坐骨収納型(IRC)大腿義足が四辺形(QL)大腿義足よりも優れているか否かを明らかにする目的で, IRC義足使用者6名, QL義足使用者6名を対象にして, 義足の主観的評価, CTを用いた大腿骨の位置, X線写真による大腿骨内転角, 立脚中期の床反力側方成分, physiological cost index(PCI)を用いたエネルギー効率の測定を行った.IRC義足は有意に主観的装着感に優れ, 背臥位と立位では断端は内転位に保たれていた(Mann-Whitney test,
P<0.05), 実際の歩行では, 立脚中期の側方成分は減少する傾向にあったが有意差はなく, また, PCIは両群間で有意差はなかった(Mann-Whitney test,
P>0.05).重回帰分析によれば, PCIを予測する有意な因子はソケットのタイプではなく, 断端長と立脚中期成分の2因子であった.従って, IRC義足は装着感に優れ, 断端を内転位に保つが, 最適歩行速度のもとではエネルギー効率が優れているわけではなかった.
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