Journal of UOEH
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39 巻, 4 号
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  • ホー ヨン, キム サンフン, イ スッキ, キム ヒョンア
    原稿種別: [原著]
    2017 年 39 巻 4 号 p. 249-258
    発行日: 2017/12/01
    公開日: 2017/12/16
    ジャーナル フリー

    多発再発性症状を伴う後天性の病態である,多種化学物質過敏症(MCS)はその多様な環境要因との関連性について研究が行われている.本研究は韓国の公共施設の勤労者と一般人の多種化学物質過敏症の自己申告有症率に関係する要因について調べた.公共施設の勤労者(530名)と一般人(500名)を対象にQuick Environmental Exposure Sensitivity Inventory(QEESI)質問票を用いてMCSの有症率とその危険度を調べた.被験者の人口統計的情報,シックビルディング症やシックハウス症ないしアレルギー(SBS/SHS/Allergy)についての被験者の理解,および家庭ないし職場での出来事についての情報も得た.QEESI質問票の評価点について公共施設の勤労者と一般人の間で,統計的有意差はなかった.MCSの全有症率は14.4%で,二群間で統計的有意差はなかった.全MCS危険度については,被験者の21.8%が “very suggestive”と分類されたが,これも二群間で統計的有意差はなかった.性別と被験者のSBS/SHS/ Allergyの認識がMCSの有症率と危険度の選別基準に影響する.韓国ではMCSの鑑別基準や処置法がないことを考慮すると,本研究結果はMCSの今後の対処法を確立するために活用できる.

  • 工藤 安史, 河野 啓子, 久米 龍子, 松橋 綾子, 堤 明純
    原稿種別: [原著]
    2017 年 39 巻 4 号 p. 259-269
    発行日: 2017/12/01
    公開日: 2017/12/16
    ジャーナル フリー

    看護師および准看護師は,看護専門職者としての教育を受けている.看護専門職者の勤労意欲を高めるには,専門家としての仕事に専念できる労働環境を作り出す必要性がある.このような環境を作るための1つの方法として,看護補助者を有効に活用することがあげられる.我々は看護専門職者の看護補助者に対する意識を調査し,これらの意識と勤労意欲との関連性について調査した.本研究の解析対象は,25病院(55床から458床)に勤務する2,170名の女性看護専門職者である.平均年齢は38.0歳(標準偏差,10.6)であった.看護専門職者の看護補助者に対する意識に関する因子分析によって,1. 医療に関連する知識,2. 仕事に対する姿勢,3. 人間関係,4. 看護専門職者の仕事と看護補助者の仕事の区別という4つの因子が抽出された.重回帰分析の結果,年齢が高くなるほど,看護補助者のおかげで高い勤労意欲を維持できているという気持ちは下がっていた.加えて,医療に関連する知識,看護補助者の仕事に対する姿勢,人間関係に満足しているほど,看護補助者のおかげで高い勤労意欲を維持できているという気持ちは高くなっていた.病院の経営者は,これらの知見を考慮して,看護専門職者の勤労意欲が高まるよう看護の労働環境を改善する必要がある.

  • 尾辻 健, 清水 智子, 遠藤 武尊, 金澤 綾子, 荒井 秀明, 長田 圭司, 原山 信也, 二瓶 俊一, 相原 啓二, 齋藤 光正, 蒲 ...
    原稿種別: [症例報告]
    2017 年 39 巻 4 号 p. 271-276
    発行日: 2017/12/01
    公開日: 2017/12/16
    ジャーナル フリー

    ウレアーゼ産生菌のため高アンモニア血症を来した報告は散見されるが,その多くは尿路感染症である.今回我々はウレアーゼ産生菌による感染性腸炎のため高アンモニア血症を来したと考えられた症例を経験した.症例は70歳代女性.近医で顕微鏡的多発血管炎と診断され当院へ紹介となった.ステロイド療法およびリツキシマブを開始して顕微鏡的多発血管炎は比較的落ち着いていたが,頻回の下痢および高アンモニア血症(324 µg/dl)を認め,昏睡状態となった.感染性腸炎および高アンモニア血症に対して,抗菌薬による加療およびアンモニアの解毒療法を開始したところ,血中アンモニアは47 µg/dlまで低下し意識は清明となった.高アンモニア血症の原因としては,肝機能障害や門脈体循環シャント,蛋白質過剰摂取,便秘は認めず,薬剤性の高アンモニア血症も否定的であり,ウレアーゼ産生菌によるアンモニア過剰産生が疑われた.本症例で提出した培養結果からはウレアーゼ産生能をもつ原因菌は特定できなかったが,培養で同定することが出来なかったウレアーゼ産生菌が,高アンモニア血症を引き起こしていた可能性が高いと考えられた.尿路感染症だけでなく,感染性腸炎においても,高アンモニア血症の原因としてウレアーゼ産生菌による影響を考慮する必要がある.

  • 岡﨑 龍史, 太神 和廣, 横尾 誠, 香﨑 正宙
    原稿種別: [原著]
    2017 年 39 巻 4 号 p. 277-290
    発行日: 2017/12/01
    公開日: 2017/12/16
    ジャーナル フリー

    2011年および2013年に行った福島第一原子力発電所事故の健康影響へのアンケート調査では健康影響への不安は,患児の保護者と放射線知識の高い医師や医学生とでは,患児の保護者の方がより強いことが確かめられた.福島県民健康調査事業で甲状腺検査によって,甲状腺がんが190名報告され,放射線影響の可能性に対する福島県民の不安は残っている.今回,事故後6年を経過後の放射線教育の受講状況や不安に対する調査を行うとともに,福島県内の患児の保護者に対して,放射線影響と福島県民健康調査事業での甲状腺検査についてアンケート調査を行った.全質問20項目の無記名自記式アンケートを福島県小児科医会各医療機関へ郵送し,受診した小児・青少年の保護者,および医療機関関係者から回答を得た.505部回収され,回収率は26.7%であった.患児の保護者では,「放射線教育を受けたことがない」が30%,「人体の影響についての教育を詳しく受けていない」が67%であった.患児の保護者では,「甲状腺がん」,「子どもへの健康影響」,「将来生まれてくる子や孫への遺伝的な影響」の項目に対し,医療従事者に比べ不安が高い傾向にあった.現状での甲状腺がんの発症は,原発事故による放射線影響と考え,甲状腺検査の継続を望む者が多いことが判明した.

  • 市来 嘉伸, 岩浪 崇嗣, 柿添 圭成, 濱津 隆之, 末廣 剛敏, 米田 和恵, 田中 文啓, 杉町 圭蔵
    原稿種別: [報告]
    2017 年 39 巻 4 号 p. 291-297
    発行日: 2017/12/01
    公開日: 2017/12/16
    ジャーナル フリー

    近年,癌免疫療法の発展は著しく,免疫チェックポイント阻害剤の臨床効果も多数報告されている.これらの薬剤は,殺細胞性抗癌剤や分子標的薬に抵抗性を示す進行肺癌においても治療効果を発揮し,全生存期間の延長をもたらす優れた治療法である.今回,当科で免疫チェックポイント阻害剤の1つである抗programmed cell death 1(PD-1)抗体を投与した肺癌症例10例を解析し,文献的に考察した.当科にて,進行・再発非小細胞肺癌に対して,抗PD-1抗体であるnivolumab投与を行った10例について後方視的に検討した.症例は男性6例,女性4例で,腺癌7例,扁平上皮癌2例,多形癌1例であった.腺癌はすべてepidermal growth factor receptor(EGFR)wild type,anaplastic lymphoma kinase(ALK)融合遺伝子陰性であった.切除不能肺癌9例,術後再発症例1例であり,2nd lineが8例,3rd lineが1例,4th lineが1例であった.nivolumabの平均投与回数は,7.4回であった.生存率はKaplan-Meier法を用いて計算した.nivolumabの治療効果は,partial response(PR) 2例,stable disease(SD) 4例,progressive disease(PD) 4例であった.この合計10例のデータであるが,奏効率20%,病態制御率60%であった.median progression-free survivalは115日で,median overall survivalは126日であった.有害事象として,皮疹2例,発熱1例,全身倦怠感1例,肺障害1例に認めた.うち1例は重篤な有害事象で,grade 4のStevens-Johnson 症候群を認めたが,ステロイドパルス,ステロイド軟膏および点眼にて軽快した.進行・再発非小細胞肺癌10例に対してnivolumab投与を行い,2例の奏効した症例を経験した.一方,重篤な有害事象としてgrade4のStevens-Johnson 症候群を認めた.優れた効果が期待される一方,注意深い症例選択と経過観察が必要である.

  • 児玉 裕美, 石田 智恵美, 安酸 史子
    原稿種別: [報告]
    2017 年 39 巻 4 号 p. 299-308
    発行日: 2017/12/01
    公開日: 2017/12/16
    ジャーナル フリー

    中堅看護師の新人看護師への教育的役割行動と自己効力感の関係を明らかにすることを目的とした.中堅看護師の新人看護師への教育的役割行動はキャリアラダーや先行文献により抽出された13項目の行動とした.中堅看護師の新人看護師への13項目の教育的役割行動の実施に伴う中堅看護師の自己効力感の関係について,中堅看護師310名を対象に質問紙調査を実施し,spearmanの順位相関係数の検定,Mann-WhitneyのU検定またはKruskal-Wallis検定にて分析した結果,対象者の属性として過去のプリセプター(新人看護職員1人に対して決められた経験のある先輩看護職員)経験回数が4回以上の中堅看護師は,3回以下の中堅看護師より自己効力感が有意に高い行動は4つ(1.援助方法を指導する時に,具体的方法を示す,7.新人看護師に受容的に関わる,11.中堅看護師自身の看護実践能力の向上に努める,12.組織内の人間関係を調整する)のみとなり,看護師の通算の経験年数や当該部署の勤務年数とは関連がなかった.教育的役割行動の実施と自己効力感との関連は,13項目すべての教育的役割行動において, spearmanの順位相関係数が0.5~0.7と有意な結果であり,今回示した13項目の中堅看護師の新人看護師への教育的役割行動に,高い自己効力感を持つことは役割行動の実施に繋がると考えられる.また,中堅看護師の中でも単に経験があることで,役割行動がとれる,負担感が少ないと判断することなく,経験に関わらず平等な支援が必要であることが示唆された.

  • 岩田 輝男, 名部 裕介, 花桐 武志, 田中 文啓
    原稿種別: [症例報告]
    2017 年 39 巻 4 号 p. 309-312
    発行日: 2017/12/01
    公開日: 2017/12/16
    ジャーナル フリー

    症例は45歳の男性.転落外傷後の意識障害のため気管挿管となり気管切開が行われた.受傷の2ヶ月後に気管切開チューブを抜去されたが,その1年後に気道狭窄症状が出現し,瘢痕組織による硬い狭窄であり気管管状切除術を施行した.3軟骨輪の気管を切除したところ中心部はピンホール状の狭窄を呈していた.狭窄原因としては気管チューブのカフによる圧迫壊死が考えられた.術後経過良好で,術後気管支鏡検査で狭窄や吻合不全の所見を認めなかった.瘢痕性気道狭窄への気管管状切除術の施行例は稀であるが有効である.

  • 2017 年 39 巻 4 号 p. 313-
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/12/16
    ジャーナル フリー
  • 2017 年 39 巻 4 号 p. 315-324
    発行日: 2017/12/01
    公開日: 2017/12/16
    ジャーナル フリー
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