Journal of UOEH
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18 巻, 1 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
  • 今村 昌平, 大西 晃生, 山本 辰紀, 永木 譲治, 池田 正人
    原稿種別: 原著
    1996 年 18 巻 1 号 p. 1-5
    発行日: 1996/03/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    83名の入院患者を対象として, ピロカルピン刺激を用いた鋳型法による足背部活動性汗腺密度評価の再現性を検討した.第1回目の評価後, 8-14日以内に第2回目の評価を実施した.正常者では, 級内相関係数は, 0.857と高値でありrepeatabilityは良好であった.正常者で50歳以上の被検者は, 50歳未満の被検者に比較して級内相関係数が高値を示し(0.909対0.653), repeatabilityはより良好であった.また正常者の男女ともにrepeatabilityはほぼ同様に良好であると判断された(男;0.921, 女;0.803).糖尿病患者では, 正常者および糖尿病以外の他の神経疾患患者に比較してrepeatabilityが低いと判断された(0.543対0.857および0.809).活動性汗腺密度の評価は糖尿病患者の自律神経機能の評価に重要であるが, 糖尿病患者ではその再現性が正常者などに比較して低いことを認識することは重要である.
  • ―16年間の追跡調査―
    伊藤 敬, 高橋 謙, 大久保 利晃
    原稿種別: 原著
    1996 年 18 巻 1 号 p. 7-18
    発行日: 1996/03/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    クロムメッキ作業従事者の健康影響についての調査はまだ十分になされていない.我々はクロムメッキ作業者の死因パターンの特徴を調べるために, 東京都にあるメッキ工場の従業員1,193名を対象に16年間の追跡調査を行った.同集団をクロムメッキ作業者群(623名)と非クロムメッキ作業者群(567名)に分け, 1976年10月から1992年12月まで追跡した.標準化死亡比(SMR)およびその95%信頼限界(95%CI)を統計学的評価に用いた.クロムメッキ作業従事者における慢性肝炎および肝硬変の死亡リスクについて統計学的に有意な上昇(SMR 2.34; 95%CI 1.17-4.19)と, 肺がんのリスクの上昇傾向(SMR 1.18; 95%CI 0.99-3.04)が示された.非クロムメッキ作業従事者においては, 死亡リスクに関する有意なリスクの上昇を認めたものは無かった.我々は, 各疾患における死亡数が少ないことから, 今後もさらなる追跡調査が必要であると結論した.
  • 大西 晃生, 柏田 恵理子, 橋本 朋子, 山本 辰紀, 村井 由之, 大橋 博文, 池上 徹, 早坂 清, 須藤 和則, 山森 俊治
    原稿種別: 原著
    1996 年 18 巻 1 号 p. 19-29
    発行日: 1996/03/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    発端者は46歳女.緩徐進行性の両下肢の脱力とじんじん感を主訴とした.神経学的所見, 末梢神経伝導検査と腓腹神経の組織学的検査所見(発端者のみ)で, 発端者, 妹と弟および長女に同様の異常を認めた.発端者にNIDDMの合併を認めた.病歴では発端者の祖母と発端者の母方の叔父に遺伝性運動感覚性ニューロパチーと糖尿病の罹患が認められた.常染色体優性の遺伝性運動感覚性ニューロパチー(HMSN) typeⅠと診断した.発端者の遺伝子解析では17 p 11.2-12の重複は陰性であったが, Po蛋白の98番目のarginineのhistidineへの置換(Arg98→His)が認められた.Arginineのhistidineへの置換はPo蛋白の細胞膜外領域に位置し, 髄鞘変性の原因になると推定された.発端者は糖尿病に罹患していたが, 他の患者には糖尿病を認めなかった.本家系は, 私どもが以前初めて報告した家系と同一のArg98→His変異を示す第2番目の家系で, 文献上頻度の低いPo蛋白の変異を示すHMSN typeⅠB家系である。Codon 98の変異はHMSN typeⅠBの髄鞘異常に重要な役割を果たす可能性が考えられる.
  • ―実験的検討―
    笹栗 毅和, 木本 龍也, 中田 肇
    原稿種別: 原著
    1996 年 18 巻 1 号 p. 31-39
    発行日: 1996/03/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    近年, スパイラルCTの登場により精度の高い3D画像が得られるようになった.我々は3D画像作成過程において作成者が任意に設定しなければならない閾値, また, 得られた3D画像に対して加えることのできる回転という二つの因子に注目し, これらが3D画像に与える変化を実験的に検討した.実験にはアクリル製円柱棒からなるT字モデルを用い, shaded surface display(SSD)法による3D画像を作成した.閾値の増大は画像情報の喪失をもたらし, とりわけT字モデルの横棒全体と縦棒上端部(横棒との接着部付近)において顕著であった.回転に伴う観察者との距離変化は, 遠くなるほど黒くなるグレイスケールによって表現された.若干の臨床例を含めて, 3DスパイラルCTの特性と問題点について考察した.
  • 佐藤 教昭
    原稿種別: 原著
    1996 年 18 巻 1 号 p. 41-50
    発行日: 1996/03/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    インターネット上で,ソフトウェアや文書の配布を目的とした産業医科大学のAnonymous FTPサーバの利用状況を分析した.その結果, (1) Anonymous FTPサーバを学外に公開したことにより, 学外からの利用が飛躍的に増加した.(2)学外からの利用の際のファイル転送レートは学内からのそれの十分の1以下であった.(3)学内からの利用は, ほぼ勤務時間内に集中しているのに対して, 学外からの利用は幅広い時間帯に分布していることが明らかになった.
  • 高橋 謙, 川名 一夫, 大久保 利晃, 伊藤 敬, 宇都宮 啓, 渡辺 昌
    原稿種別: 原著
    1996 年 18 巻 1 号 p. 51-60
    発行日: 1996/03/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    地球環境変化の影響に関する生態学的・環境疫学的研究における曝露指標とする目的で, 一般的気象データに基づく有害紫外線(UV-B)量の推定式を作成し, わが国の過去30年間にわたる地域別地上到達UV-B量を推定した.全天日射量, オゾン全量, 緯度, 暦月からUV-B量の月別値を推定し, 全国4地点における1991-93年の観測値と比較した結果, 近似性は極めて良好であった(r=0.98).全国の観測地点における推定UV-B量に関する1990年単年平均および1961年以降の期間別通年平均は, 観測地点緯度に対しておよそ同順位を示したが, 観測地点によっては±10%以上の期間別通年平均の変動, または, ±10位以上の順位変動を示した.このことは, 全天日射量・オゾン全量の気象条件が地上到達UV-B量に一定の影響を与えていることの反映であり, 緯度のみをUV-Bの代替指標とする従来手法に比べて, より精緻な曝露指標になり得ると考えられる.
  • ―特に作業環境管理の立場から―
    藤井 潤, 有馬 恵子, 宮本 比呂志, 吉田 真一
    原稿種別: 総説
    1996 年 18 巻 1 号 p. 61-76
    発行日: 1996/03/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    空調設備は快適な職場環境の整備と確保になくてはならないものであるが, 一方では空調冷却塔水中に生息するレジオネラ属菌による感染症(レジオネラ症)が問題となってきた.レジオネラ属菌はヒトに肺炎(在郷軍人病)やインフルエンザ様症状(ポンティアック熱)を引き起こす病原性を持っており, building-related illnessの原因の一つでもある.しかし, 我が国においてレジオネラ症の予防対策は欧米に比べ遅れているのが現状である.その原因としては労働安全衛生法やビル衛生管理法において冷却塔水などの空調設備の法的規制が不十分であること, 産業医学における作業環境管理が細菌学的視点に立脚しておらず, 職場巡視も冷却塔水の細菌学的検査やその管理にまで及んでいないことなどが挙げられる.本総説ではレジオネラ属菌の細菌学的特徴, 環境中での生態, 感染源, 感染経路, レジオネラ属菌の病原性, レジオネラ症の症状および治療と国内外における発生状況, さらには作業環境管理の立場から冷却塔水におけるレジオネラ属菌の生息状況とその対策について述べた.
  • 松田 晋哉
    原稿種別: 報告
    1996 年 18 巻 1 号 p. 77-84
    発行日: 1996/03/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    本研究では本学卒業の10名の専属産業医の経験をもとに, 産業医として勤務するために必要な知識・技能と, その卒前・卒後教育の課題を意思決定理論の一手法であるAHPを用いて明らかにすることを試みた.まず, 産業医の業務内容および必要とされる知識・技能をKJ法にて要約し, それをもとに「卒前一般教育」, 「卒前医学教育」, 「産業医学基本講座」, 「卒後臨床研修」, 「On the Job Training」の各々の相対的重要度についてAHPにより分析した.その結果, 産業医として必要とする知識・技能としては「社会医学」, 「情報科学」, 「臨床医学」がこの順で重視されており, また, 業務内容としては「医学的管理業務(対人)」と「衛生学的管理業務(作業環境)」が重視されていた.そして, それらを学ぶ場としては「On the Job Training」, 「産業医学基本講座」, 「卒後臨床研修」の3つがこの順で重視されていた.
  • 産業医科大学
    原稿種別: 抄録集
    1996 年 18 巻 1 号 p. 85-117
    発行日: 1996/03/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
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