Journal of UOEH
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37 巻, 1 号
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[原著]
  • 谷山 ゆかり, 中村 亜里沙, 山内 武紀, 竹内 昌平, 黒田 嘉紀
    2015 年 37 巻 1 号 p. 1-10
    発行日: 2015/03/01
    公開日: 2015/03/14
    ジャーナル フリー
    今回の研究の目的は,製造業の交代勤務者の中で交代勤務障害と寝付きと関連する環境や身体要因を,調査することである.全556名の男性労働者が,年齢や交代勤務経験年数, ライフスタイル,家族構成,エプワース眠気尺度(ESS),ピッツバーグ睡眠質問票(PSQI),朝型夜型質問紙,入眠感影響要因調査に関する自記式質問紙に回答した.我々は交代勤務障害の有無で分類し,各調査項目を比較した.交代勤務障害と診断されたのは,交代勤務者のうち208名(62.8%)だった.ESS点数とPSQI点数の平均値および入眠感影響要因点数の平均値は,交代勤務障害の有る労働者の方が交代勤務障害の無い労働者よりも有意に高くなっていた.ロジスティック回帰分析では,ESS点数と入眠感影響要因点数が交代勤務障害とポジティブに関連していた.我々は製造業における交代勤務障害の耐性に,入眠感影響要因が関係している可能性を示唆した.
[症例報告]
  • 吉川 真理, 中西 芳応, 河村 好香, 松尾 圭介, 佐伯 満, 和田 太
    2015 年 37 巻 1 号 p. 11-15
    発行日: 2015/03/01
    公開日: 2015/03/14
    ジャーナル フリー
    脳性麻痺(痙性両麻痺)の14歳女性が右足部痛を主訴に受診し,舟状骨中央3分の1の疲労骨折と診断した.尖足歩行により舟状骨へ繰り返しもたらされる負荷が原因と考え,骨接合術に加えてアキレス腱延長術を行い,尖足を矯正した.脳性麻痺で舟状骨疲労骨折を受傷した症例は我々が文献を調べたかぎりでは報告されていない.麻痺性尖足の脳性麻痺患者が足部痛を訴えた際には舟状骨疲労骨折の可能性も考慮するべきである.
  • 田尻 亮祐, 植田 多恵子, 青山 瑶子, 櫻木 俊秀, 遠山 篤史, 岡部 佳介, 中川 瞳, 金城 泰幸, 蜂須賀 徹
    2015 年 37 巻 1 号 p. 17-22
    発行日: 2015/03/01
    公開日: 2015/03/14
    ジャーナル フリー
    症例は31歳,0経妊0経産.不妊を主訴に当科初診された.不妊期間は3年間あり,精査の結果完全中隔子宮が指摘された.中隔子宮以外にその他の不妊の原因となりうる異常は指摘されず,子宮鏡下子宮中隔切除術が実施された.手術は腹腔鏡補助下に行われ,合併症なく終了した.また,腹腔鏡補助下の手術であったため,術中に卵管通色素検査を施行し,両側卵管の通過を確認できた.術後にIUDを子宮内に挿入し,月経が2回起こるまで不妊期間を設け,その後抜去した.IUD抜去翌月,術後3か月で妊娠成立を確認し,現在当科にて妊娠経過観察中である.
[原著]
  • 太田 雅規, 樋口 善之, 神代 雅晴, 大和 浩, 杉村 久理
    2015 年 37 巻 1 号 p. 23-32
    発行日: 2015/03/01
    公開日: 2015/03/14
    ジャーナル フリー
    ストレス対処能力の違いに着目し,労働適応能力の向上に有用な職場環境の改善項目を検証することを目的とした.対象者は,某IT企業の労働者1,330名とした.2011年と2012年に労働適応能力指標(WAI)と3項目版の首尾一貫感覚についての質問票(SOC),メンタルヘルス改善意識調査票(MIRROR)より構成された質問票の回答を得た.また,2013年に再度WAIの回答を得た.2011年のSOCスコアの中央値で高SOC群と低SOC群の2群に分け,2011年から2013年の2年間でのWAIの改善および悪化に寄与した要因として,MIRRORの各項目の変化が及ぼす影響について検証した.その結果,WAIスコア向上には,ストレス対処能力が低い場合は,教育や訓練の機会を積極的に与え,通勤のストレス軽減に取り組み,業務の明確化を行い,トラブル発生時の支援体制の確立が有用であることが示唆された.ストレス対処能力が高い場合には,仕事に裁量度を与え,能力を向上するための研修・訓練の機会を与え,責任体制を明確にすることが有用であることが示唆された.以上から,日本のIT企業において,ストレス対処能力に基づいて職場環境を改善することは,労働者の労働適応能力を高めることができると考えられる.
[総説]
[症例報告]
  • 松崎 公信, 白石 渉, 岩永 育貴, 山本 明史
    2015 年 37 巻 1 号 p. 43-47
    発行日: 2015/03/01
    公開日: 2015/03/14
    ジャーナル フリー
    症例は55歳,アルコール多飲歴のある男性で,来院の数日前からほとんど食事を摂取していなかった.自宅で突然意識障害を呈し当院に救急搬送された.来院時は意識障害を呈しており,検査所見で著明な低血糖とβ-ヒドロキシ酪酸優位のケトアシドーシスを認めた.生活状況も勘案してアルコール性ケトアシドーシス(AKA)と診断した.ブドウ糖投与と補液で症状は速やかに改善した.AKAは腹痛,悪心,嘔吐などの症状を呈するが,アシドーシスの程度に比して意識清明であることが多いとされる.しかし本症例では,低血糖を合併したために意識障害を呈した.本症例の低血糖の原因として,経口摂取不良の関与が疑われた.アルコール多飲状態では,糖質摂取量の低下,糖新生の抑制,肝グリコーゲンの貯蔵不足などの要因から本症例のように低血糖を生じ,時にAKAと合併する.今回われわれは,AKAに著明な低血糖を合併した症例を経験したため,考察を加えて報告する.
  • 久能 芙美, 岡田 洋右, 新生 忠司, 黒住 旭, 田中 良哉
    2015 年 37 巻 1 号 p. 49-53
    発行日: 2015/03/01
    公開日: 2015/03/14
    ジャーナル フリー
    症例は42歳女性.動悸・発汗過多・手指振戦のため2011年3月に来院.甲状腺刺激ホルモン(thyroid stimulating hormone; TSH) < 0.01 μU/ml,遊離サイロキシン (free thyroxine; FT4) 6.15 ng/ml,抗TSH受容体抗体 (TSH receptor antibody; TRAb) 7.8 U/ml の検査所見よりバセドウ病と診断し,メチマゾール 30 mg,プロプラノロール30 mg 内服を開始し甲状腺機能は改善した.しかし,躁症状,易刺激性,幻覚妄想が顕著となり2011年5月医療保護入院となった.アリピプラゾール24 mgおよびリチウム400 mg内服を開始したが,幻覚・妄想症状が遷延し抗精神病薬の調節を要した.甲状腺機能改善に遅れ,2011年7月に精神症状は改善し退院.退院後はメチマゾール10 mg内服で甲状腺機能は正常化を維持し,抗精神病薬内服は中止できた.バセドウ病では気分や活動性の変化などの気分障害が多いが,本例のように幻覚妄想など本格的な精神症状が主徴となり入院加療まで要した報告は少ない.バセドウ病に伴う症状精神病では精神症状が遷延する可能性があり,精神科専門医との綿密な連携が重要である.
  • 山本 直, 岡田 洋右, 新生 忠司, 田中 良哉
    2015 年 37 巻 1 号 p. 55-60
    発行日: 2015/03/01
    公開日: 2015/03/14
    ジャーナル フリー
    症例は56歳女性.外傷を契機に全身倦怠感や悪心・嘔吐が出現し近医入院.高カルシウム血症を伴う意識障害や全身の皮疹が出現したため当科転院となった.臨床症候(意識障害,食欲不振,悪心・嘔吐,血圧低下,発熱)および検査所見(血中cortisol 1.2 μg/dl と低値,高カルシウム血症11.0 mg/dl,末梢血好酸球増多1,600 /μl )より副腎皮質機能低下症と診断.皮膚生検で好酸球浸潤を認め,最終的にprednisolone 30 mg/day内服により上記症状は改善した.同症で認められる一般検査所見として高カルシウム血症および末梢血好酸球増多が知られているが,本例のように著明な症状を呈することは稀であるので報告する.
[抄録集]
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