Journal of UOEH
Online ISSN : 2187-2864
Print ISSN : 0387-821X
ISSN-L : 0387-821X
41 巻, 1 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 喜多村 紘子, 大神 明, 明星 敏彦, 大藪 貴子, 池上 和範, 長谷川 将之, 菅野 良介, 道井 聡史, 安藤 肇, 東 敏昭
    原稿種別: [原著]
    2019 年 41 巻 1 号 p. 1-14
    発行日: 2019/03/01
    公開日: 2019/03/14
    ジャーナル フリー
    本研究の主な目的は,トナー製造従事者におけるじん肺症,肺線維症,肉芽腫性肺炎,肺がん,喘息などの呼吸器疾患のリスクを評価することである.第二の目的は,トナー粒子曝露と生体指標との間の関係について明らかにすることである.我々は2004年から2013年の間に日本におけるトナー製造従事者296名に対し10年間の前向きコホート研究を行った.トナー粒子曝露と健診結果の評価は各年ごとに行った.明らかな肺疾患発生は認められなかった.我々はまたじん肺,肺線維症,肺がんや喘息の発症前に関連する呼吸器系要因についてもスパイロメーターや質問票による調査を行った.しかしながら散発的な統計的所見は認めるものの,トナー曝露が総じて有害な生体影響を起こすという明らかな証拠は得られなかった.結論として,トナー粒子曝露が生体影響を起こす可能性は極めて低い.
  • 井元 淳, 大和 浩, 道下 竜馬, 姜 英, 西山 信吾, 福田 里香, 出口 純子
    原稿種別: [原著]
    2019 年 41 巻 1 号 p. 15-24
    発行日: 2019/03/01
    公開日: 2019/03/14
    ジャーナル フリー
    加齢に伴う呼吸機能の低下は慢性閉塞性肺疾患(COPD)の発症や高齢者の死亡リスクに繋がるため,若い世代からの呼吸機能低下の予防が求められる.本研究では身体組成や生活習慣の影響を考慮した上で,気道の閉塞によって引き起こされる閉塞性換気障害の指標である1秒率に影響を与える要因を検討することを目的とした.5企業の男性従業員262名を対象とし,喫煙状況,現在や過去の受動喫煙の有無,家庭外での受動喫煙の曝露頻度,身体活動量(PA)などを含む生活習慣を聴取した.また身体組成や呼吸機能を測定した.統計学的分析は得られたデータについて非喫煙者との比較をロジスティック回帰分析で年齢を調整して検討した.さらに,年齢,身長,喫煙状況,また生活習慣を調整変数とした重回帰分析により1秒率に影響を与える要因を検討した.年齢で調整したロジスティック回帰分析の結果,現喫煙者と重喫煙者は体脂肪率,内臓脂肪面積,喫煙者との同居率,家庭外での受動喫煙の曝露頻度が有意に高かった.またPAは現喫煙者と重喫煙者で有意に低く,1秒率は重喫煙者で有意に低かった.重回帰分析の結果,1秒率に関連する因子として家庭外での受動喫煙の曝露頻度のみが抽出された.COPD発症の予防策として企業内で健康管理に従事するものは喫煙者,特に重喫煙者への禁煙指導とともに,喫煙者,非喫煙者に関係なくすべての勤労者に受動喫煙を避けることを心がけるよう指導することが重要である.
  • 安藤 肇, 池上 和範, 菅野 良介, 野澤 弘樹, 道井 聡史, 白坂 泰樹, 近藤 三保, 井本 ひとみ, 志摩 梓, 河津 雄一郎, ...
    原稿種別: [原著]
    2019 年 41 巻 1 号 p. 25-33
    発行日: 2019/03/01
    公開日: 2019/03/14
    ジャーナル フリー
    日本においては慢性疼痛の有訴率が約10~20%であり,労働者の業務効率や生産性に影響を及ぼしている.慢性疼痛と睡眠時間については先行研究において関係性が明らかにされているが,労働時間が影響するか否かについては十分に検討されておらず,特に職域における筋骨格系慢性疼痛についてはほとんど報告がない.我々は118事業所を対象に質問紙調査を実施し,最終的に1,747名が解析対象となった.対象者は筋骨格系慢性疼痛あり群(n=448)となし群(n=1299)の2群に分類した.ロジスティック回帰分析にて,年齢,性別(基準:女性),労働時間,睡眠時間は有意に筋骨格系慢性疼痛に関連していた.労働時間を9時間以上と9時間未満に,睡眠時間を7時間以上と7時間未満に分類した4群で解析を行ったところ,労働時間が9時間未満・睡眠時間7時間以上群と比較して,労働時間9時間以上・睡眠時間7時間未満群では2.02倍(95%信頼区間:1.46-2.78),労働時間9時間以上・睡眠時間7時間以上群では1.47倍(95%信頼区間:0.94-2.30),筋骨格系慢性疼痛が多かった.筋骨格系慢性疼痛は労働時間が長い場合でも十分な睡眠時間を確保することで発症を減らせる可能性がある.このことから,産業保健スタッフによる適切な睡眠時間についての指導は筋骨格系慢性疼痛の予防に繋がる可能性がある.
  • 内村 圭吾, 山﨑 啓, 平野 洋子, 阪上 和樹, 城戸 貴志, 迎 寛, 矢寺 和博
    原稿種別: [症例報告]
    2019 年 41 巻 1 号 p. 35-40
    発行日: 2019/03/01
    公開日: 2019/03/14
    ジャーナル フリー
    超音波気管支鏡ガイド下針生検(EBUS-TBNA)は,アメリカ胸部医学会のガイドラインにおいて,縦隔リンパ節の診断に推奨されている.しかしながら,そのガイドラインには熟練した気管支鏡医によって施行される場合でのみと記されている.近年EBUS-TBNA施行時の穿刺針の故障に関連した合併症が報告されている.我々はEBUS-TBNAの珍しい合併症である破損穿刺針の除去に成功した稀な1例を報告する.症例は心筋梗塞の既往がある81歳男性であり,胸部CTにて縦隔リンパ節,右肺門リンパ節腫大の精査を行うために当院を紹介受診された.その患者の肺癌の診断とステージングのために22ゲージの穿刺針(NA-201SX-4022, Vizishot®, Olympus, Japan)を用いて気管分岐部リンパ節に対してEBUS-TBNAを行った.2回目の穿刺の後,我々は針先が破損し,右主気管支に突き刺さっていることに気がついた.我々は,ただちに内径8.5 mmのカフなし挿管チューブ挿入下に軟性気管支鏡を用いて破損した針先を除去した.針先の長さは13 mmであり,明らかに曲がっていた.なお,EBUSスコープに損傷はなく,本症例において他に処置に関連した合併症はなかった.EBUS-TBNA施行時の穿刺針の破損は稀である.しかしながら,破損した針先を吸い込んだり,飲み込むことで重大な合併症を引き起こす可能性がある.それゆえ,気管支鏡医はEBUS-TBNAにおける重要な合併症として,穿刺針が破損する可能性を知っておかなければならない.
  • 長 聡子, 阿南 あゆみ, 永松 有紀, 豊福 佳代, 村井 孝子
    原稿種別: [報告]
    2019 年 41 巻 1 号 p. 41-49
    発行日: 2019/03/01
    公開日: 2019/03/14
    ジャーナル フリー
    がん患者の家族のもつ負担は大きく,家族も看護の対象と捉え,早期からの介入が必要であることが指摘されてきた.しかし,がん患者の大半が入退院している一般病棟におけるがん患者の家族ケアは課題が山積している.一般病棟の看護師は家族ケアの必要性は理解している一方で,時間的制約や人的労働力不足,さらにはケアの方法がわからないなどの理由により家族ケア実践が不十分な現状にある.近年,看護師の時間外労働などが問題視され,看護師の現任教育については労働時間内で実施することが推奨されている.このような背景のもと,「一般病棟におけるがん患者の家族ケアに関する学習プログラム」を開発した.本稿では,この学習プログラム,および作成過程について報告する.
  • 田原 正浩, 山﨑 啓, 池上 博昭, 福田 洋子, 内村 圭吾, 立和田 隆, 野口 真吾 , 川波 敏則, 城戸 貴志, 迎 寛, 矢寺 ...
    原稿種別: [症例報告]
    2019 年 41 巻 1 号 p. 51-56
    発行日: 2019/03/01
    公開日: 2019/03/14
    ジャーナル フリー
    症例は89歳,男性.高血圧症,非弁膜症性心房細動,慢性心不全,高尿酸血症に対して内服治療中であった.耳鳴に対し加味帰脾湯の内服を開始後から,徐々に乾性咳嗽と労作時呼吸困難が出現したため,当科を受診した.胸部CTでは右上葉に周囲のすりガラス陰影を伴う非区域性の浸潤影と,両下葉のすりガラス陰影を認め,加味帰脾湯を含む内服薬による薬剤性肺障害が疑われた.被疑薬を中止し,スルバクタム・アンピシリン(sulbactam-ampicillin combination: SBT/ABPC)3 g × 2/日による治療を開始したが,症状およびすりガラス陰影と浸潤影の悪化を認めたため,精査目的で気管支鏡検査を施行した.気管支肺胞洗浄液ではリンパ球優位の細胞数増多の所見であり,薬剤誘発性リンパ球刺激試験(drug lymphocyte stimulation test: DLST)では,加味帰脾湯のみが陽性であった.経過および検査所見から加味帰脾湯による薬剤性肺障害が疑われたため,プレドニゾロン50 mg/日の内服を開始したところ,症状および画像所見の改善を認めた.これまで加味帰脾湯による薬剤性肺障害の症例は報告がなく貴重であり,投与開始後は呼吸器症状の出現に注意して,慎重な経過観察を行う必要があると考えられる.
  • 福田 北斗, 善家 雄吉, 山中 芳亮, 平澤 英幸, 目貫 邦隆, 酒井 昭典
    原稿種別: [症例報告]
    2019 年 41 巻 1 号 p. 57-61
    発行日: 2019/03/01
    公開日: 2019/03/14
    ジャーナル フリー
    高度な関節内粉砕骨折を認めた高齢者の橈骨遠位端開放骨折2症例に対し,distraction plateを用いた観血的整復固定術を行った.2症例とも関節内骨片の矯正損失なく経過した.1例は骨癒合を得て抜釘し,1例は本人の希望がなくプレートを留置している.2症例とも最終経過観察時に疼痛の訴えなく,日常生活動作(activities of daily living,ADL)に大きな支障を認めていないが,抜釘後も手関節可動域制限が残存する可能性はあるため,その適応は慎重に判断する必要がある.
  • 2019 年 41 巻 1 号 p. 63-129
    発行日: 2019/03/01
    公開日: 2019/03/14
    ジャーナル フリー
feedback
Top