住総研研究論文集
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選択された号の論文の17件中1~17を表示しています
  • 滝口 良, 坂本 剛, 井潤 裕
    2017 年 43 巻 p. 173-184
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/08/10
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    都市定住のなかで遊牧の住文化が継承されているウランバートルの周辺居住区(ゲル地区)において住居と住民の生活史の調査を実施し,当該地区固有の住文化について検討した。ゲル地区の住文化として(1)ハシャーという居住ユニット,(2)移動式ゲルとセルフビルド住宅,(3)割り込み居住といった要素が明らかになり,家庭環境の変化に応じた家屋の増改築や共同居住,移動を行う柔軟な住文化が浮かび上がった。さらにアンケート調査の結果,上記の住文化の要素がゲル地区の近隣関係や地域改善に向けた住民の意図に影響を与えることが明らかとなり,現行のゲル地区のコミュニティ開発にあたり地域固有の住文化を考慮する必要性が示唆された。
  • 江村 日奈子, 三田村 輝章, 吉野 博, 清水 徹, 上村 靖司
    2017 年 43 巻 p. 1-12
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/08/10
    ジャーナル オープンアクセス
    特別豪雪地帯である新潟県十日町市の民家2棟を事例として,熱環境調査を行ない,気密欠損箇所や温度ムラなどの実態と課題を明らかにした。その上で,民家の歴史的価値を保全しながら住環境とエネルギー収支を改善するための,部分断熱改修手法を提案する。手法の検討には数値シミュレーションを用いて暖房負荷の削減効果を確認し,冬期に開口部と断熱区画部に和紙貼の断熱パネルを付加する仕様で実践した。また,住環境や雪に対する意識調査,雪利用住宅等の見学会と座談会を開催し,地域住民が雪と共生してきた知恵を掘り下げながら「豪雪地帯の現代版民家」のあり方を考察した。
  • 貝島 桃代, 塚本 由晴, 佐藤 布武
    2017 年 43 巻 p. 13-22
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/08/10
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究は,津波被害を受け人口流失した三陸集落の住環境の再編手法を導くことを目的とする。研究方法は,まず津波と住環境の変化を扱った先行研究を参照し,文献調査・現地調査を行うことで三陸集落の住環境の全体像を把握した。次に特定の対象地に対して,文献調査・現地調査・聞き取り調査から,住環境に関して明治・昭和・チリ・東日本大震災津波に渡る年表とネットワーク図を作成し,その変化を分析した。さらに,東日本大震災の復興計画を含む将来の住環境を考察し,最後にそれをもとに,津波被害を受け人口流失した三陸集落の住環境の再編手法を提示した。
  • 熊谷 亮平, 稲坂 晃義, 濱 定史, 渡邊 史郎
    2017 年 43 巻 p. 23-34
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/08/10
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    木密地域である神楽坂地域では,既存木造建築の改修・用途変更による商業店舗が増加し,来街者の多い住商混在エリアを形成している。これらのリノベーションは建物や環境を維持しながらエリアの活性化に資する可能性を持っている。本研究では特に近年この傾向が顕著な神楽坂上を対象としてエリア特性や建物属性を把握し,その分布や集積の実態を明らかにした。用途変更を含めた木造建築の活発な更新実態,花街エリアである神楽坂下との地域的差異,改修工事における課題や施工方法・体制の一端を示した。また比較対象として木密地域のリノベーションが活発な大阪の中崎町・空堀地区などの分析を行い,用途や分布の傾向などを考察した。
  • 田口 陽子, 柄沢 祐輔
    2017 年 43 巻 p. 35-46
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/08/10
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究はアムステルダム北地区の10 年間限定の創作活動の場De Ceuvel における循環型環境システムの構築や文化芸術活動を通じた自立的な公共的空間の運営方法を把握しようとするものである。関係者へのインタビューと来訪者へのアンケートの結果,発案者・計画者を中心とする多様な専門性を持つクリエイターたちが協会を組織し,公共的空間の管理・運営を行っていること,持続可能性に関心のある人々が集まり,社会的に寛容でコミュニケーションが活発な場所が形成されていることを明らかにした。
  • 野﨑 淳夫, 一條 佑介, 小林 光, 成田 泰章, 吉野 博
    2017 年 43 巻 p. 47-56
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/08/10
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究では,東京電力福島第一原子力発電所の事故(以下,原発事故)で生じた放射性物質による環境汚染について,住宅内外の空間放射線量率を求め,除染作業の有効性や建築物における放射線の遮蔽性を検証した。結果として,1)除染作業に伴う室内外の空間放射線量率の変化が明らかになり,建築部を取り巻く環境放射線量率と室内における空間放射線量率との関係が明らかになった。また,2)住宅の建築材料や構造が,放射線の遮蔽性に及ぼす影響が明らかになり,実環境における遮蔽建材の適用法を明らかにした。
  • 山﨑 寛恵, 佐々木 正人, 青山 慶, 西尾 千尋
    2017 年 43 巻 p. 57-66
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/08/10
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究では,オープンスペースの認可保育所幼児フロアにおける,幼児の移動および玩具活動を観察に基づき,幼児の知覚-行為水準を踏まえた保育施設のエリア構築について考察した。まず,ウェアラブルカメラを装着した5 歳児の室内移動の動画記録から,経路選択に関わる室内レイアウトを抽出し,オープンスペースをエリア分けする際の特性を調べた。次に居住者によるモノのレイアウトから積み木玩具の活動エリアの変遷を追った。これらの分析から保育施設のエリアが具現するプロセスについて考察した。保育施設のオープンスペースは,幼児が動かすことのできないものを保育者が配置することでエリア分けされるが,幼児が玩具や教材などを部屋のレイアウト特性に制約を受けながら使用することによって,それぞれの移動および滞在性を始めとするエリアの機能が定まっていくことが示唆された。
  • 阿部 俊彦, 佐藤 滋, 岡田 昭人
    2017 年 43 巻 p. 67-77
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/08/10
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究では,切迫する首都直下地震に備えて,密集市街地の防災・減災に資する住環境の改善のための情報を蓄積した「事前復興GIS データベース」を開発し,地区住民や専門家によるワークショップを通じて,その有用性を検証した。一般的に,データベースには「情報を複層的に蓄積できる」「ニーズに応じた情報の選択が可能」「情報公開ができる」という3 つの特性があるが,今回開発したデータベースは,住環境改善のための地区のまちづくりの計画策定において,(1)将来像のシミュレーション機能,(2)関係主体の合意形成機能,(3)地域住民等の意見のアーカイブの3 つの点で有用であることが明らかとなった。
  • 大原 一興, 藤岡 泰寛, 江水 是仁
    2017 年 43 巻 p. 79-90
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/08/10
    ジャーナル オープンアクセス
    山間にある長野県阿智村清内路集落では,集落中心部には耕地が確保できないため,日当たりの良い斜面の高地に耕作地を求め,そこに夏の間一定期間過ごす「出作り」をしてきた。この風習の現代的な継承のために,経験者による「語り 部」の可能性が考えられる。現在では本来の出作りも語り部もほとんど消滅した。かつての生活の想起,出作り民家の実 態と生活の変化と経緯などを総体的に記録し,この地域遺産のリストを作成した。多くは変貌し伝統的な出作りは衰退し ていたが,本宅と山の家との二拠点の存在を活かし現代生活のスタイルを作り上げている家も見られた。また,その地域 文化の伝承を進めるエコミュージアムの実態についても考察した。
  • 加藤 浩司, 三栗野 鈴菜, 田口 紅音, 中島 宏典, 高橋 康太郎
    2017 年 43 巻 p. 91-102
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/08/10
    ジャーナル オープンアクセス
    近年,歴史的市街地では,空き家を活用し,移住者を迎え入れ,地域の活性化を図る取り組みが盛んに行われている。こうした取り組みの中で地域へ入る移住者には,それぞれが望む暮らしの実現を図る一方,地元住民と様々な交流を育みながら地域社会を支える担い手となっていくことが期待される。しかし,歴史的市街地で,移住者が地域に根づくことは容易でない。本研究では,主として,重要伝統的建造物群保存地区を有する福岡県八女市福島地区での事例研究から,移住者と地元住民による交流の可能性について検討する。
  • 佐久間 康富, 筒井 一伸, 嵩 和雄, 遊佐 敏彦
    2017 年 43 巻 p. 103-114
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/08/10
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究では農山村の空き家の適正管理と活用に対する地域社会が果たす役割を,以下の4 つの視点から明らかにした。1)空き家の把握:広報やアンケート調査による把握,定住世話人による空き家所有者への働きかけがあった。2)物件の現況把握と情報共有:行政担当職員らによる現況把握,地域情報誌による共有,日常的関わりの中での情報集約があった。3)空き家と移住者のマッチング:移住希望者と地域住民が対面する機会の創出,契約時の覚書の作成,家賃交渉への支援があった。4)入居後の生活支援:移住者・地域社会双方への丁寧な説明,地域団体への参画,就職先や農地の斡旋,農産物の販路開拓支援があった。
  • 鈴木 敏彦, 飯田 昂平, 北澤 興一, 杉原 有紀, 齋藤 さだむ
    2017 年 43 巻 p. 115-126
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/08/10
    ジャーナル オープンアクセス
    レーモンド夫妻の仕事においてノエミが果たした役割は大きい。ノエミは主にインテリアと家具を担当し,椅子,照明,テキスタイル,手すき和紙をデザインしてアントニンの建築に調和をもたらした。それぞれチェコ共和国とフランスにルーツを持ち,アメリカで絵画から建築までを追求した二人はフランク・ロイド・ライトと働き,アメリカから日本に渡り,東京でレーモンド建築設計事務所を開いた。1962年竣工の「軽井沢新スタジオ」は,今なおレーモンド・スタイルを完全に保存する唯一の作品である。所員だった北澤興一氏が受け継いだスタジオおよび所蔵品をデジタルアーカイブ化し,アントニンとノエミが実現したトータルデザインを明らかにした。
  • 早川 典子, 髙橋 英久
    2017 年 43 巻 p. 127-136
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/08/10
    ジャーナル オープンアクセス
    木造住宅の移築は,もともとは木造建築に特有の建築技術である。現在は文化財建造物や,それに相当する建造物を保存する目的以外に使われることは少なくなってしまった。日本では野外博物館という言葉の定義は定まっていないが,欧米から影響を受けた日本の野外博物館の役割について考える。次に,木造住宅をひとつの敷地に集めて野外博物館とする施設は,世界各国で見ることができる。このような施設の事例をふまえながら,多様な野外博物館の今後を考える。
  • 安野 彰, 大井 隆弘, 須崎 文代, 田中 和幸, 水野 僚子
    2017 年 43 巻 p. 137-148
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/08/10
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究は,近代住宅における水まわり空間の変容過程を明らかにするため,住宅改良が活発に展開された大正から昭和期にかけて活躍し,平面形式等に都市住宅の典型的傾向を示す建築家・吉田五十八の住宅作品を分析した。具体的には,水まわりの設備が描かれた平面図,展開図,詳細図等を用いて,台所・浴室・便所・女中室について,住宅全体の動線計画における位置づけや室内空間の変遷を検討した。その結果,1940 年頃と1950 年から55 年頃に変化が集中していることが確認された。そこでは,住宅における表と裏の性格と水まわり空間の関係性が段階的に変化していく様子や,新しい材料や技術の導入がそうした変化に与えた影響が捉えられた。
  • 矢吹 愼, 朴 晟源, 大月 敏雄
    2017 年 43 巻 p. 149-160
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/08/10
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究は戸建住宅団地における非住宅用途発生のメカニズムを明らかにし,ゾーニングによる用途規制との関係を考察したものである。非住宅用途には開業を目的に入居する「商売目的入居」と,入居時には開業を考えておらず,各々のライフステージ上の事情により開業に至る「居住目的入居」の2タイプがあり,両者の立地特性や業種,発生時期,経営体制等の特徴が異なることが明らかになった。また,両者はそれぞれ程度の差はあるものの地域への貢献を果たしていることも確認された。しかし,ゾーニングによる用途規制の影響を考察すると,用途規制が特に「居住目的入居」に与える影響が大きく,その発生が抑制される傾向にあることがわかった。
  • 山田 崇史, 岸本 達也
    2017 年 43 巻 p. 161-172
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/08/10
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究では,東日本大震災の避難行動データを用いて,徒歩と車による避難者の選択行動モデルを作成,分析した。沿岸地域に平野部が広がる宮城県仙台市,名取市,岩沼市を対象とした。パラメータ推定の結果,避難方向,移動距離,階数,建築面積は,避難者の避難施設の選択行動に影響する要因であることを確認した。選択行動モデルから複数の施設が配置している場合の避難圏域図を作成した。本研究のモデルは,従来モデルと比較して,高い精度で避難圏域の割り当てが可能であることを示した。避難施設を配置する際には,施設の規模および施設間の距離について考慮すること,徒歩と車の避難者それぞれに応じた施設について考慮する必要がある。
  • 大原 一興, 藤岡 泰寛, 江水 是仁
    2017 年 43 巻 p. 1001-
    発行日: 2017年
    公開日: 2019/01/18
    ジャーナル オープンアクセス
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