下半身に陰圧(LBNP)を負荷すると, 下肢に静脈血が貯留し, 血液量(BV)は減少する. 本研究の目的は, LBNP中のBVと四肢容量の動的変化を調査することであった. 健康な8名の男性被検者を対象として, -15と-30mmHgのLBNP中に血液密度(ρ
b)を連続測定した. ρ
b測定のため, 40分間の測定期間中(10分間のコントロール期, 10分間のLBNP期, 20分間の回復期)に血液を肘前静脈から連続的に採取した. 密度は機械的振動法で測定し, 上腕と下腿の周囲長の変化はストレインゲージプレチスモグラフィーで測定した. ρ
bはLBNPの開始に伴って減少してから増加に転じた. -15mmHg負荷時のρ
bの最大減少値(-0.35 ± 0.04g/ℓ)は-30mmHg負荷時のそれ(-0.42 ± 0.05g/ℓ)と差がなかった(
P = 0.47). LBNP開始からρ
bの最大減少までの時間(2.9 ± 0.3min)は, -15と-30mmHgの負荷間で差がみられなかった(
P = 0.50). いずれの負荷強度においても, ρ
bはLBNP終了後2.5±0.2分間増加し続けた後にコントロールレベルまで回復した. -30mmHgのLBNP後のρ
bの最大増加(1.34 ± 0.07g/ℓ)は-15mmHg負荷後のそれ(0.57 ± 0.06g/ℓ)より有意に大きかった(
P < 0.001). LBNP中, 負荷強度に依存して上腕周囲長は減少し, 下腿周囲長は増加した. これらの結果から, LBNPは強度依存性にBVを減少させるが, その最大減少出現時間は強度間で差がないこと, LBNP初期の血液希釈効果には強度の影響が見られないこと, およびLBNPは強度依存性に上半身から下半身へ血液の移動を引き起こすことが示唆された.
抄録全体を表示