Journal of UOEH
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16 巻, 1 号
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  • 大野 宏毅, 平田 肇
    原稿種別: 原著
    1994 年 16 巻 1 号 p. 1-17
    発行日: 1994/03/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    バクテリオロドプシン(bR)は高度好塩菌Halobacteriumu halobiumの紫膜に存在する唯一の膜タンパク質であり, 光駆動型プロトンポンプ(光を受けて水素イオンを細胞内から細胞外へと輸送する)として知られている. この実験の目的は, bRがプロトンの電気化学的ポテンシャル勾配下に置かれたときどのように振る舞うかを調べることであった. この目的のために脂質平面膜法を応用した電気的測定法を適用した. bRをリン脂質小胞に再構成したのち, 脂質平面膜に組み込んだ. bRポンプによる電荷移動を, 脂質平面膜を介しての容量性の電流として記録した. bRリン脂質小胞と脂質平面膜との結合は強固で, 長時間にわたって安定な記録が可能であった. われわれの実験装置で(平面膜の直径200μm), ミリ秒の閃光照射によって200pA程度のパルス電流が観察された. プロトンの電気化学的ポテンシャル勾配を以下の3種の方法で生成した. 1)あらかじめbRポンプを長時間照射してほとんど飽和に達するプロトン勾配を生成する, 2)リン脂質小胞内を酸性にしてポンプと逆向きのpH勾配を保持する, 3)外部電源から平面膜に電圧を印加する.
    どの方法を採用しても, 加えられたポテンシャル勾配がポンプの向きと逆向きの場合は本来のポンプ電流に加えて, 一過性の負電流が観察された. さらに, 外部電圧(方法3)を加えると, bRによって輸送される電荷の総量は電圧に線形に依存して変化した. 観察結果を総合すると, bRには光によってゲートの開くプロトンチャンネルとしての作用があることが強く示唆される. チャンネルの平均開口時間はおよそ15ms, チャンネル1個あたりのコンダクタンスはおよそ0.05fSと推定した.
  • 時村 俊幸, 浦崎 永一郎, 和田 伸一, 安河内 秀興
    原稿種別: 原著
    1994 年 16 巻 1 号 p. 19-41
    発行日: 1994/03/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    傍脊椎部電気刺激による体性感覚誘発電位(PS-SEPs)の臨床的有用性について検討するために正常人23名を用いて片側, 両側刺激での正常値を求めるとともに頭皮上波形分布について解析した. また, 脊髄, 脊椎疾患22例でPS-SEPsを記録し, PS-SEPsの異常パターンと神経学的所見および放射線学所見を対比して検討した. 1)正常成人ではC7からL2棘突起のレベルで, PS-SEPsは片側刺激, 両側刺激のいずれでも頭皮上で明瞭な波形が記録され, 吻側の傍脊椎部刺激ほどPS-SEPsの潜時は短縮した. 2)脊髄伝導時間, 脊髄伝導速度については正常範囲幅が大であったが, 腰椎レベルの刺激では胸椎レベルの刺激より伝導速度が遅く, これは傍脊椎部皮神経の走行距離の差によるものと推察された. 3)身長とPS-SEPsの潜時については相関関係は認められなかった. 4)頭皮上での振幅左右差の検討では, C7, Th5部での片側刺激PS-SEPsは刺激対側優位に振幅が大であり, Th10, L2部刺激PS-SEPsでは刺激同側と対側で振幅に有意差は得られなかった. 正中神経刺激SEPsでは対側優位, 後脛骨神経刺激SEPsでは同側優位に振幅差が生じることも確認されたことから, C7, Th5部刺激PS-SEPsは手の皮質領域に近い部位で発生しTh10, L2刺激PS-SEPsは手と足の間の皮質領域で発生するものと推察された. 5)脊髄, 脊椎疾患でのPS-SEPsは片側刺激により両側刺激では明らかにされない感覚障害のlateralityを把握することが可能であった. PS-SEPsは深部知覚障害を有する場合に高率に異常を示した. また, 臨床的な知覚異常レベルよりも尾側の刺激でPS-SEPsは異常を示す傾向にあったが, まれに知覚異常レベルより吻側でのsubclinicalな障害を検出したと考えられる場合もあった. 以上よりPS-SEPsは従来の頭蓋外基準電極法によるSEP検査では高位診断が困難であった胸椎部中心の脊髄, 脊椎疾患の他覚的な知覚異常の判定に有用であると思われた.
  • 古田 瑞穂, 廣重 由可, 土井 徹, 曽根 智史, 松田 晋哉, 華表 宏有
    原稿種別: 原著
    1994 年 16 巻 1 号 p. 43-52
    発行日: 1994/03/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    1984年のわが国の平均出生体重(以下MBWとする)について, 人口動態統計磁気テープを使用して世帯の主な仕事別にその差を検討した. さらに母親の年齢, 児の性, 初産・経産別に検討を行ったところ, 兼農世帯では, 他の職業世帯に比べてMBWが高く, その他世帯では他の職業世帯に比べ低いことが明らかになった.
  • 村田 育夫, 芳川 一郎, 阿部 慎太郎, 中野 重一, 田原 章成, 遠藤 匡亮, 筒井 保博, 大槻 眞
    原稿種別: 原著
    1994 年 16 巻 1 号 p. 53-59
    発行日: 1994/03/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    平成3年から4年にかけて2事業所で行った職域内大腸癌検診の成績を検討した. 2, 440名を対象にスクリーニングとして免疫学的便潜血反応1日法を用いた. 実施者数は1, 795名で, 潜血反応陽性者は71名(陽性率4.0%)で, その中の52名(73.2%)が全大腸内視鏡検査や注腸造影などの精密検査を受けた. 33名に何らかの大腸病変があり, そのうち5例に大腸癌を発見した(有癌率0.28%). 1例は根治手術可能な進行癌で, 4例は腺腫内癌で内視鏡的ポリペクトミーにて切除した. 21例に大腸腺腫があり, 11例ではポリペクトミーを施行し, 10例は経過観察とした. その他1例に神経腫, 3例に痔疾患, 2例に憩室, 1例に線状潰瘍がみられた. 職域内大腸癌検診は壮年期の人々を対象とする重要な社会的意義をもち, 管理指導により受診率や精密検査受診率をさらに向上させ, 大腸癌の早期発見率を向上させることが期待できる.
  • ―信頼性, 年齢との相関および各機種による測定値の相関関係―
    大西 晃生, 八幡 澄和, 山本 辰紀, 村井 由之, 池田 正人
    原稿種別: 原著
    1994 年 16 巻 1 号 p. 61-70
    発行日: 1994/03/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    感覚障害を示さない40(男13, 女27)名を対象とし, Vibratron Ⅱ, TM-31AおよびSMV-5の3種類の振動覚弁別閾値測定器を用いて, 3-4日目毎に3回繰り返し測定を行い, 1)各測定器で得られた測定値の信頼度, 2)利き手の示指掌側末節と橈骨茎状突起における測定値と年齢との相関関係, 3)各部位において2種類の測定器で得られた各閾値の相関関係を評価することを目的とした. 40名で3回繰り返し測定して得られた級内相関係数が, 示指におけるVibratron ⅡおよびSMV-5による評価では, それぞれ0.77および0.88であった. 同様に橈骨におけるTM-31AおよびSMV-5による評価では, 級内相関係数がそれぞれ0.62および0.84であった. 40歳以下の若年者20名と41歳以上の中・高年者20名の間において, 各機器による各部位別の測定値の級内相関係数はほぼ同様の値を示したが, いずれの値についても若年者では中・高年者よりも低値を示した. 各機器による各部位の測定値と年齢との間に正の相関関係が得られた. 示指におけるVibratron ⅡおよびSMV-5の閾値および橈骨におけるTM-31AおよびSMV-5の閾値の間に, 正の相関関係が認められた. 各機器とも, 振動覚障害の診断・評価, 感覚障害を示す患者の追跡調査と治療効果の判定および産業・環境医学領域における末梢神経障害のスクリーニングと診断に応用可能と判断される. しかしながら, TM-31Aは3種類の機器のうちで信頼度が最も低く, 測定値と年齢との関係の相関係数も最低値を示した.
  • 安松 聖高, 内田 誠也, 菅野 久信, 鈴木 尊志
    原稿種別: 原著
    1994 年 16 巻 1 号 p. 71-83
    発行日: 1994/03/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    香りに対する乳児の反応を脳波を用いて評価した. 対象は月齢3-4の正常成熟混合栄養児11例で, 自然睡眠下で母乳とオレンジの香りを呈示し, それによる脳波変化を高速フーリエ変換を用いて分析した. 分析には睡眠2期と徐波睡眠期に香りを呈示した際のデータを用いた. Paired-t-testの結果, 母乳では左右前頭部と中心部の δ, θ 帯域で有意な振幅値(絶対パワー値の平方根)の減少が認められた. 一方, オレンジでは中心部と右頭頂部の δ 帯域で有意な振幅値の増加が観察された. この両香りによる脳波変化の相違は2要因分散分析の結果においても明らかであった. このように乳児においても香りの違いによって脳波の反応に差がみられるということは, 香りに対する乳児の反応を評価するのに, 脳波が有効な手段であることを示唆する.
  • 花桐 武志, 伊規須 英輝, 白石 武史, 白日 高歩
    原稿種別: 短報
    1994 年 16 巻 1 号 p. 85-89
    発行日: 1994/03/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    我々の考案したラット肺再灌流モデルを用いて, 保存肺の肺循環およびガス交換能の測定を行い, Coenzyme Q10(CoQ10)の保護効果について検討した. 実験1では, CoQ10を心肺ブロックを摘出時の灌流液20 mlに0.08 mg, 0.4 mg, 4 mg加えた. 実験2では, CoQ10を心肺ブロック摘出1時間前に3 mg/kg, 6 mg/kg, 12 mg/kg静脈内投与した. 10℃6時間保存後, 希釈血液を灌流液とする再灌流回路に接続し30分間灌流を施行した. その結果, CoQ10を心肺ブロック摘出時の灌流液に0.08 mg, 0.4 mg投与した群では, control群と, とくに差異を認めず, 4 mg投与した群では, むしろ保存状態は劣悪であった. 一方, 心肺ブロック摘出の1時間前に6 mg/kg静脈内投与した群ではcontrol群に対して肺動脈圧, 気道内圧, 酸素化能, 湿乾重量比について有意に良好な結果を示した. 以上より, 適切なCoQ10投与は, 肺保存に対し良い効果を与え得る可能性が考えられた.
  • ―ポーランド, 西欧, および米国の現状―
    リザード ソーダ
    原稿種別: 報告
    1994 年 16 巻 1 号 p. 91-95
    発行日: 1994/03/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    カーボンブラックは補強剤や色素として広く用いられている. しばしば, 「すす」と同じものと誤解されるが, 物理化学的性質は煤煙の「すす」と, カーボンブラックは全く異なっている. ポーランドにおける疫学的調査では, カーボンブラックの曝露を受けている作業者の呼吸器系の障害が起こる可能性を示唆する結果が得られているが, さらに調査が進められている. 西欧諸国での調査ではそのような可能性を支持する結果は得られていないが, 結論が出るまでにあと6年間の調査が必要である. 一方, 米国の調査では, カーボンブラックの作業現場での曝露で, 循環器系, 呼吸器系の疾患, あるいは悪性腫瘍のリスクは増加しないと報告されている. カーボンブラックのヒトの健康に対する影響の評価はさらに継続する必要がある.
  • 産業医科大学
    原稿種別: 抄録集
    1994 年 16 巻 1 号 p. 97-126
    発行日: 1994/03/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
  • 産業医科大学
    1994 年 16 巻 1 号 p. 127-138
    発行日: 1994/03/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
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