Journal of UOEH
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32 巻, 1 号
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  • 池上 和範, 尾久 征三, 荒薦 優子, 白川 千恵, 鈴木 貴代美, 田原 裕之, 森山 浩二, 真船 浩介, 廣 尚典, 永田 頌史, ...
    原稿種別: 原著
    2010 年 32 巻 1 号 p. 1-10
    発行日: 2010/03/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    一晩の夜間断眠とその後3日間各7時間の回復睡眠期間中に, 全身の酸化ストレス指標である尿中8-hydroxydeoxyguanosine(8-OH-dG)値に変化が起こるか, 同時に心理的反応の変化を調査する目的で, 健康な非喫煙男性20名を対象に基準日, 断眠後日, 回復3日間の計5日間, 被験者の尿を採取し, 尿中8-OH-dG値を測定すると同時に, 心理的反応をProfile of Mood States(POMS)を用いて測定し, 尿中8-OH-dG値とPOMSの下位尺度について日毎の変化を分析した結果, 心理的反応について, 断眠後日と回復2日目の活気は, 基準日と比べ有意に低値であった. 断眠後日の疲労と混乱は基準日より有意に高値を示し, その後漸減, 回復3日目に基準日と同程度まで回復した. 尿中8-OH-dG値は, 有意な変化を認めなかった. 以上の結果一晩の夜間断眠後, 心因性のストレス反応が数日間持続することを示唆する一方, 尿中8-OH-dG値は, 心理的反応の著明な変化に関わらず断眠による影響を受けない可能性も示唆された.
  • 田中 晋, 南部 文子, 南部 滋郎
    原稿種別: 原著
    2010 年 32 巻 1 号 p. 11-29
    発行日: 2010/03/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    小型甲殻類アルテミアのトレハラーゼ遺伝子の構造解析を行うため, 近交系アルテミア由来のゲノムライブラリーから得られた4つのクローンに基づいてアトレハラーゼ遺伝子を含む49kbの領域を再構築した. この領域内には以前我々が報告したトレハラーゼcDNAに対応する8つのエキソンが存在していた. 他の動物で報告されているトレハラーゼ遺伝子と構造を比較した結果, 動物界を超えて保存されているエキソン/イントロン境界が存在していることが判明した. 5'RACE法によりトレハラーゼmRNAとトレハラーゼ遺伝子の関係を解析し, エキソンIの領域内にこれまで知られていなかったエキソン/イントロン境界が存在することを明らかにした. また, ミトコンドリアのリボソームタンパク質(MRP-S33)遺伝子の一部のコピーがトレハラーゼ遺伝子の5'側の領域に組み込まれていることが判明した. 組み込まれた配列は本来のMRP-S33が持っていたポリA付加シグナルを保持していた. 3'RACE法により, このポリA付加シグナルが依然として機能しており, その結果としてトレハラーゼmRNAの5'UTRとMRP-S33遺伝子の3'末端をもった短いキメラmRNAが転写され得ることが示された.
  • サンジュン チェー, ミーヒー ソック, ナン ワン ペク
    原稿種別: 原著
    2010 年 32 巻 1 号 p. 31-43
    発行日: 2010/03/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    韓国においては, 最近, 建築物中のアスベスト含有物質(ACM)の取扱いが環境医学の最重要の問題の一つとなっている. 本研究は韓国における産業建築物中のアスベスト含有物質の存在状況と特徴および空気中アスベスト濃度を明らかにする目的で行った. 総数1285検体のアスベストの含有が推定される物質(PACM)の試料を全国の80事業所から収集し, そのPACM試料の40%に1%以上のアスベストが含まれていた. 全般的には, 調査した事業所の94%でアスベスト含有物質が存在した. アスベスト含有物質が存在する事業所の分布については, 地域, 従業員数, 事業形態による有意差はなかった. 調査した建築物中の総アスベスト含有物質面積は436, 710㎡で, 天井タイルのACMがその61%を占め, 以下屋根のACM(32%), 壁面ACM(6.1%), および暖房システム断熱材(TSI)であった. アスベストの種類については, 全ACMの98%が白石綿(chrysotile)であり, 青石綿(crocidolite)は検出されなかった. 建材の種類別の比較は, 最優先度での定期的管理が必要とされるのは天井タイルであり, 次に屋根材, TSI, および壁面材であることを示している. 現場のACMの攪乱が起こらないように採取し, 位相差顕微鏡法で解析した空気中アスベストの平均濃度は0.0028fibers/ccであり, すべての測定で韓国の屋内空気環境についての勧告値(0.01fibers/cc)よりも下回っていた.
  • 中西 良一, 中川 誠, 徳渕 浩, 奥村 隆志, 久保井 礼, 城戸 優光
    原稿種別: 原著
    2010 年 32 巻 1 号 p. 45-52
    発行日: 2010/03/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    臨床病期I期原発性肺がんに対し胸腔鏡下肺葉切除術が行われた男性83例を対象に喫煙による手術成績への影響を検討した. 術前1週間〜2ヶ月以内まで喫煙していたSmoker群(n=42)に対し, ]Ex-smoker群(n=35)は平均15年間の禁煙歴を有するためNon-smoker群(n=6)と併せて, 患者背景, 周術期の諸因子, 組織型, 予後について比較した. 年齢, 喫煙本数や慢性閉塞性肺疾患の罹患率を除き, 患者背景, 周術期の諸因子, 組織型において両群間に差を認めなかった. Smoker群の方が有意に若く, 喫煙本数や慢性閉塞性肺疾患の合併が多く, 胸腔ドレナージ期間ならびに術後在院日数も有意に延長し, 術後合併症でも有意に多かった. 予後は両群間に差を認めなかった. 内視鏡手術において, Smoker群の方が若年齢であるにもかかわらず有意に合併症が多く, 術後在院日数が延長したことから, できるだけ早期の禁煙が望ましい.
  • 江口 泰正, 大和 浩
    原稿種別: 原著
    2010 年 32 巻 1 号 p. 53-61
    発行日: 2010/03/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    現在, 日本医師会やアメリカスポーツ医学会(ACSM)が推奨している自転車エルゴメーターによる最大下運動負荷テストのプロトコルは, もっとも弱いパターンでも, 25-50-75-100W設定になっている. この設定では, 特に女性の中に, 第3負荷の定常状態に至る前に負荷が重すぎて継続不能になる結果, 有酸素能力の評価を十分にできなくなる例がある. この問題点と解決方法について検討を行った. 84名の成人女性に対して20〜120Wの範囲で自転車エルゴメーターによる多段階漸増負荷テストを実施した結果, 運動負荷テストの終了目安である70%心拍数予備能(Heart Rate Reserve: HRR)における推定負荷が75Wを下回っていたのは, 22名(26.2%)であった. また, 自覚的運動強度(Rating of Perceived Exertion)による終了目安であるBorgスケール15以上の「きつい」状態に至った負荷が75W以下は29名(34.5%)で, 60W以下は19名(22.6%)であった. したがって, もう一段階軽い負荷のプロトコルパターンを準備する必要があると考えられた. 一方, このような負荷パターンを事前に設定する時, 体重を参考にする場合が多いが, 70%HRR時負荷量との相関係数はr=0.269に過ぎなかった. しかし, 体重の代わりに除脂肪量との関係で見るとr=0.404で, より相関が強かった. このことから体重よりも除脂肪量を参考にする方が適切なプロトコル設定の精度を向上できると考えられる.
  • 王 克鏞, 谷本 昭英, 笹栗 靖之
    原稿種別: 総説
    2010 年 32 巻 1 号 p. 63-71
    発行日: 2010/03/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    ヒスタミンは, ヒスチジン脱炭酸酵素によってL-ヒスチジンから合成され, 炎症, アレルギー, 胃酸分泌, 神経伝達といった生体反応を調節する生体アミンである. 動脈硬化病変では, マクロファージ由来の泡沫細胞から産生されたヒスタミンは, 血管平滑筋, 血管内皮, 炎症細胞に特異的ヒスタミン受容体を介して作用し, 炎症反応に関わる多くの分子の発現を調節している. 動脈硬化病変の形成と進展には, ヒスタミンネットワークによる慢性炎症反応の制御システムが関与している.
  • 一瀬 豊日, 中村 早人, 戸倉 新樹
    原稿種別: 報告
    2010 年 32 巻 1 号 p. 73-81
    発行日: 2010/03/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    専属産業医を選任する必要のある事業所は, 労働安全衛生規則に定められているが, 専属産業医を必要とする事業所の数は公開されている厚生労働省の統計数値上には未掲載である. しかし本邦では経済基本構造を把握するために, 総務省統計局経済基本構造統計課により, 事業所における従事者数および業種の全数調査が行われている. 本報告では総務省統計局経済基本構造統計課の事業所・企業統計調査を基に法的に必要とされている最低限度の専属産業医数を推計した. 1,000名以上従業員がいる事業所の数は1,228ヶ所(確定数)あり, 特定有害業務を有する業務に常時500名以上の労働者を使用する事業所数と事業所兼任などを考慮すると, 2,000名から2,500名の専属産業医の需要が最低限あると考えられる.
  • 中谷 淳子, 原 善子, 池田 智子, 石原 逸子
    原稿種別: 報告
    2010 年 32 巻 1 号 p. 83-92
    発行日: 2010/03/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    産業医科大学産業保健学部看護学科における産業看護学実習のより効果的な方法を検討する目的で, 本研究への同意が得られた63名の学生の実習評価表より, 実習目標の到達度と関連する要因を分析した. 14項目の小目標に対する4段階評価において, 学生の自己評価の平均はすべて目標達成の目安である3.0以上であった. しかし企業で実習した学生と労働衛生機関で実習した学生の自己評価を分けて比較すると, 11項目において労働衛生機関で実習した学生の方が自己評価の平均が低かった. 今後の課題は, 1. 実習最終日の学内報告会後に目標到達度を再評価する機会を持つ, 2. 実習施設の特徴を考慮した目標を設定する, 3. 実習内容を目標に繋げるための十分な助言を与えることである.
  • 産業医科大学
    原稿種別: 抄録集
    2010 年 32 巻 1 号 p. 93-126
    発行日: 2010/03/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
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