Journal of UOEH
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34 巻 , 3 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 黃 耀明, 廖 維華, 保原 浩明
    原稿種別: 原著
    2012 年 34 巻 3 号 p. 217-224
    発行日: 2012/09/01
    公開日: 2012/12/14
    ジャーナル フリー
    一般集団の6%が罹患しているといわれる手根管症候群(CTS)の診断において,もっとも使用される手技の一つが正中神経の神経伝導速度(NCV)検査である.しかしながらNCVの計測機器は比較的高価であり,必ずしも外来診察時に使用できるとは限らない.そこで本研究ではサンプリング周波数および電極間距離の違いが正中神経におけるNCV計測値に与える影響について調べ,NCV計測機器開発への視座を得ることを目的とした.30名の健常成人を対象に,手関節正中神経のNCVを2種類のサンプリング周波数(2 KHzと10 kHz)および電極間距離(1 cm以下と短母指外転筋-母指指節間関節間)で計測した.各条件間におけるNCV計測値の比較には対応のあるt検定を用いた.その結果,サンプリング周波数によるNCV計測値に有意差が検出されたものの,電極間距離の違いはNCV計測値に影響を与えないことが明らかとなった.本研究の結果はNCV計測機器の性能価格比および技術的適用性を改善するうえで極めて示唆に富むものである.
  • 大森 俊, 杉田 和成, 杉田 篤子, 中村 元信
    原稿種別: 症例報告
    2012 年 34 巻 3 号 p. 225-229
    発行日: 2012/09/01
    公開日: 2012/12/14
    ジャーナル フリー
    遠心性環状紅斑は隆起性の紅斑や蕁麻疹様丘疹が遠心性に周囲へ拡大し,輪状ないし環状の形態を呈する.しばしば内臓悪性腫瘍に関連して発症することがあり,また真菌,細菌,ウイルス感染も遠心性環状紅斑の誘因になるとされている.症例は35歳の男性で,1週間前より体幹部(皮膚分節Th8-10)に疼痛を伴う水疱を自覚していた.それに付随して,体幹部には複数の環状紅斑も出現していた.前者の皮疹を帯状疱疹,後者を遠心性環状紅斑と診断した.環状紅斑の病変部よりDNAを抽出するも,水痘帯状疱疹ウイルスのDNAは検出されなかった.したがってこの環状紅斑は,ウイルス感染に伴う局所の免疫変調によって起こったWolfʼs isotopic responseであると考えた.以上のように,自験例および文献的考察から遠心性環状紅斑と帯状疱疹の強い因果関係が示唆された.
  • 大淵 豊明, 鈴木 秀明, 寳地 信介, 大久保 淳一, 橋田 光一
    2012 年 34 巻 3 号 p. 231-235
    発行日: 2012/09/01
    公開日: 2012/12/14
    ジャーナル フリー
    耳硬化症は基本的には中耳疾患であるが,蝸牛機能を反映するはずの骨導聴力がしばしば低下する.これはアブミ骨の固着により耳小骨連鎖の共振が妨げられ,慣性骨導の効果が減弱するためであると考えられている.また,この骨導聴力は多くの場合アブミ骨手術後に改善することが知られている.今回われわれは,当科でアブミ骨手術(アブミ骨底開窓術またはアブミ骨底部分切除術)を受けた耳硬化症患者6例6耳を対象とし,術前術後に純音聴力検査を行い,7 周波数(125,250,500,1000,2000,4000,8000 Hz)の気導閾値と5周波数(250,500,1000,2000,4000 Hz)の骨導閾値について比較検討した.その結果,気導閾値は8000 Hzを除く6周波数において術後に聴力の改善がみられた.一方,骨導閾値は500 Hzと1000 Hzにおいて術後に聴力の改善がみられたが,2000 Hzにおける聴力レベルには変化がなかった.術後に骨導聴力の改善がみられた500 Hzおよび1000 Hzは慣性骨導における耳小骨連鎖の共振周波数に一致したが,2000 Hzにおける骨導聴力が改善しなかった理由は不明であり,今後のさらなる病態研究が必要である.
  • 堀江 祐範, 神原 辰徳, 黒田 悦史, 三木 猛生, 本間 善之, 青木 滋, 森本 泰夫
    2012 年 34 巻 3 号 p. 237-243
    発行日: 2012/09/01
    公開日: 2012/12/14
    ジャーナル フリー
    日本や米国を含む諸外国の宇宙機関の国際協力のもと,月面に基地を造り宇宙飛行士が長期間滞在する計画を検討している.月表面には隕石の衝突や宇宙風化により生じた月レゴリスと呼ばれる微粒子が堆積しており,微小重力下の月面での作業においては,月面の粒子状物質の有害性評価が重要であるが,その報告は少なく,特にアレルギーとの関連についての報告はない.月レゴリスの化学組成は,SiO2がほぼ半分を占め,その他Al2O3,CaO,FeOなどが含まれる.宇宙飛行士が月レゴリスの吸入により花粉症様の症状を呈したとの報告があるほか,地球上で類似の組成を持つ黄砂ではアレルギーの増悪効果が報告されており,月レゴリスはアレルギー増悪効果を示す可能性がある.月レゴリスと類似の組成を持つレゴリスシミュラントを卵白アルブミンと共にマウスの腹腔内に投与した試験では,アレルギー増悪効果は認められなかったが,今後吸入モデルなどによるさらなる検討によって,月レゴリスの安全性を確認することが重要である.
  • 山野 光彦, 赤松 直樹, 辻 貞俊
    2012 年 34 巻 3 号 p. 245-258
    発行日: 2012/09/01
    公開日: 2012/12/14
    ジャーナル フリー
    側頭葉てんかんに関する認知機能研究は,従来,記憶,言語,全般的知能を中心に行われてきた.しかし近年,神経心理学領域では社会的認知機能という概念が提唱され,その代表的なものに表情認知,意思決定がある.社会的認知機能は,我々が社会生活を送る上で必要不可欠な,より高次の認知機能の総称であり,神経機構には扁桃体を中心とした情動の働きが重要視されている.我々は側頭葉てんかん患者を対象に社会的認知機能(意思決定)に関する研究を行い,その機能低下の存在と,右側の扁桃体・海馬複合体が重要な役割を果たすことを明らかにした.てんかん患者に最善の医療を提供するためには,正確な診断や適切な治療に加え,社会的認知機能というアプローチから,より円滑に社会生活を送るための支援を行う必要がある.今後,この分野の研究の発展が,てんかん患者に対するトータル・マネージメントとしての医療提供に貢献することが期待される.
  • 荒井 秀明, 二瓶 俊一, 宮岡 亮, 長田 圭司, 新庄 貴文, 寺田 忠徳, 後藤 慶, 原山 信也, 相原 啓二, 蒲地 正幸
    2012 年 34 巻 3 号 p. 259-264
    発行日: 2012/09/01
    公開日: 2012/12/14
    ジャーナル フリー
    偶発性低体温症は,寒冷環境に暴露され深部体温が低下した状態であり,体温が低くなるほど死亡率が高いとされている.今回我々は,当初意識障害および高度低体温により救急搬送され,後に軽微な外力により頸髄損傷を合併していたことが判明した症例を経験したので報告する.症例は70歳代女性.意識障害および高度低体温により当院救急外来に搬送された.来院時直腸温26.2°Cと高度低体温であったため,直ちに復温処置を行った.復温に伴い意識レベルは改善したが,C5領域以下の麻痺および感覚低下を認めたため,頸髄損傷を疑いMRIを施行.C5頸髄損傷と診断した.偶発性低体温症による意識障害のため,頸髄損傷の神経学的所見がマスクされていた可能性がある.偶発性低体温症の症例では誘因として,頸髄損傷の存在を念頭におき対応する必要がある.
  • 鍋島 篤典, 山田 壮亮, 郭 鑫, 田崎 貴嗣, 北田 昇平, 野口 紘嗣, 笹栗 靖之
    2012 年 34 巻 3 号 p. 265-270
    発行日: 2012/09/01
    公開日: 2012/12/14
    ジャーナル フリー
    65歳女性の膀胱に発生したmalakoplakiaの1例を経験したので報告する.腹部エコーにて膀胱内に複数の腫瘍様病変を指摘され,経尿道的切除術が施行された.病変は肉眼的に乳頭状発育を示し,臨床的に膀胱癌が疑われた.しかしながら,病理組織学的にはvon Kossa染色陽性のMichaelis-Gutmann bodyを有する組織球の集簇を認め,典型的なmalakoplakiaと診断された.免疫染色にて一部の組織球細胞質内に抗大腸菌抗体が陽性であった.大腸菌感染がmalakoplakiaの原因の1つであると言われており,本症例においても支持し得る所見であると考えられた.
  • 児玉 裕美, 恒松 佳代子, 柳井 圭子
    2012 年 34 巻 3 号 p. 271-279
    発行日: 2012/09/01
    公開日: 2012/12/14
    ジャーナル フリー
    法看護学は,1980年代から北米で発展しており,ドメスティック・バイオレンス,児童虐待,高齢者虐待,性暴力などの被害者から,犯罪被害の法的証拠を科学的に採取・保存して,被害者の人権を守りつつ適切な看護ケアを行う看護学である.重大犯罪が増加している日本においても,看護職者の活動の場は広がるものと思われる.しかし,日本では法看護学についてあまり議論されていない.その背景には臨床での法看護学の認知と関連があると思われ,臨床看護師に法看護学の日本での発展に関する意識調査を行った.看護師の法看護学の認知度は93名(16.0%)と低かったが,324名(56.3%)の看護師が法看護学の対象と遭遇していた.264名(45.4%)が看護師として関わりたい気持ちはあっても知識と技術に自信がない,144名(24.8%)が責任が大きくなることへの不安があると答え,400名(68.8%)の看護師が専門的な知識や技術教育を受ける事を望んでいた.法看護学教育の実態を考察しながら,現状に則した教育システムの構築が必要である.
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