Journal of UOEH
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27 巻, 1 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
  • 山下 優毅, 杉浦 勉, 吉田 安宏, 黒田 悦史
    原稿種別: 原著
    2005 年 27 巻 1 号 p. 1-10
    発行日: 2005/03/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    我々はdiethyl stilbesterol(DES), 4, 4'-isopropylidene diphenol (BPA), bis (2-ethylhexyl) phthalate (EHP)およびp-nonylphenol(NP)などの内分泌撹乱化学物質(ED)がマウスのリンパ球を刺激し, 増殖反応やサイトカイン産生を亢進することを報告した. 今回これらEDのマクロファージ機能に及ぼす影響をin vitroで解析した. DES, BPA, EHP, NPなどのEDはthioglycolateで誘導したマウスの腹腔浸出細胞(マクロファージ)を刺激し, インターロイキン(IL)-1, IL-6, IL-12, 腫瘍壊死因子(TNF), マクロファージ遊走蛋白(MCP)などのサイトカインの産生を誘導した. この作用は10-6-10-8M濃度で見られたが, 10-7M濃度で最も著明であった. これらのEDで処理したマクロファージでは抗原提示に必要なCD86の発現が増強しており, また, T細胞への抗原提示能も亢進していた. これらの事実から, DES, BPA, EHP, NPなどのEDがマクロファージ機能を修飾する活性を有していることが明らかにされた.
  • 藤巻 秀和, 山元 昭二, 黒河 佳香
    原稿種別: 原著
    2005 年 27 巻 1 号 p. 11-24
    発行日: 2005/03/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    ディーゼル排気曝露が免疫応答におけるTh1/Th2バランスに影響を及ぼし, 気道の炎症やアレルギー性疾患の増悪に関連していることが多くの報告から示唆されているが, そのメカニズムについては不明な点が多く残されている. 本報では, IgE低応答系でTh1優位に働くと考えられているC57BL/6のアレルギーモデルマウスにディーゼル排気そのもの(DE), または粒子成分を除去したガス状成分(Gas)の曝露を行い, 頚部リンパ節細胞からのケモカイン産生と血漿中の抗体価の変動について検討した. その結果, DE曝露とGas曝露で抗SBPIgG1抗体価の低下と抗SBPIgG2a抗体価の増加が見られた. 一方, 頚部リンパ節細胞からのケモカイン産生においては, Gas曝露群でのみMIP-1αとTARC産生の亢進が認められた. 以上の結果から, C57BL/6マウスにおいてディーゼル排気曝露は血漿中の抗体価のレベルではTh1タイプの増加を示した. しかし, 局所リンパ節でのケモカイン産生ではディーゼル排気曝露中のガス状成分でのみ増強効果がみられ, Th1タイプの優位性は認められなかった.
  • 石原 逸子, 生嶋 美春, 堀川 淳子, 原賀 美紀, 川本 利恵子, 村瀬 千春, 田代 拓, 筒井 保博, 川島 正敏, 葛西 宏, 山 ...
    原稿種別: 資料
    2005 年 27 巻 1 号 p. 25-40
    発行日: 2005/03/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    本研究は, VDT作業における精神的疲労や気分の変化は電磁場暴露の影響を受けると仮定して, CRT画面装置の稼動による電磁場暴露状況を設定し, 実験環境下で実施した. 短縮版POMSと自覚症状調べ, 唾液中のクロモグラニンAおよび尿中8-OH-dGを電磁場暴露の指標として用い, これらの変化について, CRT稼動群をCRT-ON群, 非稼動群をCRT-OFF群とし, 二重盲検法によりグループ間での違いを検証した. その結果, CRT-ON群とCRT-OFF群による影響はどの指標においても統計的な有意差を認めなかった. しかし, VDT作業実施後の短縮版POMSと自覚症状調べ, 尿中8-OH-dGの結果において, 実施前の値より有意な差を認めた. これらの結果は, VDT機器からの電磁波の漏洩は, 電磁場暴露基準値の許容範囲内にあり健康影響には問題がなく, むしろVDTによる拘束作業に伴う疲労やストレス, 視覚作業に伴う目の疲れなどから受ける変化であることが推察され, 過去に指摘されている報告と一致する(WHO, 2001). 本研究の意義は, CRT-ON・CRT-OFFの実験環境を設定し, 電磁場の漏洩による健康影響を否定し, むしろ短時間(1時間半)のVDT作業においても, 作業自体に伴う疲労や生物学的変化を明らかにした点にある.
  • 山田 英津子, 有吉 浩美, 堀川 淳子, 石原 逸子
    原稿種別: 原著
    2005 年 27 巻 1 号 p. 41-62
    発行日: 2005/03/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    男女雇用機会均等法施行(1985)以降, 女性の職域は広がり女性の労働力人口は今後も増えることが予想される. 一方, 旧来の性別役割の意識の存在や不十分な支援制度や保障では, 職業生活と子育ての両立が難しく出産を機に退職する女性も多い. 育児期にある母親の心身の負担を軽減する為には, ソーシャル・サポート・ネットワークの存在の必要性が指摘されている. しかし, 働く母親を支えるソーシャル・サポートの詳細は不明である. 本研究では, 働く母親の意識とそれを取り巻くソーシャル・サポート・ネットワークの実態を明らかにし, 仕事と家事・育児の負担軽減の支援について検討することを目的とした. 18名の対象者に, 自記入式質問紙と半構成的面接法を実施した. その結果, 半数以上の母親が, やりがいや自己成長, 気分転換を働く目的とし, 仕事の継続を望んでいた. 仕事と家事・育児の両立に必要なソーシャル・サポートは, 夫, 夫以外の家族, 会社や職場の理解であった. 夫のサポート内容は, 物理的サポートが主であり, むしろ, 祖母の協力の方が物理的・情緒的・経験的サポートとして家事・育児に役立っていた. また, 保育所への不満や要望は強かった. これらの結果より, 男性が育児に参加できるよう職場の意識改革や労働時間の見直し, さらに, 育児支援の為の保育所や学童保育の充実の必要性が示された.
  • 筒井 隆夫, 井戸田 望, 永野 千景, 堀江 正知, 曽我部 靖博, 門司 幸一
    原稿種別: 原著
    2005 年 27 巻 1 号 p. 63-71
    発行日: 2005/03/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    暑熱環境下で下肢の運動を行う際の体温上昇の抑制には, 産熱源である下肢の冷却が有効と考えられるが, こうした際の下肢冷却服の有効性は明らかでない. 本研究では, 下肢に冷却服を着用して冷却する条件, 冷却服を着用するが冷却しない条件, 冷却服の代わりに短パンを着用する3つの条件を比較した. 5名の被験者に対し, WBGT = 31.5℃の測定条件下で, 75Wの下肢運動と休憩を3回繰り返させ, 平均皮膚温, 食道温, 心拍数を測定して, 下肢冷却服の冷却効果を検討した. その結果, 下肢に冷却服を着用して冷却する条件では, 冷却服を着用するが冷却しない条件に比べて, 食道温と心拍数が低くなり, 短パンを着用する条件と同程度であった. したがって, 暑熱環境下の労働で作業服を着用しなければならない条件において, 下肢冷却服が体温の上昇を短パン着用時と同程度に抑制する効果が期待できると考えられた.
  • 川本 利恵子, 村瀬 千春
    原稿種別: 原著
    2005 年 27 巻 1 号 p. 73-87
    発行日: 2005/03/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    本研究は, 胃切除術を受けた患者さんの骨代謝の変化を調べ, 食生活状況や身体活動状況が骨密度に及ぼす影響を検討することを目的とする. 対象は, 本研究に同意が得られ1年間追跡調査が実施できた27名である. 調査は, 超音波法による骨密度測定(SOS, 骨代謝パラメータ(BAP, DPD, NTx, 補正Ca, P)の測定, 身体活動は歩数測定, 食生活状況は質問紙調査による方法で行った. 結果は骨密度において, 術前に比べ, 術後は有意な変化を示さなかった. しかし, 術前に比較し, BAP, NTx, DPDに変化が示された. BAPは術後3週目の時点では有意に減少していたが, 術後3か月後より増加傾向を示し, 術後1年目では術前に比べ有意に増加した. NTx, DPDは, 術後3週・3ヶ月・6ヶ月のいずれの時点においても有意に増加したまま推移した. 骨代謝と食生活状況および身体状況の結果に有意な相関は示されなかった.
  • 小西 鉄巳, 福島 麻美, 渡辺 周, 松本 健太郎, 門脇 康二, 岡崎 啓介, 鶴留 洋輔, 永田 直幹, 伊藤 英明
    原稿種別: 症例報告
    2005 年 27 巻 1 号 p. 89-95
    発行日: 2005/03/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    甲状腺・上皮小体手術において, 非反回下喉頭神経(NRILN)を有する二例を経験した. 症例一は71歳男性. 甲状腺乳頭癌に対して手術を施行. 右反回神経は通常の部位に存在せず, 輪状軟骨のレベルで右迷走神経より分岐し喉頭に向かうNRILNを確認した. 症例二は64歳女性. 腫瘍の局在が不明な原発性上皮小体機能亢進症に対して手術を施行. 本例の場合, NRILNは甲状腺下極のレベルで右迷走神経より分岐し喉頭に向かって上行していた. 両例とも術前造影CTと術後MR angiographyにて, 右鎖骨下動脈起始異常を認めた. 症例一の食道透視では右鎖骨下動脈の圧排による胸部食道の狭窄を認めた. 術前画像検査によってNRILNの存在診断は可能だがその分岐レベルを予測することは不可能である. NRILNの存在が疑われる場合, 分岐レベルが一様でないことを念頭に置いて手術を行う必要があると思われる.
  • 山内 恒幸, 小野寺 周, 岡田 孝之, 山田 憲一, 高田 勗, 門脇 武博, 村山 留美子, 内山 巌雄, 後藤 純雄
    原稿種別: 短報
    2005 年 27 巻 1 号 p. 97-104
    発行日: 2005/03/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    職業性ベンゼン曝露の生物学的モニタリング法として尿中trans, trans-muconic acid(t, t-MA)を測定する簡易手法について検討を行った. ベンゼン取り扱い作業場において延べ74名(非喫煙者29名, 喫煙者45名)の男性を対象とした. ベンゼン曝露濃度は, 有機ガスモニターを用いGC/FIDで分析した. 尿中t, t-MA濃度は, 尿を固相抽出カラムにより前処理し, HPLCで分析した. その結果, 曝露濃度(X:ppm)と尿中t, t-MA濃度(Y:mg/g・クレアチニン)との間には, Y=0.948X+0.586(r=0.798:非喫煙者), Y=0.885X+0.894(r=0.871:喫煙者)の関係が得られた(P<0.01). これらから, 1ppm曝露における尿中t, t-MA濃度は, それぞれ1.5および1.8(mg/g・クレアチニン)と推定された. これらは, これまで報告されたものと同程度であり, ベンゼン曝露の簡易モニタリング法としての有要性が認められた.
  • 産業医科大学
    原稿種別: 抄録集
    2005 年 27 巻 1 号 p. 105-136
    発行日: 2005/03/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
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