Journal of UOEH
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2 巻, 1 号
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  • 土屋 健三郎
    原稿種別: 提言
    1980 年 2 巻 1 号 p. 1-11
    発行日: 1980/03/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    この小論文は, 昭和53年4月1日の開学以来, わが大学において行っている教員研究会の一つとして,昭和54年9月26日に行った講演の再掲である. その講演の骨組みは以下に示す通りである.
    1. 産業医科大学設立の経緯
    2. 「大学」の意味
    3. 産業医学(Industrial or Occupational Medicine)と産業保健(Occupational Health)
    (1)「産業」と「職業」
    (2)「医学」と「保健」
    (3)University of Occupational and Environmental Health, Japan
    4. 科学と医療
    (1) 医療の時代的変遷
    (2) 科学と倫理
    (3) 医療資源と経済学(メディコ・エコノミクス)
    (4) 自然生態系と人間生態系
    5. 産業医学の未来とわが大学
    (1) 産業保健と地域医療
    (2) 産業医学の基礎, 臨床医学に占める地位
    (3) 産業医学(保健)の未来的特徴
    (4) 産業生態科学の提唱
    (5) 産業生態科学研究所の設立
    6. 産業保健のための大学組織
    (1) 3学部の併立
    (2) ライフサイエンスと環境科学に立脚した教育・研究
    (3)大学(University)としての縦・横の融合
    この講演の中で述べたように, 我ら大学人は, 現実に立脚し過去から未来への投影が必要であると同時に, 理想を掲げて計画された未来を創造することが重要である. また, これからの大学人は, 深い専門性と同時に, 幅の広い視野を持った人間性が要求される.
  • 樫本 威志, 泉 太, 和田 明彦, 岡 源郎
    原稿種別: 原著
    1980 年 2 巻 1 号 p. 13-18
    発行日: 1980/03/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    刺戟-分泌連関による副腎髄質からのカテコールアミン遊離においてCa2+は共軛因子として重要な役割を持っている. 本論文ではこのCa2+の動きに対し細胞内のナトリウムイオンがどのような調節作用を持っているのかという点について検討を加えた. 細胞膜ナトリウムイポンプをouabainで阻害すると細胞内ナトリウム濃度が上昇し, その結果Ca2+の細胞内への動き(Infllux)は増強され, 反対にCa2+の細胞外への動き(Efflux)は阻害された. この状態下ではcarbamylcholine刺戟によるカテコールアミン遊離は増強され, また長時間持続した. これらのことから, 細胞内ナトリウムイオンは細胞膜のCa2+に対する透過性を変えることによって二次的にカテコールアミン遊離を調節することが明らかになった.
  • 牧 孝, 中野 正博, 隼田 和明, 森田 浩介
    原稿種別: 原著
    1980 年 2 巻 1 号 p. 19-51
    発行日: 1980/03/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    バナジウム(51V)による陽子の弾性・非弾性散乱の実験を, 陽子エネルギー5.700-5.962 MeVで行った. 励起関数については, 測定角度90°, 105°, 118°, 135°, 150°, 163°の6点を入射陽子エネルギーのステップ2 keVで測り, 51Vの基底状態から第4励起状態までの陽子グループの励起関数を得た. 角度分布は50 keVステップで測定した. 得られた散乱断面積は陽子の入射エネルギーによって大きなゆらぎ現象を現わしている. 解析は統計理論に基づいて行った. エネルギー相関, 角度相関, チャンネル間相関, 確率分布, 分散の解析から平均準位巾 Γ は2.0 keV, 複合核の寿命 τ は3.3×10-19秒, 核半径係数roは1.1.8×10-13cm, 有効チャンネル数Neffは5-25, が導けた. 核反応機構は統計理論, Hauser-Feshbachの複合核理論や光学模型による計算, および角度分布の解析から, 断面積のうち直接反応過程からの寄与の割合が(p, po)反応では90-95%, (p, p1), (p, p2)反応では60-80%, (p, p3), (p, p4) 反応では0%であることが分った.
  • 増井 武士
    原稿種別: 原著
    1980 年 2 巻 1 号 p. 53-63
    発行日: 1980/03/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    XYレコーダにより記録される動心動揺線それ自体の面積,角度,最大長と幅,およびその比などその形態的特徴を代表する指標に関してある新しい測定基準を決めた. また動揺線の形態的類似性による分析をパターン分析とし, 双方により人の立位姿勢における重心動揺のもつ性格, 特徴を明確にしようとした.利き足の相異する者6名を混合した26名正常男子の動揺が測定, 分析され, その結果,利き足の相異による動揺曲線の基本的形態に差はなかった. しかし利き足に関係なく左右(水平方向)を基軸として動揺する者はその面積, 最大長, 幅において低くかつより集中的で細長な形態を示し, 前後を基軸にするに従い, その逆の形態的特徴を示すことが明確にされた. ついで測定方法の妥当性の検討とともに片足立位, 両足立位における利き足の機能的分化の互換性, ないし独自性と, 独自性として基本的には「歩行」行動からの規定が推定される両足立位姿勢が独自に持つ平衡調整の特質についても考察した.
  • 鈴木 勝巳, 高橋 , 定雄
    原稿種別: 原著
    1980 年 2 巻 1 号 p. 65-70
    発行日: 1980/03/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    最近治療した手の新鮮開放創156例について創治ゆと細菌汚染の問題を検討した. 症例の創の約73%から沢山の細菌が培養された.表皮ブドー球菌が常に一番多かった.入念なブラッシングとデブリドマンによって, 培養陽性率は約28%迄減少させ得た. 一次創治ゆは挫滅創例の約61%, 単純創例の約80%に果せた. 創治ゆを遷延させた症例の原因としては, 創縁の壊死, びらん, 分泌物のあること等が経験された.
  • 田中 孝夫
    原稿種別: 原著
    1980 年 2 巻 1 号 p. 71-74
    発行日: 1980/03/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    最近英国のPrys-Robertsにより新しく紹介された心電図誘導法(CM5)の麻酔中での臨床的検討を行った. P波, QRS棘波, T波いずれにおいても従来の標準肢Ⅰ誘導より有意に大きな波形を得ることができ, 左開胸手術など誘導上支障のない限り有効な術中心電図誘導法であると考えられた. なお本法は双極誘導法である点が従来のV5誘導と大きく異なることを強調したい.
  • 実験マウス肝炎における抗胸腺リンパ球血清ならびに抗プラズマ細胞血清投与の影響
    田岡 賢雄, 遠藤 高由
    原稿種別: 原著
    1980 年 2 巻 1 号 p. 75-83
    発行日: 1980/03/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    マウスのウイルス肝炎を実験モデルとして抗胸腺リンパ球血清(ATS)とその γ -グロプリン分画および抗プラズマ細胞血清の投与により, 実験的免疫不全状態を作成し, この場合の肝炎の推移と細胞性免疫の関与について検討したところ, ATS投与により肝炎は軽減化するが遷延する. 組織学的にもKupffer細胞の動員, 門脈域や小葉内の細胞浸潤, 線維増生が対照に比して強かった.
  • -とくにハプトグロビン・α1-アンチトリプシン・Gc-グロブリン表現型について-
    田岡 賢雄, 遠藤 高由
    原稿種別: 原著
    1980 年 2 巻 1 号 p. 85-97
    発行日: 1980/03/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    近年肝疾患の発症, 遷延・慢性化・発癌などと血清遺伝因子との関係が注目されてきており, とくにハプトグロビン, α1-アンチトリブシンならびにGc-グロプリンの表現型が問題にされている. 著者らは腹腔鏡・肝生検にて診断を確認しえた230例の肝疾患例(急性肝炎37例・慢性肝炎63例・閉塞性黄疸10例・肝硬変63例・中毒症肝障害13例・脂肪肝18例・原発性肝癌(ヘパトーマ)4例・転移性肝癌10例)と38例の健常例についてこれらの血清遺伝因子の血清レベルと表現型ならびに変異型について検討してみた. その結果, ハプトグロビンについては1-1型と0-0型に明らかに肝疾患の発症例が多く, 0-0型ではHBs抗原の頻度も高率であった. α1-アンチトリブシンではPi表現型についてはMM型以外の変異型(たとえばMF型やMS型)に明らかに肝疾患の合併例が多く, PiM表現型についではM1M1以外の表現型(たとえばM1M2やM2M2)に肝疾患の発例が多いようである. Gc-グロリンについては, ウイルス性肝疾患には1因子(1-1型と2-1型)をもつものが多く, これに比してアルコール性肝障害・中毒性肝障害ならびに脂肪肝の症例では2因子(2-1型と2-2型)をもつものが多かった.
  • 児玉 泰, 石西 伸
    原稿種別: 総説
    1980 年 2 巻 1 号 p. 99-108
    発行日: 1980/03/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    ニッケルは, 鉄, カドミウム, 銅, アルミニウムなどとの各種合金の材料として, またニッケル触媒の製造や, ニッケルメッキなどに広く用いられる主要金属の一つである. したがって, ニッケル鉱からの精錬工程, ステンレス工場, バッテリー製造, 化学工場, 抽脂工場, 石油精製工程など, ニッケルおよびその化合物を取り扱う産業も少なくなく, また一方では大気, 食品などの一般環境での暴露とその影響も今日注目されている. ここではニッケルおよびその化合物の生体影響について文献的考察を行った.
  • 古賀 洋介
    原稿種別: 総説
    1980 年 2 巻 1 号 p. 109-127
    発行日: 1980/03/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    細菌のホスファチジルグリセロールを中心とするリン脂質の代謝回転について, その生理的意義と機構に関する諸研究を概観した. その主な項目は次の通りである. リン脂質の代謝回転の発見とその測定方法, 代謝系の変動に伴うリン脂質代謝回転の変化, リン脂質分子内各残基ごとの代謝回転速度, リン脂質分子種による代射回転速度の相違, 代謝回転生成物, リン脂質の代謝回転の生理的意義に関する実験事実は数多く蓄積されているが, それらは相互に関連性が少なく, 統一的な解釈は得られていない. 一方, この現象の機構は, リン脂質分子内各残基ごとの代謝回転の測定と, 代謝回転生成物の追究によってがなり解明されてきた. この方面の研究は細菌生理学的研究から一歩進んで生化学的方法を駆使できる段階にようやくはいり, 今後の発展が期待されている.
  • 鈴木 秀郎
    原稿種別: 総説
    1980 年 2 巻 1 号 p. 129-136
    発行日: 1980/03/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    実験用純系ビーグル犬, 白色レグホンのOS株およびBUFラットは, 高頻度に自然発生の自己免疫性甲状腺炎を認める特殊な株の動物で, ヒトの橋本病のモデル動物と見做されている. これらのモデル動物にみられる甲状線炎は, 各種抗原の投与によりモルモット, イヌ, ラット, マウス, トリ, サルなどに実験的に惹起された自己免疫性甲状腺炎とともに, ヒトの橋本病あるいは自己免疫疾患の病因および病態生理の解明に欠くことのできないものである. 本稿では上記3種類の動物にみられる自然発生の自己免疫疾患のあらましをのべ, ヒトの橋本病および実験的に惹起される甲状腺炎との異同につき考察を加えた.
  • 栗田 幸男, 堀江 昭夫, 琴尾 泰典, 松村 祐二郎
    原稿種別: 症例報告
    1980 年 2 巻 1 号 p. 137-144
    発行日: 1980/03/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    唾液腺の腺房細胞癌は比較的稀な腫瘍である. 64才女性の腺房細胞癌を光顕的, 電顕的に観察した. 腺房細胞癌の組織発生について, 腫瘍細胞は微細構造上, 腺房自体よりも導管介在部の細胞に由来することが示唆された. また, 腫瘍細胞内にヘルペスウイルス感染を認めた. 患者は糖尿病, 結核も併発しているので二次的な感染と考えられた. 患者は術後約4年経過しているが, 現在再発の徴候はない.
  • 田中 孝夫, 重松 昭生, 立石 春雄
    原稿種別: 症例報告
    1980 年 2 巻 1 号 p. 145-148
    発行日: 1980/03/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    6才男児でも右側口蓋扁桃肥大, 右胸郭異常, 右睾丸欠損を呈する症例を経験した. 扁桃肥大は気管内挿管時に特に問題ともならず, また肺機能上も障害がなかったため無事全身麻酔を完了することができた. 本症例では異常所見が右側に限局しており, 稀なる三徴と考えられたので若干の考察を加えて報告した.
  • 田中 孝夫
    原稿種別: 報告
    1980 年 2 巻 1 号 p. 149-152
    発行日: 1980/03/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
  • Robert W. MILLER
    原稿種別: Medical Education
    1980 年 2 巻 1 号 p. 153-157
    発行日: 1980/03/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    Alert clinicians have made important contributions to the etiology of disease. From observations at the bedside new understanding can be developed about host susceptibility or effects of the environment. No special equipment is required. The clinician needs only to be curious about peculiarities in the occurrence of disease in the patient, family, community or work-place. In this way, leukemia was linked to Down's syndrome, and, through a series of other astute clinical observations, to other syndromes and environmental exposures characterized by chromosomal abnormality. In consequence, leukemogenesis is now known to be closely related to inborn or acquired chromosomal abnormalities. Also, lung cancer has been shown to be due to exposure during the manufacture of mustard gas, and all known causes of birth defects in man have come from clinical observations, especially from Australia: embryopathy from German measles during pregnancy, limb abnormalities (phocomelia) from exposure to thalidomide, adenosis (frequently) and adenocarcinoma of the cervix or vagina (rarely) after maternal therapy with diethylstilbestrol; and a greenish-yellow staining of the teeth from intrauterine exposure to tetracycline. Any clinician can help make medical history by thinking effectively and in a novel way about etiology.
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