Journal of UOEH
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26 巻, 2 号
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  • セ 連波, 今村 道雄, 伊藤 英明, 上野 光
    原稿種別: 原著
    2004 年 26 巻 2 号 p. 165-177
    発行日: 2004/06/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    アンジオテンシンⅡ受容体格抗薬(ARB)は傷害腎でのTGF-β発現抑副作用を持ち, HMG-CoA還元酵素抑制剤であるスタチンはこの抑制作用をさらに増強したとの報告がある. 我々は肝線維化発生においてTGF-βが中心的役割を果していることを世界で初めて報告した. そこでスタチンとARBを併用すると線維化発生抑制効果が増強する可能性が考えられる. この論文ではCCl4投与による肝線維化動物モデルを用いて, pitavastatinとcandesartanの併用による肝線維化発生抑制効果を検討した. Candesartan投与群は生食投与群に比べ, TGF-βの発現量が減弱し, 線維化(組織学的および肝ヒドロキシプロリン定量により検討)が有意に抑制された. Pitavastatin単独群では線維化発生抑制効果を認めなかったが, candesartanと併用するとcandesartan単独群よりもさらに線維化発生が抑制された. 本研究ではその分子機構の詳細を明らかにすることはできなかったが, 臨床で頻用されている両剤の併用による肝臓線維化発生抑制作用を動物レベルで初めて明らかにすることができた.
  • 山崎 文夫, 筒井 由香, 遠藤 豊, 佐川 寿栄子, 白木 啓三
    原稿種別: 原著
    2004 年 26 巻 2 号 p. 179-192
    発行日: 2004/06/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は, 若齢者および高齢者における下半身陰圧(LBNP)耐性の低下が心拍の動脈圧反射感受性の低下と関係するか否かを検討することである. 被検者は健康な24名の高齢者(67.5±0.9歳)と24名の若齢者(22.4±0.4歳)である. 仰臥位で0mmHgから-60mmHgまで段階的にLBNPを負荷している間に, 心拍数(HR), 動脈圧, 胸部インピーダンス(Zo), 下腿周囲長を連続測定した. 心拍の動脈圧反射調節の感受性(BRS)は自発的に変動する血圧とRR間隔の関係から評価した. LBNP負荷テスト中に失神前徴候を示した者の割合は, 若齢者では37.5%であり, 高齢者では16.7%であった. いずれの年齢グループにおいても, LBNP負荷前および負荷中のHR, 動脈圧, Zo, 下腿周囲長およびRR間隔変動のスペクトルパワーは, 失神前徴候を示した者と示さなかった者の間で有意な差は見られなかった. いずれの年齢グループにおいても, LBNP負荷前のBRSは, 失神前徴候を示した者の方がそれを示さなかった者より低い傾向を示し, 若齢者における差は有意であった. BRSは, LBNPによって若齢者では有意に減少したが, 高齢者では変化しなかった. これらの結果は, 起立に伴う中心血液量の減少刺激に対する耐性が加齢によって低下しないこと, また迷走神経性BRSの低下が若齢および高齢男性のLBNP耐性の低下に関係していることを示唆している.
  • 杉浦 勉, 黒田 悦史, 山下 優毅
    原稿種別: 原著
    2004 年 26 巻 2 号 p. 193-205
    発行日: 2004/06/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    メタロチオネイン(MT)はシステイン残基に富んだ低分子量のタンパク質で, 重金属, 化学物質, 活性酸素, 放射線などの種々のストレスにより誘導され, 重金属の代謝, 解毒, 活性酸素の除去などに関与している. MTはまた, 免疫応答にも重要な役割を果していることが知られている. この研究で我々は, 免疫応答におけるMTの役割を明らかにするために, MTノックアウト(KO)マウスの免疫機能をマクロファージの機能を中心にin vitroで解析した. MT正常(WT)マウスに比べ, MT-KOマウスマクロファージは, 異物貪食能, 抗原提示能が低下していた. また, IL-1α, IL-6, IL-10, IL-12など, サイトカイン産生能, CD80, CD86, MHCクラスⅡ抗原の発現もMT-KOマウスマクロファージでは低下していた. しかし, T細胞, B細胞の機能には明らかな変化は見られなかった. これらの事実はMTが免疫応答, 特に, マクロファージの機能の調節に重要な役割を果していることを示している.
  • 副田 秀二, 加来 明希子, 林 剛司, 菅原 陽一, 中村 純
    原稿種別: 短報
    2004 年 26 巻 2 号 p. 207-214
    発行日: 2004/06/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は40,638人(男性34,491人, 女性6,147人)を管轄する国内の某企業内の健康管理センター(Xセンター)へ精神健康相談に訪れた労働者について, 相談に関する性差を明らかにすることである. 1996年から2001年までに940人(男性790人, 女性150人)の労働者がXセンターヘ初めて精神健康相談に訪れた. 初回相談時に入力されたデータベースを用いて, 年齢(3歳以内)と職種をペアリングにてマッチングし, 男女それぞれ58人を比較検討した. その結果, 職務遂行障害には性差がなかったが, 相談経路で性差が認められた. また, 女性労働者は男性労働者よりも職務に関連した訴えをする者が少ない傾向があった. 職務に関連した訴えでは, 人間関係, 特に上司との人間関係の訴えが両性とも多く, その内容には性差があった.
  • 橋本 正浩, 神代 雅晴
    原稿種別: 原著
    2004 年 26 巻 2 号 p. 215-225
    発行日: 2004/06/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    本研究は, 発話者の映像と音声を時間的にずらして呈示することで, 読唇効果の時間的な限界を実験的に明らかにすることを目的とした. 実験では, 日常会話文を話している女性の顔の部分の映像とその音声が収録されたビデオテープを用いて音声のみ, もしくは映像+音声で音声を0, 60, 120, 240, 480ミリ秒のいずれかの時間で遅延させた視聴覚刺激を呈示した. 読唇訓練を受けていない16人の若年者を対象として各呈示条件下における会話文の了解度を測定した. その結果, 映像に対する音声遅延が120ミリ秒以内にあれば, 視覚を併用しないよりも併用した方が会話文の了解度において優れていた. さらに, この値は刺激として用いた会話音声の音節長にほぼ相当していた. 本研究の結果は, 騒音職場で働く作業者に, 聴取しやすい形で音声を呈示するためのディジタル信号処理の許容時間に関する基礎的資料を提供する.
  • 武谷 浩之
    原稿種別: 総説
    2004 年 26 巻 2 号 p. 227-238
    発行日: 2004/06/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    冬虫夏草の一種から単離された免疫抑制物質をヒントに, シクロスポリンを上回る強力な免疫抑制作用を示すFTY720が合成された. FTY720はシクロスポリンや他の既存の免疫抑制薬とは異なりリンパ球の造成や活性化には影響せず, 二次リンパ系組織へのホーミングを促進して末梢血中の循環リンパ球数を減少させ免疫抑制作用を発揮する. 最近, FTY720は生体内ではスフィンゴシン・キナーゼによりリン酸化され, このリン酸化型FTY720がリンパ球に発現するG蛋白共役型受容体のスフィンゴシン1-リン酸(sphingosine1-phosphate: SIP)受容体に作用することが明らかにされた. これまでSIPは血小板由来脂質メディエータとして内皮や平滑筋などの血管壁細胞への作用が注目されてきたが, FTY720の作用機構の解析や筆者らの最近の研究成果からSIPの免疫・炎症反応との深い関連性が明らかにされつつある.
  • 藤本 直浩, 原田 修治, 佐藤 英樹, 赤坂 聡一郎, 野村 昌良, 山田 陽司, 上野 陽右, 松本 哲朗
    原稿種別: 短報
    2004 年 26 巻 2 号 p. 239-244
    発行日: 2004/06/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    近年増加している前立腺癌の早期発見を目的とした前立腺癌検診が各地で行われている. 北九州八幡地区でも1993年より前立腺癌検診を行っており, 2002年までの10年間の検診結果について報告する. 対象は原則として50歳以上の検診希望者で, 一次検診は1996年までは問診, 直腸診, prostate specific antigen(PSA)測定, 経直腸的超音波検査を行い, 1997年以後は問診とPSA測定のみを行った. 受診料は無料である. 二次検診は各医療機関の泌尿器科で行い, 検診内容は泌尿器科医の判断で行った. 10年間で延べ903人の検診を行い, 6人(0.64%)が前立腺癌と診断され, その内5人は局所限局癌であった. 今後, 検診受診者数を増加させること, 二次検診受診率を向上させること, 生検を含めた二次検診内容の統一, さらに検診が本当に前立腺癌の予後の改善, 死亡率低下につながるものか検証していく必要がある.
  • 峯 信一郎, 田中 良哉
    原稿種別: 症例報告
    2004 年 26 巻 2 号 p. 245-251
    発行日: 2004/06/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    症例は62歳男性. 1994年3月, 胆嚢摘出術時に施行された上部消化管内視鏡検査, 注腸造影検査ではポリポーシスは認めなかった. 同年5月より味覚異常, 下痢, 脱毛, 爪甲の萎縮などの症状が出現. 同年10月消化管検査施行したところ, 胃, 十二指腸, 小腸, 大腸に密生するポリポーシスが発生していた. ポリープの病理所見はいずれも若年性型(Juvenile type)のポリープであり, Cronkhite-Canada症候群(CCS)と診断した. ポリペクトミーを施行した直腸ポリープの組織像からはJuvenile type polypに連続した高分化型腺癌が存在していた. 上記症状は経過とともに改善し, 発症後6年以上経過した現在まで, 胃や大腸のポリポーシスの再発は認めていない. CCSの外胚葉性変化と消化管病変は短期間で出現, 消長することが示唆された.
  • 宇高 毅, 藤吉 達也, 藤村 武之, 山本 文昭, 佐々木 史郎, 岡本 正紀, 鈴木 秀明
    原稿種別: 事例報告
    2004 年 26 巻 2 号 p. 253-258
    発行日: 2004/06/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    喉摘者の社会復帰は重要な問題である. 今回, 産業医業務に携わることによって, 臨床医の立場からは認識できなかった点を検討することができ, 耳鼻咽喉科専門産業医の果たす役割は大きいと思われたので, 自験例を基に検討し報告する. 事例1は55歳男性の郵便内務職. 下咽頭癌にて根治術と再建術が行われた. 退院後3ヶ月間の自宅静養の後に職場復帰し, 軽作業に従事することから始め, 3年後には元職に復帰できた. 事例2は50歳男性の郵便外務職. 下咽頭癌にて根治術と再建術が行われた. 退院後, 外務職という点を考慮した職場復帰を検討中であったが, 再発により職場復帰は果たせなかった. 喉摘者の職場復帰に当たっては, 職場事情・環境, 心身医学的所見などを包括的な視野に入れた支援態勢が必要であると思われた. また我々, 耳鼻咽喉科専門産業医は, 産業医ならびに臨床医に対して, 喉摘者が円滑に職場復帰を果たせるような支援を行うことが必要と思われた.
  • 芳川 一郎
    原稿種別: 報告
    2004 年 26 巻 2 号 p. 259-261
    発行日: 2004/06/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
  • 産業医科大学
    原稿種別: 報告
    2004 年 26 巻 2 号 p. 263-266
    発行日: 2004/06/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
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