Journal of UOEH
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39 巻 , 1 号
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  • 新生 忠司, 岡田 洋右, 鳥本 桂一, 須貝 慧, 大塚 隆史, 黒住 旭, 田中 良哉
    原稿種別: [原著]
    2017 年 39 巻 1 号 p. 1-9
    発行日: 2017/03/01
    公開日: 2017/03/23
    ジャーナル フリー

    シタグリプチン(sitagliptin; S)50 mgで効果不十分な2型糖尿病患者をS 100 mgに増量する群とミチグリニドカルシウム水和物・ボグリボース(mitiglinide calcium hydrate/voglibose)配合錠(M/V)に変更する群とに分け,両薬剤の特徴や差異を明らかにする.S 50 mgにて加療中のHbA1c 6.5%以上の2型糖尿病患者5名にM/Vに切替群,S 100 mg増量群に無作為に割り付け,5日間投与後にクロスオーバーを行う.主要評価項目は,平均血糖変動幅(MAGE),副次評価項目は24時間平均血糖,血糖200 mg/dl 以上,70 mg/dl 未満出現頻度,午前0時~午前7時平均血糖,午前7時~午前0時平均血糖,最大血糖,最小血糖,各食前血糖,食後血糖上昇幅とした.MAGEは,M/VでP = 0.016と有意に低かった.24時間平均血糖,午前0時~午前7時平均血糖,午前7時~午前0時平均血糖に差は無かったが,午前0時~午前7時平均血糖はS 100 mgで低い傾向が見られた.血糖70 mg/dl 未満はなく,血糖200 mg/dl 以上の時間はM/VでP = 0.041と有意に短かった.最大血糖はM/VでP = 0.043と有意に低く,最小血糖はS 100 mgでP = 0.043と有意に低かった.朝食後,昼食後血糖上昇幅に差はないが,夕食後と平均の食後血糖上昇幅はM/Vで各々P = 0.090,0.045と有意に低かった.2型糖尿病患者では,M/Vへの変更で平均血糖変動幅や食後高血糖が改善し,S 100 mgへの増量では深夜から早朝の血糖が低下する特徴が明らかになった.この研究は,大学病院医療情報ネットワーク(UMIN)に登録された(No.UMIN R000008274).

  • 樫山 国宣, 園田 信成, 尾辻 豊
    原稿種別: [総説]
    2017 年 39 巻 1 号 p. 11-24
    発行日: 2017/03/01
    公開日: 2017/03/23
    ジャーナル フリー
    心筋梗塞をはじめとする虚血性心疾患は,主に粥状動脈硬化を基盤に発生し,その主な危険因子は,高血圧,脂質異常,糖尿病,肥満,喫煙である.これまで,我が国の虚血性心疾患の発症率は,生活習慣や冠動脈の解剖学的な違いから,欧米(男性7.2,女性4.2人/1,000人・年)に比べ日本は(男性1.6,女性0.7人/1,000人・年)と低かったが,近年,生活習慣の欧米化によって状況は変化し,現在では心血管病による死亡は我が国の死因の2位,虚血性心疾患による死亡は全心血管病による死亡の4割を占めるようになった.特に心筋梗塞の既往のある患者では,心筋梗塞再発のリスクが2.5%と高く,心筋梗塞の2次予防のために冠危険因子の厳格な管理が必要であり,冠危険因子の管理実行について多くの治療指針やガイドラインが整備されているが,いまだ問題も多い.脂質管理について,low density lipoprotein(LDL)低下療法による虚血性心疾患の予防効果が証明され,動脈硬化疾患予防ガイドラインが策定されたが,2次予防を行っている患者の中でLDL目標値100 mg/dl を達成しているのは3分の1にとどまるという報告もある.また,虚血性心疾患の高リスク患者にさらに低いレベルの目標値が必要か否かは明らかではない.糖尿病も,厳格な血糖コントロール群で死亡率が5.0%と上昇(標準治療では4.0%)を認め,血糖コントロールの開始時期(早期の治療開始)や,評価指標(HbA1cや食後血糖),治療薬剤選択(ビグアナイド系薬剤やDPP-4阻害薬)についてもまだ議論の余地がある.現行の治療ガイドラインに従い,血圧では家庭血圧135/85 mmHg未満,脂質ではLDL-C 100 mg/dl 未満,high density lipoprotein(HDL) 40 mg/dl 以上,TG 150 mg/dl 未満,糖尿病では,HbA1c(NGSP)7.0%未満を目標に厳格な管理を行うことが,虚血性心疾患の2次予防として有効である.
  • 馬田 敏幸
    原稿種別: [総説]
    2017 年 39 巻 1 号 p. 25-33
    発行日: 2017/03/01
    公開日: 2017/03/23
    ジャーナル フリー

    将来の新エネルギーを創出すると期待されている核融合技術には,燃料となるトリチウムが大量に使用され,放射線作業従事者のトリチウムによる被曝が懸念される.また福島第一原子力発電所の廃炉作業の工程では,発生しているトリチウム汚染水対策による,作業従事者の健康問題が懸念されている.トリチウム被曝の形態は,低線量・低線量率の内部被曝が想定されるが,経口・吸入・皮膚吸収により体内に取り込まれたトリチウム水は,全身均一に分布することから影響は小さくないと考えられる.さらに有機結合型トリチウムは生体構成分子として体内に蓄積され,長期被曝を生じるので,トリチウムの化学形の考慮は重要となる.トリチウムの生体影響を検討するために,生物学的効果をX線や γ線と比較する必要があり,トリチウムの生物学的効果比(RBE)の研究が多くされてきた.本総説では,確率的影響に分類される放射線発がんや,発がんの原因となる突然変異など生物効果を指標にして得られたRBEについて紹介する.加えて,近年開発されてきた,低線量・低線量率被曝の生物影響を検出可能な遺伝子改変マウスを使った動物実験系の原理と,トリチウム実験の概要についても紹介する.

  • 落合 信寿, 近藤 寛之
    原稿種別: [総説]
    2017 年 39 巻 1 号 p. 35-45
    発行日: 2017/03/01
    公開日: 2017/03/23
    ジャーナル フリー

    職場や生活環境に見られる視覚表示の色には,安全確保のために,色彩の見えの効果が利用される.これらの効果は,色彩の機能性と総称され,視認性,可読性,誘目性,識別性の4種類に分類される.本稿では,産業安全および環境安全に関わる視覚表示の色彩設計に利用される色彩の機能性と,眼科学で問題とされる色覚異常(特に先天赤緑異常)との関連に着目し,色彩の機能性が1型色覚における赤の知覚に及ぼす影響について考察した.日本の眼科臨床においては,現在,急激な制度改革の影響により,先天赤緑異常への対応が不十分な状況にある.一方,職域における色覚異常への対応は,これまでほとんど顧みられることはなく,今後,解決すべき産業安全衛生の問題である.この問題解決を図るための一つのモデルとして,英国HSE(Health and Safety Executive)が定めた色覚検査に関するガイドラインの先駆的事例を紹介した.また,日本の眼科臨床に即したガイドライン作成に関わる問題点についても考察し,産業安全および環境安全に色彩の機能性を利用した視覚表示における色覚異常への対応について論じた.

  • 中村 早人, 一瀬 豊日, 酒井 昭典
    原稿種別: [報告]
    2017 年 39 巻 1 号 p. 47-54
    発行日: 2017/03/01
    公開日: 2017/03/23
    ジャーナル フリー

    産業医科大学の卒業生について,産業医業務の現状と従事する産業医などの意識を把握する目的から,調査票によるアンケート調査を2001年7月と2008年7月に行い,その結果を報告した((2009)産業医科大学雑誌 31: 281-91).2015年7月に同様のアンケート調査を実施した.産業医科大学卒業生で産業医や労働衛生機関医など産業医学に関与する医師に調査票を送付して回答を依頼した.調査内容は産業医などの経歴や活動内容,業務に対する考え方などの集計を行い下記の結果を得た.1)現在の処遇として給与や職位などは,妥当と考えている割合がそれぞれ38.3,48.1,65.4%と増加していた.2)職位が上がる可能性に関して,職位が上がることはないと回答した割合は,25.3,28.4,32.3%と増加していた.3)上司・産業保健スタッフとの関係は,特に問題はないと回答した割合が70.8,80.3,86.1%と増加していた.2001年7月から7年おきに行った調査から職位が上がることはないと思っている割合は徐々に増加しているものの,上司や産業保健スタッフとの関係は良好で給与や職位など処遇で満足している卒業生産業医の割合は,徐々に増えている実態が明らかとなった.

  • 白石 朝子, 石本 裕士, 赤田 憲太朗, 川波 敏則, 矢寺 和博, 迎 寛
    原稿種別: [症例報告]
    2017 年 39 巻 1 号 p. 55-61
    発行日: 2017/03/01
    公開日: 2017/03/23
    ジャーナル フリー

    症例は慢性副鼻腔炎と関節リウマチの既往がある50歳女性.緑膿菌による下気道感染症を繰り返し当科を受診した.胸部CTではびまん性汎細気管支炎様の肺病変が認められ,血清human T-lymphotrophic virus type 1(HTLV-1)抗体が陽性であった.関節リウマチに対しては生物学的製剤使用後であり,消炎鎮痛剤の内服のみで疾患制御は良好であった.肺病変に対してマクロライド少量長期療法を4年間施行したが,徐々に喀痰培養から検出される緑膿菌は多剤耐性化が進行し,下気道感染症は制御困難となり,さらにadult T cell leukemia(ATL)急性型を発症した.併存する耐性緑膿菌による下気道感染症が制御困難となり呼吸不全を伴うようになったためATLに対する積極的な全身化学療法は施行できず死亡した.剖検所見では,肺を含む多臓器に異型リンパ球の浸潤が認められ,HTLV-1感染によるATLの進行が本症例の病勢に大きく関与していた.びまん性汎細気管支炎類似の臨床背景を呈した関節リウマチとHTLV-1感染を合併した症例は検索範囲内ではなく,これらは類似した臨床像や画像所見を示すため,病態の鑑別が困難である.また,現在,肺病変合併症例に対するATLの全身化学療法の治療時期についての明確な基準はなく,今後の検討を要する.

  • 辻 慶子, 岩田 直美, 児玉 裕美, 萩原 智子, 鷹居 樹八子, 松本 真希
    原稿種別: [報告]
    2017 年 39 巻 1 号 p. 63-68
    発行日: 2017/03/01
    公開日: 2017/03/23
    ジャーナル フリー

    看護の学習を始めたばかりの学生にとって,医療現場を想定できず,看護を実践的に捉えることは難しい.ICT(information and communication technology)を用いた教材により,医療を行う場を仮想的に経験させ,理解力と思考力を育成することで,看護実践力の向上が期待される.著者らは,「仮想病棟」を用いた療養環境に関する教材開発に取り組んできた.先行研究において,臨床実習をまだ経験していない看護学生に仮想病棟の教材が有用であることを報告した.今回の研究は,患者にとって病室の天井デザインがもつ意味を学生に考えさせることを目的に,数種類の写真画像(題材)を天井画像として用いた仮想病室を作成した.学生が仮想病室の天井に用いる画像(天井画)として単体で見た際にもっとも適していると判断した題材であっても,病室の天井画像としてはめ込んだ同じ画を見た際に否定的意見が生じた.仮想病室の作成と提示により,「学生が,素材画を単体で見る時と,病室の天井画としてみるときでは評価に差があること」の気づきに役立つことが確認された.

  • 中澤 章, 唐 寧, 井上 嘉則, 上茶谷 若, 加藤 敏文, 齊藤 満, 小原 健嗣, 鳥羽 陽, 早川 和一
    原稿種別: [報告]
    2017 年 39 巻 1 号 p. 69-74
    発行日: 2017/03/01
    公開日: 2017/03/23
    ジャーナル フリー

    著者らが開発した繊維状吸着材(DAM不織布)は,両性イオン型高分子であるジアリルアミン‐マレイン酸共重合体(diallylamine-maleic acid copolymer: DAM)を含有し,繊維表面に水和層を形成する.本研究では,悪臭物質の一つである半揮発性有機酸(C1-C5)を対象に水溶液だけでなくガス状でもDAM不織布の吸着特性評価を行った.まず,水溶液中のギ酸はDAM不織布の水和層へ溶解した後,DAMのイミノ基との静電相互作用で吸着することがわかった.一方ガス状では,ギ酸,プロピオン酸,酪酸,吉草酸,イソ吉草酸について高い吸着能を有し,吸着量は曝露時間に依存して増加する傾向があった.ガス状有機酸に対する吸着も水溶液と同様の機序で生じていると考えられるが,さらに酢酸を除く有機酸の吸着速度定数と空気 / 水分配係数(log Kaw)が良好な相関性を有したことから,DAM不織布は大気中から不織布表面に形成される水和層へ移行性が高い親水性化合物に対するほど高い選択性をもつことが示された.

  • 産業医科大学
    原稿種別: [抄録集]
    2017 年 39 巻 1 号 p. 75-122
    発行日: 2017/03/01
    公開日: 2017/03/23
    ジャーナル フリー
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