今回我々は, TCGF(T-Cell Growth Factor, ラット脾細胞Con-A刺激上清)と刺激細胞(致死量のγ線を曝露したヒトBリンパ球芽球様細胞)を用いマウス脾臓T-リンパ球の長期培養法を確立した. この培養条件下でのT-リンパ球の集団倍加時間は27-29時間で, 約2週間の培養が可能であり, マイクロプレート法によるコロニー形成率は3-12%であった. そこで, マイクロプレート法による生存率解析を用い, マウス脾臓T-リンパ球の放射線感受性を
in vivo,
in vitro曝露およびG
0期, 対数増殖期の細胞群において比較検討を行った. その結果, G
0期のT-リンパ球は対数増殖期のそれに比して亜致死障害よりの回復力が強い可能性が示唆された. またこの測定系では,
in vivo,
in vitro曝露においてT-リンパ球の放射線感受性にほとんど差は見られなかった. このように, この測定系は物理的要因や毒性および変異原性物質の
in vivo,
in vitro曝露による影響を比較し, スクリーニングする方法として有用である可能性が考えられた.
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