以前の論文で, 我々は4, 4'-isopropylidine diphenol (Bisphenol A: BPA), bis (2-ethylhexyl) phthalate (EHP),
p-nonylphenol (NP)などの内分泌撹乱化学物質(ED)が
in vitroでマウスの脾細胞や胸腺細胞を刺激し, 増殖反応やサイトカイン産生を増強することを報告した. 今回, EDの免疫反応に対する作用をマウスを用いて
in vivoで解析した. BPA, EHP, NPを10
-5M (2-4mg/ℓ)濃度で飲水によりマウスに投与した. EDをマウスに6週間投与しても体重, 胸腺細胞数, 脾細胞数, 血清ガンマグロブリン濃度に影響を及ぼさなかった. ED投与は
in vitroにおける脾細胞の増殖反応に影響を及ぼさなかったが, 胸腺細胞の増殖反応は亢進していた. ED投与マウスでは, 蛋白抗原の免疫により誘導される抗体産生が亢進していた. 以上の事から, EDは生体内でも免疫反応を修飾する活性を有していることが明らかにされた.
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