日本溶射学会誌 溶射
Online ISSN : 2186-1080
Print ISSN : 0916-6076
ISSN-L : 0916-6076
50 巻, 2 号
選択された号の論文の2件中1~2を表示しています
論文
  • 丸山 徹, 廣畑 充浩
    2013 年 50 巻 2 号 p. 64-67
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/09/06
    ジャーナル フリー
    溶射皮膜と基材との間の密着性に及ぼす基材表面の加工硬化の影響を理解するため,焼鈍しされた鋼基材上の亜鉛合金溶射皮膜の密着性が測定された.焼鈍しされた基材は還元雰囲気における熱処理によって作製された.溶射皮膜は溶線式フレーム溶射法にて作製された.基材の加工硬化の度合いはブラスト時間変化によって変化された.焼鈍し無の場合では,ブラスト後の基材の硬さはブラスト時間の増加とともに大きくなり,密着性はその硬さの増加とともに高くなる.焼鈍しを施した場合,基材の硬さはブラスト処理前と同じとなる.それにも拘わらず,密着性は焼鈍し無の場合とほとんど同じとなる.鋼基材上の亜鉛溶射皮膜の密着性に及ぼす基材表面の加工硬化の影響は認められない.
  • 桑嶋 孝幸, 佐竹 忠昭, 園田 哲也
    2013 年 50 巻 2 号 p. 68-73
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/09/06
    ジャーナル フリー
    コールドスプレー法は固体状態で成膜できるために従来の溶射法と比較して優れた特徴を有している.固体状態での成膜プロセスであるために固有の課題もある.例えば,皮膜は従来の溶射法と異なって皮膜内部に大きな歪みを含んだ組織となっている.コールドスプレーにより得られた皮膜は,バルク体と同じ成分でも全く異なった機械的性質を有している.歪みは耐食性などにも影響を与えることから,皮膜内の歪みの評価をすることは重要である.本研究ではEBSD法によって低圧型コールドスプレーで成膜したNi皮膜の評価を行った.併せてTEM観察も行った. TEM観察から皮膜はサブグレインを大量に含んだ組織となっていた.熱処理することによって菊池パターンを確認できない部分が大幅に減少した.これはサブグレインを多量に含んでいるためであると思われる.得られたEBSD 測定結果からGrain Average Misorientation(GAM)とKernel Average Misorientation(KAM)を計算した結果から熱処理によってミスオリエンテーションが増加することが確認された.これは菊池パターンを確認できなかった部分に含まれるサブグレインが熱処理によって移動してきたためであると思われる.EBSD 法は,コールドスプレー皮膜の歪み評価に有効な方法である.
feedback
Top