Journal of UOEH
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33 巻, 2 号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
  • 川崎 貴士, 佐多 竹良
    原稿種別: 総説
    2011 年 33 巻 2 号 p. 123-137
    発行日: 2011/06/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    自然免疫は感染防御に重要な役割を果たしている. 外科的侵襲はさまざまな免疫能変化を惹起するが, 術後の感染性合併症発生のリスク上昇に宿主の免疫能低下が関与している可能性がある. 手術侵襲により執刀直後から術1日後までの間, 自然免疫能低下が起こる. 正常な患者では術1日後から自然免疫能は回復してくるが, 自然免疫能の回復の遅れ, 欠如は感染性合併症発生の原因となる. われわれは今まで, 予防的抗生剤投与や患者の体温保持, 高濃度の酸素投与などで手術部位感染を予防してきた. これから将来に向けては, 患者個人の自然免疫能, 炎症反応を制御すること, 患者個々の免疫能制御法を確立することが重要となる. この総説では, 手術侵襲による自然免疫能変化を概説し, 術後感染性合併症発生を最小限にするための戦略として1. 周術期免疫栄養により免疫能を維持する方法, 2. 低侵襲手術により手術侵襲によるストレス反応を抑制する方法を紹介する.
  • 小嶺 憲国, 高木 一郎, 青木 健一, 西原 学宣, 岩佐 厚子, 中野 龍治, 中俣 友睦
    原稿種別: 症例報告
    2011 年 33 巻 2 号 p. 139-146
    発行日: 2011/06/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    C型肝炎による肝硬変を有する66歳の女性は, 2003年末期腎不全にて血液透析を導入された. 2007年肝細胞癌が発見され, 開腹でラジオ波焼灼療法, エタノール注入療法を受けた. 2009年1月婦人科検診にて腟腫瘍が偶然発見され, びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(stage IE)と診断された. 化学療法による腫瘍縮小効果が顕著で, 初回治療中に腟壁から腫瘍の脱出を認めたため切除した. 2クール目の化学療法と放射線療法をもって治療を終了した. 経過観察中の画像診断にて, 腟腫瘍は同定出来ない状態を維持している. 末期腎不全患者では, いくつかの癌の発生リスクが高いと報告されているが, 肝細胞癌に続く悪性リンパ腫の発生は稀である. また, 女性生殖器原発の悪性リンパ腫は非常に稀である.
  • 坂本 敬行, 樋上 光雄, 吉川 正博
    原稿種別: 原著
    2011 年 33 巻 2 号 p. 147-156
    発行日: 2011/06/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    我が国で使用されている4種類のヤシ殻活性炭を用いて, アセトン, メチルエチルケトン, メチルブチルケトン, メチルイソブチルケトン, シクロヘキサノンおよび2-メチルシクロヘキサノンの回収率の経時変化(保存安定性)を調べた. その結果, エノールの存在比が高いシクロヘキサノンおよびメチルエチルケトンにおいて, 回収率の経時的低下が顕著であった. さらに, ケトンの回収率低下に水が影響することが確かめられた. このケトーエノール互変異や水和反応は酸や塩基によって触媒されることから, 4種類の活性炭懸濁液のpHや強熱残分含有率と回収率の関係を調べた. その結果, 活性炭懸濁液の酸性度, もしくは塩基性度が強いほど, 回収率の低下が認められた. 一方, 活性炭の強熱残分含有率と回収率低下との間には, 4種ケトンにおいて相関は認められなかった.
  • 竹中 賢, 花桐 武志, 小野 憲司, 岡 壮一, 桒田 泰治, 馬場 哲郎, 重松 義紀, 下川 秀彦, 永田 好香, 浦本 秀隆, 田中 ...
    原稿種別: 原著
    2011 年 33 巻 2 号 p. 157-161
    発行日: 2011/06/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    気管支異物は小児や高齢者に好発し, 慢性咳嗽や反復する肺炎を惹起するのみならず, 時に致死的な状態になりえる. 2006年から2010年までの5年間において, 当科で経験した気管支異物の摘出症例の6例を対象として, その臨床像について検討した. 男性4例, 女性2例, 年齢の分布は8歳から83歳であった. 異物の嵌頓部位は, 全例右気管支であった. 6例中5例で無気肺や肺炎を併発していた. 異物の種類は, 歯や義歯が5例ともっとも多く, 1例が魚骨であった. 4例が局所麻酔下の軟性気管支鏡下に摘出可能であった. 小児の症例においては, ラリンジアルマスクを使用した全身麻酔下に, 軟性気管支鏡を用いて摘出した. 1例は開胸術にて気管支を切開し異物摘出したのち, 気管支形成術を行った. 気管支異物は, 軽微な症状のみで, 問診では診断に至らないこともありえるが, 長期の介在により, 異物の周囲肉芽増生を伴い摘出に困難を要するため, 早期の診断と摘出が必要である.
  • 明星 敏彦, 大藪 貴子, 大神 明, 森本 泰夫, 西 賢一郎, 角谷 力, 山本 誠, 轟木 基, 水口 要平, 李 秉雨, 橋場 昌義 ...
    原稿種別: 原著
    2011 年 33 巻 2 号 p. 163-171
    発行日: 2011/06/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    ナノマテリアルを取り扱う作業では, 防じんマスクを着用する必要がある. しかし, 防じんマスクで気中に浮遊しているナノ粒子(1〜100nm)を確かに捕集除去できるか, 取り扱っている衛生管理者や作業者は不安に思っている. 本研究では, 15〜220nmの粒径範囲の二酸化チタンナノ粒子を試験粒子に用いるフィルタ捕集効率測定システムを作成した. DS1防じんマスク2種類とDS2防じんマスク4種類をこのシステムに設置して, 粒子捕集効率を計測した. ここで試験した防じんマスクは日本の国家検定に合格したものである. 試験した中では, 検定合格に相応する捕集効率(DS1では80%, DS2では95%)以下の性能を示す防じんマスクはなかった.
  • 田中 良哉
    原稿種別: 総説
    2011 年 33 巻 2 号 p. 173-181
    発行日: 2011/06/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    全身性エリテマトーデス(SLE)は多臓器障害を特徴とする全身性自己免疫疾患である. 自己反応性T細胞やB細胞の活性化とB細胞から産生された自己抗体が形成する免疫複合体の組織沈着による臓器障害が介在する. SLEの治療には明確な指標はないが, Hahnの診断・治療のアルゴリズムでは, 重症臓器病変があれば大量ステロイド薬と免疫抑制薬の併用療法の開始が選択される. しかし, これらの薬剤は副作用が多い非特異的治療で, 臓器障害や予後の改善には不十分なために, SLEの治療にも生物学的製剤の導入が期待されてきた. B細胞の特異的抗原であるCD20に対する抗体リツキシマブrituximabを用いたSLEの疾患制御が試みられ, 高い認容性と有効性が報告されてきた. しかし, 日和見感染症などの問題点も露呈した. 現在, このような問題点を克服するために, 他のB細胞抗原や共刺激分子を標的とした治療展開も進行中である.
  • 山田 陽子, 杉田 和成, 伊豆 邦夫, 中村 元信, 橋本 隆, 戸倉 新樹
    原稿種別: 症例報告
    2011 年 33 巻 2 号 p. 183-187
    発行日: 2011/06/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    85歳男性. 約1ヶ月前より両手足に瘙痒を伴う小水疱が出現, 徐々に悪化し全身に拡大した. 初診時現症では, 両手掌・足底に, びらん・潰瘍, 紅色丘疹, 水疱, 膿疱が集族し, 一部血疱が認められた. 血清抗bullous pemphigoid(BP)180抗体はindex値150以上であった. 病理組織学的に表皮下水疱が認められ, 水疱内および真皮上層には, 好酸球, 好中球, リンパ球が浸潤していた. 蛍光抗体直接法では, 表皮基底膜部に免疫グロブリン(IgG)および補体C3の線状沈着が認められた. 以上の所見は, 水疱性類天疱瘡に一致する所見であり, さらにその特異な臨床像よりdyshidrosiform pemphigoidと診断した. ステロイド内服にて軽快したが, 減量すると再発した. その後, 膵炎の併発もあり全身状態が悪化し死亡した.
  • 山崎 文夫, 森川 幸子
    原稿種別: 報告
    2011 年 33 巻 2 号 p. 189-196
    発行日: 2011/06/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    看護学生の健康教育と健康促進のための方策を立てるために, 看護学科1年生女子528名を対象にして, 体格および体力の測定を行った. さらに健康状態や運動部活動に関するアンケート調査を行った, その結果, 看護女子学生は同年代の全国平均値に比べて体重が少なく, 敏捷性には優れているが, 筋力の弱いことが明らかとなった. また看護女子学生は中学校および高校で運動部での活動経験が少なく, 体力に不安のある割合が高いことが示された.
  • 渋野 亜由美, 野原 正信, 榎本 誠, 比嘉 幸枝, 荒谷 清, 大田 俊行
    原稿種別: 報告
    2011 年 33 巻 2 号 p. 197-202
    発行日: 2011/06/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    日本の医療保険制度は毎年増え続ける医療費の増加をどの様な形で健全化するかが焦点となっている. このような背景のもと, 臨床検査を取り巻く環境も, 検査項目の包括化や診療検査等計画表(クリニカルパス)導入により厳しさを増している. 増えることのない収入を考えるより, いかに支出を抑えるかを, 診断群分類別包括評価(Diagnosis Procedure Combination; DPC)に拘束されている病院の臨床検査部は考えなければならない. 今回, 過剰な検査および不必要かつ無駄な検査依頼の実態調査を行いその対策を試行した.
  • 松山 篤二
    原稿種別: 報告
    2011 年 33 巻 2 号 p. 203-204
    発行日: 2011/06/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
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