トルエンとアルコール類の混合曝露では, トルエンの代謝が促進される結果が得られている. そこで, トルエンおよび1-ブタノール蒸気を同時に吸入曝露させたラットの肝ミクロソーム中チトクロムP450(CYP)遺伝子発現量を測定し, 混合有機溶剤蒸気の代謝酵素活性に与える影響について検討した. トルエン単独曝露群, 混合曝露群, 対照群の3群に分け, 1日6時間, 4週間(5日/週)の曝露を行ったWistar系雄ラット(8週齢)の肝臓の一部をホモジナイズした試料を用いて, RT-PCR法により, CYP1A2, CYP2B1, CYP2C11, CYP2E1, CYP3A2, CYP4A1の遺伝子発現量を測定した. その結果, 混合曝露群のCYP3A2の遺伝子発現量は単独曝露群のそれと比較して有意に高かった. しかし, CYP1A2, CYP2B1, CYP2C11, CYP2E1, CYP4A1の遺伝子発現量に関しては, すべての群において有意差は認められなかった. よって, 混合曝露によりCYP3A2の遺伝子発現量が増加し, これがトルエンの代謝速度を増加させた可能性が示唆された.
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