Journal of UOEH
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10 巻, 3 号
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  • 平岡 克己, 堀江 昭夫
    原稿種別: 原著
    1988 年10 巻3 号 p. 237-246
    発行日: 1988/09/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    4種類のCEAペプチド部分および1種類のCEA糖鎖部分に反応する5種類のモノクローナル抗体を用いて, 各組織型10例ずつ合わせて40例の肺癌組織のホルマリン固定, パラフィン切片をABC法により免疫組織化学的に検索し, 臨床的に測定された各症例の血清CEA値との相関を併せて検討した. 組織中の染色部位は5種類の抗体で明らかな違いは見られなかったが, 染色の陽性率は癌組織型により異なっていた. CEAペプチド部分に反応する4種の抗体は比較的類似した結果を示したが, 糖鎖部分に反応する抗体の陽性率は低かった. 血清CEA値上昇例では組織標本上いずれかの抗体により陽性所見を認めたが, 染色陽性の症例は必ずしも血清CEA値上昇を伴わず, ことに腺癌・扁平上皮癌に伴わないものが多かった. しかし免疫組織染色強陽性例ではすべての症例で血清CEA値著増が見られた.
  • ―特に高圧神経症候群との相関―
    奥田 真也, 松岡 成明, 毛利 元彦
    原稿種別: 原著
    1988 年10 巻3 号 p. 247-261
    発行日: 1988/09/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    大陸棚海域の開発に必要な水深300mの海中作業技術の確立と安全潜水技術の確立を目的として行われた横須賀の海洋科学技術センターの潜水シミュレーション実験に過去5年間参加した. 我々は二次元脳電図法を用いて, 1)高圧神経症候群(HPNS)に特有な脳波変化があるか, 2)脳波の変化と潜水時のHe-O2環境下での加圧・減圧速度との関係, 3)脳波の変化と特徴ある神経症状との相関の有無を検討した. 対象として,300m飽和潜水には17名(加圧速度25m/hr), 180mに6名(12m/min), 130mに6名(12m/min), 60mに13名(12m/min)の健康な飽和潜水経験者を採用した. 加圧時の環境制御は, 酸素分圧0.79bar, ヘリウム分圧29.91bar. 特徴ある脳波所見とし, 前頭正中部にθ波, およびdiffuse α波を, ときに痙撃波を認めた. 臨床的には全例にHPNSを認め, 上記脳波出現時に, 笑い発作, 多幸感が特徴的であった. これは高圧下のヘリウム麻酔効果による影響と推察されるが, ダイバーにより個人差がみられた. 従ってダイバーの選択並びに生理学的反応を知るには脳波学的検査は重要なモニターとなりうる.
  • 石倉 義弥, 小田桐 重遠, 饗庭 了, 徳永 裕之, 嶋津 明
    原稿種別: 原著
    1988 年10 巻3 号 p. 263-267
    発行日: 1988/09/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    Poor risk factorをもった四肢動脈閉塞症に対し24例にExtra-anatomic Bypassを行った. 大腿-大腿動脈バイパス(F-FB)5例, 腋窩-大腿動脈バイパス(Ax-FB)15例, 鎖骨下鎖骨下動脈バイパス(Subcl-SubclB)2例, 上行大動脈-大腿動脈バイパス(AsAo-FB)2例で手術死亡は1例, 遠隔死亡は2例であった. risk factorとして高年令の他, 心機能障害が最も多く, 2つ以上の障害を合併したものが75%にみられた. 8-94ヵ月のfollow up中グラフト閉塞は1例のみ(開存率96%)で, グラフトの選定, 手術方法の選択, 術前後の管理により重症者にも安全で良い手術方法と考える.
  • 森 晃爾, 藤代 一也, 井上 尚英
    原稿種別: 原著
    1988 年10 巻3 号 p. 269-275
    発行日: 1988/09/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    スチレンおよびスチレンオキシドのδ-アミノレプリン酸脱水素酵素(ALAD)に対する影響について, ラットを用いて, in vivoおよびin vitro実験を行った. In vivo実験では, スチレンとスチレンオキシドにより赤血球のALADの阻害を認めた. この阻害はスチレンオキシドでは量一反応関係を認めたが, スチレンでは認められなかった. しかし肝のALADに対して, スチレンおよびスチレンオキシドとも阻害をきたさなかった. 一方in vitro実験では, スチレンオキシドにより赤血球と肝両方のALADの阻害がみられたが, スチレンでは認められなかった. 以上より, スチレンによるALADの阻害はスチレンオキシドを介するものと思われ, スチレンの毒性発現にスチレンオキシドが重要な役割を果たしていることが示唆された.
  • 大西 晃生, 保利 一, 田中 勇武, 山本 辰紀, 村井 由之
    原稿種別: 原著
    1988 年10 巻3 号 p. 277-281
    発行日: 1988/09/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    酸化プロピレンはその化学構造が酸化エチレンに酷似し, 末梢神経障害を惹起する可能性が強い. しかし, 文献上, 酸化プロピレンが明らかな末梢神経障害をヒトまたは実験動物に惹起したという報告は認められない. ウィスタ一系雄性ラットを500, 750, 1000, 1500, 2000 ppmの酸化プロピレンに曝露し, ラットに末梢神経障害を発症させ得る酸化プロピレン曝露濃度を明らかにすることを目的とした. その結果, 週5日間, 1日6時間の1500 ppm酸化プロピレン曝露約3週間で, 実験群ラットの体重減少, 後肢の肢位異常, 腓骨, 腓腹神経およびヒラメ筋支配神経枝ならびに脊髄薄束の有髄線維の軸索変性が生じた. 酸化プロピレンは酸化エチレンと同様, ラットに軸索変性を主病変とする末梢神経障害を惹起するが, 酸化プロピレンによる末梢神経障害の発症には, 酸化エチレンの場合よりも, より高濃度の曝露が必要である.
  • 大西 晃生, 池田 正人, 山本 辰紀, 村井 由之
    原稿種別: 原著
    1988 年10 巻3 号 p. 283-287
    発行日: 1988/09/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    右示指末節の手掌面(以下手指)と右足の母指末節の足底面(以下足指)の皮膚振動覚および冷覚閾値を, 知覚障害が自覚的かつ神経学的に認められない13歳から83歳の男・女計70名について, Vibration Sensitivity TesterおよびThermal Sensitivity Tester (Sensortek, USA)を用いて測定した. 手指の振動覚および冷覚閾値, 足指の振動覚閾値は加齢とともに有意に増大した. 70名の測定閾値に基づいて, 各年代毎に予測振動覚および冷覚閾値の95%信頼限界の上限および下限値を得た. これらの値は, 神経内科学領域のみならず, 産業医学領域においても, 皮膚知覚閾値定量的評価法の臨床応用の基礎となる.
  • 佐藤 忠嗣, 三砂 將裕, 塚田 順一, 菊池 亮, 織田 進, 千葉 省三, 江藤 澄哉
    原稿種別: 原著
    1988 年10 巻3 号 p. 289-296
    発行日: 1988/09/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    PWM-SCMを造血刺激因子(CSF)とした軟寒天一層法により, 血清をBSA, コレステロールおよびトランスフェリンで置き換えた無血清培養法のCFU-Cコロニー形成に関する基礎的検討と純化GM-CSFの効果につき, マウス骨髄を用いて検討した. 1)CFU-Cコロニーは培養後4日目をピークとして出現した. 2)CFU-Cコロニー数と培養細胞数との間には直線的な相関関係が認められた. 3)無血清培地はFCS20%を含む血清培地と同等のCFU-Cコロニー形成能を有していた. 4)BSAおよびコレステロールは無血清培地におけるCFU-Cコロニー形成において, 必須であると考えられた. 5)CFU-Cコロニー数は,純化GM-CSF濃度に依存して増加し, 25U/ml濃度添加以上でプラトーに達した. また, 形成されたコロニーの半数以上がGMコロニーであった. 以上の成績から, 無血清培養法は, 血清中に含まれる造血刺激因子に影響されることなく, in vitroにおけるgranulopoiesisを研究する上で有用であると考えられた.
  • 田辺 忠夫, 小林 利次, 吉田 真一, 水口 康雄
    原稿種別: 原著
    1988 年10 巻3 号 p. 297-303
    発行日: 1988/09/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    1987年中に産業医科大学病院で分離されたグラム陰性桿菌の一部について, 6種類のβ-ラクタム系抗生物質, 2種類のアミノ配糖体系抗生物質に対する感受性を, 寒天稀釈法およびパルプディスクを用いた寒天拡散法の2通りの方法を用いて検討した. 画法の結果は大体において良く一致したが, 一部の菌については一致しない場合もあることが認められた. 調べた菌のうち, Escherichia coli, Klebsiella属, Proteus属の多くは, ABPC, PIPCを除くβ-ラクタム系, アミノ配糖体系両方の薬剤に良好な感受性を示した. 一方Acineto-bacter calcoaceticus, Pseudomonas属は調べた薬剤に耐性を示すものが多かった. Citrobacter freundii, Enterobacter cloacae, Serratia marcescensの3菌種については感受性菌が比較的多いものの, 薬剤によっては耐性菌の割合が50-100%に達する場合もあることが明らかとなった.
  • 鵜木 秀明
    原稿種別: 原著
    1988 年10 巻3 号 p. 305-316
    発行日: 1988/09/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    種々の肝疾患を有するヒト生検肝組織74例に対し, モノクローナル抗休48-1を用いた光顕レベルでの酵素抗体間接法を施行し, その非A非B型肝炎特異性を臨床病理学的に検討した. ベルオキシダーゼ陽性反応は74例中13例に認められ, その内訳は, 非A非B型急性肝炎10例中8例(80%)・慢性肝炎15例中2例(13.3%), B型急性肝炎6例中2例(33.3%)・慢性肝炎18例中1例(5.6%)であった. また陽性細胞の小葉内分布パターンについては明らかな特徴像は認められなかった. さらに非A非B型急性肝炎における組織学的特徴像について検討した結果, Acidophilic condensation像の目立つ症例と比較的よく相関してベルオキシダーゼ陽性反応がみられた. また, 各種臨床免疫血清反応についての検討では, 特異的関連性は認められなかった. 今回の検討により, 本酵素抗体法は非A非B型急性肝炎の診断において特異性はないが, その有用性が認められた.
  • 和田 伸一, 松岡 成明, 角谷 千金士, 横田 晃, 毛利 元彦
    原稿種別: 症例報告
    1988 年10 巻3 号 p. 317-324
    発行日: 1988/09/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    大陸棚開発に必要な水深300mでの海中作業技術の確立と安全を目的とした海洋技術センターでの潜水シュミレーターを用いて実施された実験に参加し, 加圧経過中, 聴性脳幹反応(ABR)を4人の被験者(プロダイバー)に記録する機会を得た. 被験者は全員水深150mまでは何ら異常を示さず, ABRも変化なかったが, 水深150-250mで関節痛, 多幸, 振戦, 運動失調, 呼吸困難等を次々と訴え, ABRのⅠ-Ⅲ,Ⅰ-Ⅴ頂点間潜時も有意に延長した. この頂点間潜時の延長は水深300mまでに一旦回復する傾向がみられた. また, これらのABRの変化は体温変動と相関性はなく, 刺激条件等の影響も考えられず, He-O2ガスの加圧による脳幹機能の一過性の機能低下によるものと考えられた. さらに,Ⅰ-Ⅲ, Ⅰ-Ⅴ頂点間潜時は互いに独立しており, このことはABRのⅢ波, Ⅴ波の発生源へ達する刺激が独立した別々の伝導路を通る可能性を示唆する所見と考えられた.
  • 真喜屋 清, 塚本 増久, 真鍋 英夫, 岩田 康
    原稿種別: 症例報告
    1988 年10 巻3 号 p. 325-330
    発行日: 1988/09/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    最近犬糸状虫人体寄生例の報告が増加の傾向を示しているが, 昨年報告した北九州市で最初の肺犬糸状虫症に引き続いて同市内で再び犬糸状虫の肺寄生例を経験した. 患者は市内八幡西区に住む56才の女性. 昭和62年6月に胸部の異常陰影を指摘され, 重症筋無力症を伴う縦隔腫瘍の診断で胸腺摘出術を受けた際, 偶然左肺下葉に小結節を発見・切除されたが, 肺組織の懐死層を含むこの肉芽腫瘤内に寄生虫の断端像を認めた. 断端の径は400×310μmで, 角皮最外層には縦走隆起がなく最内層内側に隆起がある. 側索は狭小で筋層の高さに達し, 筋細胞はpolymyarian typeである. 以上の形態的特徴から, 犬糸状虫Dirofilaria immitis未成熟虫と同定された. 本症例は開胸手術中に偶然発見されたもので, 無症状の犬糸状虫症は報告された例数よりも実際にはさらに多いということをうかがわせる.
  • 実藤 隼人, 水野 修一, 尾関 恒雄, 馬場 謙介, 武田 成彰
    原稿種別: 症例報告
    1988 年10 巻3 号 p. 331-336
    発行日: 1988/09/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    60才男性の小肝癌にTAEを施した後, 肝部分切除を行った. 2個の主腫瘍病巣は被膜で囲まれ, 被膜の内側では完全な壊死を示したが, 被膜外浸潤部では, EdmondsonⅠ-Ⅱ型を示す癌細胞が残存し, TAEの効果には限界がある. Hyaline globuleやMallory bodyを有す癌細胞の小集団も散見された. 主腫瘍の他に, 病理組織学的検索により, 肉眼的に識別不可能な多発性微小肝癌が見つかった. これらの多発病巣は極めて高分化な策状型, EdmondsonⅠ型を示し, 主として置換型発育を呈し, 多中心性発生を示したものと考えられた.微小肝癌の中心部においては, scirrhous typeの組織像を示す部分も認められた. 背景には肝線維症(前硬変)が存在した. かかる多中心性発生を示すような症例においては, でき得る限り広範な切除が不可欠である.
  • 寺尾 岳, 谷 幸夫
    原稿種別: 症例報告
    1988 年10 巻3 号 p. 337-340
    発行日: 1988/09/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    常用量のbenzodiazepine系薬剤(以下BZDと略す)を中断後, 重度の離脱症状を呈した2例を報告した. 症例1は61歳男性で, nitrazepam1 0mg/日を離脱後7日目にせん妄を呈した. 症例2は49歳女性で, nitrazepam 5mg/日とtriazolam 0.5mg/日を離脱後4日目に幻聴, 5日目に視覚性の認知障害を呈した. 常用量のBZD中断において離脱症状が生じることは少なく, さらにこのような精神病様状態が発生することは稀である. 本論文では, 6ヵ月以上の服用期間と強度の不眠を危険因子として挙げ, さらに症状発生日の予測法についても言及した. 不幸にして精神病様状態が発生した場合の処置として, diazepamの静注を勧めた. また, BZDの常用量投与の際にも中止する場合には漸減が望ましいと考え, 具体的な漸減法を示した.
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