Journal of UOEH
Online ISSN : 2187-2864
Print ISSN : 0387-821X
最新号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
  • 森井 宏幸, 西村 壮広, 竹尾 政宏, 片山 知郁, 中井 佳奈
    原稿種別: [原著]
    2018 年 40 巻 3 号 p. 217-224
    発行日: 2018/09/01
    公開日: 2018/09/14
    ジャーナル フリー
    結核菌を含めた病原性抗酸菌に特異的な活性作用機序を持った新薬の開発が求められている.我々は2010年に膜リン脂質のホスファチジルイノシトールの生合成経路がヒトと抗酸菌とで異なる事を発見した.相違点の鍵となる酵素がホスファチジルイノシトールリン酸(PIP)合成酵素である.この酵素は放線菌門の一部の細菌のみに存在し,ヒトやヒトの常在細菌には存在しない.この酵素活性を阻害する化合物を見つけることができれば病原性抗酸菌に特異的な新薬の開発に繋がる.PIP合成酵素活性測定には,基質としてアイソトープでラベルされた1l-イノシトール1リン酸(1l-Ino-1P)が必要である.この基質は市販されていないので,これまでは[14C]グルコース6リン酸([14C]Glc-6P)からメタン生成古細菌の粗酵素を1l-Ino-1P合成酵素として使って調製していた.この粗酵素の活性は低く,粗酵素中の不純物の影響で生成物の1l-Ino-1Pの定量が不正確だった.本研究では,超好熱性古細菌Aeropyrum pernixの1l-Ino-1P合成酵素組換え体溶液を酵素として用いて,1l-Ino-1P調製の最適条件を検討し,1l-Ino-1Pの簡易定量法が正確な濃度を示している事をガスクロマトグラフィーで確認した.また,1d-イノシトール1リン酸(1d-Ino-1P)はPIP合成酵素の基質にならないことを確認した.
  • 藤野 善久
    原稿種別: [総説]
    2018 年 40 巻 3 号 p. 225-230
    発行日: 2018/09/01
    公開日: 2018/09/14
    ジャーナル フリー
    近年,日本において,プレゼンティーズムへの関心が産業保健分野のみならず,経営分野においても急速に広がりつつある.しかしながら,プレゼンティーズムという用語が国内に紹介されたのは比較的最近であり,日本におけるプレゼンティーズムに関する知見の蓄積も限られている.本稿では,プレゼンティーズムに関する知見を整理するとともに,日本の産業保健におけるプレゼンティーズムへの取り組みに関する意義について考察する.プレゼンティーズムとは,健康上の問題を抱えたまま出社している状態というのが共通した定義であり,労働生産性の低下を追加するものもあった.医療経済的な観点からプレゼンティーズムによる労働生産性低下を貨幣換算する方法について複数の方法が提案されているが,統一した方法はない.労働者の健康状態を,プレゼンティーズムの観点から評価し,支援するための新しい方法が必要である.
  • 池上 朋未, 山本 幸代, 後藤 元秀, 川越 倫子, 河田 泰定, 楠原 浩一
    原稿種別: [症例報告]
    2018 年 40 巻 3 号 p. 231-236
    発行日: 2018/09/01
    公開日: 2018/09/14
    ジャーナル フリー
    学校検尿での尿糖陽性を契機に,バセドウ病による甲状腺機能亢進症,およびそれに伴う耐糖能異常と診断した小児例を報告する.症例は13歳女児.学校検尿で尿糖陽性が判明した.多飲や多尿の自覚はなかった.受診時,倦怠感,甲状腺腫が認められ,甲状腺機能亢進(TSH < 0.01 μU/ml,fT3 23.57 pg/ml,fT4 3.38 ng/dl),自己抗体陽性(TRAb 43.6%)で,バセドウ病と診断した.経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)では負荷後120分血糖のみが高値(142 mg/dl)で境界型であった.成人では甲状腺機能亢進症に耐糖能異常を発症することが報告されている.小児では耐糖能異常や糖尿病を合併した報告は稀で,学校検尿での尿糖陽性を契機にバセドウ病が判明した例はない.甲状腺機能亢進症に伴う耐糖能異常を見逃さないために,臨床症状が軽微であっても慎重な問診と診察を行う必要がある.
  • 金山 雅俊, 井上 政昭, 吉田 順一, 田中 文啓
    原稿種別: [症例報告]
    2018 年 40 巻 3 号 p. 237-241
    発行日: 2018/09/01
    公開日: 2018/09/14
    ジャーナル フリー
    完全内臓逆位は,各臓器が左右逆転し正常位に対して鏡面像的位置関係にあるものをいい,頻度は10,000人に1~2人と稀にみられる常染色体劣性遺伝の破格である.今回,完全内臓逆位に合併した原発性肺癌に対して,胸腔鏡下手術を施行した報告をする.症例は61歳女性.胸部X線写真で左上肺野に異常陰影を指摘され紹介となる.胸腹部CTにて胸腹部内臓の完全逆位に加え,左肺上葉S2に葉間胸膜に接する25 × 12 mmの結節影を認めた.術前検査にて左上葉肺癌疑いc-T1bN0M0 Stage IAとして手術を行う方針とした.術前3D構築画像にて鏡面像を呈した肺動静脈および気管支の立体的構造を把握した.手術は腫瘍を胸腔鏡下に部分切除を行い,迅速病理検査で腺癌と診断されたため完全胸腔鏡下に左上葉切除およびリンパ節郭清を施行した.左縦隔に下行大動脈は認めず,左肺は上中下葉の3葉に分葉していた.左右鏡面像であったが,正常解剖の際の手技,手順で施行可能であった.完全内臓逆位の手術においては,つねに反対側の胸腔をイメージしながらの手術となる.そのため術前に肺血管,気管支の解剖学的評価を十分に行った上での慎重な手術操作が必要となる.
  • 田中 公介
    原稿種別: [原著]
    2018 年 40 巻 3 号 p. 243-251
    発行日: 2018/09/01
    公開日: 2018/09/14
    ジャーナル フリー
    統語計算ならびに意味解釈の必須要素である文タイプ・発話効力関連句(force phrase: ForceP)と定性関連句(finite phrase: FinP)の二種類の機能投射が,生起が随意的な話題化関連句(topic phrase: TopP)と焦点化関連句(focus phrase: FocP)の二種類の談話関連投射を挟み込む形で節境界位置に現れると想定されるカートグラフィ補文標識句(complementizer phrase: CP)分析について,前者二種を,近年のミニマリスト統語派生理論における統語計算の基本単位であるフェイズと想定することは理論的に妥当である.本論では,このような統語派生分析をフェイズカートグラフィCP分析と称し,その分析のもとで,英語の節境界位置に複数の談話関連要素が出現する多重談話関連要素移動(multiple discourse-related movement: MDM)について考察する.具体的な移動要素は,話題化要素,焦点化要素,そしてWh疑問文におけるWh疑問詞である.本分析は,節境界位置に移動した談話関連要素の語順に関する文法的事実を捉えることができる.
  • 池上 朋未, 荒木 俊介, 桑村 真美, 多久 葵, 斎藤 玲子, 後藤 元秀, 久保 和泰, 川越 倫子, 山本 幸代, 河田 泰定, 楠 ...
    原稿種別: [原著]
    2018 年 40 巻 3 号 p. 253-257
    発行日: 2018/09/01
    公開日: 2018/09/14
    ジャーナル フリー
    Small for gestational age(SGA)性低身長症に対する成長ホルモン(GH)治療は投与量や医療費の公的補助が成長ホルモン分泌不全症(GHD)と異なることから,治療開始前にGH分泌能を評価することが重要である.本研究は低身長のSGA児におけるGHD合併の頻度とGHDを検出する有用な指標を明らかにすることを目的とした.産業医科大学病院および九州労災病院にてGH治療を開始したSGA児について診療録を用いて後方視的に検討した.6歳以下でGH治療を開始した22例のSGA児のうち9例(41%)がGHDを合併していた.GHD合併の有無による出生時の在胎期間,身長,体重,GH療法開始時の身長およびインスリン様成長因子(insulin-like growth factors: IGF)-1値に有意差は無かった.しかし,身長の標準偏差(SD)が−3.2を下回ると有意にGHDの合併頻度が上昇し,感度55.6%,特異度84.6%,オッズ比11.6(95%信頼区間 1.52 − 89.1,P = 0.013)となり,身長SDはGHDを検出する有用な指標であった.本研究では低身長のSGA児の40%がGHDを合併していた.特に−3SDを下回る症例では,GHDの合併が多く,適切な診断に基づいたGH 治療を行うためには,積極的にGH分泌能の評価を行う必要がある.
  • 井上 譲, 厚井 志郎, 合原 雅人, 城田 ふみ, 矢吹 慶, 田上 貴之, 佐藤 永洋, 勝木 健文, 永田 貴久, 柴尾 和徳, 久岡 ...
    原稿種別: [症例報告]
    2018 年 40 巻 3 号 p. 259-266
    発行日: 2018/09/01
    公開日: 2018/09/14
    ジャーナル フリー
    症例は70歳代女性.自覚症状は特になかった.近医にて甲状腺腫大を指摘され当科紹介.頸部エコーで甲状腺右葉下極に1.3 cm大,形状不整,辺縁粗雑,内部不均一,石灰化を伴う腫瘤を認めた.computed tomography (CT) で病変は胸骨甲状筋への浸潤が疑われ,両側頸部リンパ節腫大を認めたが,positron emission tomography (PET)-CTでは転移を疑う異常集積を認めなかった.細胞診では不整な濃染性核を有する異型上皮の大小の重積性あるいは乳頭状集塊を認め,乳頭癌が疑われた.以上,甲状腺乳頭癌の術前診断に対して甲状腺亜全摘と両側頸部中央区域リンパ節郭清を施行した.術後病理診断では胸骨甲状筋と右下副甲状腺への浸潤を伴う線維化の強い腫瘍が胞巣状に増生しており,核化傾向を伴っていたため扁平上皮癌が疑われ,また胞巣の一部に粘液を含んだ管腔構造を認め,粘表皮癌も疑われた.免疫染色ではcluster of differentiation 5 (CD5) (+),tumor protein p63 (p63) (+),KIT proto-oncogene receptor tyrosine kinase (c-KIT (CD117)) (+),thyroglobulin (−),thyroid transcription factor-1 (TTF-1) (−) であったことから胸腺様分化を示す癌(carcinoma showing thymus-like differentiation: CASTLE)の診断となった.CASTLEは組織学的に胸腺上皮腫瘍に類似した甲状腺癌である.多くのCASTLEの症例では未分化癌,低分化癌,扁平上皮癌と鑑別を要した.本症例も Hematoxylin-Eosin染色での検鏡では扁平上皮癌または粘表皮癌疑いであり,CD5を含む免疫染色を追加,診断が確定した.リンパ節転移や甲状腺外への浸潤は予後不良因子とされており,本症例でも今後,経過観察の継続が重要である.
  • 佐藤 亜紀, 永松 有紀, 松村 智大
    原稿種別: [報告]
    2018 年 40 巻 3 号 p. 267-274
    発行日: 2018/09/01
    公開日: 2018/09/14
    ジャーナル フリー
    日本は超高齢化社会の到来や医療の高度化により,卒業後の看護実践力に繋がる能力を身につけさせることが看護基礎教育での重要課題となっている.この課題への教育実践として客観的臨床能力試験(objective structured clinical examination: OSCE)の導入が看護系大学で試みられている.本学看護学科でも2014年より,3年次前期に臨地実習に向けた統合科目の中で,臨床場面を想定し,既習の知識と技術を用いたOSCEを実施し,学生自身が臨地実習に臨む上での自己課題を明確にできるように学習支援を行っている.OSCEに向けた学習支援には学習ポイントの提示などにe-ラーニングを活用し,学生の主観的評価からは学習意欲の向上に一定の効果が認められた.しかし試験方法について,年度ごとに新たな課題があるため,毎年修正を加えている.2017年で3回目となったが,本稿では2015年度の成人看護学(急性期)のOSCEの実践と,1. OSCEに向けた学習支援としてe-ラーニングを用いた有効性,2. 状態観察後の受験者の報告に関する問題点,3. 少ない人的資源の中でのOSCEの運営上の工夫と今後の課題について報告する.
  • 原稿種別: [予報]
    2018 年 40 巻 3 号 p. 275-276
    発行日: 2018/09/01
    公開日: 2018/09/14
    ジャーナル フリー
feedback
Top