日本の住宅の近代化における女性の役割に関する研究の一端として,戦間期に女性が施主となった住宅6件を対象に,婦人雑誌というメディアを通した近代化への貢献および憧れの醸成について分析した。住まいの外観は,海外渡航の有無によって和風と国際様式に二分し,起居様式は床座,椅子座,混合に三分した。それらの平面計画は一例を除き伝統的な座敷などの家父長制の名残はなく,自立した女性としての要望を満たしていた。室内には布地と色彩へのこだわりがあった。憧れには施主の交友関係における住まいへの憧れと,一般読者の憧れの二重構造があり,婦人雑誌の記事では,本人が住まいの写真に写ることで憧れを呼び,共同の意識を生み出した。
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