Journal of UOEH
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20 巻, 1 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
  • 蜂須賀 研二, 緒方 甫, 田島 文博, 大峯 三郎
    原稿種別: 原著
    1998 年 20 巻 1 号 p. 1-9
    発行日: 1998/03/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    スプリングによる背屈補助機構付プラスチック短下肢装具(DACS-AFO)は, プラスチック体部と足底部からなり, 遊動足継手と背屈補助シリンダーが付いている. 足関節の底屈によりシリンダーは適度な背屈力を生じ, 足関節背屈では底屈力を生じないのが特徴である. DACS-AFOの臨床的有用性を明らかにする目的で, 下肢麻痺ステージIVの片麻痺患者5名にDACS-AFOを作製し, 臨床評価と主観的評価を試みた. 歩行は坂道歩行で踵接地が円滑になった症例が1例あったが, 患者が常用している靴べら型プラスチック短下肢装具とDACS-AFOで明らかな相違はなかった. 主観的評価では, 実際の歩行に関しては比較的良好であったが, 全ての患者はシリンダーより生じる音, 素材の厚さとデザインのためにこの装具を好まず, 最終的にはDACS-AFOの使用を希望しなかった. 装具の研究開発においては, 歩行解析ばかりではなく使用者の主観的評価も加味する必要がある.
  • 濱田 哲夫, 谷本 昭英, 有馬 信之, 井出 良浩, 笹栗 毅和, 島尻 正平, 村田 義隆, 王 克鏞, 笹栗 靖之
    原稿種別: 原著
    1998 年 20 巻 1 号 p. 11-19
    発行日: 1998/03/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    貧血はカドミウム(Cd)中毒における最早期徴候の一つとしてよく知られている. 我々は貧血に伴って認められる脾腫と変形赤血球(PC)増多症に注目し, Cd誘発貧血症の発症機構について検討を加えた. ラットでは脾腫はCdの慢性投与により, 1週間後には明らかとなり, その重量は8週間では対照の約2倍となった. 腫大脾の電子顕微鏡的検索ではハインツ小体(HB)の形成と著明なPCが目立った. HBの形成は赤血球の脾内溶血を, 次いでPC増多症を促進することが知られている. 一方, 赤血球では膜の脂質過酸化がPCの, ヘモグロビンの酸化的変性がHBの原因とされている. これらのことから, Cdは初めに赤血球膜異常ついでPC増多症をひき起こし, この異常赤血球が脾で処理されるため脾腫が招来されることが示された. このように赤血球異常-脾内溶血-脾腫の連関は, Cd誘発貧血発症のメカニズムの一つとして重要である.
  • ―造影・撮像条件および臨床的有用性についての検討―
    吉川 里江
    原稿種別: 原著
    1998 年 20 巻 1 号 p. 21-35
    発行日: 1998/03/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    肝の2相性ヘリカルCTでは造影条件や撮像タイミングで像が異なる可能性がある. 初めにdynamic CTを用いてtime-attenuation curveを作成し, 撮像条件を検討した. ヨード造影剤Iohexol 300 (300 mg/ml) 100mlをmonophaseで注入する条件では, 注入速度を2 ml/sとし, 造影剤注入開始後40 s前後に動脈相を, 80-120 s後に遅延相を撮影するのが至適であると結論した. この条件を用いた臨床例の検討では, 腫瘤径30 mm未満の肝細胞癌21病変中15病変(71.4%)は動脈相か遅延相のいずれか一方のみで指摘出来たことから, 2相性CTが必要であると考えられた. 特に腫瘤径10 mm未満の肝細胞癌では5病変中4病変(80%)が動脈相のみで指摘出来た. しかし, 腫瘍の血流分布が正常に近い肝細胞癌の検出は困難であり, CT検査のみでなく超音波等, 他の検査も併用する必要がある。肝細胞癌と血管腫の多くはCTで鑑別可能であったが, 腫瘤径15 mm未満の病変では同じ造影パターンを示す症例もみられ, 読影上注意すべきと思われた.
  • 藤野 昭宏, Tar Ching Aw, 大久保利晃 , 加地 浩
    原稿種別: 医学教育
    1998 年 20 巻 1 号 p. 37-44
    発行日: 1998/03/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    英国における産業医学教育の現状を日本と比較しながら紹介した後, 英国と日本における卒後産業医学教育システムについて比較検討を行った. 産業医学専門医制度(英国王立内科医協会産業医学部門専門医制度と日本産業衛生学会専門医制度)における, 全研修期間, 臨床研修期間, 産業医学研修期間, 専門医試験方法および合格率に関して比較したところ, 前者の方がより多くの産業医の専門的訓練が要求される研修システムであり, また産業医学的臨床実施能力の訓練を重視していることが示唆された. また, 英国の産業医デイプロマ制度とこれに相当する日本の医師会認定産業医制度との比較では, 前者の資格取得のためには, 講習会の受講・基礎的実習のみならず, 試験に合格することが義務付けられていた. 日本の認定産業医制度においても, 試験制度の導入は今後の検討すべき課題あると考えられる.
  • 松本 哲朗
    原稿種別: 総説
    1998 年 20 巻 1 号 p. 45-60
    発行日: 1998/03/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    尿路感染症においては細菌の尿路粘膜に対する付着機構とそれに伴う炎症反応が尿路感染症の本態となる. 従って, この両面からのアプローチが必要であり, この方面における研究が進んできた. 病原因子としての付着機構については, 細菌線毛が重要であり, 特に, 大腸菌の線毛の研究が進み, 遺伝子支配や相変異(Phase variation)についての機構がはっきりしつつある. また, 宿主反応としてはサイトカインを含んだ, 尿路の炎症反応が尿路感染症の病態を決定する. 特に, 腎盂腎炎に伴う腎瘢痕や逆流性腎症などは炎症反応の結果であり, 抗菌薬療法のみでなく, 腎実質障害の予防が治療上の問題点である. このような領域の最近の進歩について概説する.
  • ―米国の産業医学・産業看護を中心に―
    新発田 杏子
    原稿種別: 学会等報告
    1998 年 20 巻 1 号 p. 61-71
    発行日: 1998/03/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    産業構造が変化し, 多様化する産業保健・産業看護の領域は広範にわたって拡張されつつある. 本学の産業保健学部開設にあたり, 日米交流産業医学視察の機会を与えられ, また, 第17回産業医科大学国際シンポジウムが産業看護の専門性に焦点を当てて開催されたので, それらについて2回にわたって報告することとし, 今回は米国の産業医学・産業看護に関する現地視察の内容を報告することとした. WHOやILOは, 21世紀に向けて国際的なレベルで労働者の健康保持への動きを進めようとしており, 産業看護の分野は益々重要性を増している.
  • 梁 美姫
    原稿種別: みにれびゅう
    1998 年 20 巻 1 号 p. 73-77
    発行日: 1998/03/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    シトクロムP450s(以下P450)は, 生理活性脂質の合成や異物(xenobiotics)の代謝に関連するヘム酵素である. 低い基質特異性(versatility)や多数なアイソザイムの存在, 多様な反応等で特徴づけられるP450の多様性は, 異物を速やかに代謝するため進化的に行われ, 生物の生存やホメオスタシスにも生物学的な意義を持つと考えられる. P450の活性部位に関する構造研究は, その多様性の解明に寄与すると期待される. P450は, 植物の農薬への耐性やヒトの薬物代謝の予測, 環境汚染の指標など様々な分野で応用できる. 環境汚染物質の浄化(remedy)や化学物質由来の疾病を防ぐためにもP450の研究が益々活発に行われることが期待される.
  • 梁 美姫, 山村 香織, 晏 穎, 深町 幸代, 平野 雄, 川本 俊弘, 東 監
    原稿種別: 訂正
    1998 年 20 巻 1 号 p. 79-
    発行日: 1998/03/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
  • 産業医科大学
    原稿種別: 抄録集
    1998 年 20 巻 1 号 p. 81-113
    発行日: 1998/03/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
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