GOTの上昇, TGの増加, TPの減少が100mg/kg投与群で認められた。5. 病理学的検査では, 肝細胞肥大が100mg/kg投与群で認められ, 電顕的には肝細胞における滑面小胞体の増生およびライソゾームの増加が17.5 mg/kg以上の投与群でみられ, 小胞体由来の同心円状層状構造物が100mg/kg投与群で認められた他, 肝内胆汁うっ滞が17.5mg/kg以上の投与群で認められた。6. 血漿中のNS-21およびその活性代謝物であるRCC-36の濃度は用量依存的に増加し, 投与期間による差はみられなかった。7. 回復期間終了時には, 上述した変化はいずれも良好な回復性ないしは回復傾向が確認された。以上の結果, 本試験における無毒性量は3mg/kgであると推察された。
  • 中沢 素邦, 北山 英太, 安達 孝浩, 吉田 勝, 石橋 成太良, 吉川 健一, 梶原 力, 岩倉 啓子, 鷲見 信好
    1997 年 22 巻 SupplementI 号 p. 177-185
    発行日: 1997/04/25
    公開日: 2008/02/21
    ジャーナル フリー
    先に実施されたNS-21のマウスおよびラットのがん原性試験におけるNS-21およびその活性代謝物であるRCC-36の全身暴露を評価するため, NS-21をこれらのがん原性試験と同一の投与用量および経路, すなわちマウスに30, 100および300 mg/kg/day, ラットに10, 30および100mg/kg/dayを13週間混餌投与し, 投与期間の初日および最終日における被験物質およびその活性代謝物の中濃度について検討した。1. 投与期間の初日および最終日において, 投与用量の増加に伴ったNS-21およびRCC-36のCmax およびAUCの上昇がマウスおよびラットで認められた。NS-21とRCC-36のAUCの合計値は, マウスの雌雄最高用量群で2694~8614ng・hr/ml, 同じくラットでは2232~3593ng・hr/mlの範囲にあった。2. 先に実施されたNS-21のがん原性試験におけるNS-21およびその活性代謝物であるRCC-36の全身暴露量は, ヒトの臨床適用量 (10mg/body/day) におけるAUC (682ng・hr/ml) と比較して, マウスの最高用量群では約4~13倍, 同じくラットでは約3~5倍であったと推察された。
  • 石橋 成太良, 中沢 素邦, 俵谷 武治, 吉田 勝, 田村 博信, 安達 孝浩, 河口 和寛, 岩倉 啓子, 鷲見 信好, 若林 克己
    1997 年 22 巻 SupplementI 号 p. 187-199
    発行日: 1997/04/25
    公開日: 2008/02/21
    ジャーナル フリー
    NS-21のラット甲状腺機能亢進の機序解明を目的として500mg/kgの投与量で13週間の反復経口投与を行った結果, 肝ミクロソーム中のT4UDP-GTの増加, 血清中totalT4およびfeeT4の減少ならびにTSHの増加が投与10日目および13週目で同程度に認められた。形態学的には甲状腺の機能亢進像も観察された。T4を補うことで甲状腺の機能先進が抑制されるか否かを検討する為, 15μg/animalをNS-21と同時投与した結果, 肝ミクロソーム中のT4UDP-GTは増加したが, 血清中totalT4およびfeeT4の減少はみられなくなり, TSHはむしろ減少した。また, 形態学的には甲状腺の機能先進像は観察されなかった。以上のことから, ラットにNS-21を投与すると, T4UDP-GTが誘導され, 血中のT4の代謝が先進した結果, 代償性に下垂体からのTSHの分泌亢進が引き起こされ, 甲状腺の機能亢進に至ると推察された。
  • SCHARDEIN James L., YORK Raymond G., 二宮 博徳, 渡辺 正孝, 鷲見 信好
    1997 年 22 巻 SupplementI 号 p. 201-212
    発行日: 1997/04/25
    公開日: 2008/02/21
    ジャーナル フリー
    NS-21を 0, 2, 30 および 500mg/kgの投与用量でCrl:CD系雌雄ラットに交配前および交配期間中, さらに雌ラットには妊娠初期に反復経口投与し, 雌雄ラットの生殖能と胚・胎児に及ぼす影響について検討し, 以下の成績を得た。1. 親動物では, NS-21投与に起因すると考えられる死亡あるいは瀕死期屠殺が500mg/kg投与群の雌雄各1例に認められた。雌雄共に 30mg/kg 以上の投与群で流涎および散瞳がみられ, 500mmg/kg投与群ではラッセル音, 体重増加抑制, 摂餌量の減少および摂水量の増加が認められた。剖検ではNS-21投与に起因すると考えられる変化は認められなかった。2. 生殖能では, 雌雄共に交尾率および受胎率にNS-21投与による影響は認められなかった。性周期および交尾成立までの日数にはNS-21投与による変化は認められなかった。授胎不成立雄の精子検査では, 何れも精子への影響は認められなかった。妊娠末期での帝王切開による検査では, 500 mg/kg投与群で黄体数および着床数の減少が認められたが, 着床前肝損失率には変動はみられなかった。3. 胎児検査では, 500mg/kg投与群で生存胎児数の減少傾向および胎盤重量の増加が認められたが, その他には外表, 内臓および骨格奇形を含め, 胚・胎児にNS-21投与による影響は認められなかった。4. 以上の結果から, 本試験条件下でのNS-21の親動物に対する一般毒性学的な無毒性量は2mg/kg, 親動物の生殖能および胚・胎児に対する無毒性量は30mg/kgと考えられる。
  • SCHARDEIN James L., YORK Raymond G., 二宮 博徳, 渡辺 正孝, 鷲見 信好
    1997 年 22 巻 SupplementI 号 p. 213-228
    発行日: 1997/04/25
    公開日: 2008/02/21
    ジャーナル フリー
    NS-21を 0, 2, 25 および 300mg/kgの投与用量でCrl:CD系ラットの胎児器官形成期に経口投与し, 母動物, 胎児および出生児に及ほす影響について検討し, 以下の成績を得た。1. 母動物の一般状態では, 300mg/kg投与群で投与期間中に活動性の低下, 部分的開眼, ラッセル音が認められた。体重推移では, 300mg/kg投与群で投与期から授乳中期まで減少がみられた。摂餌量では, 300mg/kg投与群で投与期に減少が認められ, 摂水量では, 300mg/kg投与群で投与初期に減少が, 投与中期以降増加が認められた。なお, 25mg/kg以下の投与群では一般状態, 体重推移, 摂餌量および摂水量の何れにもNS-21投与による影響は認められなかった。帝王切開時および離乳時での母動物の剖検では, NS-21投与による影響は認められなかった。2. 妊娠末期での帝王切開による検査では, 母動物の黄体数, 着床数および着床前胚損失率ならびに自然分娩させた母動物の妊娠期間, 分娩状態, 出産率, 着床痕数および哺育状態には, NS-21投与による影響は認められなかった。3. 妊娠末期での胎児検査では, 死亡胚・胎児数, 生存胎児数, 性比および胎盤重量にはNS-21投与による影響は認められなかったが, 生存胎児体重で300mg/kg投与群に雌雄共に減少が認められた。外表, 内臓および骨格検査では, NS-21投与による影響は認められなかった。4. 出生児では, 一般状態, 発育生存能, 体重推移, 分化状態, 機能発達, 運動協調性, 活動性・情動性, 学習能力, 生殖能力および剖検にNS-21投与による影響は認められなかった。5. 以上の結果から, 本試験条件下におけるNS-21の母動物に対する一般毒性学的影響に関する無毒性量は25mg/kg,母動物の生殖に対する無毒性量は300mg/kg,胎児および出生児に対する無毒性量は25mg/kgであると考えられた。
  • SCHARDEIN James L., YORK Raymond G., 二宮 博徳, 渡辺 正孝, 鷲見 信好
    1997 年 22 巻 SupplementI 号 p. 229-237
    発行日: 1997/04/25
    公開日: 2008/02/21
    ジャーナル フリー
    NS-21を 0, 2, 10 および 50mg/kgの投与用量で, New Zealand White系ウサギの胎児器官形成期に経口投与し, 母動物および胎児に及ほす影響について検討し, 以下の成績を得た。1. 母動物の死亡あるいは瀕死期屠殺は,10および50mg/kg投与群でそれぞれ5および1例認められたが, 対照群でも2例みられた。一般状態では10mg/kg以上の投与群の少数例に流涙および痙攣が, 50mg/kg投与群で無便および軟便が認められた。また50mg/kg投与群では体重, 摂餌量および摂水量の減少が認められた。なお, 妊娠末期での剖検ではNS-21投与の影響は認められなかった。2. 胎児検査での黄体数, 着床数, 着床前胚損失率, 死亡期・胎児数(率), 生存胎児数, 性比, 体重および胎盤重量ならびに生存胎児の形態学的検査にはNS-21投与による影響は認められなかった。3 .以上の結果から, 本試験条件下における無毒性量は, 母動物に対する一般毒性学的影響に関しては2mg/kg, 母動物の生殖および胎児に関してはそれぞれ50mg/kgであると考えられた。
  • SCHARDEIN James L., YORK Raymond G., 二宮 博徳, 渡辺 正孝, 鷲見 信好
    1997 年 22 巻 SupplementI 号 p. 239-249
    発行日: 1997/04/25
    公開日: 2008/02/21
    ジャーナル フリー
    NS-21の 2, 25 および 300mg/kg を Crl:CD系ラットにおける周産期および授乳期に経口投与し, 母動物および出生児に及ほす影響について検討し, 以下の成績を得た。1. 母動物の一般状態では, 300mg/kg投与群 (33例) で活動性の低下, 流涎, ラッセル音等がみられ, 4例は授乳2日に, 1例は授乳20日に, 計5例が死亡した。300mg/kg投与群では妊娠期および授乳期の投与期に体重増加抑制, 摂餌量および摂水量の減少が認められた。授乳期終了母動物の剖検所見ではNS-21投与による影響は認められなかった。なお, 25mg/kg以下の投与群では一般状態, 体重推移, 摂餌量および摂水量の何れにもNS-21投与による影響は認められなかった。2. 自然分娩させた母動物では, 300mg/kg投与群で分娩期に死亡例が認められ, 残存着床痕数に軽度な増加傾向が認められたが, 出産率および着床痕数にはNS-21投与による影響はみられなかった。3. 出生児では, 出産時の観察で300mg/kg投与群に出生児数の減少傾向, 出生率の低下傾向, 出生児体重の減少, 生存率の低下および出生児の活動性の低下, 体表の蒼白・褪色が認められた。また300mg/kg投与群では4日齢生存率の低下, 哺育期および離乳後での雌雄出生児の体重増加抑制が認められた。しかしながら, 出産後の一般状態, 発育生存能, 分化状態, 機能発達, 運動協調性, 活動性・情動性, 学習能力, 生殖能力および剖検所見にNS-21投与による影響は認められなかった。4. 以上の結果から, 本試験条件下におけるNS-21の母動物に対する一般毒性学的影響に関する無毒性量, 母動物の生殖に対する無毒性量, 出生児に対する無毒性量は, いずれも25mg/kgであると考えられた。
  • 大塚 雅則, 梶原 美次, 安心院 祥三, 島崎 博子, 菊野 秩, 小椋 正造, 稲井 恒彦, 柿本 敬次郎, 田村 博信, 渡辺 正孝, ...
    1997 年 22 巻 SupplementI 号 p. 251-261
    発行日: 1997/04/25
    公開日: 2008/02/21
    ジャーナル フリー
    NS-21の細菌を用いる復帰突然変異試験, 哺乳類培養細胞を用いる染色体異常試験およびマウスを用いる小核試験を実施し, 以下の成績を得た。細菌を用いる復帰突然変異試験では, サルモネラ菌のTA100, TA1535, TA98およびTA1537ならびに大腸菌のWP2uvrAを用いて, 菌の生育阻害を示す用量を含む31.3~4000μg/plateの濃度範囲で実施した。NS-21は, 全ての試験菌株に対して代謝活性化の有無にかかわらず復帰変異コロニー数を増加させなかった。哺乳動物培養細胞を用いる染色体異常試験では, 新生チャイニーズハムスター肺由来の線維芽様細胞 (CHL/IU細胞) を用いて, 直接法および代謝活性化法ともそれぞれ50%以上の細胞増殖抑制を示す濃度を含む2.5~30μg/ml および 17.5~140μg/mlの濃度範囲で実施した。NS-21は, 代謝活性化の有無にかかわらず染色体異常を増加させなかった。マウスを用いる小核試験では, Slc:ddY系の雄マウスの骨髄細胞を用いて実施した。マウスには, 単回強制経口投与の最大耐量と最小致死量の等比中項を含む0, 43.8, 87.5, 175および350mg/kgを単回強制経口投与した。NS-21は, いずれの投与量においても小核を増加させなかった。以上の結果から, NS-21にはin vitro および in vivoのいずれにおいても変異原性を有さないと考えられた。
  • 田村 博信, 山下 康弘, 北山 英太, 岩倉 啓子, 渡辺 正孝, 鷲見 信好
    1997 年 22 巻 SupplementI 号 p. 263-274
    発行日: 1997/04/25
    公開日: 2008/02/21
    ジャーナル フリー
    RCC-36の細菌を用いる復帰突然変異試験, 哺乳類の培養細胞を用いる染色体異常試験およびマウスを用いる小核試験を実施し, 以下の成績を得た。細菌を用いる復帰突然変異試験では, サルモネラ菌のTA100, TA1535, TA98およびTA1537ならびに大腸菌のWP2uvrAを用いて, 6.25~400μg/plateの濃度範囲で実施した。RCC-36は, 全ての試験菌株に対して代謝活性化の有無にかかわらず復帰変異コロニー数を増加させなかった。哺乳類培養細胞を用いる染色体異常試験では, 新生チャイニーズハムスター肺由来の線維芽様細胞 (CHL/IU細胞) を用いて, 直接法2.5~20μg/mlおよび代謝活性化法10~80μg/mlの濃度範囲で実施した。RCC-36は, 代謝活性化の有無にかかわらず染色体異常を増加させなかった。マウスを用いる小核試験では, Slc:ddY系の雄マウスの骨髄細胞を用いて実施した。マウスには, 0, 10, 20, 40および80mg/kgを単回腹腔内投与した。RCC-36は, いずれの投与量でも小核を増加させなかった。以上の結果から, RCC-36はin vitro および in vivoのいずれにおいても変異原性を有さないと考えられた。
  • Roger C. HATCH, Karen S. REGAN, Seitaro ISHIBASHI, Motokuni NAKAZAWA, ...
    1997 年 22 巻 SupplementI 号 p. 275-287
    発行日: 1997/04/25
    公開日: 2008/02/21
    ジャーナル フリー
    The oncogenic potential of (±)-4-diethyldmino-1, 1-dimethylbut-2-yn-1-yl 2-cyclohexyl-2-hydroxy-2-phenylacetate monohydrochloride monohydrate (NS-21), a new drug for the treatment of urinary frequency and incontinence, was assessed when it was administered in the diet of Charles River B6C3F1 mice for 78 weeks in dosages of 0, 30, 100 and 300 mg/kg/day. No drug-related effects occurred on survival, appearance or behavior, or occurrence, location or number of palpable masses. Average food consumption, food efficiency and hematologic values also were apparently unaffected. Statistically significantly low body weights were observed in the 100 and 300 mg/kg/day mice. The plasma concentrations of NS-21 and its active metabolite, RCC-36, in the treated groups were increased in a dose-dependent manner. Histopathological examinations disclosed midzonal hepatocellular vacuolization compatible with lipid vacuoles in both sexes at the 300mg/kg/day dose level. There were no test article-related effects on the incidence or type of neoplastic lesions. In conclusion, under the conditions of this study, no oncogenic effects were evident in B6C3F1 mice when NS-21 was administered in the diet in concentrations to produce an intake of up to 300 mg/kg/day for 78 weeks.
  • Roger C. HATCH, Karen S. REGAN, Seitaro ISHIBASHI, Motokuni NAKAZAWA, ...
    1997 年 22 巻 SupplementI 号 p. 289-306
    発行日: 1997/04/25
    公開日: 2008/02/21
    ジャーナル フリー
    The oncogenic potential of (±)-4-diethylamino-1, 1-dimethylbut-2-yn-1-yl 2-cyclohexyl-2-hydroxy-2-phenylacetate monohydrochloride monohydrate (NS-21), a new drug for the treatment of urinary frequency and incontinence, was assessed when it was administered in the diet of Charles River Fischer-344 rats for 2 years in dosages of 0, 10, 30 and 100mg/kg/day. No drug-related effects occurred on survival, appearance or behavior, or occurrence, location or number of palpable masses. Food efficiency and hematologic values also were apparently unaffected. Statistically significantly low mean weekly body weights and average food consumption values were observed in the all dose groups. The plasma concentrations of NS-21 and its active metabolite, RCC-36, in the treated groups were increased in a dose-dependent manner. Histopathological examinations disclosed test article-related increases in the incidence of periportal hypertrophy and midzonal hepatocellular vacuolization in the livers of the 100 mg/kg/day animals. There were no test article-related effects on the incidence or type of neoplastic lesions. In conclusion, under the conditions of this study, no oncogenic effects were evident in Fischer-344 rats when NS-21 was administered in the diet in concentrations to produce an intake of up to 100 mg/kg/day for 2 years.
  • 岡崎 啓幸, 永田 良一, 大西 瑞男, 鮫島 秀暢, 藤沢 広, 木村 喜代史
    1997 年 22 巻 SupplementI 号 p. 307-313
    発行日: 1997/04/25
    公開日: 2008/02/21
    ジャーナル フリー
    NS-21の抗原性についてモルモットを用いた能動的全身性アナフィラキシー反応 (ASA反応) 試験ならびにマウスを用いたラット24時間受動的皮膚アナフィラキシー反応 (PCA反応) 試験および間接赤血球凝集反応 (PHA反応) 試験を実施し, 以下の成績を得た。1. NS-21単独投与あるいはNS-21とFCAとのエマルジョン(皮下投与)により感作したモルモットにおけるASA反応は陰性であった。2. NS-21単独投与あるいはNS-21と3%Al (OH)3懸濁液との混和液 (腹腔内投与) により感作したマウスの血清によるラット24時間PCA反応は陰性であった。3. NS-21とFCAとの併用投与 (皮下投与) により感作したマウスの血清によるPHA反応は陰性であった。4. 陽性対照として用いたOVAではいずれの反応も陽性であった。以上の結果から, 本試験条件下では, NS-21は抗原性を示さないと結論した。
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