Journal of UOEH
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41 巻, 4 号
選択された号の論文の11件中1~11を表示しています
  • スギアンティ ゲック ラカ, ウィラワン アイ マディ アディ, ウタミ ニ ワヤン アリャ
    原稿種別: [原著]
    2019 年 41 巻 4 号 p. 353-362
    発行日: 2019/12/01
    公開日: 2019/12/20
    ジャーナル フリー
    観光地プンリプランの伝統的な飲料であるロロチャムチャムはチャムチャムの葉(Spondias pinnata (L.f.) Kurz)を含み,バリ島各地に広く流通している.この研究は,ロロチャムチャムの微生物学的特性と製造工程の衛生との関連を調べることを目的としている.バリのプンリプランで,ロロチャムチャムのすべての家内生産者と取扱業者,4つの貯水池,そして3ヶ所の水源サンプルを対象に横断的研究を行った.衛生に関するデータは,観察とインタビューにより得た.サンプルの微生物学的特性は生菌数,大腸菌群の最確数(MPN),そして大腸菌(E. coli)汚染について調べた.強毒遺伝子を同定するためにポリメラーゼ連鎖反応(PCR)検査を行った.水源は腸管毒素原性大腸菌(ETEC)で汚染され,さらに貯水池の約25%とロロチャムチャムのサンプルの43.3%が大腸菌に汚染されていた.このことは,酸性条件下(平均pH 2.8)での大腸菌の生存を示している.30の家内生産者のうち,76.7%の衛生施設は安全基準を満たしていたが,器具の衛生管理(60.0%),取扱業者の衛生(50.0%),および生産現場の衛生管理(43.3%)は非常に低かった.取扱業者の不十分な衛生はロロチャムチャムの微生物学的特性と関連しており,調整オッズ比(AOR)は15.02(95%CI: 1.31-171.5,P = 0.029)だった.継続的な監視は,製造工程の衛生および事業従事者の衛生の改善に不可欠である.微生物学的研究は,酸性環境での生存能力を含む大腸菌の性質を理解する上で必要である.
  • 竹ノ内 明子, 岡井 康二, 小川 彩, 岡井(東) 紀代香
    原稿種別: [原著]
    2019 年 41 巻 4 号 p. 363-373
    発行日: 2019/12/01
    公開日: 2019/12/20
    ジャーナル フリー
    中国や朝鮮や日本などのアジアの国々における伝統的な食材である食用海藻は,その利用法として,食味や風味を高めるために,食材を乾燥した後,さらに加熱焙煎をする場合がある.本論文では,この食用海藻の加熱焙煎処理の栄養学的意義を明らかにするために,生活習慣病などの原因や予防に関与する活性酸素の生成に対するラジカル消去活性について,日本の代表的な食用海藻であるマコンブの加熱焙煎処理との関連を分析した.その結果,マコンブを一定以上の高温(130-150ºC)で加熱焙煎処理をすると,その抽出液において,弱いながら統計学的に有意なDPPHラジカル消去活性やスーパーオキサイドラジカル消去活性の増加が認められた.さらにより高温(180-200ºC)で加熱焙煎処理をすると,著しいラジカル消去活性の増加が認められた.これらのラジカル消去活性の増加の原因として,加熱焙煎処理によりマコンブ抽出液中のポリフェノールやタンニンなどのラジカル消去に関与する物質の増加が明らかとなった.またマコンブ抽出液中の糖濃度が,ラジカル消去活性と有意の正の相関性を示した.しかしマコンブ抽出液中のたん白質濃度とラジカル消去活性との相関関係は認められなかった.また加熱焙煎処理(180-200ºC)によるマコンブ抽出液が,オプソニン化ザイモザンによるヒト好中球の活性酸素の生産・放出を強く抑制した.以上の実験結果により,マコンブを特定の条件で加熱焙煎処理をすると,その抽出液中に,強いラジカル消去活性が発現する可能性が示唆された.
  • アリモハンマディ イラジ, カンラシュ ファフラディン アフマディ, アボルガセミ ジャミレ, ヴォスギ シャラム, ラーマニ カゼム, チ ...
    原稿種別: [原著]
    2019 年 41 巻 4 号 p. 375-385
    発行日: 2019/12/01
    公開日: 2019/12/20
    ジャーナル フリー
    騒音にさらされている人々の主な不満には,鬱憤や不快感,精神状態の変化があり,これらは労働者の集中と正確さに影響を与える心理的影響の一つである.この研究は,慢性的な騒音にさらされた労働者の不快感と認知能力の関係を検討するために実施された.これは,自動車会社の労働者を対象とした記述分析的研究である.この研究では,騒音にさらされた300人の労働者を,管理・事務(150人)と生産(150人)の2つのグループに分けた.コンピューターによるロンドン塔課題とストループの心理検査を使用して労働者の認知状態を評価し,1から11の番号付けした質問からなる質問紙を使用して不快度の程度を評価した.労働者の認知能力と不快度には有意な相関があった(P値<0.001).線形回帰の結果においては,認知能力と音の強さとの間に有意な関連がみられた.一方労働者の不快度は,ストループ検査の誤回答数,未回答数,および正解数のみと有意な関係があることが示された(P値<0.001).我々は,職場環境での慢性的な騒音への曝露は職業上の不快感をもたらし,その結果,認知障害を引き起こし,エラーのリスクを高める可能性があると結論付けた.この関連をより具体的に調査するには,さらなる研究が必要である.
  • 矢吹 慶, 原武 譲二, 久岡 正典
    原稿種別: [総説]
    2019 年 41 巻 4 号 p. 387-395
    発行日: 2019/12/01
    公開日: 2019/12/20
    ジャーナル フリー
    炭酸ランタンは,末期腎不全(ESRD)の透析患者に発症する高リン血症治療薬として広く使用されている.炭酸ランタンは,消化管内で食物中のリン酸と難溶性化合物を形成するため,消化管粘膜からはほとんど吸収されないとされていた.しかし,近年炭酸ランタン服用患者の胃十二指腸粘膜にランタンが沈着することが報告されている.ランタン沈着は,内視鏡的に様々な大きさや形の白色病変として認識できる.病理学的には,胃十二指腸粘膜内に異物肉芽腫と貪食された沈着物を多数認め,一部の所属リンパ節にも沈着が及ぶ.また,炭酸ランタンの内服量や内服期間が長いほど,胃十二指腸粘膜内のランタン沈着量は多いとされている.詳細なランタン沈着機序は不明な点があるが,胃内のpH,腸上皮化生などの様々な要因が関与すると推察される.本総説では,炭酸ランタン内服患者における胃十二指腸粘膜内のランタン蓄積症について臨床病理学的所見に焦点をあてて解説する.
  • 西村 陽介, 安恒 亨, 幾島 栄悟, 中島 英彦, 瀧川 友哉
    原稿種別: [総説]
    2019 年 41 巻 4 号 p. 397-408
    発行日: 2019/12/01
    公開日: 2019/12/20
    ジャーナル フリー
    大動脈弁狭窄症(AS)は最も多く見られる心臓弁膜症であり,特に高齢者に多く認められる.手術的大動脈弁置換術(SAVR)は最も有効な治療法であるが,手術リスクの高い症例ではその適応は時に難しく,高リスク患者に対しては不可能な時もある.近年では,わが国でもカテーテル的大動脈弁置換術(TAVR)が認可され,高リスク患者・手術不能患者に対して広く行われるようになってきている.TAVRは人工心肺を要さず低侵襲でありその手術成績も良好であるので,欧米ではすでに中リスク患者まで適応は広げられ,さらに低リスク症例にまで広げられようとされており,その症例数は顕著に増加してきている.ASに対する有効な治療法の選択肢が拡大したわけであるが,今後はこれらの手術法の選択が重要となってくる.特に低リスク患者では,手術死亡のみならず,遠隔成績や合併症,Quality of lifeまで考慮する必要がある,このとき,患者の併存症が治療成績に影響を与えることを考える必要がある.本稿ではその併存症として透析を要する慢性腎不全,機能的三尖弁逆流,S字状中隔を取り上げ,これらを合併するAS患者におけるSAVR,TAVRの治療成績について概説する.
  • 栗之丸 直朗, 森 俊陽, 塚本 学, 岡田 祥明, 弓指 恵一, 酒井 昭典
    原稿種別: [症例報告]
    2019 年 41 巻 4 号 p. 409-416
    発行日: 2019/12/01
    公開日: 2019/12/20
    ジャーナル フリー
    2014年にShaneらが提唱した非定型大腿骨骨折(AFF, atypical femoral fracture)診断基準の5つの大項目とAFFの特徴である大腿骨外側皮質骨肥厚を認めた大腿骨ステム周囲骨折の1例を報告する.症例は81歳女性.66歳の時に右大腿骨頸部骨折に対し人工股関節全置換術を施行し以後,ビスホスホネートを内服していた.79歳の時に右大腿部痛が出現し,両股関節単純X線正面像で,右大腿骨外側に限局する皮質骨肥厚とpedestal formationを認め,ビスホスホネートを中止し,ビタミンDの内服を開始した.81歳の時,立ち上がった際に激しい右大腿部痛があり歩行不能となった.単純X線像で,AFF診断基準の5つの大項目を満たす右大腿骨ステム周囲骨折を右大腿骨外側皮質骨肥厚部に認めた.骨折型はインプラントのゆるみを伴わない骨折(Vancouver分類 type B1)であり,骨接合術を施行した上で,骨癒合促進のために,術後から副甲状腺ホルモン製剤テリパラチドと低出力超音波治療器の使用を開始した.術後4ヶ月で骨癒合を認め,独歩可能となった.大腿骨ステム周囲骨折はAFF診断の除外項目に該当するため,本骨折を非定型大腿骨ステム周囲骨折(PAFF, periprosthetic atypical femoral fracture)と診断をした.PAFFの臨床転帰はAFFと同様に不良であり,PAFFの治療に臨む際には,その病態を考慮した上で方針を決定すべきである.
  • 樋上 光雄, 保利 一
    原稿種別: [原著]
    2019 年 41 巻 4 号 p. 417-424
    発行日: 2019/12/01
    公開日: 2019/12/20
    ジャーナル フリー
    コーヒー抽出後の豆カス(コーヒー抽出カス)に対する揮発性有機化合物(VOC)の吸着特性を調べた. VOC蒸気の吸着破過実験装置を製作し,約100 ppmのVOC蒸気を含む窒素をコーヒー抽出カス充填セルに通気した.通気後の窒素中の蒸気を水素炎イオン化検出器付きガスクロマトグラフで経時的に分析した.得られた分析値と時間から破過曲線を作成し,図積分によりコーヒー抽出カスの各揮発性有機化合物の吸着量を算出した.14種類の有機溶剤について実験した結果,吸着量は沸点が高い物質ほど大きくなる傾向が認められた.また,メタノールやトルエンの吸着量については,実験に使用したコーヒー抽出カスに含まれている水分が影響することがわかった.
  • 明星 敏彦, 大藪 貴子, 筒井 隆夫, 村田 克, 名古屋 俊士
    原稿種別: [原著]
    2019 年 41 巻 4 号 p. 425-430
    発行日: 2019/12/01
    公開日: 2019/12/20
    ジャーナル フリー
    光散乱方式に基づく粉じん計は,作業環境中のエアロゾル濃度を測定するために広く使用されている.日本では,作業者への粉じんばく露を制御するために,各作業場所での濃度が粉じん計によって測定され,質量濃度によって較正されている.作業場の特定の点の質量濃度は,粉じん計と同時に測定される.吸入性粉じんの質量濃度は,ロウボリウムエアサンプラなどを用いた重量法で求める必要がある.しかしながら,いくつかの粉じん計は,吸入性粉じんの分粒装置を備えておらず,しばしば較正時に不安定な結果を得た.本研究では,粉じん計用の小型サイクロンを試作し,このサイクロンについて吸入性粉じんとPM2.5の分離性能を評価した.
  • 渡邉 晋太郎, 李 云善, 川崎 祐也, 河井 一明
    原稿種別: [原著]
    2019 年 41 巻 4 号 p. 431-436
    発行日: 2019/12/01
    公開日: 2019/12/20
    ジャーナル フリー
    近年,様々な疾病の発症要因の1つとして,生体成分の酸化的損傷の関与が知られるようになった.本研究では労働者の生活習慣に加えて,疲労の蓄積が,生体内酸化ストレスマーカーである尿中8-ヒドロキシデオキシグアノシン(8-OHdG)に与える影響について調査した.その結果,尿中8-OHdG値のアルコール摂取による上昇,間食摂取ならびに調査日前日の睡眠時間確保による低下を明らかにした.また,同一集団で1-2カ月後に再調査したところ,尿中8-OHdG値の低下が観察された.同時に行った生活習慣等に関するアンケート調査の中で,再調査時に変化が見られた項目は,直近1ヵ月勤務負荷の低下であった.疾病予防に向けた生活習慣の改善において,尿中8-OHdGの活用が今後期待される.
  • 2019 年 41 巻 4 号 p. 437-
    発行日: 2019/12/01
    公開日: 2019/12/20
    ジャーナル フリー
  • 2019 年 41 巻 4 号 p. 439-450
    発行日: 2019/12/01
    公開日: 2019/12/20
    ジャーナル フリー
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