Journal of UOEH
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34 巻 , 4 号
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[短報]
  • 細田 明美, 岡井 康二, 笠原 恵美子, 井上 正康, 清水 雅富, 碓井 之雄, 関山 敦生, 岡井(東) 紀代香
    2012 年 34 巻 4 号 p. 285-296
    発行日: 2012/12/01
    公開日: 2013/02/28
    ジャーナル フリー
    日本の伝統的な雑穀であるあわ・ひえ・もちきびのぬか部分のメタノール抽出液についてLPS活性化マクロファージ(RAW264.7細胞)の一酸化窒素(NO)およびサイトカイン産生に対する影響を検討した.その結果,すべての雑穀抽出液がLPSで活性化されたマクロファージによるNO産生や炎症性サイトカイン(IL-6やTNFα)の産生を有意に抑制したが,もちきびの抽出液の抑制作用がもっとも強かった.またこれらの雑穀抽出液の抑制作用はマクロファージに対する細胞障害作用によるものではない事を明らかにした.一方,炎症抑制性サイトカインであるIL-10の産生は抑制しなかったが,もちきびの抽出液は有意の促進作用を示した.またこれらの雑穀抽出液のNO産生や炎症性サイトカイン産生の抑制の程度はそれぞれの抽出液に含まれるフェノール化合物の含量と関連することが示唆された.
  • 江口 泰正, 太田 雅規, 井上 智博, 本多 融, 守田 祐作, 今野 由将, 大和 浩
    2012 年 34 巻 4 号 p. 297-308
    発行日: 2012/12/01
    公開日: 2013/02/28
    ジャーナル フリー
    インターバルトレーニングは,有酸素能力の向上だけでなく健康に対しても効果的である.しかしながらこのトレーニングは高強度運動を伴っており,高齢者や低体力者には心血管系へのリスクもある.そこで,高強度運動の時間を短縮した短時間刺激型のインターバル運動(Transitory Stimulation Interval Exercise: TSIE)を開発し,その効果について調査した.30名の女性を無作為にTSIE群,一定負荷運動(Continuous Moderate Exercise: CME) 群,非運動(No-exercise: NE)群に割り振り,運動群には12週間運動を継続して行った.その結果,TSIE群はNE群と比較して体重減少率と有酸素能力向上率において有意な効果が見られたが,CME群とNE群との間には有意な差は認められなかった.HbA1c低下については,TSIE,CME両群ともにNE群と比較して有意な効果が見られた.しかしながら全体的にはTSIE群とCME群との間にはほとんど有意な差は認められなかった.エネルギー消費量が同等なため,一時的な刺激にはなるが,長期的には差が生じない可能性がある.
  • 原 俊之, 高橋 謙
    2012 年 34 巻 4 号 p. 309-313
    発行日: 2012/12/01
    公開日: 2013/02/28
    ジャーナル フリー
    クロム製錬作業従事者の肺がんリスク上昇は,これまでの多くの疫学研究にて評価が確立している.一方,クロムメッキ産業についてはクロム化合物の使用量が最多の産業分野であり,作業者は多くの小規模工場に多数従事しているにも関わらず,作業の発がん性評価はいまだ不十分であり,その確立は急務である.我々は先般,国内のクロムメッキ作業者の追跡調査の延長を行い報告した.この報告およびこれまでの海外の疫学調査結果からクロム曝露による肺がん,悪性リンパ腫,脳腫瘍死亡リスクの増加,および作業開始年の影響が作業期間よりも大きい可能性が示唆された.
[総説]
  • 石倉 透, 鈴木 仁士, 松浦 孝紀, 大西 英生, 中村 利孝, 上田 陽一
    2012 年 34 巻 4 号 p. 315-321
    発行日: 2012/12/01
    公開日: 2013/02/28
    ジャーナル フリー
    生体にとって疼痛に対する生理的防御反応は極めて重要である.我々はアルギニンバゾプレッシン(arginine vasopressin: AVP)を緑色蛍光タンパク(enhanced green fluorescent protein:eGFP)で標識したAVP-eGFPトランスジェニックラットおよび神経活動の指標として汎用されているc-fos遺伝子産物であるFosタンパクを赤色蛍光タンパク(monomeric red fluorescent protein 1:mRFP1)で標識したc-fos-mRFP1トランスジェニックラットを作出し,侵害受容反応を可視化することに成功した.これらを用いて疼痛ストレス負荷時におけるAVP系の生理的役割を解明することを手がかりに,作業関連疼痛の新たな病態解明を目指している.これまでの遺伝子改変動物を用いた侵害受容反応に関する知見を述べる.
  • 森 博子, 岡田 洋右, 田中 良哉
    2012 年 34 巻 4 号 p. 323-329
    発行日: 2012/12/01
    公開日: 2013/02/28
    ジャーナル フリー
    ビタミンD欠乏症は骨粗鬆症,骨折の原因のみならず,近年では2型糖尿病や心血管疾患,高血圧,癌,感染,自己免疫疾患などの発症リスクを上昇させると報告されている.日光曝露不足や食事からのビタミンD摂取不足が,ビタミンD欠乏症に繋がっており,特に女性においてビタミンD欠乏症は,よくみられる病態と考えられる.女性が長く健康で働きつづけるためには,様々な疾患との関連が報告されているそれらの病態の上流に位置するビタミンDは極めて重要な因子である.
  • 森本 景之, 馬場 良子
    2012 年 34 巻 4 号 p. 331-338
    発行日: 2012/12/01
    公開日: 2013/02/28
    ジャーナル フリー
    真核生物タンパク質合成開始因子eukaryotic initiation factor(eIF)-2αは,真核生物におけるタンパク質合成開始に関連する因子であり,ウイルス感染,栄養欠乏,虚血,熱ショックなどの様々なストレス刺激によりリン酸化修飾を受ける.eIF-2αのリン酸化に関わるeIF-2αキナーゼとして,現在までにPKR,HRI,GCN2,PERKが報告されている.これらのeIF-2αキナーゼによって様々な細胞性ストレスが検知され,eIF-2αへと伝達されることから,eIF-2αを中心とした「総合性(integrated)ストレス応答経路」が提唱されている.生体の防御機構としての「総合性ストレス応答機構」を構成するeIF-2αを理解することで,細胞レベルで検知されるストレス刺激とそれに対する応答が明らかとなり,ストレスに起因する疾患の予防や治療法の開発にも役立つと考える.
[報告]
  • 柳井 圭子, 児玉 裕美, 恒松 佳代子
    2012 年 34 巻 4 号 p. 339-351
    発行日: 2012/12/01
    公開日: 2013/02/28
    ジャーナル フリー
    法看護学 「Forensic Nursing」 は,看護学に法科学を応用して,暴力・虐待,犯罪,迫害,搾取などに関わる者に看護ケアを提供する.法看護師は,被害者や加害者の心的外傷の査定とケアを行う際,法科学と看護学を統合する.アメリカやカナダ,ヨーロッパでは法看護師の活動は,証拠採取や事件の報告による擁護であり,対象の家族,地域社会,処遇制度の査定,手当に及ぶ.このような活動を通して,法看護学は暴力や犯罪による健康被害を防止することに寄与している.本稿は,法看護学の意義とその発展過程を振り返り,日本における法看護学導入・発展の可能性について考察した結果,暴力被害という健康問題に法看護の果たす新たな役割があるため,法看護学導入が必要であることを提言する.
[症例報告]
  • 黒住 旭, 岡田 洋右, 西田 啓子, 山本 直, 森 博子, 新生 忠司, 田中 良哉
    2012 年 34 巻 4 号 p. 353-361
    発行日: 2012/12/01
    公開日: 2013/02/28
    ジャーナル フリー
    症例は49歳男性.43歳時より動作時に動悸,冷汗,虚脱感が突然生じるようになり,低血糖発作(血糖50~60 mg/dl)を疑われ当科紹介.75 g経口糖負荷試験で5時間後に血糖56 mg/dlまで低下したが,無治療で血糖は回復.48時間絶食試験終了直前,排尿後の立位時に気分不良となり冷汗,頻呼吸を生じた.その際装着していたホルター心電図で140台の洞性頻脈を認めた.頻脈は日中活動時のみ出現し,起立時に再現性がありhead-up tilt試験を施行.起立時に血圧低下なしに心拍数上昇を認め,経過から体位性起立頻脈症候群の可能性が高いと判断した.β遮断薬開始後に発作は出現せず,1ヵ月後に再検したhead-up tilt試験では起立時の心拍数増加も消失を認めた.一般的に体位性起立頻脈症候群は洞性頻脈,不適切洞性頻脈,洞房結節リエントリー性頻拍といった頻脈性不整脈や神経調節性失神との鑑別が困難なことも多いが,本症例においては低血糖発作との鑑別として考慮すべき疾患と考えたため報告する.
[短報]
  • 保利 一, 石松 維世, 笛田 由紀子, 樋上 光雄, 石田尾 徹
    2012 年 34 巻 4 号 p. 363-368
    発行日: 2012/12/01
    公開日: 2013/02/28
    ジャーナル フリー
    作業環境中における有機溶剤蒸気の測定法としては,捕集袋や活性炭管などに環境空気を捕集し,ガスクロマトグラフなどの分析機器を用いて定量する方法や,検知管による方法がある.しかし,環境中の有害物質の濃度は時間的,空間的に変動しており,これらの方法では作業環境を的確に把握できるとは限らない.そこで,リアルタイムで連続的に濃度をモニターできる光イオン化検出器(PID: Photo Ionization Detector)センサーを用い,リアルタイムに作業環境測定が義務付けられている有機溶剤中毒予防規則の第1種,第2種有機溶剤全52物質(異性体を含む)に対するセンサーの特性を網羅的に検討した.その結果,このモニターは,イオン化電位が比較的低い蒸気については高感度を示したが,イオン化電位の高い物質については感度が低く,まったく反応しない物質もあった.また,同じ蒸気に対しても経時的に感度が変動するため,事前に較正をすることが望ましいことがわかった.
[第34 巻(1-4号) 総目次]
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