Journal of UOEH
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25 巻, 1 号
選択された号の論文の11件中1~11を表示しています
  • 堀江 正知, 筒井 隆夫, 宮崎 彰吾
    原稿種別: 原著
    2003 年 25 巻 1 号 p. 1-11
    発行日: 2003/03/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    1999年夏, 日勤帯の鉄鋼業高炉前の暑熱作業に従事する8人の熟練労働者を対象に, 4通り(原液, 2倍, 3倍, 5倍)に希釈し氷で冷やした市販の飲料水(Na+ 21mEq/ℓ, K+ 5mEq/ℓ, 糖質6.7g/dl)を自由に摂取させた. 通常の食事を摂取させ, 希釈率は労働者には知らせなかった. 午前中に24例中20例で1,5%以上の脱水を来たしたが, 異常な自覚症状は認めなかった. 全体平均では, 体温は0.34℃上昇し, 体重は1.77kg低下し, 飲料は1,875g摂取され, 水の損失は3,732gに達した. 午前中の体重変化は2倍と3倍の時に有意に少なかった. 尿中Na+農度は低下し, K+濃度は有意に上昇した. 希釈率の違いによって, 体温, 体重, 飲水量, 蒸泄量に有意差は認めなかった. 蓄尿中のNa+総排泄量は, 3倍希釈のときに最も多かった. 飲料の飲みやすさでは, 2倍希釈が最もよい結果となり原液は全員が濃すぎると判定した. 5倍希釈を推奨する結果は認めなかった.
  • 安部 治彦, 荻ノ沢 泰司, 川上 和伸, 長友 敏寿, 中島 康秀
    原稿種別: 原著
    2003 年 25 巻 1 号 p. 13-22
    発行日: 2003/03/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    最近のペースメーカー技術工学の進歩により, ペースメーカーのリード細小化やジェネレーター本体の小型化, 更に左右両側使用可能なジェネレーター (Neutral Anode Positioning: NAP)が開発され, ペースメーカー植え込み手術も容易になりつつある. 左右両側兼用可能なジェネレーターの有用性については認められているものの, そのマイナス面についての研究はなされていない. 我々は, このNAP機能を有する62名の患者のペーシング・センシング閾値, 及び筋電位トラッキング・抑制閾値について検討した. すべての得られた測定結果はNAP機能を有しない通常のジェネレーターと明らかな差を認めず, 正常範囲内であった. 従って, NAP機能を有するペースメーカージェネレーターは植え込み手術に際し, 一人の患者に従来の右用・左用ジェネレーターをそれぞれ準備することなく, いずれの側にもその場で植え込み可能であるため臨床上有用なものである.
  • 清水 隆司, 永島 昭司, 溝上 哲也, 東 敏昭, 永田 頌史
    原稿種別: 症例報告
    2003 年 25 巻 1 号 p. 23-34
    発行日: 2003/03/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    我々は, 某企業における社会心理的アプローチを用いた健康づくり活動前後の疾病休業を調査したので報告する. 対象者は, 1991年4月から1999年3月まで某製造業企業に継続して在籍していた1029名の男性従業員である. 健康づくり活動は, ポピュレーション・ストラテジーやHRA(健康危険度評価)の使用, 実行しやすい生活習慣目標, 従業員個人の自発的な生活習慣改善に対する賞賛, 上司による支援, 補助金の配付という心理社会的アプローチを用いて, 従来員の生活習慣の向上を援助し, 疾病休業を減らすために, 1995年4月より開始された. 疾病休業は診断書や勤務表から算出した. 健康づくり活動前後4年間を比較したところ, 全疾病と筋骨格系疾患による疾病休業が減少したのが認められた. 我々は, 心理社会的アプローチによる健康づくり活動導入後に, 疾病休業の傾向が変化したのを認めた.
  • 清水 隆司, 森田 汐生, 竹沢 昌子, 赤築 綾子, 久保田 進也, 三島 徳雄, 永田 頌史
    原稿種別: 原著
    2003 年 25 巻 1 号 p. 35-42
    発行日: 2003/03/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    職場のメンタルヘルスと自己表現スキルの関係を調べる準備調査として, 自己表現スキルの1つであるアサーティブネスを測定するRathus Assertiveness Schedule (RAS)の日本語版を作成し信頼性・妥当性を検討した. 対象は, 某製造業A社の従業員364名とアサーティブネストレーニング(AT)を受講した社会人173名とした. 方法は, AT受講者が受講前に回答した結果とATのトレーナーが客観的に受講者の自己表現を評価した結果を比較し, 日本語版RASの妥当性を検討した. また, A社従業員の回答結果から内部一貫信頼性を調べた. 次に, 同意を得られたA社社員98名に対して再度調査を行い, 再テストの信頼性を調査した. 調査結果から, 30項目全てよりも3-7, 9, 13, 19, 20, 25, 28を除く19項日の日本語版RASの方が, トレーナーの客観的評価と相関が高く, 妥当性が高いと思われた. また, クロンバッハのα係数や, 初回と2回目の結果の相関も共に0.80以上と高く, 30項目及び19項目の日本語版RASの内部一貫信頼性と再テストの信頼性は高いと考えられた. 今回の結果から, 日本人のアサーティブネスを測定するには30項目全てよりも19項目の日本語版RASの方が好ましいと考えられた.
  • 種田 博之
    原稿種別: ヒューマニクス
    2003 年 25 巻 1 号 p. 43-60
    発行日: 2003/03/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    「擬似科学」や「擬似医療」に関わる人々がいる. それぞれの分野の専門家からすれば, そうした知識は「誤った知識」であり, そうした「誤った知識」を信じている人は「無知」ないし「非合理」と評価される. 彼らは「無知」や「非合理」なのだろうか. 本稿の目的は, 「誤った知識」=「非正統的知識」への関与のあり方を, 関与者の視点, 「正統的知識」, そして「非正統的知識」の特性という三者間の関係から説明することにある. すなわち, 関与者はおのおのの知識の特性との関係の中で, 「非正統的知識」へと方向づけられていることを分析していく. また, 「非正統的知識」への関与ということには, 社会の構造的ないし制度的な問題が関わっており, とくに「素人(普通の人々)」と「専門家」をつなぐ適切な制度について考える必要があることを示唆する.
  • 宮本 比呂志
    原稿種別: 解説
    2003 年 25 巻 1 号 p. 61-77
    発行日: 2003/03/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    浴槽の大型化に伴い省資源(節水)を目的に循環式浴槽システムが普及している. 最近, 宮崎県と鹿児島県で入浴施設を感染源とするレジオネラ症集団発生が相次いで起こり, 現時点で疑いを含め合計300名を超す感染者と8名の死亡者がでている. 平成13年9月に厚生労働省が発行した「循環式浴槽におけるレジオネラ症防止対策マニュアル」が遵守されていない現状が明らかになった. 福利厚生のための入浴施設における労働者のレジオネラ症発生を防止するためには産業保健業務従事者がこのマニュアルをよく理解し遵守することが大切である. 本稿ではマニュアルを理解するために必須な微生物学の知識を産業保健業務従事者を対象に解説する. 日本における入浴施設を感染源とするレジオネラ症の発生状況とその社会背景, レジオネラの細菌学的性状, 環境中での棲息状況と生態, レジオネラ症の臨床像, DNA解析による感染源の同定法について述べる. さらに実際の作業レベルでの効果的なレジオネラ除菌対策についても概説する.
  • 太田 浩嗣, 河野 精一郎, 山田 治行, 橋本 昌典, 浦崎 永一郎, 横田 晃
    原稿種別: 症例報告
    2003 年 25 巻 1 号 p. 79-87
    発行日: 2003/03/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    小国, 南小国町は阿蘇外輪山の外に位置し, 黒川, 小田, 杖立温泉などの温泉地でも有名な山間地である. かつて, 当該地域で発症したくも膜下出血患者は, およそ1時間半かけて, 近隣都心へ救急搬送していた. しかし, 1996年より, helical CTが導入され, three dimensional computed tomographic angiography(3D-CTA)による脳動脈瘤の診断及び外科的治療が可能となった. 当施設は, 当該地域における唯一の総合診療施設で, 当該地域でのくも膜下出血の状況が全て把握できることより, その発症状況及び治療成績を検討した. 更に, 3D-CTA のみでくも膜下出血を治療している施設も多くなっているが, その診断能力には限界もあり, 3D-CTAの実用性についても検討を加えた.
  • 池野 貴子, 田邊 忠夫, 村谷 哲郎, 仲野 典子, 小竹 友子, 白川 嘉継, 谷口 初美, 松本 哲朗
    原稿種別: 報告
    2003 年 25 巻 1 号 p. 89-101
    発行日: 2003/03/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    2001年9月, 産業医科大学病院新生児集中治療室(NICU)において, 入院患者に色素産生性Serratia marcescensの集団保菌(感染症は未発症)が疑われ, 産業医科大学病院ICG(Infection Control Group)委員会はこの原因の究明と対策を行った. 病棟内の環境調査と職員の手指細菌検査の結果, 当該事例は, 患者の臀部清拭用消毒綿と, それを保管した湿布缶が汚染源であり, これが職員の手指を介し患者間に伝播した事が原因と特定できた. 対策として, 1. 湿布缶の廃止, 患者ごとの専用消毒綿の設置, 2. 入院患者の監視培養, 3. 定期的環境調査の実施, 4. 手洗いおよび手指消毒の徹底, 5. 1処置1手袋への変更, 6. 看護手順の積極的見直しなどを行い, 翌年1月に集団保菌を終息し得た. ICG委員会と病棟職員などによる迅速な原因究明と徹底した対策という相互の連携により, 感染症発症者を出すことなく終息させることができた1例として報告する.
  • 新島 邦行, 遠田 和彦, 指原 俊介
    原稿種別: 報告
    2003 年 25 巻 1 号 p. 103-107
    発行日: 2003/03/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    新幹線電気・軌道総合試験車(通称「ドクターイエロー」)は, 高精度に効率良く電気設備や線路などを点検し, 東海道新幹線の安全・安定輪送を支えている. 我々は産業医職場巡視の一環としてドクターイエローに添乗し, そこで働く社員の作業を観察した. 作業はモニター監視作業を含むVDT作業であった. 騒音・振動・温度・照度などの物理的作業環境については快適と評価した. しかし, 作業場が新幹線車内であることにより制約を受ける作業条件もある. JR東海では, このような鉄道会社特有の作業環境が数多く存在するため, 社員の健康管理を適切に遂行するには, 業務の特殊性を十分考慮した上で指導や助言を行うことが産業医に求められている.
  • 小畑 泰子, 成定 宏之, 藤代 一也, 筒井 隆夫, 清水 隆司, 日野 義之, 織田 進, 大久保 利晃
    原稿種別: 報告
    2003 年 25 巻 1 号 p. 109-122
    発行日: 2003/03/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    わが国の職域における健康診断の実施状況を明らかにするために, 実際多くの職域健康診断を担当している企業外労働衛生機関(健診機関)を対象に実態調査を行った.
    各健診機関に専属で勤務する医師数およびその業務時間配分は, 機関により差がみられ, 地域特性や機関の生い立ちにより特徴があると思われた. 看護職の業務時間配分も同様に, 機関により差がみられた. 医師の業務については, ある程度分担が進められており, 常勤・非常勤による業務内容の差に加え, 専門や経験に応じて担当業務が異なる傾向であった.
    全衛連全体では, "総合精度管理事業" などにより全体のレベルアップに努めているが, 機関による格差もありその質の向上と均質化が重要と思われた. 健診機関において有所見者数の計上を事実上代行している場合も多く, 事業場のみならず健診機関ごとの有所見者判定基準についても統一したものとしておく必要があると思われた.
  • 産業医科大学
    原稿種別: 抄録集
    2003 年 25 巻 1 号 p. 123-159
    発行日: 2003/03/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
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