近年,末梢肺病変の診断率改善のためにガイドシース併用気管支腔内超音波断層法(endobronchial ultrasonography with a guide sheath(EBUS-GS))は汎用される手技となっている.本研究ではEBUS-GSを用いた末梢型肺癌の診断関連因子を後ろ向きに検討した.2014年8月から2015年9月に産業医科大学病院呼吸器内科でEBUSGSを行い,最終的に原発性肺癌と診断した症例(76例)を対象とした.末梢型肺癌の診断率は71.1%であった.診断に関連した因子として,病変の位置,大きさ,性状,bronchus signの有無,EBUSプローブの位置,EBUS所見検出の有無,生検回数,検査時間,仮想気管支鏡ナビゲーションの使用,超音波気管支鏡ガイド下針生検併用の有無,CTスライスの厚さ,術者の医師経験年数,国立がん研究センターでの気管支鏡修練(前後)について検討した.病変の大きさ ≧ 20 mm( 80.8% vs. 50.0%,
P = 0.006),EBUSプローブの位置 “within”(90.0% vs. 50.0%,
P < 0.001),EBUS所見検出あり(80.7% vs. 28.6%,
P < 0.001),生検回数 ≧ 5回(78.0% vs. 47.1%,
P = 0.013),気管支鏡修練後(81.6% vs. 60.5%,
P = 0.043)において有意に診断率が高かった.多変量解析では,EBUSプローブの位置 “within”( オッズ比14.10, 95%信頼区間3.53 - 56.60,
P < 0.001),気管支鏡修練(オッズ比6.93, 95%信頼区間1.86 - 25.80,
P = 0.004)の順に診断に寄与していた.EBUS-GSを用いた末梢型肺癌の診断率向上には,EBUSプローブの位置が病変に入っている状態(within)であること,気管支鏡修練度の向上が有用と考えられた.
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