Journal of UOEH
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30 巻, 3 号
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  • 松木 秀明, 橋本 圭二, 嵐谷 奎一, 秋山 幸雄, 雨谷 敬史, 石津 嘉昭, 松下 秀鶴
    原稿種別: 原著
    2008 年 30 巻 3 号 p. 235-252
    発行日: 2008/09/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    環境中たばこ煙(ETS)曝露の指標としてGC/MSを用いた尿中ニコチンおよびその代謝産物の簡易同時定量法を開発し, その妥当性を検討した. ある大学においてニコチン, コチニンおよび3'-ハイドロキシコチニンの標準溶液を作製し, 他の2大学において未知試料のクロスチェックを行い, 良好な結果が得られた. また, ニコチン, コチニンおよび3'-ハイドロキシコチニンの検出限界を求めると, この分析法は実際にETS曝露を受けた被験者の尿サンプルに適用可能であることが示唆されたので, 3大学において非喫煙被験者をETSに曝露後尿を採取し尿中のニコチン, コチニン, 3'-ハイドロキシコチニンを測定した. それらの濃度の経時変化から尿中でのニコチン, コチニンおよび3'-ハイドロキシコチニンの半減期はそれぞれ13.9, 20.0および63.0時間と計算された.
  • アシット ケイ マックヘルジー, ビーラッパ ラビチャンドラン, サナット ケイ バッタチャリア, サンジット ケイ ロイ, サビール アー ...
    原稿種別: 原著
    2008 年 30 巻 3 号 p. 253-268
    発行日: 2008/09/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    この研究はインドにおける主要な予焼タイプのアルミニウム製錬工場における労働・環境評価と労働者への曝露についての報告である. 主要な精錬工場現場, すなわち, 溶解炉室, 炭素室, 突合せ場, ロッド精造場, 電解浴準備室, 溶湯室の内部および附近での健康障害のレベルが測定された. 一般的な麈埃は高度から非常に高度であった. 3つのもっとも麈埃の多い領域での空気中の吸入麈埃の平均レベル(PM10)は, 炭素室では24.07mg/m³, 電解浴準備室では27.57mg/m³, ロッド製造場では4.44mg/m³であった. 粒子の40-60%は5μm以下の大きさであった。溶解炉室の空気では, 0.5-2.82%の固型弗化物が0.4-4.7μmの大きさの分画に存在した. 当然のこととして, 麈埃全体の曝露は, これらの過程で非常に高かった. NOx, SO2, 弗化物(ガス状と固型)のバックグランドのレベルは, インドで定められた基準値以下であった. ガス状と固型の弗化物(それぞれ3.85, 6.53mg/m³)の高度の曝露がロッド精造場の労働者で見られた. 多環芳香族炭化水素(PHAs)のレベルは炭素室で高いと思われた. 熱ストレスの測定は冬季に行われたので基準値以下であった.
  • 大江 晋司, 田中 貴浩, 大神 真美, 古賀 洋介, 森井 宏幸
    原稿種別: 原著
    2008 年 30 巻 3 号 p. 269-278
    発行日: 2008/09/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    古細菌のエーテル型リン脂質の代謝制御を解析する上で, リン脂質の定量が必要である. 真正細菌と真核生物のエステル型リン脂質の定量法については, モリブデン酸ブルー試薬を用いた薄層クロマトグラフィー(TLC)デンシトメトリー法が確立している. 本研究ではメタン生成古細菌と高度好塩性古細菌の主要エーテル型リン脂質6種類もTLCデンシトメトリー法で迅速に定量できる事を示した. エステル型リン脂質のモル吸光率は脂肪酸の種類や極性基の種類によらずほぼ一定であったと報告されているがエーテル型リン脂質およびセリンを含むエステル型リン脂質のモル吸光率には大きな相違があった. 従って, エーテル型リン脂質をTLCデンシトメトリーで定量するには毎回それぞれの標準物質が必要である. しかし, 従来のTLCのスポットを掻き取りリン定量を行う方法と比べて, このTLCデンシトメトリーでは試料の必要量が1/10で済み, 時間も短縮された.
  • 堤 明純, 長見 まき子, 森本 兼曩, 川上 憲人
    原稿種別: 原著
    2008 年 30 巻 3 号 p. 279-292
    発行日: 2008/09/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    過度に仕事に傾注することを示すオーバーコミットメントは, 努力-報酬不均衡職業性ストレスモデルに組み込まれている概念で, 危険な行動パタンとされている. 一方, 仕事上のモチベーションは, 就業者の生産性や良好なメンタルヘルスと関連があるとされている. 556名の就業者に, オーバーコミットメント, 仕事上のモチベーションと精神的健康度を測定するGHQ28を含む調査票を適用した. パス解析により, オーバーコミットメントとモチベーション間には正の相関があるものの, 精神的健康度との関係は両者で異なることが示された. 過度に仕事に傾注するような行動パタンはその行動変容を図ることが, 一方, 仕事上のモチベーションはその醸成を図ろうとする試みが, 就業者のメンタルヘルス向上にそれぞれ寄与する可能性があるので, 両者を弁別して対応することが望まれる.
  • 石原 逸子, 中野 正博, 生嶋 美春, 原 善子, 吉嶺 敏子, 原賀 美紀, 中谷 淳子, 川本 利恵子, 葛西 宏
    原稿種別: 資料
    2008 年 30 巻 3 号 p. 293-308
    発行日: 2008/09/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    女性労働者の職業性ストレスと細胞内の酸化的ストレスに伴うDNA損傷との関連を明らかにする目的で, 労働態様に関する質問紙調査と尿中に排泄される酸化的ストレスマーカー8-OH-dG量の測定を行った. 仕事とともに家事労働を行わなければならない就労女性は, そうでない場合と比較して尿中8-OH-dG排泄量が高い値となった(P<0.01). パートタイム女性労働者と比較して, 交代勤務に従事する女性の尿中8-OH-dG測定値は有意に高かった(P<0.01). 交代勤務に従事する職種として, 看護職の割合が高くさらに, 看護師で抑うつ傾向が高い場合は, 抑うつ傾向の低い看護師に比較して8-OH-dG量の尿中排泄量は多かった(P<0.05). また, 35歳-45歳看護師の尿中の8-OH-dG排泄量と抑うつ得点とに相関(r=0.32, P<0.05)を認めた. 以上の結果より, 家事労働に加え交代勤務を含む過重労働に従事する就労女性の場合, 尿中への8-OH-dGの排泄量が高いことが示唆された.
  • 荒木 俊介, 土橋 一重, 久保 和泰, 川越 倫子, 山本 幸代, 河田 泰定, 朝山 光太郎, 白幡 聡
    原稿種別: 原著
    2008 年 30 巻 3 号 p. 309-319
    発行日: 2008/09/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    2002年に「小児肥満症」, 2007年には「小児メタボリックシンドローム(MS)」の診断基準が発表された. 今回, 小児科肥満外来受診児の97名(男児58名:平均年齢10.4歳, 女児39名:平均年齢10.0歳)を肥満症とMSの観点から解析した. 全員が肥満度+20%以上の肥満であり, 肥満症と診断されたのは男児53名, 女児32名, 計85名(87.6%)であった. MSと診断されたのは男児12名, 女児4名, 計16名(対象の16.5%, 肥満症児の18.8%)であった. 肥満症診断スコァ(6点以上が肥満症)は腹囲や腹部CTによる内臓脂肪面積との相関が高く, MS児のスコア(平均30.2点)は非MS児のスコア(平均12.3点)より有意に高値であった. 受診肥満児の約9割が治療の必要な肥満症児であり, 外来の意義が明らかにできた. 小児MSの頻度は成人より低いが肥満症の重症型とも言え, より積極的な介入が必要である.
  • 鶴留 洋輔, 勝木 健文, 小西 鉄巳, 永田 淳, 井上 譲, 永田 貴久, 柴尾 和徳, 日暮 愛一郎, 平田 敬治, 中山 善文, 岡 ...
    原稿種別: 症例報告
    2008 年 30 巻 3 号 p. 321-328
    発行日: 2008/09/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    Fluorine-18 2-deoxy-2-fluoro-D-glucose-Positron Emission Tomography(FDG-PET)で指摘され術前診断に苦慮した低悪性度の非浸潤性乳管癌の一例を経験した. 症例は56歳の女性で左耳介部mucosa-associated lymphoid tissue (MALT)リンパ腫の放射線治療後経過観察中に行ったFDG-PETで早期相より遅延相での左乳腺下部(BD)領域の集積増加を指摘され来院した. 左BD領域にマンモグラフィにて区域性に分布する淡く不明瞭な微小石灰化像と構築の乱れを, 超音波にて境界不明瞭な乳管拡張像を, MRIにて帯状の急峻な増強効果を認めたため, 穿刺吸引細胞診を行いClassVと診断された. しかし針生検で悪性所見を認めず, 確定診断と治療目的で左乳房円状部分切除術を行った. センチネルリンパ節生検では転移を認めず, 病理組織診断ではlow grade ductal carcinoma in situと診断された. 近年FDG-PETで指摘される原発性乳癌が増加傾向にあるが, 高分化で低発育性の癌は偽陰性のことがあり, 本症例の如く早期相より遅延相での集積増加が診断に有効になりうる可能性が示唆された.
  • 宋 裕姫, 西野 精治
    原稿種別: 総説
    2008 年 30 巻 3 号 p. 329-352
    発行日: 2008/09/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    睡眠障害や睡眠不足は, 肥満, 糖尿病, 高血圧などの生活習慣病, 労働者のヒューマンエラー, 交通事故, 産業事故などを引き起こし, 社会全体の経済損失は甚大なものになる. これらの問題を解決するために, 米国政府は1993年に睡眠に関連した事故による経済損失総額は年間5兆円あまりとした睡眠障害調査国家諮問委員会による報告書を発表した. その後, 様々な国家的対策により睡眠センターの数や睡眠研究に対する研究費が増加するなどにより睡眠医学が発展した. 日本においても睡眠障害に対する国家的対策が必要であるとして, 日本学術会議が2002年に"睡眠学の創設と研究推進の提言"を報告した. このような状況の中で, 米国における国家諮問委員会報告書をもとにした国家的な取り組みは, 睡眠学を創設したばかりの日本にとって参考になる可能性がある. 今回, この取り組みを総説としてまとめ考察を加え報告する.
  • 浦本 秀隆, 栗屋 智恵, 長尾 扶美, 木下 直美, 梅野 孝子
    原稿種別: 報告
    2008 年 30 巻 3 号 p. 353-358
    発行日: 2008/09/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    最近, 我々はマルチリスク者に対する健康教育活動の有効性を報告した. 本研究では1年間の健康教育活動が中期的に持続するか否かにつき検討した. 定期健康診断データにおいて1年後に有意な改善を示した5項目中3項目(Body Mass Index (BMI), 収縮期圧, 中性脂肪)は, 3-5年後まで効果が持続し, 総コレステロールはさらに改善, 拡張期血圧のみが増悪した. また1年後改善を認めなかったγ-GTPは3-5年後に有意に改善した. また良好な生活習慣を実践している人の割合を運動, 飲酒, 栄養において教育前と比べたところ, 3-5年後で有意に増加していた. マルチリスク者において1年間の健康教育活動の効果は少なくとも中期的には持続し有効である.
  • 永松 有紀, 室屋 和子
    原稿種別: 報告
    2008 年 30 巻 3 号 p. 359-372
    発行日: 2008/09/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    看護技術教育を検討する基礎的資料を得ることを目的として, 成人看護学実習(急性)で学生が経験した技術項目とその自己評価について実態調査を行った. 調査は, 平成17年から平成19年までに成人看護学実習を終えた看護学科3, 4年次生111名を対象に, 看護基礎教育における技術教育のあり方に関する検討会報告書で示された項目と本学の看護基本技術の到達レベルに準じた11学習項目50技術項目からなる無記名の自己記入式の調査票を使用した. 経験度が高かった学習項目は, 『安全管理の技術』『感染予防の技術』『清潔・衣生活援助技術』『症状・生体機能管理技術』であり, 経験度が低かったものは『排泄援助技術』『呼吸・循環を整える技術』などであった. また, 経験度と自己評価の関連では11学習項目中8項目で正の相関が認められ, 『食事援助技術』『清潔・衣生活援助技術』『呼吸・循環を整える技術』の3項目では認められなかった. 今後, 学生が実施した技術を学内で振り返る演習の設定など, 習得に向けた取り組みの必要性が示唆された.
  • 産業医科大学
    原稿種別: プログラム
    2008 年 30 巻 3 号 p. 373-374
    発行日: 2008/09/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
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