Journal of UOEH
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28 巻, 1 号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
  • 岡井 康二, 岡井(東) 紀代香
    原稿種別: 原著
    2006 年 28 巻 1 号 p. 1-12
    発行日: 2006/03/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    日本産米ぬかの熱水抽出液のエタノール可溶性(ES)画分中にDPPHラジカルに対するきわめて強い抑制活性を見出した. さら0.1にES画分中のラジカル消去活性成分の候補としてフェノール酸類が存在することが判明したのでアンバーライトXADクロマトグラフィーとODS高速液体クロマトグラフィーによりそれらを精製し, 8種類のフェノール酸を同定した. これらのフェノール酸類の中で, プロトカテチュイック酸, カフェイン酸, フエルラ酸, ゲンチシック酸がアスコルビン酸やどタミンEよりも強いラジカル消去活性を示した. しかしこれらのフェノール酸類は, リノール酸による過酸化脂質の生成に対する抑制効果は示さなかった. 以上の結果から日本産米ぬか中のラジカル消去活性はいくつかのフェノール酸類の働きによることが示唆された.
  • 山口 貴史, 中嶋 大介, 江副 優香, 藤巻 秀和, 嶋田 好孝, 小澤 邦壽, 嵐谷 奎一, 後藤 純雄
    原稿種別: 原著
    2006 年 28 巻 1 号 p. 13-27
    発行日: 2006/03/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    本研究は新築住宅における室内空気中のVOCsの挙動を把握するため, 木造一戸建て住宅および集合住宅を対象に, 新築時から一年間, 室内および屋外空気をパッシブサンプリング法を用いて毎月測定を行った. 一戸建て住宅の初回の測定では, リビングルームにおいてn-hexane, n-undecane, toluene, ethylacetate, methylethylketone, alpha-pineneおよび(+)-limoneneの7物質が10ppb以上で検出され, その後, 経時的に減少した. 6月には, p-dichlorobenzeneが一時的に高濃度(320ppb)で検出され, その後また減少した. その原因は, 6月に冬服から夏服への衣替えをする際, p-dichlorobenzeneを含んだ防虫剤を使用したことが推察された. 一方, 集合住宅においてはtoluene, 1,2,4-trimethyl-benzene, methylethylketoneおよびalpha-pineneの4物質が10 ppb以上で検出された. 中でもmethylethylketoneは, 100ppb以上の高濃度で検出されたが, その後, やはり経時的に減少した. 完成から同じ時期の新築住宅でも, 住宅や住み方の違いによって, VOCs汚染物質の種類が異なることが示された.
  • 庄司 卓郎, 江川 義之
    原稿種別: 原著
    2006 年 28 巻 1 号 p. 29-43
    発行日: 2006/03/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    日本の建設作業現場において面接調査, 質問紙調査を行い, 現場の安全風土の潜在構造を把握するとともに, 現場の安全風土と作業員の安全意識, 所属企業の安全レベルとの関係を明らかにすることを試みた. 自記式質問紙調査票を作成し, 大手建設企業の建設現場で働く本社の所長, 現場職員300人, および協力会社の職長300人に配布し, 496部を回収(回収率82.7%)した. 作業現場の風土に関して因子分析(最尤推定法, 斜交回転)を行い, 8因子解を採択した. そのうち, 「厳しい上下関係」の因子スコアは, 「和や協調を重視」や「協力し合う」などの因子スコアと負の相関を示しており, 厳しい上下関係と作業員同士が協調, 協力する風土とは相容れないものであることが示された. 職長の安全意識についても同様に因子分析(最尤推定法, 斜交回転)を行い, 「周囲の不安全行動も許さない厳しい態度」など安全を重視する意識(正の安全意識)4因子と「工程重視」, 「他人ごと」など安全を軽視する意識(負の安全意識)4因子を含む8因子解を採択した. 安全意識の因子スコアは, 風土の因子スコアとの相関が見られたが, 特に負の安全意識において関連が強かった. また, 企業の安全レベル(事故率)と関連が強いのも負の安全意識であった. 以上の結果から, 建設作業現場の安全確保のために, 安全風土の醸成を通じた安全意識の高揚, 不安全意識の低減が有効であると考えられる.
  • 吉井 千春, 加濃 正人, 磯村 毅, 国友 史雄, 相沢 政明, 原田 久, 原田 正平, 川波 由紀子, 城戸 優光
    原稿種別: 原著
    2006 年 28 巻 1 号 p. 45-55
    発行日: 2006/03/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    喫煙習慣は心理的依存と身体的依存から成り立っている. 我々は心理的依存の一要素として社会的ニコチン依存という新しい概念を考え出し, それを評価する新しい調査票として「加濃式社会的ニコチン依存度調査票Version 2」(the Kano Test for Social Nicotine Dependence; KTSND)を作成した. KTSNDは10問30点満点からなるが, その有用性を検討するため製薬会社社員に配布し, 344名から有効な回答を得た. 喫煙者(105名), 元喫煙者(88名), 非喫煙者(151名)の各群で, 総合得点は18.4±5.2, 14.2±6.1, 12.1±5.6と3群間でいずれも有意差を認めた. 設問別の検討では10問すべてで喫煙歴による有意差を認めた. さらに喫煙者をニコチンの身体的依存の指標である「1日喫煙本数」および「朝の1本を起床何分後に吸うか」で亜分類し, 総合得点との関連を検討したが, ほとんど差は出なかった. これに対して禁煙のステージによる亜分類では, 全く禁煙の意志がないimmotives(無関心期)で22.4±6.3, precontemplators(前熟考期)が19.0±3.9, contemplators(熟考期)が16.1±3.8, preparers(準備期)が14.5±5.9と, 各群間で有意差を認めた. これらの結果から, KTSNDは喫煙習慣の有無や禁煙のステージをよく反映し, 喫煙の心理的依存を評価する手段として有用な方法と考えられた.
  • 小嶺 憲国, 大成 圭子, 村上 美紀, 川田 芳里, 鈴鹿 佳南子, 中俣 友睦
    原稿種別: 症例報告
    2006 年 28 巻 1 号 p. 57-64
    発行日: 2006/03/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    長期血液透析患者で外転神経単独の麻痺を発症した3例を経験した. その内2例は同側の眼痛を伴っていた. CTやMRIでは麻痺の原因となるような病変は見当たらなかった. 3例とも経過観察中に麻痺の回復を認めた. 以上の経過よりischemic ocular motor nerve palsyと診断した. 末期腎不全患者は, ischemic ocular motor nerve palsyの危険因子(高血圧, 糖尿病, 粥状動脈硬化)をしばしば有しているにもかかわらず, 本症の合併はまれである.
  • 西田 啓子, 岡田 洋右, 森 博子, 廣瀬 暁子, 谷川 隆久, 新生 忠司, 森田 恵美子, 田中 良哉
    原稿種別: 症例報告
    2006 年 28 巻 1 号 p. 65-73
    発行日: 2006/03/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    Prader-Willi症候群(PWS)は脳神経, 特に視床下部機能障害の結果として多彩な臨床症状を呈する. 特徴的な症状としては, 幼少時からの過食, 肥満, 精神発達遅滞, 性腺機能低下などがあげられる. それらの症状の中でも本疾患の中枢症状である過食は最も重要な問題であり, 著明な肥満を生じ睡眠時無呼吸などにより呼吸障害をきたし生命予後を左右する. これまでにもPWS患児に対し早期からの肥満コントロールに対する多くの試みがなされているが, 疾患特異的な食物への異常執着, 盗食などのために治療に難渋することが多い. 今回, 我々は20歳, 16歳のPWS患者に対し行動療法と環境改善により著明な体重減少を達成し, 且つその後も体重維持が可能となった2症例について報告する.
  • 浦本 秀隆, 鏡 誠治, 岩重 淳司, 塚田 順一
    原稿種別: 総説
    2006 年 28 巻 1 号 p. 75-84
    発行日: 2006/03/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    肺癌の死亡数は1960年以降年代とともに増加し, 1998年には癌死亡の第1位となった. 今後, さらに増加の一途をたどりその死亡数は20年後には現在の2倍になると予測されている. 肺癌は遠隔転移を来しやすいため, 全身治療として化学療法に対する期待は大きい. 現在, 未治療進行non-small cell lung cancer(NSCLC)に対する標準的治療法はプラチナ製剤と新規抗癌剤の併用療法であり, 既治療症例に対してはdocetaxel(DTX)単剤療法である. 一方, small cell lung cancer(SCLC)に対する標準的治療法はcisplatin(CDDP)/irinotecan(CPT-11)もしくはCDDP/etoposide(ETP)である. また近年, NSCLCの術後補助化学療法が標準的治療となり, gefitinib, erlotinib, bevacizumab, pemetrexed, amrubicinなどの分子標的薬剤が開発され, 臨床試験によるevidenceが蓄積されつつある.
  • 高橋 法人, 藤野 昭宏
    原稿種別: 調査報告
    2006 年 28 巻 1 号 p. 85-101
    発行日: 2006/03/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    わが国では法的に義務付けられている定期健康診断(健診)結果に関する倫理意識について, 産業保健専門職が常在しない嘱託産業医契約事業所の労働者757名を村象として, 質問用紙による調査を実施した. 自分の健診情報が上司や同僚に知られていると回答した人は3〜5割を占めており, 2〜4割の人が本人の同意を得ずに健診情報が他に知られていると回答していた. これは健常者群よりも罹患者群でその傾向が強かった. その一方で, 健診情報が他に漏れても構わないとする人が過半数を超えていた. これらの結果から, 今回調査村象となった事業所はプライバシー保護の視点から倫理的に問題があり, 労働者自身の健診結果の守秘に関する倫理意識も高くない実態が見られた. しかし, 健診情報の公開に本人の同意が必要であると回答した人が85%以上に見られたことから, 労働者のインフォームド・コンセントに関する倫理意識は高いことが示唆された.
  • 三島 慶子, 川波 哲
    原稿種別: 報告
    2006 年 28 巻 1 号 p. 103-105
    発行日: 2006/03/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
  • 産業医科大学
    原稿種別: 抄録集
    2006 年 28 巻 1 号 p. 107-141
    発行日: 2006/03/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
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