この小論文は, 昭和53年4月1日の開学以来, わが大学において行っている教員研究会の一つとして,昭和54年9月26日に行った講演の再掲である. その講演の骨組みは以下に示す通りである.
1. 産業医科大学設立の経緯
2. 「大学」の意味
3. 産業医学(Industrial or Occupational Medicine)と産業保健(Occupational Health)
(1)「産業」と「職業」
(2)「医学」と「保健」
(3)University of Occupational and Environmental Health, Japan
4. 科学と医療
(1) 医療の時代的変遷
(2) 科学と倫理
(3) 医療資源と経済学(メディコ・エコノミクス)
(4) 自然生態系と人間生態系
5. 産業医学の未来とわが大学
(1) 産業保健と地域医療
(2) 産業医学の基礎, 臨床医学に占める地位
(3) 産業医学(保健)の未来的特徴
(4) 産業生態科学の提唱
(5) 産業生態科学研究所の設立
6. 産業保健のための大学組織
(1) 3学部の併立
(2) ライフサイエンスと環境科学に立脚した教育・研究
(3)大学(University)としての縦・横の融合
この講演の中で述べたように, 我ら大学人は, 現実に立脚し過去から未来への投影が必要であると同時に, 理想を掲げて計画された未来を創造することが重要である. また, これからの大学人は, 深い専門性と同時に, 幅の広い視野を持った人間性が要求される.
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