ヒト免疫不全ウイルス(human immuno-deficiency virus; HIV)感染症に伴う血小板減少症に関わる要因を決定するために, 我々は35名のHIV感染症罹患日本人血友病患者において血小板数と相関を示す臨床および血液検査所見をレトロスペクティブに検討した. 150, 000/μl未満の血小板減少を示した17名では, 血小板数が正常であった18名と比較して末梢血CD4
+細胞が有意に少なく, さらにHIV感染症の病期がより進行している者が多かった. そこで, HIV感染症の初期の患者32名について血小板数を目的変数に, 末梢血CD8
+細胞数, 血清コリンエステラーゼ値, 血清ALT値, 末梢血CD4
+細胞数および白血球数を説明変数として多変量解析を行った. その結果統計学的有意性を持ってCD8
+細胞数, 血清コリンエステラーゼおよびALT値が血小板数の説明変数に選ばれた. この32名の患者においてCD8
+細胞数と血小板数の間には, 正の相関(r = 0.50,
P < 0.01)が認められた. 本研究で, HIV感染症初期の日本人血友病患者の血小板数と末梢血CD8
+細胞数の相関が示されたことから, HIV感染患者における血小板減少症にCD8
+細胞数の減少が関与している可能性が推察された.
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