本研究では金沢市内5 地区における要支援・要介護, 健康な高齢者175 名の生活圏域の実態を調査し, これを元に日常生活圏域(福祉行政圏域)の規範としての中学校区の妥当性を考察した。調査から高齢者の生活圏の二層性, 徒歩圏の中空化等が明らかになった。次に各地区で現存施設を基点に描いた高齢者の平均的な生活圏例と福祉行政圏域を比較すると, 複数の中学校区をもつ地区や1 中学校区未満でも市周縁の広域学区を含む地区では, 前者による後者のカバー率は低かった。さらに地区社協等の担当範域が小学校区を基本とすることから, いくつかの小学校区をまとめた範域例である点において中学校区は日常生活圏域の規範として有意であると考えられた。
抄録全体を表示