Journal of UOEH
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36 巻 , 4 号
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[総説]
  • 本間 雄一, 原田 大
    2014 年 36 巻 4 号 p. 229-235
    発行日: 2014/12/01
    公開日: 2014/12/13
    ジャーナル フリー
    非切除進行肝細胞癌の予後は依然として不良であるが,分子標的薬であるソラフェニブの承認により生命予後の改善を認めている.しかし,ソラフェニブの肝癌細胞への直接的な分子作用など,その詳細な機序については不明である.ソラフェニブの臨床効果は十分とは言えず,重篤な副作用も報告されていることから,その詳細な分子機序の解明が重要である.小胞体ストレスは肝細胞癌を含めた様々な肝疾患の病態に関与する.Unfolded protein responseとケラチンのリン酸化は,小胞体ストレスに対する細胞防御機構として重要である.ソラフェニブは小胞体ストレスに対する細胞防御機構として重要なUnfolded protein responseやケラチンのリン酸化を抑制し,プロテアソーム阻害薬との併用で抗腫瘍効果を増強させることが示された.本稿では進行肝細胞癌に対する新たな治療戦略として,小胞体ストレスに対する細胞防御機構と分子標的薬の作用について概説する.
[症例報告]
  • 石本 裕士, 矢寺 和博, 島袋 活子, 松木 康真, 花香 哲也, 小田 桂士, 川波 敏則, 迎 寛
    2014 年 36 巻 4 号 p. 237-242
    発行日: 2014/12/01
    公開日: 2014/12/13
    ジャーナル フリー
    症例は62歳の男性で両肺野の異常陰影精査のために入院となった.数年来の涙腺・顎下腺・耳下腺の腫大があった.血清immunoglobulin G4(IgG4)は1500 mg/dl以上であり,胸部computed tomography(CT)では両肺に網状影と縦隔リンパ節腫大が認められた.経気管支肺生検と超音波内視鏡ガイド下縦隔リンパ節針生検(EBUS-TBNA)によりIgG4関連疾患と診断した.EBUS-TBNAがIgG4関連疾患の診断に有用であった報告である.
  • 森 博子, 岡田 洋右, 新生 忠司, 田中 良哉
    2014 年 36 巻 4 号 p. 243-249
    発行日: 2014/12/01
    公開日: 2014/12/13
    ジャーナル フリー
    骨粗鬆症,脳梗塞,高カルシウム血症,そして高parathyroid hormone (PTH) 血症を呈した59歳女性について報告する.原発性副甲状腺機能亢進症と診断され,副甲状腺摘出術を施行された.病理学的所見では,副甲状腺腺腫の結果であったが,副甲状腺摘出2年後,3年後に副甲状腺腫大を来し,4年後には肺にも転移し,臨床経過および再摘出病理より副甲状腺癌の再発と診断された.ビスホスホネート静注療法を施行するもカルシウムとPTHは高値のままで,動脈硬化は進み,副甲状腺摘出6年後には下肢閉塞性動脈硬化症により下腿切断となった.副甲状腺癌は有病率0.005%と非常に稀であるが,再発など病気の進行をコントロールすることは非常に難しいと考えられた症例であった.
  • 國弘 幸伸, 川奈 裕正, 小高 利絵, 大場 俊彦
    2014 年 36 巻 4 号 p. 251-256
    発行日: 2014/12/01
    公開日: 2014/12/13
    ジャーナル フリー
    上顎洞角化嚢胞性歯原性腫瘍(KCOT)の1例を報告する.患者は21歳女性.再発性のKCOTの治療を他院から依頼された.当科受診時,患者は既に保存的なドレナージ手術を2回受けていた.腫瘍は右上顎第2大臼歯由来であり,CTでは上顎洞内に大きく嚢胞様に突出し骨壁に包まれていた.過去の手術時に設けた小さな瘻孔が歯肉頬粘性移行部に確認された.その瘻孔を取り囲むように楔形の切開を加え,内視鏡を嚢胞内に挿入して明視下に腫瘍の剥離を進めた.骨壁を残して腫瘍を切除した.右上顎第1大臼歯の歯根への腫瘍浸潤が認められたため,右上顎第1大臼歯は抜歯した.骨性の殻を口腔内から破砕すると眼窩底を損傷する可能性があったため,鼻内から内視鏡下に上顎洞自然孔を開大し,開大した上顎洞自然孔側から腫瘍の骨壁を破砕した.その上で,再度,瘻孔部から内視鏡を挿入し,骨鉗子およびドリルを用いて可及的に骨壁を切除した.術中,腫瘍は全摘できたと判断した.瘻孔を縫合閉鎖し,鼻内に止血用ガーゼを挿入して手術を終えた.本症例は,口腔外科領域での手術への内視鏡導入の有用性を示すとともに,口腔外科医と耳鼻咽喉科医との合同手術の必要性を示すモデルケースであると考えられた.
[原著]
  • 善家 雄吉, 大茂 壽久, 目貫 邦隆, 山中 芳亮, 村井 哲平, 古川 佳世子, 酒井 昭典
    2014 年 36 巻 4 号 p. 257-264
    発行日: 2014/12/01
    公開日: 2014/12/13
    ジャーナル フリー
    2006年4月~2012年3月までの6年間で,掌側ロッキングプレート(VLP)を用いて手術を行った橈骨遠位端骨折のうち,術後に腱断裂と診断した6症例(男性1例,女性5例,平均年齢57.0歳(33~70歳))を対象とした.骨折型はAO( Arbeitsgemeinschaft fur Osteosynthes)分類で,A2-1例,A3-4例,C2-1例(*A:関節外骨折,C:関節内骨折),平均手術待機期間は2.7日であった.腱断裂(長母指伸筋腱(EPL)・長母指屈筋腱(FPL))発生時期,スクリュー突出の有無,背側天蓋骨片の有無,設置位置などについて検討した結果,EPL断裂4例,FPL断裂2例であった.発生時期は,平均86.8日(1~182日)であった.明らかなスクリュー突出は,EPL断裂4例中1例(16.7%)に認められた.また,背側天蓋骨片が2例(50%)に存在し,いずれも転位の大きい症例であった.プレート設置位置不良がFPL断裂2例中2例 (100%)に認められた.以上より,VLP固定で治療した橈骨遠位端骨折に合併した腱損傷の頻度は決して少なくはなく,その予防については,発症原因を十分に理解したうえで,技術的に防げる点について注意を払う必要がある.
[総説]
  • 前川 智, 野村 亮介, 村瀬 貴之, 安 泰善, 麻植ホルム 正之, 原田 大
    2014 年 36 巻 4 号 p. 265-272
    発行日: 2014/12/01
    公開日: 2014/12/13
    ジャーナル フリー
    急性胆嚢炎は,胆嚢に生じた炎症性疾患である.炎症は胆嚢局所に留まることが多いが,炎症の悪化に伴い致死的な経過を取る場合もある.中等症以上の急性胆嚢炎に対しては,腹腔鏡下胆嚢摘出術が推奨されるが,高齢あるいは全身状態不良のため手術困難な症例も多い.そのような症例に対して,経皮経肝胆嚢ドレナージ(percutaneous transhepatic gallbladder drainage: PTGBD)が一般的に行われるが,出血などの重篤な合併症をきたす可能性や,特に高齢者では自己抜去の危険性もある.これまでに肝移植前の急性胆嚢炎に対する内視鏡的胆嚢ステント留置術(EGBS: endoscopic gallbladder stenting)の有用性の報告があり,最近では手術困難症例に対する恒久的留置としての役割が期待されている.本稿では急性胆嚢炎に対する内視鏡的胆嚢ステント留置術について解説する.
[報告]
  • 久保 達彦
    2014 年 36 巻 4 号 p. 273-276
    発行日: 2014/12/01
    公開日: 2014/12/13
    ジャーナル フリー
    厚生労働省が実施する労働安全衛生特別調査(労働者健康状況調査)と総務省が実施する労働力調査を基に,我が国の深夜交替制勤務者数の推計を行った.検討の結果,我が国において雇用者に占める深夜業従事者割合は平成9年13.3%,平成14年17.8%,平成19年17.9%,平成24年21.8%と一貫して増加しており,最新調査年である平成24年においては1,200万人の労働者が深夜業に従事していると推計された.交替制勤務従事者と,深夜業を含む交替制勤務者の雇用者に占める割合も一貫して増加傾向にあった.
[症例報告]
  • 成澤 学, 岡田 洋右, 新生 忠司, 久能 芙美, 田中 良哉
    2014 年 36 巻 4 号 p. 277-283
    発行日: 2014/12/01
    公開日: 2014/12/13
    ジャーナル フリー
    今回繰り返す心不全病態が,緩徐に増大して機能性を伴った甲状腺腫瘍(Plummer病)による甲状腺機能亢進症を隠蔽していた無表情型甲状腺機能亢進症の1例を経験したので報告する.症例は81歳女性.心不全で入院時,甲状腺機能亢進を認めて当科紹介.76歳で慢性心房細動による心不全発症.翌年free thyroxine 4 (FT4) 3.30 ng/dlと高値であったが症状なく,抗甲状腺自己抗体陰性,エコーでは左葉下極に内部血流の乏しい32 mmの腫瘍を認めたが自然にFT4 2.60 ng/dlと軽快し一過性甲状腺炎として経過観察となる.しかし4年間で腫瘍は41 mmへ増大し,甲状腺シンチグラフィーでPlummer病と診断.心不全の増悪因子であり抗甲状腺薬で治療開始し,FT4 低下,心不全頻度も減少した.緩徐な腺腫増大でPlummer病を発症し,高齢,心房細動,繰り返す心不全が甲状腺機能亢進の病態を隠蔽する稀な1例であった.高齢者に心不全や心房細動を認める際は甲状腺機能亢進症を常に鑑別する必要がある.
[報告]
  • 岸川 禮子, 押川 千恵
    2014 年 36 巻 4 号 p. 285-288
    発行日: 2014/12/01
    公開日: 2014/12/13
    ジャーナル フリー
    第45回日本職業・環境アレルギー学会総会・学術大会は2014年福岡市において,日本医師会の研修会と共に開催した.今回の学会は,認定産業医に職業・環境アレルギー疾患をより深く理解していただく事を目的として,産業医学では高濃度の職場環境物質のヒトへの中毒性・毒性および職業・環境アレルギー学では低濃度の化学・生物物質による感作・アレルギー発症が焦点となる.いずれもヒトの健康への影響の軽減や安全性の確立が重要である.職業・環境アレルギー学会は1970年から開催され現在に至っている.群馬県のこんにゃく製造時に排出されるマイコによる気管支喘息や広島県の牡蠣養殖業者におけるホヤ喘息などの重症職業喘息を解明・撲滅したことが当学会の有名な業績である.さらに職業性の喘息・鼻炎,皮膚炎などのアレルギー疾患も個別の対応が予防に繋がる.アレルギー素因のある従業員の疾患の発症を予防し,アレルギー疾患を持つ従業員に適応する職場配慮は,職場環境の質が向上する.現在,産業医学分野における印刷業者の胆管癌発症例やアスベスト暴露による発癌性などへの危険性の関心が高まっている.従業員の健康と安全を守るために,職場環境の指導者の豊富な知識が望まれる.
[症例報告]
  • 青山 雄一, 大田 信介, 榊 三郎, 西澤 茂, 藤田 豊久
    2014 年 36 巻 4 号 p. 289-294
    発行日: 2014/12/01
    公開日: 2014/12/13
    ジャーナル フリー
    51歳の男性,高血圧などの既往はなかった.2012年11月下旬に突然の意識障害にて救急搬送.外傷の機転や頭頸部痛はなかった.意識レベルは傾眠,全失語と上下肢に1/5の右片麻痺を認めた.頭部Magnetic Resonance Imagingでは拡散強調画像(DWI)で左中大脳動脈(MCA)領域の広範な高信号を認め,Magnetic Resonance Angiography(MRA)では左内頸動脈(IC)の頸部からの信号の途絶と前交通動脈を介した左血流信号の左MCAのM1部での途絶を認めた.心電図では不整脈などの異常はなく,頸部左ICの急性閉塞と塞栓性脳梗塞が疑われた.エダラボン,アルガトロバンを使用し,血圧管理も行いつつ治療を行った.発症3日後の頭頸部MRAにて左中大脳動脈M1部の再開通,左頭蓋外ICの閉塞と同部血管壁の出血性変化を認め,特発性頭蓋外内頸動脈解離が疑われた.約2週間後の血管造影では解離部の再開通と数珠状変化(pearl & string sign)を認めた.発症4か月後には神経症状はほぼ消失し,解離部も良好に再構築された.
[短報]
  • 北村 尚人, 中谷 淳子, 中田 光紀
    2014 年 36 巻 4 号 p. 295-300
    発行日: 2014/12/01
    公開日: 2014/12/13
    ジャーナル フリー
    勤労者の睡眠問題と主観的健康感(以下,健康感)の関連を明らかにするために,日本人43,092人(男性34,164人,女性8,928人)を対象に質問紙調査を行った.健康感と睡眠問題の関連は多重ロジスティック回帰分析により解析し,オッズ比(OR)を求めた.男女間で健康感を「あまり良くない,非常に良くない」と答えた人の割合に有意な差があったため(男性29.4%,女性34.1%,P < 0.001),男女別に解析した.睡眠問題なしの者に比べ,睡眠6時間未満(OR = 男性1.39,女性1.40),入眠困難(OR = 男性4.44,女性3.85),中途覚醒(OR = 男性5.72,女性4.85),早朝覚醒(OR = 男性3.87,女性4.25),起床困難(OR = 男性3.30,女性3.40),起床時疲労感(OR = 4.97,女性4.82)および仕事中の過度の眠気(OR = 男性2.34,女性2.11)を有する者は有意に健康感が悪かった.睡眠問題と健康感の関連の強さは男女差が認められなかった.本研究により,勤労者において睡眠問題と健康感は関連することが示された.
[第36巻(1-4号) 総目次]
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