Journal of UOEH
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6 巻, 4 号
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  • Robert MURRAY
    原稿種別: 講演
    1984 年6 巻4 号 p. 345-354
    発行日: 1984/12/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    予言者などとというものは, この世に存在するものではないが, 21世紀における産業医学の発展予測を試みることにする. 人類をはじめ, 自然の法則や化学物質の性質は変化しないだろうが, 生物学的環境は生物工学によって大きく変わると思われる. 環境ストレスは異なったものとなるであろうが, 人の社会的, 心理学的反応は本質的には変化しないであろう. 量・反応関係についての, 現在の問題は, 時間と実験により解決されるだろうが, 他の新しい問題が起きるのは避けられない. 利用できる資源を越えても健康への期待は止まることはない.(これは, Murray先生が1984年10月25日, 広島における全国労働安全衛生大会で口演された原稿を, 先生自身が訂正されたものである.)
  • 北條 暉幸, 中島 民治, 平尾 登美
    原稿種別: 資料
    1984 年6 巻4 号 p. 355-357
    発行日: 1984/12/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    北九州市在住の17才の女子高生, 318名の身長,座高および比座高(身長に対する座高の百分率)を対象に研究した, 計測は, Martin-Saller法に基づいて行われた. 計測値は1973年, 1980年および1984年に計測された3群に分けられ, これら3群間に身長, 座高および比座高の各値に統計的に有意な差がなかった. 比座高は約54%で, この値は3群に共通であるばかりでなく, 若干の中国人, エスキモー人, アメリカ・インディアンおよび北海道アイヌ人に共通である.
  • ―いわゆるWorried Wellの患者群と心身医学―
    長田 宏
    原稿種別: 総説
    1984 年6 巻4 号 p. 359-368
    発行日: 1984/12/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    住民にとって, 最適な医療をいつでも, どこでも容易に受けたいという願望は, 全く素朴な本能的なものともいえよう. しかしながら, 健康教育が不備でしかもマスコミをはじめとする興味本位の医療に関する情報の, ときには煽動的とすら思える内容は, 住民の医療に対するdemandをいたずらに助長する結果ともなっている. こうしたことから, いわゆるworried wellといわれる患者群を増加させ, 医療施設に殺到し, ひいては医療費高騰の一因をなしているとも考えられる. 一方, 医療提供側も包括医療の観点からは必ずしも連続性, 継続性, 包括性を満足させている現状とはいい難い. Worried wellの患者群に接するばあい, 疾病の早期発見に努力すべきことはいうまでもないが, 同時に当該患者に対して心身医学的アプローチによって全人的に接することが必要となる. かかるばあい, 病院内の各診療科間をはじめとして各病院間の連けいが重要な課題となる. そこで, 包括医療の立場からみて, その連続性,継続性に欠陥があったと思われた症例をも呈示し, 一次レベルから三次レベルまでを包摂した医療圏の場において,医療情報の体系化とともに医療提供構造のシステム化をはかることが極めて重要であることについて論述した.
  • 高原 和雄, 中島 康秀, 武井 茂樹, 高杉 昌幸, 黒岩 昭夫
    原稿種別: 原著
    1984 年6 巻4 号 p. 369-376
    発行日: 1984/12/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    異型狭心症, 労作性狭心症, および陳旧性心筋梗塞症の患者群の血小板凝集能と血中力テコールアミン値を同時に測定し, 各群の比較検討を行った. 異型狭心症群の血小板凝集能は労作性狭心症群や陳旧性心筋梗塞群より低い値を示し, 特にエピネフリン, ADP惹起の血小板凝集能は労作性狭心症群および陳旧性心筋梗塞群に比して, 推計学的に有意に低かった. 他方, 血中エピネフリン,お よびノルエピネフリン値は, 異型狭心症の患者群では労作性狭心症や陳旧性心筋梗塞症の患者群より高かった. さらに, 血中力テコールアミン値とADP惹起の血小板凝集能との間には推計学的に有意な負の相関が見られた. これらの所見より, 異型狭心症群における血小板凝集能の低値は, 血中力テコールアミンの高値による事が示唆された.
  • 大西 晃生, 一井 貞明, 大森 久光, 永木 譲治
    原稿種別: 原著
    1984 年6 巻4 号 p. 377-381
    発行日: 1984/12/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    健康人(volunteers)8例の8腓腹神経の有髄および無髄神経線維の径と密度の定量的解析を, TGA-10 particle analyzer(Carl Zeiss社, West Germany)を用いて行った. 総有髄線維密度は, (7.4±1.3)×10³/mm²(平均値士標準偏差)であった. 小径有髄線維群と大径有髄線維群のborder diameterは5.4±0.5μmで, 小径有髄線維密度は(4.5±0.9)×10³/mm², 大径有髄線維密度は(2.9±0.7)×10³/mm²であった.無髄線維密度は(27.9±5.8)×10³/mm²であった. 無髄線維直径分布のpeak diameterは0.88±0.15μmで, 線維直径の中間値は0.86±0.12μmであった. また8例の有髄線維および無髄線維の直径分布の平均直径分布ヒストグラムを明らかにした. これらの定量的解析所見は今後の末梢神経障害例の腓腹神経の組織定量的研究における比較対照所見として不可欠である.
  • 大神 吉光, 二宮 謙一, 福地 靖範, 中村 次弘, 花岡 陽一, 中島 康秀
    原稿種別: 原著
    1984 年6 巻4 号 p. 383-390
    発行日: 1984/12/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    急性心筋梗塞における冠動脈血栓溶解療法(Percutaneous Transluminal Coronary Recanalization: PTCR)の効果を検討した. PTCR成功例7例とPTCRを行わなかった急性心筋梗塞32例の慢性期(発症後約1か月)における左室拡張末期圧, 心係数, 左室造影および心プールスキャンによる左室駆出率, 心筋シンチグラムによるdefect scoreおよび左室造影によるregional ejection fractionには, 責任冠動脈病変が右冠動脈・左冠動脈前下降枝のいずれの場合にでも, 有意差をみとめなかった. 病変部位・程度および臨床像の類似した2症例の比較ではPTCRの有用性がうかがえた. PTCRによる冠動脈再開率は70%と高率で,重篤な副作用は認めず, 急性心筋梗塞患者の死亡率の減少および心機能の改善が期待できるため, PTCRは急性心筋梗塞発症期において積極的に施行すべき治療法と考えられる. しかしその長期的効果の判定には, 多数症例によるコントロール治験が必要である.
  • 瓜生 康平, 海津 嘉蔵, 阿部 理一郎, 織田 進, 千葉 省三, 江藤 澄哉, 鈴木 秀郎
    原稿種別: 症例報告
    1984 年6 巻4 号 p. 391-396
    発行日: 1984/12/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    症例54歳の女性, 昭和54年2月腰痛で発症. 同年11月, 尿蛋白を指摘されて入院. Bence-Jones κ type多発性骨髄腫に伴う腎不全と診断された. 骨髄腫に対してcyclophosphamide, vincristin, prednisoloneの併用療法(Intermittent COP療法)を施行し, 腎不全に対して, 昭和54年12月より腹膜透析を開始した. これ以降肺炎で死亡するまでの26か月間, 腹膜透析による腎不全の治療を十分に継続しえた. 多発性骨髄腫に伴う腎不全は予後不良である. 本症に対する腹膜透析は, 原病による易感染性や近年の血液透析の進歩により施行されることは少なく, 長期生存例の報告はほとんどない. 本症例の長期生存は, 腹膜透析による腎不全のコントロールおよび骨髄腫に対する適切な化学療法によると考えられる. 骨髄腫は高齢者に多く, 血液透析が困難な場合があるが, 腹膜透析は高齢者でも施行しやすく, 今後積極的に応用しうると考えられる.
  • 小林 利次, 林 実, 荒井 正夫
    原稿種別: 総説
    1984 年6 巻4 号 p. 397-410
    発行日: 1984/12/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    西欧においては乳癌の発生率は非常に高く, 13人に1人の婦人が病魔にむしばまれている. 早期乳癌の的確な診断がその予後を左右する. 西欧化された食習慣により本邦の乳癌発生率は近年, 急激に上昇しつつある. 近年, 乳癌の超音波検査法はレントゲン被曝の懸念がなく, かつ, 非観血的であり, 診断率も高いため臨床分野に普及しつつある. 乳癌の超音波組織特性の研究はより良い鑑別診断基準の確立, さらに高性能な乳癌超音波診断装置開発のために不可欠な研究分野であり, 現在までの超音波組織特性研究の歴史的背景を含めて乳癌組織特性を中心にその現況を総説した.
  • 古野 純典, 徳井 教孝, 吉村 健清, 内岡 三枝子, 武若 秀子
    原稿種別: 総説
    1984 年6 巻4 号 p. 411-418
    発行日: 1984/12/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    栄養, 食物と疾病に関する疫学研究においては種々の食習慣調査の方法が使われている. これまでに使用されている食習慣調査法は記録法(秤量法を含む), 回想法, Burke法, 頻度調査法, 半定量頻度調査法に分類される. 個人の平均的栄養, 食物摂取を把握しようとする場合, 回想法および頻度調査法は不適であると考えられる. 数日間の食物摂取を正確に思い出すのは難しく, 24時間回想法では習慣的摂取を把握できない. 頻度調査法では摂取量の定量的評価が難しい. 遡及的食習慣調査の困難性と長期間における食習慣の変化を考えると, 症例対照研究における食習慣調査には限界がある. 食物と疾病に関する現在の疫学的知識を考えると, 半定量頻度法や7日間記録法によるコホート研究が望まれる.
  • 大津 ミキ, 深川 ゆかり
    原稿種別: 総説
    1984 年6 巻4 号 p. 419-422
    発行日: 1984/12/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    明治中期のはじめに, ナイチンゲールの看護学を学んだ看護婦が日本に現われる以前には, それほど体系だった看護学はまだ存在していなかった. 近代的な看護学の端緒を開いたのは, 明治17年, 東京においてのことである. 九州においては, それより10年遅れて, 福岡病院で看護教育が始められた. 当時の教育は, すべて, 医師により行われた. その教育の実際を述べ, さらに看護教育の目標とした倫理規範を明らかにしたい.
  • 正野 俊夫
    原稿種別: 総説
    1984 年6 巻4 号 p. 423-432
    発行日: 1984/12/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    除虫菊の殺虫成分pyrethrinsの化学構造が解明され, その類似化合物の合成により, allethrin, resmethrin, phenothrinなどの第1世代合成ピレスロイド系殺虫剤が登場した. しかし, これらの殺虫剤は容易に光分解を受けるという欠点を持っていた. その後,光分解に対して安定なfenvalerate, permethrinなどの第2世代合成ピレスロイド剤が開発されて, 合成ピレスロイド剤の農業用, 防疫用への利用の道が開かれた. 新しい殺虫剤が実用化されると, その殺虫剤に対して抵抗性を示す害虫の出現が問題となるが, ピレスロイド剤でも例外ではない. この総説では, ピレスロイド剤抵抗性に関して現在までに蓄積された情報を要約するとともに, ピレスロイド剤抵抗性問題の将来の見通しについて述べ, 特にピレスロイド剤低感受性の神経に依存する抵抗性, いわゆるkdr-型抵抗性の重要性を指摘した.
  • 北條 暉幸
    原稿種別: 論説
    1984 年6 巻4 号 p. 433-436
    発行日: 1984/12/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    筆者は, 解剖学教育の立場から, 若干の日本解剖学用語の検討を行った. 日本解剖学用語は杉田玄白以来200年を超える伝統をもち, 現在では漢字が用いられるだけでなく, カタカナも用いられ, さらに近年は簡略化した漢字も使われるようになっている. 〓骨の〓, 鼡径管の鼡がその例で, 鼡径管はラテン語解剖学名の翻訳ではなく含蓄の深い学名であると考えられる. 解剖学用語の下腿にスネをあてることは誤りで, 下腿前部に脛(〓), スネをあて, ハギも追加するようにし, さらに下腿後部に腓腹, フクラハギをあて, これにコムラを追加することを提唱した. さらに, 日本解剖学用語として, 鼠蹊管の場合, 鼠の代りに鼡, 蹊の代りに径などの新しい字体を採用していることを一般に周知徹底し, さらに辞書類の改訂を求めることを提唱した. なお, 日本解剖学用語としては, 脛に〓, 鼠に鼡の字体を用いることを強制してはいない.
    (〓=つきへん+又+土)
  • ―人文科学との関連性―
    大石 真一
    原稿種別: 人間学
    1984 年6 巻4 号 p. 437-442
    発行日: 1984/12/01
    公開日: 2017/04/11
    ジャーナル フリー
    外国語研究の目的は, 外国語を読み, 理解し, 話し, 書く能力を学生に身につけさせることである. 日本の大半の医学生にとって, 大学での英語の学習は6年間の中学・高校の英語教育の継続である. 独語, 仏語といった他の外国語の場合は, 新たに学習を開始することになるが, それはわずか2年間で終ることになるかもしれないし, 一生涯その外国語に関心を持ち続ける出発点となるかもしれない. 学習する外国語のいかんにかかわらず, また学生がどのレベルにまで到達するかにかかわらず, 外国語学習の第一の目的は, 異文化を持つ人との間に口頭または文章を通して知識の受理者ないしは提供者として意志の伝達を行うことである. 外国語での効果的意志の伝達とは, その伝達者が当該言語を知っているというだけでなく, 当該国の文化, 習慣を知っているということであり, その文化を持つ国の人と人間関係を発展させていくすべを知っているということである. 外国語教師は, このような知識を習得しようとする学生の手助けをすることができるし, また, 人文科学系の科目を勉強することによっても多くのことを学ぶことができる. 本稿では, 上手な意志の伝達者を育成するのになぜ人文科学系の科目と外国語研究の双方が必要なのか, そのいくつかの理由を明らかにすると同時に, 人文科学系の教師と外国語教師の双方が国際人を育てるために密接に協同すべきことを提唱する.
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