Journal of UOEH
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35 巻, 1 号
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[原著]
  • 杉田 篤子, 吉村 玲児, 杉田 和成, 堀 輝, 山田 久美, 坂上 真弓, 中村 純
    2013 年35 巻1 号 p. 1-8
    発行日: 2013/03/01
    公開日: 2013/03/11
    ジャーナル フリー
    勤労者のうつ病対策は重要な課題である.健康な日本人労働者において,ウォーキングによるメンタルヘルス不調への予防効果は明らかではない.本研究では,企業において,勤労者のうつ病予防対策として,ウォーキングの有用性を検討した.事前に運動習慣を確認した上で,606人の勤労者を対象に,4週間のウォーキングプログラムを実施し,プログラム前後のZung Self-rating Depression Scale(SDS)とSocial Adaptation Self-evaluation Scale (SASS)を評価した.結果,ウォーキングプログラムを実施前のSDSは,運動習慣有群(有群)では運動習慣無群(無群)に比して低く(P <0.001),SASSは,有群は無群に比して高かった(P <0.001).実施後は,有群のSDS,SASSは変化しなかったが,無群のSDSは低下し,SASSは上昇した.有群は,無群に比べ抑うつ度が低く社会適応度が高い.無群で,ウォーキングプログラム実施により抑うつ度が改善し社会適応度が増加した.
  • 木村 美子, 高橋 真紀, 和田 太, 蜂須賀 研二
    2013 年35 巻1 号 p. 9-16
    発行日: 2013/03/01
    公開日: 2013/03/11
    ジャーナル フリー
    咳嗽は気道の浄化における重要な防御機構であり,十分に強い咳嗽は,嚥下障害を有する患者の誤嚥リスクを抑制する.今回の研究目的は,脳血管障害患者の嚥下障害の有無による最大咳流速(PCF)の違いを調べることであり,さらにはこれらの患者におけるPCFの身体および呼吸関連因子を明確にすることである.肺活量計を用いて,嚥下障害を有する10名の脳血管障害患者(SPD),嚥下障害を有しない20名の脳血管障害患者(SP)と臨床や新聞で募集した性・年齢の一致する10名の健常コントロール群(HC)のPCFを測定し比較した.その結果,SPDのPCFは160.1 ± 68.7 l /minであり,SPの297.2 ± 114.2 l /min,HCの462.0±84.4 l /minと比べて有意に低下していた(one-way analysis of variance, ANOVA, Scheffeʼs test, P < 0.05).また,SPDの肺活量(vital capacity, VC)と予備吸気量(inspiratory reserve volume, IRV)は,HCのVCやIRVより減少していた.多変量回帰分析より,IRVと移動能力(Functional Ambulation Categories, FAC)のPCFに対する寄与率は,それぞれ50%と17%であることが分かった.呼吸機能特にIRVが,SPDのPCF維持に重要であることが示唆された.
[総説]
  • 戸次 加奈江, 鳥羽 陽, 唐 寧, 亀田 貴之, 早川 和一
    2013 年35 巻1 号 p. 17-24
    発行日: 2013/03/01
    公開日: 2013/03/11
    ジャーナル フリー
    多環芳香族炭化水素類(PAHs)は大気粉塵などの多種類の環境汚染物質に含まれ,長年の研究によって多様な生体影響を引き起こすことが知られている.一方で,PAHsは生体内での代謝反応や,大気中での化学反応によって多種多様な誘導体を生成することが知られている.近年では,PAHだけでなくPAH誘導体の毒性影響が着目されており,エストロゲン様/抗エストロゲン作用,酸化ストレス反応など,PAHとは異なる誘導体独自の毒性影響の存在が報告されている.また,生成するPAH誘導体には多くの構造異性体が存在するが,PAH誘導体が示す毒性作用と構造との間に相関性,いわゆる構造活性相関があることが示されている.以上の研究は,環境中に存在するPAH 誘導体の生体影響を解明する上で重要な研究であるとともに,多種多様なPAH誘導体の総合的な毒性影響予測に貢献できると考えられる.
[症例報告]
  • 山本 直, 岡田 洋右, 森 博子, 黒住 旭, 鳥本 桂一, 新生 忠司, 田中 良哉
    2013 年35 巻1 号 p. 25-31
    発行日: 2013/03/01
    公開日: 2013/03/11
    ジャーナル フリー
    症例1は80歳男性.鉄欠乏性貧血に対し約5年間にわたり含糖酸化鉄を経静脈投与され,両膝痛が出現した.低リン血症(1.4 mg/dl),fibroblast growth factor 23(FGF23) 248.8 mg/dlと高値より,FGF23関連骨軟化症と診断した.含糖酸化鉄の投与中止のみで,1ヶ月後には症状は改善し,血中リンやFGF 23も正常化した.症例2は63歳女性.36歳時,胃癌に対し胃切除術を施行された.下肢痛が出現し,低カルシウム血症(8.3 mg/dl)および低リン血症(2.2 mg/dl),レントゲンで著明な骨陰影減弱を認め,骨軟化症と診断した.25(OH)D 5 pg/ml以下と低値であり,Alfacalcidol 1μg/日の内服により,2ヶ月後には症状は改善した.これらの症例により原因不明の疼痛患者を診た際に,医原性の骨軟化症も鑑別にあげる必要がある.
[総説]
  • 尾下 浩一, 山岡 邦宏, 田中 良哉
    2013 年35 巻1 号 p. 33-37
    発行日: 2013/03/01
    公開日: 2013/03/11
    ジャーナル フリー
    関節リウマチ(rheumatoid arthritis;RA)において不可逆的に進行する骨・軟骨破壊によって生じる関節変形は,患者の運動機能を著しく低下させる.したがって,関節滑膜の炎症制御だけでなく破壊関節の修復・再生を可能とする新しい治療法の開発が急務である.近年,骨芽細胞や軟骨細胞に分化誘導可能かつ免疫抑制作用を有する間葉系幹細胞(mesenchymal stem cell;MSC)を利用した新しいRA治療法の確立を目指した研究が盛んに行われている.我々はヒト骨髄由来MSCが破骨細胞分化阻害因子であるosteoprotegerin(OPG)を恒常的に産生する細胞であり,receptor activator of nuclear factor kappa-B ligand(RANKL)の刺激で誘導される破骨細胞分化を抑制する作用を有することを明らかにした.したがって,MSCはRAにおける骨破壊進行を抑制できる可能性があるだけでなく,関節構造維持に重要な細胞であることが示唆されたことから,MSCは次世代RA治療にとって極めて有望な治療ツールであると考える.
[報告]
  • 酒井 誉, 村松 圭司, 松田 晋哉
    2013 年35 巻1 号 p. 39-49
    発行日: 2013/03/01
    公開日: 2013/03/11
    ジャーナル フリー
    各都道府県は平成25年度から実施される都道府県別の新たな医療計画を平成24年度中に策定する必要がある.今回の策定では,特に人口規模が20万人未満の2次医療圏で,入院医療において,流入患者の割合が20% 未満,流出患者の割合が20%以上の場合は,地理的条件などの自然的条件,交通事情など社会的条件に考慮し,それぞれ医療圏の流入・流出の患者割合と患者動向,医療圏の面積や基幹となる病院までのアクセス時間などを踏まえ,見直しを行うこととされている.長野県と長野県内において見直し基準に該当する木曽医療圏の中核病院である長野県立木曽病院の救急医療とがん医療について,厚生労働省診断群分類(DPC)公開データを用いて,地理情報システム(GIS)による現状分析を行った結果,長野県と木曽医療圏は,救急医療とがん医療について2次医療圏として自己完結していて,現在の医療圏を維持することが望ましいと考えられた.
  • 山崎 文夫, 山田 寿男, 森川 幸子
    2013 年35 巻1 号 p. 51-58
    発行日: 2013/03/01
    公開日: 2013/03/11
    ジャーナル フリー
    大学生の健康促進のための習慣的運動の効果を検証するために,看護学科女子学生を対象として8週間の軽強度運動介入を行い,その介入前と介入後の体組成と体力レベルを測定するとともに,質問紙によって精神的健康度の変化を検討した.介入前の運動量は0.9 ± 0.2 METs・時/週であり,8週間の介入期間中は平均で6.6 ± 0.7 METs・時/週に増加した(P < 0.0001).運動介入よって体重は変化しなかったが,体脂肪率(介入前 26.8 ± 0.5%,介入後 24.9 ± 0.5%,P < 0.01)は減少し,全身筋肉率(介入前 69.1 ± 0.5%,介入後 70.8 ± 0.4%,P < 0.01)は増加した.筋力,筋持久力,柔軟性,敏捷性および瞬発力のいずれの体力テスト項目においても,介入によって有意な成績の向上が認められた.精神的健康度に関連したスコアは運動介入によって有意に増加した.8週間の継続的運動は看護女子学生の身体的および精神的健康の向上に有効であることが示唆された.
[抄録集]
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