8-ヒドロキシデオキシグアノシン(8-OH-dG)は,酸化ストレスマーカーとしてもっとも広く分析されている.これに加え,フリーの塩基である8-ヒドロキシグアニン(8-OH-Gua)の酸化ストレスマーカーとしての有用性が最近注目され始めている.本研究では,その有用性を示す目的で,尿中ならびに血清中の8-OH-Guaレベルを,酸化ストレスの亢進が予測される動物(2型糖尿病モデルマウス db/db)を用いて測定し,代表的な酸化ストレスマーカーである尿中8-OH-dGの測定結果と比較検討した.測定は,感度・精度に優れるHPLC-ECD法で行った.db/dbマウスの尿中8-OH-Guaならびに8-OH-dG値は,非糖尿病マウス(db/m+)に比べて有意に高い値を示した.(例えば26週齢では,db/db: 8-OH-Gua 1.84 ± 1.00 mg/mg creatinine, 8-OH-dG 64.72 ± 27.69 ng/mg creatinine, db/m+: 8-OH-Gua 0.37± 0.08 mg/mg creatinine, 8-OH-dG 17.06 ± 1.11 ng/mg creatinine).また,それぞれの値は, 動物の週齢(13~26週)に伴って増加する傾向が見られ,加齢による酸化ストレスの亢進が観察された.さらに尿中の8-OH-Gua値は, 尿中8-OHdG値と良い相関を示した.8-OH-Guaは血清(26週齢, db/m+: 0.41 ± 0.15 ng/m
l; db/db: 0.84 ± 0.28 ng/m
l)でも測定することが可能で,その値は尿中の値と良い相関関係にあった.糖尿病,加齢に伴う酸化ストレスを感度良く測定できたことから,尿中ならびに血清中の8-OH-Guaは, 酸化ストレスのバイオマーカーとして利用が期待される.
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