Journal of UOEH
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4 巻 , 4 号
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  • 土井 規靖
    原稿種別: 原著
    1982 年 4 巻 4 号 p. 399-407
    発行日: 1982/12/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    妊娠23週から41週までの長期間にわたって個々の妊娠週数毎の胎児陰嚢像・陰茎像・大陰唇像の作像可能率を求めた報告は見当たらない. ここでは妊娠23週から41週まで各妊娠週数毎の胎児陰嚢像・陰茎像・大陰唇像・M型像・F型像の作像可能率を求め, 各像を観察するのに最も適した時期を求める事を目的として本研究を行った. 620例の分娩について妊娠中に総計3,039回超音波断層法を施行し, 第1操作法(骨盤底APG横断操作)と第2操作法(骨盤底前額断断層操作)により, 胎児APG像を作像しM型像・陰嚢像・陰茎像・F型像・大陰唇像について妊娠週数毎の作像可能率を頭位について求めた. 誤認例・双胎例についても同時に検討し次の結果を得た. 1) 各妊娠週数毎の各像の第1および第2操作法による作像可能率が求められ, 各像を観察するのに適当な時期が求められた.2) 全体として, 頭位で90.4%(男性胎児), 95.6%(女性胎児)の正診率を示した. 3) 双胎は9例であり,2例(胎児数にすると18例中2例)は性別判定不能であり, その原因は破水による羊水の流出と妊娠早期の子宮内胎内死亡によるものであった. 4)誤認は6例であり, 男児を女児と判定したのが6例中5例であった. これらの結果は頻回の検査により是正された.
  • 東 監, 畠山 秀丸, 本田 良宜
    原稿種別: 原著
    1982 年 4 巻 4 号 p. 409-415
    発行日: 1982/12/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    14C〕ベンゾ(a)ピレン(B(a)P), ミクロソーム, NADPH再生系を, 大量のDNAおよびタンパク質とin vitroでインキュベートし, 水可溶性となった代謝産物の総量, および, 活性化された後, DNA, タンパク質などの生体高分子に共有結合した. B(a)Pの量を同時にしかも簡単に測定できる方法を考案した. 正常マウス肝およびPCB処理マウス肝より得たミクロソームで, 時間経過, ミクロソーム量とB(a)Pの代謝活性, PCB処理による代謝活性の亢進などで, この方法の妥当性を確認した. この方法により, 未知の生物材料のミクロソームが, どの程度化学発癌剤を活性化し, DNAと付加物を形成するかを簡便に定量的に評価することができる.
  • 唐崎 裕治, 東 監
    原稿種別: 原著
    1982 年 4 巻 4 号 p. 417-424
    発行日: 1982/12/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    発がん物質として現在なお広く我々の環境中に存在するベンゾ(a)ピレン(BP)が, 高等植物のマイクロソーム画分によって活性化を受けるかいなかについての研究を行った. 植物としてはキクイモ(Jerusalem artichoke)およびチューリップの球根を用いた. また比較としてrat liverのマイクロソームによるBPの代謝についても測定を行った. BPの代謝産物の標準物質との比較から, rat liverについては従来の研究と同一の代謝のパターンが得られたが, 植物の場合では, 主にBP-キノン, BP-フェノールが形成され, BP-ジオール誘導体は観察されなかった. またrat liverとは逆に植物ではBP-キノンの生成量はBP-フェノールの生成量より大であった. チューリップでは, BP-9, 10-ジオールとBP-4, 5-ジオールとの間に未知のピークが再現性よく観察されたが, 現在のところ誘導体の性質については不明である. 以上のことから,動物と植物の間ではBPの活性化の機構はかなり異なると思われる.
  • 中西 こずえ, 北沢 右三
    原稿種別: 原著
    1982 年 4 巻 4 号 p. 425-434
    発行日: 1982/12/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    北九州市の人為による生態系の破壊と再生の系列に沿って6種の生態系型を調査地に選び蘇苔類の種類組成, 常在度, 被度を調べて比較研究した. 種数は産業医科大学構内のコンクリート舗装路の割れ目(2種), 低木の植込み(4種), 平坦地の芝生(7種), 斜面の芝生(12種), 構内の二次林(18種), 遠賀町のシイ自然林(23種)の順に増加した. 苔類は二次林(3種)と自然林(10種)のみに出現した. 舗装路の割れ目にはギンゴケ, ホソウリゴケが進入し, 植込みと芝生にはそれ以外にハリガネゴケ, ヤノウエノアカゴケ, ツチノウエノコゴケ, ネジクチゴケなどがみられる. これらは群落遷移における先駆的な種類であると共に, 大気汚染などの人為影響にもよく耐えうる. 芝生では平坦地よりも, 特に北向きの斜面に種数, 量とも多い. シイ自然林の蘇苔類はその大部分が山地など人為影響の最も少ない地域に出現する種類である. 産業医大構内では, 残存二次林の内に自然林との共通種が6種あったが, それ以外の地域には, シイ自然林との共通種は全く出現していない.
  • 杉田 篤生, 小津 堅輔, 岡村 知彦, 金子 保幸, 加藤 雅久, 渡邊 一夫, 北原 淳詞, 松下 昌人, 星 宣治
    原稿種別: 原著
    1982 年 4 巻 4 号 p. 435-439
    発行日: 1982/12/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    産婦人科手術後に発生した尿管腟瘻7例を対象として腟造影法を施行し, 6例において瘻孔ならびに患側腎孟尿管の描出に成功した. 本造影法によって, 尿管における瘻孔形成の部位, 瘻孔形成部周辺の状態, 瘻孔より上部尿管の形態などを明らかにすることができ尿管再建手術の時期ならびに術式の決定に有効であった.
  • 田中 勇武, 林 宏文, 堀江 昭夫, 児玉 泰, 秋山 高, 土屋 健三郎
    原稿種別: 原著
    1982 年 4 巻 4 号 p. 441-449
    発行日: 1982/12/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    不溶性ニッケル化合物の吸入毒性については, 発癌性が疑われているにもかかわらず, その研究は少ない. 本報では, 酸化ニッケル粒子の小動物への吸入曝露実験装置を試作し, その性能について実験的に検討した結果について述べる. 試作した装置は, 騒音レベルが高いことを除けば, 吸入曝露室の必要条件を満たした. 酸化ニッケル粒子の曝露濃度については, 曝露室に粒子を導入する直前に, 光散乱法による濃度調節器を設けることによって, 曝露期間中ほぼ一定に保つことができた. 実験は, 曝露室, コントロール室に各々10匹のラットを飼育して, 1日6時間, 1週間に5日で2カ月間実施した. この間の曝露濃度は, 等速吸引法で測定し, 平均6.5mg/m3であった. 曝露室内の粒径分布は, アンダーセンサンプラーで測定し, その空気力学的メディアム径は,1.2μmであった.
  • 嵐谷 奎一, 福長 将仁, 吉川 正博, 児玉 泰, 水口 康雄
    原稿種別: 原著
    1982 年 4 巻 4 号 p. 451-458
    発行日: 1982/12/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    Salmonella typhimurium TA 98, TA 100を用いて, 大気浮遊粉じんに含まれるベンゼン可溶成分の変異原活性について検討した. ベンゼン抽出物はS-9mix添加の有無に拘らず変異原活性を示し, 110-980μg/plateの濃度でdose-responseの関係が認められた. 粉じんを粒径ごとに分級捕集し, その中に含まれる変異原活性を調べたところ, 粒径7μm以下のrespirable dust中に活性の95%以上が含まれていることを認めた. 時期を異にして採取された粉じん試料中のベンゼン可溶成分量とその中に含まれるベンゾ(a)ピレン(BaP)量および変異原活性を調べたところ, ベンゼン可溶成分量と変異原活性, およびBaP量と変異原活性との間には, よい相関のあることを認めた. 大気浮遊粉じん中のベンゼン抽出物の生物活性の測定は迅速, 簡便な方法のため汚染の把握等に有効な手段となるものと考えられる.
  • 朝倉 昭雄, 中村 外士雄, 白幡 聰, 中村 祐子, 椎木 みどり
    原稿種別: 原著
    1982 年 4 巻 4 号 p. 459-468
    発行日: 1982/12/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    血小板無力症の5症例を対象として詳細な血小板機能検査を実施した. 検索した検査項目は一般的な検査の他, 血小板数, 出血時間, PT, APTT, フィブリノーゲン, トロンボテスト, ヘパプラスチンテスト, トロンボエラストグラム, 血餅退縮能, 血小板停滞能, 血小板凝集能, PF-3利用能, kaolin誘発ADP放出能, β-TG放出能, ATP, ADPおよびβ-TGの血小板含有量, viscous metamorphosisである. これらの検索の中で出血時間の延長, 血小板停滞能の低下, ADP, collagen, epinephrinを誘発物質として用いた場合の血小板凝集能の著しい低下ないし欠如は全例に認められたが, その他の検査では症例間に種々の組み合わせの差異が認められ, 血小板無力症として総称されている疾患の中での非均一性の存在が示唆された.
  • 華表 宏有, 土井 徹
    原稿種別: 原著
    1982 年 4 巻 4 号 p. 469-483
    発行日: 1982/12/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    北九州市で学校医を委嘱されている医師会会員を対象に, 地区, A・B会員別に性, 年令, 診療科目などの属性について検討した. 北九州市内の学校数は昭和53年で402校, 学校医は415人で,そのうちA会員が399人(男378人, 女21人), B会員11人(男9人, 女2人), 非会員は5人である. 内科校医はほとんどの学校に配置され, 内科または小児科を第1番目に標榜するA会員の約60%が校医を委嘱されており, 内科校医1人当りの受持校数は1.4校である. 内科校医(A会員)の平均年令は55.8才(昭和55年末現在)である. 耳鼻咽喉科と眼科の2つの専門校医は国・県・市立の学校にはほとんど配置されているが, 私立の学校で配置されているところは非常に少ない. しかし, それぞれの専門医部会に所属するA会員のほとんどが校医をしており, 1人当りの受持校数は耳鼻咽喉科校医3.8校, 眼科校医5.6校であった. 結論として, 医師会活動の1つとして学校保健活動は地域にかなり定着していることを述べた.
  • 小出 紀, 八巻 敏雄, 松隈 秀峻, 馬場 謙介
    原稿種別: 原著
    1982 年 4 巻 4 号 p. 485-493
    発行日: 1982/12/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    インドール酢酸(IAA)は, 植物細胞のみならず動物細胞にも, 細胞分裂調節因子として働く. われわれはウィスタ一系ラットに, メチルコラントレンを皮下注射して肉腫を発生させ, 担癌動物におけるIAAの意義を検討した. 腫瘍がある大きさに達すると, 腫瘍組織は非腫瘍組織に比してIAA濃度が高いが, 1cm3以下の腫瘍では, IAAは証明されないか, 極微量証明されるに過ぎない. IAA濃度の高い腫瘍の核分裂指数は, 微量以下のIAAを有するものに比して有意の高値を示す. 以上から,腫瘍細胞の内因性IAAが, 自身の腫瘍組織に作用して, その増殖度を高めていることが推察された. 腫瘍の分化度とIAAとの関連については, 結論を得ることは出来なかったが, 分化度の高い一部のものに, IAA産生が低いことを示唆する所見に接した. 腫瘍組織の壊死のIAA濃度に及ぼす影響および担癌ラットの血清IAAの増量は認めなかった.
  • 白石 悟, 井上 尚英, 村井 由之, 松尾 典夫
    原稿種別: 症例報告
    1982 年 4 巻 4 号 p. 495-504
    発行日: 1982/12/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    症例は47歳, 女性. アルコール性ニューロパチーにより手袋靴下状の運動感覚障害を呈した. 筋電図では脱神経所見を, 神経伝導検査では下肢で軽度の伝導速度遅延を認めた. 腓腹神経による組織定量的な解析と電子顕微鏡的観察を行った. 末梢神経ときほぐし法では軸索変性所見を36%に, 節性脱髄所見を12%に認めた. 横断標本による神経線維密度の観察では大径有髄線維の脱落が著明であったが, 小径有髄線維無髄線維密度はコントロールに比して有意の減少は認めなかった. 臨床, 電気生理, 組織定量的な結果は, 今まで報告されている脚気ニューロパチーときわめて類似していた.
  • 野田 浩司, 峯本 正夫, 野田 敦子
    原稿種別: 総説
    1982 年 4 巻 4 号 p. 505-517
    発行日: 1982/12/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    環境中における亜硝酸イオンは, 1)そのままの形でか, あるいは2)種々の誘導体-アゾ色素, べンゾトリアゾール体, テトラゾ口フタラジン(Tetra-P), 芳香族ハロゲン化合物, 芳香族ニトロおよびニトロソ誘導体-に導いたあと, 比色法, ガスクロマトグラフ法(GC), 高速液体クロマトグラフ法(HPLC), 化学発光検出法あるいはイオン選択電極を用いる電位差測定法などの手段で定量されている. 本総説において, 各種定量法をルーチン操作法としての観点からまとめ, それぞれの特長と欠点について評価した. また環境試料を測定サンプルヘ調製する方法についても述べた.
  • 松田 明子, 大津 ミキ
    原稿種別: 総説
    1982 年 4 巻 4 号 p. 519-525
    発行日: 1982/12/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    社会の様々な時勢の中で, 看護婦の役割は少しずつ変化して来た. その役割を充分把握し, それに対応出来るための看護教育プログラムが必要である. 我国の看護教育は米国と約10年遅れてスタートしたにも係わらず, 教育制度等色々な面で著しい差がでている. その理由としては米国では早くから大学教育制度が整えられ看護の質的向上を計っていた. しかし, 我国においては看護教育制度は法的制約の中で大巾に遅れている. 今後更に望ましい看護カリキュラムの構築が必要である. そこで我国における女子教育制度の変遷と看護の歩みを回顧し今後のカリキュラムの方向性を探究し, 将来に向けてのかけ橋にしたい.
  • 大津 ミキ, 松田 明子
    原稿種別: 総説
    1982 年 4 巻 4 号 p. 527-532
    発行日: 1982/12/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    看護教育は, アメリカ, 我が国いずれもほぼ同年代に発足した. しかし, その後の発展はそれぞれの社会の諸事情により, 著しい差が出てきている. その理由は, アメリカでは, 早くから大学教育制度が整えられ, 看護の質的向上を図ってきた. このことにより看護の研究者を生み出し, 独自の看護論を展開させた. 生み出された看護論は, 看護教育の基礎となる統合カリキュラムを構築した. ここにいたるまでのカリキュラムの発展の過程をふりかえると共に, これからの看護婦の役割と責任について探求したい. それは, さらに新しいカリキュラム構築へと循環するからである.
  • 川野 秀昭
    原稿種別: 報告
    1982 年 4 巻 4 号 p. 533-541
    発行日: 1982/12/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    人間のリプロダクションを取り扱う産婦人科医がいかにして妊婦を管理して健康な母体から健康な児を得られるよう努力しているか, 異常経過の妊娠・分娩あるいは合併症のある妊娠・分娩に対する対策, その中で関連領域の医師, 助産婦, 栄養士などの協力によるチーム医療がいかに行われているかについて述べた.
  • 岡村 靖
    原稿種別: 報告
    1982 年 4 巻 4 号 p. 543-548
    発行日: 1982/12/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    疾患の発症機序について, 心理学, 内分泌学および自律神経学の3方面から, 系統的な考察を行い, 数式化による概念で疾患の診断を行うことが大切である. すなわち心身の環境因子についても診断上留意することが大切である. このような診断を行うためには臨床心理士やケースワーカーとのチーム医療を組むことである. 筆者はこの見地から臨床例について解析する. 米国ではプライマリ・ケアを担当するものとして, 家庭医学, 内科, 小児科ならびに産婦人科が考えられており, プライマリ・ケアの専門医制度も育っている. しかし, 日本ではプライマリ・ケア専門医の制度が未だ設置されていないので, 関連各科で, bio-psycho-socialな面からの診断治療に努力することが大切である.
  • 中野 信子
    原稿種別: 人間学
    1982 年 4 巻 4 号 p. 549-559
    発行日: 1982/12/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    D.H.ローレンスは, 伝統的なキリスト教に対して, 妥協を許さない強い反感を抱いていたにもかかわらず, ほとんど気も狂わんばかりに宗教的であった. しかし, 彼の宗教性は, 神秘主義者や宗教家のそれとは異なっており, 人間存在に関する地下からの認識とでもいうべきものに基づき, かつ, 無意識の中で, イエス・キリストのイメージに魅了されてもいた. 他方, 後世の神学的誇張を免れたマタイ, マルコ, ルカの, 三共観福音書の中に, イエスのことばや比喩を拾ってみると, D.H.ローレンスの哲学と共通するものを発見するのは不可能ではない. それはおそらく, イエスが人間存在における一種の原型(アーキタイプ)としての要素を多くもっているが故であろう. この試論では, D.H.ローレンスのイエス像の特質を提示し, それが福音書の中のイエス像に, どのように係わっているかを探ってみたつもりである.
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