Journal of UOEH
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13 巻, 1 号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
  • ヨハナ マシャラ, 徳井 教孝, 城戸 優光
    原稿種別: 原著
    1991 年 13 巻 1 号 p. 1-11
    発行日: 1991/03/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    18人の健康なボランティア(男7名, 女11名 平均年齢と標準偏差は各々22.7±2.05, 21.2±1.11才)にアストグラフ法および一回呼吸法を用いてアセチルコリン吸入による気道反応を比較検討した. 18名の被験者のうち11名(61%)はアレルギーや喘鳴の既往は無かったが, 5名(28%)にアレルギー性鼻炎, 2名(11%)に喘息の既往があった. 7名(64%)の既往歴の無い健常者と全ての喘息およびアレルギー性鼻炎既往者はアセチルコリンの吸入に反応した. 呼吸コンダクタンス(Grs)と1秒量のアセチルコリン吸入前の基準値に対するパーセントを累積アセチルコリン吸入量の対数値と比較した. 大部分の被験者が両法で似通った反応パターンを示した. 1秒量とGrsが各々減少を始める最低累積濃度(各々CminS, CminA)を気道の感度とすると, 両者は良い相関を示した(r=0.750, P<0.01).以上の結果よりアストグラフのような複雑な方法をとらなくても, 簡単な一回吸収法により気道の反応性を容易に検出できることが判明した.
  • 今津 和彦, 藤代 一也, 井上 尚英, 森 晃爾
    原稿種別: 原著
    1991 年 13 巻 1 号 p. 13-18
    発行日: 1991/03/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    エチレングリコール(EG)のラット肝におよぼす影響について薬物代謝酵素系を中心に検索した. 曝露群には1%EG水溶液を, 対照群には蒸留水を2週間自由に飲水させた. 2週間後の両群間では体重に有意差はなく, 肝および腎の体重当たりの相対重量も有意差はなかった. 全期間中の飲水量は対照群に比べ曝露群で1日平均13.5%の増加を認めた. 血液検査では貧血・肝障害・腎障害はみられなかった. 一方, 肝ミクロゾーム中のシトクロームP-450量は対照群に比べ曝露群で17%の増加を認めたが, シトクロームb5量, プロトヘム量, NADPH-cytochrome c reductase活性, NADH-ferricyanide reductase活性に有意差はなかった. また, 肝細胞質分画中のアルコール脱水素酵素活性およびグルタチオンレダクターゼ, グルタチオンペルオキシダーゼ, グルタチオン-S-トランスフェラーゼの各活性にも有意差はなかった. これらの結果よりEGの代謝における肝シトクロームP-450の関与が示唆された.
  • ―臭化メチル暴露の生物学的モニタリングへの応用―
    古賀 実, 原 京子, 保利 一, 児玉 泰, 大久保 利晃
    原稿種別: 原著
    1991 年 13 巻 1 号 p. 19-24
    発行日: 1991/03/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    ヘッドスペース・ガスクロマトグラフ法(GC法)と電気電導度検出器によるイオンクロマトグラフ法(IC法)により尿中臭素イオンを定量する方法を比較した. GC法の相対標準偏差は2.7%, 最低定量限界は0.4mg/ℓで, IC法(8.7%, 1.0mg/ℓ)より良好な結果が得られた. またGC法による測定はIC法より迅速で, より実用的であることがわかった. 両法による定量値には相関係数0.793と, ほぼ良好な相関がみられた. 臭化メチル取扱作業従事者の尿中臭素イオン濃度を測定した結果, 13.3±7.7mg/ℓ(n=36)であり, 非作業従業者の測定値, 7.1±2.1mg/ℓ(n=6)とは, 有意な差が認められた. しかしながら, 尿中臭素イオン濃度と, パッシブサンプラーを用いて測定した, 臭化メチルの個人暴露濃度との間には明確な関係は得られなかった.
  • 郡山 一明, 保利 一, 山田 紀子, 井上 尚英, 河野 慶三
    原稿種別: 原著
    1991 年 13 巻 1 号 p. 25-28
    発行日: 1991/03/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    メタノール - トルエン系と酢酸エチル-トルエン系の混合有機溶剤の気液平衡関係について, それぞれの溶剤の気相濃度の実測値と, 溶液を理想溶液と仮定した場合の理論値とを比較検討した. 酢酸エチル-トルエン系の混合溶剤では, 酢酸エチルの気相濃度は実測値と理論値が, 比較的良く一致していた. メタノール-トルエン系の混合溶液では, メタノールの気相濃度は, 特にメタノールの含有率が5%以下の領域において, 理論値よりも著しく高濃度になることが分かった. 混合有機溶剤曝露の健康影響評価については, 液相成分の組成のみならず, 気相濃度の測定が重要であると考えられた.
  • 久岡 正典, 中村 照, 原武 譲二, 堀江 昭夫
    原稿種別: 症例報告
    1991 年 13 巻 1 号 p. 29-34
    発行日: 1991/03/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    71才の女性に生じた, 初発部位としては稀な肝放線菌症の1例を報告する. 診断は総胆管結石症に対する手術時に, 部分切除された肝組織材料より病理組織学的になされた. 術前, 臨床的に感染症兆候は認められなかった. 肝病変は2cm大の結節で, 組織学的には線維化を伴う膿瘍形成性の化膿性炎症であり, 辺縁に根棒体を有する好酸性の放射状顆粒が見られた. Brown-Brenn法ではグラム陽性で分枝状線維様の桿菌が認められた. また, Ziehl-Neelsen法のputt変法により抗酸性も証明された. これらの所見は肝放線菌症として矛盾しないものと考えられた.
  • 角谷 千登士, 梶原 秀彦, 副島 徹, 山田 治行, 松岡 成明
    原稿種別: 症例報告
    1991 年 13 巻 1 号 p. 35-38
    発行日: 1991/03/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    症例は28歳女性, 全身痙攣発作のため入院. 単純CTでは右頭頂葉に不規則な小低吸収域が認められた. 造影CTでは同部にくさび状の高吸収域が認められ, 右側脳室にまで及んでいた. 脳血管造影では右角回動脈, 外側後脈絡叢動脈を主流入動脈, 上矢状洞, 蝶形頭頂静脈洞, 中隔静脈を導出静脈とする動静脈奇形が認められた. 右頭頂葉の動静脈奇形の術前診断にて摘出術を行った. 術中, 動静脈奇形以外に右側脳室内に腫瘤を認めたため摘出した. 組織所見は髄膜腫であった. 合併した髄膜腫の発生要因として, 脳動静脈奇形によってもたらされた血行動態の変化による慢性的刺激の関与が推測された.
  • 本田 雅久, 土橋 正子, 林 実, 荒井 正夫, 小林 利次
    原稿種別: 予報
    1991 年 13 巻 1 号 p. 39-46
    発行日: 1991/03/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    尿中ALP・LAP・γ-GTPの活性測定を行う際問題となる透析処理, 遠心処理, 蓄尿・随時尿の選択についての検討を行った. 尿の前処理として行う透析はLAP, γ-GTPおよびALP(Bessey-Lowry法)測定に関しては省略可能であった. しかし, Kind-King法にてALP活性を測定する場合, 尿中の透析性の成分の影響を受けるため透析処理が必須となることが確認できた. また, 遠心処理の有無, 遠心条件の相違により各酵素とも活性値が変化することが確認でき, 遠心操作は一定条件で行う必要があると考えられた. 尿検体種を選択する場合蓄尿が望ましいが, γ-GTPはクレアチニン補正を行うことにより随時尿の使用も可能であると考えられた.
  • ―手術手技について―
    中西 良一, 白日 高歩
    原稿種別: 短報
    1991 年 13 巻 1 号 p. 47-51
    発行日: 1991/03/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    広範囲気管切除を余儀なくされる疾患に対し, われわれは同種気管移植片による気道再建が最も理想的と考え, 雑種成犬を対象に実験的気管移植を行っている. 現在3ヵ月以上の長期生存例も得られていることから, 実際の手術手技に関して紹介し解説を加えた. 麻酔管理, 気管吻合, 血行再建のための有茎大網被覆の3点がrecipientの予後に深く関与した.
  • 山田 誠二
    原稿種別: 総説
    1991 年 13 巻 1 号 p. 53-60
    発行日: 1991/03/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    労働安全衛生法が改正され, 労働者の疾病予防を中心とした健康管理から健康の保持増進を進める自己管理の方針が打ち出された. それによって, 運動を中心とする生活習慣の改善が提唱されている. 健康の保持増進対策を直接的に指導する産業医にとって, 運動指導に関する基本的な知識は必須のものであり, かつ運動に対する高い関心を持つ市民の指導のためにもスポーツ医学への関心が医師間に急速に高まっている. しかし, 現在, 医学部教育に確立したスポーツ医学の講義課程が存在するわけではなく, 各種講習会を中心とした卒後教育に頼っているにすぎない. さらに, 多くの労働者の運動指導をするためには多くの運動指導専門職を必要とする. 現在, これらの要求に答えるべく, 多くの省庁, 関係団体によって, 種々の運動指導専門家の養成が開始されている. その現状を一覧するとともに, 運動指導医の育成状況についても総説した.
  • 産業医科大学
    原稿種別: 抄録集
    1991 年 13 巻 1 号 p. 61-94
    発行日: 1991/03/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
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