Journal of UOEH
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29 巻, 4 号
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  • 大橋 浩
    原稿種別: 原著
    2007 年 29 巻 4 号 p. 391-406
    発行日: 2007/12/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    文法化研究の進展にともない英語強意詞の発達に関する研究も行われてきた. 多くの先行研究では強意詞の主な供給源である副詞や形容詞からの意味変化の過程に焦点が当てられているが, 一方, 前置詞句や名詞句から発達した強意詞にはほとんど注意が向けられてこなかった. しかし, 意味変化の観点からのみならず文法化や主観化の面から考えてもこれらの強意詞の発達にどのような要因が関与しているかという点は非常に興味ある課題である. 本論文ではindeed, a lot, a great/good deal, big time, all X wants/likesという強意詞の発達を考察し, メタファー(隠喩), メトニミー(換喩), 会話の含意, 再分析, 発話の力を産出しようとする話者の意図などの要因がその意味変化に関与していることを明らかにした. さらに, ここで論じた意味変化を文法化の例と考えると, 多くの語句は主観化しており, 文法化に伴って意味の主観化が起こるとするトローゴットなどの主張を支持するという理論的意味合いを持つ.
  • 永吉 美砂子, 高橋 真紀, 佐伯 覚, 蜂須賀 研二
    原稿種別: 原著
    2007 年 29 巻 4 号 p. 407-415
    発行日: 2007/12/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    Barthel Index (BI) と Frenchay Activitis Index (FAI) を用いてスモン患者, 脳卒中患者, 在宅高齢者における障害とライフスタイルの相違を明らかにした. スモン患者はBIが同程度の脳卒中患者に比し整容, 入浴, 更衣動作が高く車椅子やトイレ動作では低値であった. FAIにおいては, 在宅高齢者に比し活動は低いものの, 脳卒中患者に比し家事動作の得点が高値であった. 評価結果からスモン患者は在宅高齢者より日常生活動作に制限がありライフスタイルも非活動的ではあるが, BIが同程度の脳卒中患者に比しライフスタイルは活動的であったというスモン患者の特性をとらえることができた.
  • 荒木 俊介, 土橋 一重, 久保 和泰, 川越 倫子, 山本 幸代, 白幡 聡
    原稿種別: 原著
    2007 年 29 巻 4 号 p. 417-429
    発行日: 2007/12/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    抗酸化物質であるN-アセチルシステイン(NAC)の脂肪細胞における一酸化窒素(NO)合成酵素(iNOS)の誘導への影響を検討した. 3T3-L1脂肪細胞にエンドトキシンと腫瘍壊死因子αを同時に加える(LT)と, 有意なNOが産生された. NACによりこのNOの産生は濃度依存的に抑制された. ウエスタンブロット法およびリアルタイムRT-PCR法で, NACによって蛋白およびmRNAレベルで, iNOSの発現が抑制されることが判明した. iNOSの誘導に関わる転写調節因子nuclear factor-κB (NF-κB)はLT刺激により著明に活性化されたが, 20mMのNACにより45%抑制された. NR-κB阻害剤として知られるpyrrolidine dithiocarbamate(PDTC)もNO産生を濃度依存的に抑制した. NF-κBで発現が高まるIL-6の産生もNACおよびPDTCにより抑制された. 今回の検討でNACは3T3-L1脂肪細胞においてNF-κB活性化を抑制し, iNOSの誘導とそれによるNO産生を抑制することが明らかとなった.
  • 山崎 文夫, 生田 智也, 曽根 涼子
    原稿種別: 原著
    2007 年 29 巻 4 号 p. 431-438
    発行日: 2007/12/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    短期間の暑熱順化による発汗機能の変化機序について, 発汗中枢活動の指標である汗の拍出頻度(Fsw)を用いて検討した. 健康な男子大学生8名が6日間の暑熱下(環境温36℃)運動プログラムを行った. 運動プログラムの前後の日に, 温水循環スーツを用いた暑熱負荷テストを行い, 胸部と前腕部の局所発汗量(SR), Fsw, 食道温(Tes)を測定した. 暑熱負荷中に発汗が開始するTes閾値は, いずれの部位でも暑熱順化によって有意に低下した(P < 0.01). Fswは加温によって増加し, その増加は順化前後で有意に異ならなかった(P = 0.69). Tesに対するSRあるいはFswの関係は, いずれも暑熱順化によってその勾配は変化しなかったが, より低いTesへ位置が移動した. FswとSRの関係は, いずれの部位においても暑熱順化によって有意に変化しなかった. 以上のことから, 暑熱暴露中に発汗中枢の活動が始まる深部体温閾値は, 短期暑熱順化によって低下すると推測された. 本研究の条件では, 発汗の末梢機構に有意な変化は認められなかった.
  • 欅田 尚樹
    原稿種別: 総説
    2007 年 29 巻 4 号 p. 439-448
    発行日: 2007/12/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    平成16年4月に国立大学は独立行政法人化された. 法人化後は, 大学職員は国家公務員法の適用をはずれ, 新しく厚生労働省関係法令の「労働安全衛生法」および「電離放射線障害防止規則」が適応され, 同時に放射性物質を使用する施設における作業環境測定が必要となった. 放射性物質の管理は, かねてより「放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律」により厳重になされており, その結果, 大学等の研究施設における放射性物質の作業環境測定では, その測定結果のほとんどが定量下限値以下の極低濃度であるのが現状である. 本論文では, 放射性物質の作業環境測定において, その他の有害因子とは異なった測定方法および評価法の特殊性, 放射性物質の管理の現状, 放射性物質の作業環境測定に関連する法規等について解説し, 放射性物質の作業環境測定における適切な運用と規制緩和措置の導入の必要性などについて考察する.
  • 真鍋 龍治, 欅田 尚樹, 加藤 貴彦, 黒田 嘉紀, 秋山 幸雄, 山野 優子, 内山 巌雄, 嵐谷 奎一
    原稿種別: 短報
    2007 年 29 巻 4 号 p. 449-455
    発行日: 2007/12/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    近年, 国内外でアスベストによる健康被害が深刻となっている. 本調査は, 2006年度に北九州市内の店舗, ホテルなどの特定建築物を対象とした250施設の管理担当者宛に自記式アンケートによる調査を郵送にて実施した. その結果, 回答を得た150施設中18件でクリソタイル, クロシドライトなどの使用があった. そのうち, 「改善工事済み」と回答した施設はわずか6件であった. また, 築後年数が少なくなるに従って, アスベストを使用している施設件数も減少し, 法的規制とアスベストの有害性に対する認識の広がりを反映していることが示唆された. アスベスト教育の実施状況は, 実施していると回答したのが, 全150施設中21件であった. そのうちアスベストを使用している施設は9件であり, アスベストを使用している半数の施設が教育を実施していなかった. 以上より特定建築物ではアスベストの対応と教育が, いまだ不足していることが示唆された.
  • 水山 奈央子, 高橋 浩二郎, 玉利 一也, 神谷 文子, 竹内 綾子, 中村 利孝
    原稿種別: 報告
    2007 年 29 巻 4 号 p. 457-467
    発行日: 2007/12/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    産業医科大学病院(以下, 当院)では平成13年6月より薬剤部に治験管理室を設置し治験コーディネーター(以下, CRC)を配置するなど治験実施体制を図り, 当院における治験実施を積極的に支援している. その結果, 治験実施件数・症例数は増加し, 実施率も上昇した. また, CRCの増員や電子カルテシステムの導入による業務の効率化なども行い, 治験実施体制の強化を図ってきた. 今回, これまでの展開について報告する.
  • 池田 友紀子, 亀田 高志, 白川 千恵, 永田 智久, 座間 聡子, 茅嶋 康太郎, 小林 祐一, 森 晃爾
    原稿種別: 調査報告
    2007 年 29 巻 4 号 p. 469-484
    発行日: 2007/12/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    平成18年4月に改正労働安全衛生法が施行され労働安全衛生マネジメントシステム(OSHMS)の導入が推進されているが, 安全分野が主で, 産業保健分野の要素は含まれにくい. OSHMSで産業保健分野の要素を運用する際の課題を明らかにするため, 東証一部上場企業全1,581社を対象として平成16年12月に郵送でアンケート調査を実施した. 有効回答数は267社(16.9%)で, OSHMSを導入済みは23.2%, 導入予定は30.7%, 予定していない企業は46.1%であった. OSHMSを導入済みと回答した企業のうち12社だけがOSHMSに産業保健分野のすべての要素を含めていた. 産業医の専門性と産業医の現在の役割およびOSHMS導入, 産業保健活動のレベルとの間に有意な関連を認めた. OSHMSでの産業保健分野の要素の運用に関する啓発と産業医のOSHMSへの関与が産業保健分野をバランスよく含んだOSHMSの導入と運用に有効と考えられた.
  • 2007 年 29 巻 4 号 p. 485-494
    発行日: 2007/12/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
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