〔背景〕総白血球数 (WBCC) 上昇は心血管疾患 (CVD) 予測の簡便な炎症マーカーである. 身体活動量の増加によりCVD発症予防が期待されるが, 身体活動量とWBCCとその分画の関連についての報告は少ない.
〔目的〕各種身体活動の1日の体重当たり消費エネルギー量 (EE) とWBCC, 白血球分画との関連を横断的に検討する.
〔方法〕対象は, 就業中の25-69歳の非糖尿病, 高血圧や脂質異常症の薬物療法を受けていないドック受診者1,230名 (男性953名, 平均年齢49±8歳, 平均BMI 23.5±3.3 kg/m2) である. 身体活動質問票を用いて過去1か月間の身体活動内容を調査し, 男女別に睡眠, 仕事, 運動, 非活動, 合計のEEを算出した. EEとWBCCの間で相関を認めた活動ごとに, WBCCか白血球分画高値 (4分割の最上位) を目的変数, 活動のEEを説明変数としたロジスティック回帰モデルを用いて, 活動のEE (G1-4に4分割) の独立した関連性を分析した.
〔結果〕合計EEはWBCCと一定の傾向を示さなかったが, 男女ともに運動EEとWBCCは負の相関, 男性でのみ睡眠EEとWBCCに負の相関を認めた. 睡眠EEの4分位でWBCC, 白血球分画には一定の傾向は見られなかったが, 運動EEの4分割 (運動なし: G1, する者で3分位: G2-4) では, 仕事EE, 睡眠EE, 年齢, BMI, 臍周囲径, 飲酒, 喫煙, インスリン濃度, 女性ではさらに閉経で調整後も, 男性ではWBCCと好中球数が, 女性では好中球数が, 活動量の増加にともなって低下した. 男性で, 運動EEのWBCC高値に対するオッズ比は, G1と比較しG2→G4に向け, 0.87, 0.68, 0.50 (Trend p=0.019), 好中球高値に対するオッズ比は0.87, 0.68, 0.49 (Trend p=0.026) であった. 同様の解析を女性で行ったが有意な傾向はなかった. 男性では運動EEが1.49 kcal/kg/day (=G4) 以上でWBCC, 好中球数高値のリスクが有意に上昇していた.
〔総括〕男性では運動EEと白血球数, 特に好中球数との負の関連性が認められた.
抄録全体を表示