一製造業事業所に勤務する40-60歳の男子従業員を対象に, 勤務条件と死亡率との関連を検討するため, 後ろ向きの追跡研究を行った. 同企業に保管されていた1991-1995年の死亡数, ならびに在籍者数に関する社内統計資料を用いて, 出向の有無, 職種(管理・事務職, 技能職), 交代勤務の有無の各要因について, その各水準ごとに年齢階級別に死亡率を算出した. この間に, 171件の死亡と76,761.7人年が観察された. また, 死亡率に対する各要因の独立の影響を検討するため, 年齢ならびに他の要因を調整するため多重ロジスティック分析を行った. 分析の結果, いずれの勤務条件も死亡率の相違とは関連していなかった. その原因として, 選択による偏りの可能性が考えられた. すなわち, 健康管理が適正に行われている企業では, 健康状態は勤務条件の異動にさいしての大きな判断材料となる. また, 近年の労働環境の整備は, 勤務条件の相違の影響を小さくする方向に働いているであろう. こうしたことから, 死亡率は勤務条件の健康影響を評価するための指標としては不適切であることが確認された. しかしながら死亡率は, 本研究で用いた方法によって勤務条件と関連させることによって職域での健康管理状況を反映できるという意味で有用である必要があることが示された.
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