Journal of UOEH
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26 巻, 4 号
選択された号の論文の11件中1~11を表示しています
  • 太田 雅規, 奥藤 達哉, 松嶋 康之, 池田 正春
    原稿種別: 原著
    2004 年 26 巻 4 号 p. 411-421
    発行日: 2004/12/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    本研究では, 仕事での身体活動度の違いが体力に及ぼす影響, および12週間の生活習慣修正指導(介入指導)が体力や仕事の満足度, 自覚症状に及ぼす効果について解析を行った. 対象は男性労働者49名とした. 体力測定と自記式の問診票(仕事や余暇での活動量, 自覚症状, 仕事に対する満足度)を介入前後で実施した. 仕事での身体活動度の違いでActive work group(A群)とSedentary work group(S群)の2群に分け分析した. A群はS群に比べ全身持久力と平衡性が優れ, 疲労感はS群の方が多い傾向にあった. 介入効果は, A群では柔軟性と筋力が, S群では全身持久力, 柔軟性, 筋持久力が増加した. また, S群では疲労感や肩こりの改善, 仕事の満足度の増加を認めた. A群ではこれらの効果を認めなかったが, 体力の増強は自覚症状の軽減や仕事の満足度の増加を導く結果を得た. 仕事での身体活動度は体力形成に寄与し, 余暇を活用した生活習慣修正指導は体力を改善することを通して, ワークアビリティーを増加させることに寄与すると考えられた.
  • 後藤 純雄, 浅田 晋, 伏脇 裕一, 森 康明, 田中 憲穂, 梅田 誠, 中島 大介, 武田 健
    原稿種別: 原著
    2004 年 26 巻 4 号 p. 423-430
    発行日: 2004/12/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    防蟻剤に関連する市販5種の化合物の発癌プロモーター活性を, Bhas42細胞を用いた形質転換フォーカス形成試験で測定した. 同時にイニシエーター活性(変異原性)をAmes法の変法であるマイクロサスペンジョン法で測定した. その結果, 形質転換フォーカス形成試験では, フェニトロチオン, シラフルオフェン, ビフェントリンで発癌プロモーター活性が認められた. その活性の強さは, フェニトロチオン>シラフルオフェン>ビフェントリンの順になった. 一方, 変異原試験ではS-421とフェニトロチオンに変異原性が認められた. また, それぞれの活性はあまり高くはなかったが, S-421>フェニトロチオンとなった. 2段階発癌のメカニズムなどを考慮すると, 両活性を示したフェニトロチオンや発癌プロモーター活性およびイニシエーター活性を単独で示した化合物でもそれらの同時使用や長期曝露は極力避ける必要があることが示唆された.
  • デレック スミス, ピーター レガット
    原稿種別: 総説
    2004 年 26 巻 4 号 p. 431-441
    発行日: 2004/12/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    1788年イギリス帝国は, シドニー湾に犯罪者植民地を設立した. その特徴的な人口構成から, 初期の職業は主に刑務所の守衛であった. 初期の健康災害は病気, 外傷, 刑罪によるものであった. 1800年代初期から中期にかけて自由な移民が徐々に増加していき, 新しい型の雇用と, それに伴った災害が出現した. 1851年商業的な金床が発見され鉱山の数が増加し, 19世紀の終わりには採金作業は最も危険な職業の一つとなった. 初期の鉱山での災害は巻き揚げ機の事故や出水であり, さらに, 砒素や水銀などの有機化学物質が加わった. オーストラリアにおける工場の発展は1900年代に起こった. この期間はまた, 労働者の健康についての関心も高まり, その後, 先駆的な疫学上の研究も増加した. 結論として, オーストラリアにおける産業医学の発展の歴史から多くのことを学ぶことができ, さらに, その多くは新しい世紀における産業医学の政策を決定するのに有用であることがわかる.
  • 山下 和仁, 太崎 博美, 久原 孝博, 中島 康秀
    原稿種別: 症例報告
    2004 年 26 巻 4 号 p. 443-450
    発行日: 2004/12/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    症例一(症例二の三女, 28歳)は, 平成12年9月長男を出産, 翌年1月より下肢の浮腫, 労作時の呼吸苦が出現. 平成13年5月初診時, 心拡大・肺うっ血が認められ, 心電図上右室負荷, 心エコーにて, 右室の拡大, 左室の圧排を認めた. 肺換気血流シンチグラフィーおよび心臓カテーテル検査の結果, 原発性肺高血圧症(PPH)と診断された. 利尿剤などの投与により, 改善を認め退院となったが, 1ヵ月後肺高血圧crisisのため死亡した. 症例二(症例一の母, 60歳)は, 平成13年5月より, 症状が出現, 症例一と同様の所見を認め, 内服加療により症状軽快し経過観察中である. PPHは稀な疾患であり家族性の報告も少ない. 長女の場合も症例一と同様に, 第一子出産後, 肺高血圧症のため死亡した. 症例二は, 緩徐な経過で発症したと考えられる. 今回我々は, 家族性原発性肺高血圧症の二症例を径験したので報告する.
  • 平川 乃理子, 太崎 博美, 田中 正哉, 山下 和仁, 岡崎 昌博, 中島 康秀, 椛島 成利, 田村 雅仁
    原稿種別: 症例報告
    2004 年 26 巻 4 号 p. 451-460
    発行日: 2004/12/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    維持透析患者は人工血管などのアクセスにより心内膜炎の高い危険性があるが, 右心系心内膜炎は何らかの素因なく発生することは稀である. 症例は72歳女性, 慢性腎不全維持透折中で, ペースメーカー植え込み術を施行されていた. 透析用内シャント付近に膿瘍形成後, 発熱, 腰痛を主訴に入院した. 血液培養にてMRSA同定, 心臓エコーによる三尖弁に付着した疣贅の描出, および胸写, 肺血流シンチにて遊離塞栓によると推測される肺塞栓を認めた. CTにより, L4, L5に化膿性脊椎炎を認めた. 維持透析患者において繰り返される血管の穿刺が内シャントといえども細菌にさらされ, 感染性心内膜炎の高い危険となると考え報告した.
  • 村瀬 千春, 川本 利恵子, 杉本 助男
    原稿種別: 原著
    2004 年 26 巻 4 号 p. 461-471
    発行日: 2004/12/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は, 視聴覚刺激による情動誘発の有無と自律神経系に及ぼす影響を明らかにすることである. 滑稽, 不快, 恐怖および穏和の4種類のビデオを視聴覚刺激として14名の被験者に提示し, 心拍変動(HRV)スペクトル解析によって自律神経反応を分析すると4種類のビデオは異なる情動を誘発し, 各ビデオの刺激によって自律神経反応に差がみられた. 自律神経反応は, ビデオに対する被験者の認知の違いによって結果が異なった. この結果よりテレビやビデオなどの視聴覚刺激を気分転換のケアに活用する場合, 患者が認知する情動反応を観察し, 患者個人の性格や好みを考慮して, 刺激を提供することが重要であると考える.
  • 杉尾 賢二, 菅谷 将一, 花桐 武志, 安元 公正
    原稿種別: 総説
    2004 年 26 巻 4 号 p. 473-479
    発行日: 2004/12/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    血清中腫瘍マーカーは簡便かつ経時的に測定できる非侵襲性のもので, 癌の補助診断として癌の存在スクリーニングや治療の効果判定などに広く利用されている. 小細胞癌ではNSEとproGRPが陽性率が高く臨床上有用である. 非小細胞肺癌におけるスクリーニングとしては, CEA, SCC, CYFRA21-1, SLX, CA19-9が主に用いられているが, 特に前者3種が有用であり, 77%の症例ではこのいずれかが陽性となる. 組織型別には, 腺癌でCEA, CYFRA21-1, 扁平上皮癌でCYFRA21-1, SCCの陽性率が高く, 有益と考えられている. 今回, 肺癌における腫瘍マーカーの臨床的な有用性と意義について概説する.
  • 堀江 正知
    原稿種別: 総説
    2004 年 26 巻 4 号 p. 481-505
    発行日: 2004/12/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    日本の産業保健制度では, 事業者に法定健康診断結果の保存義務を課し, 労働者の健康状態を把握した上で職場や作業を改善するよう求めていることから, 実際には人事担当者が労働者の健康情報を直接取り扱っている. 一方, プライバシーは19世紀後半からその概念が発展し, 近年は個人情報の自己コントロールが重要とされ, 中でも健康情報は特に機微な情報として本人の承諾なしに取扱うべきではないとされている. したがって, 日本の産業保健活動においてはプライバシーが侵害されるリスクは高い. 健康増進法と個人情報保護法も相次いで公布され, 訴訟に発展した事例もある. しかし, 職場の実態調査によれば, 現行制度への問題意識は高くなく, 健康情報の種類によってプライバシー保護の要求度に相違もある. 産業保健専門職は, 学会の倫理指針などを参考に労働者の健康情報の活用と保護の両立に努めることが求められている.
  • 中吉 寛明, 衛藤 孝史, 大矢 亮一, 藤田 邦彦, 池村 邦男
    原稿種別: 症例報告
    2004 年 26 巻 4 号 p. 507-514
    発行日: 2004/12/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    近年の顎矯正手術法の発達はめざましく, 中でも下顎前突症に対する手術法として下顎枝矢状分割法が多く用いられている. 顎顔面変形症の原因は先天的なものに加え, 外傷, 口腔顎顔面領域の腫瘍切除によるものがある. いずれの原因でも患者は機能的障害や整容障害を自覚することが多い. 今回我々は外傷による下顎骨骨折の他施設での治療後に咬合不正による機能的障害と下顎変形による整容障害を来たした症例に下顎骨前方歯槽骨骨切り術を行い, 良好な結果を得たので報告する.
  • 川波 哲
    原稿種別: 報告
    2004 年 26 巻 4 号 p. 515-517
    発行日: 2004/12/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
  • 2004 年 26 巻 4 号 p. 519-530
    発行日: 2004/12/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
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