住総研研究論文集・実践研究報告集
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最新号
選択された号の論文の19件中1~19を表示しています
  • 小野田 泰明, 佃 悠
    2022 年 48 巻 p. 167-178
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/05/10
    ジャーナル オープンアクセス
    これまでに建設されたリビングアクセス型住宅は,リビング,サニタリー,個室の平面構成から8類型に分けられ,類型ごとにフロンテージが大きくなるほど,リビングの縦長比が小さくなることを示した。さらに,フロンテージには限界値が存在すること,リビングには内包された動線空間であるSC(シャドー・コリドー)領域が発生すること,「居(普段の生活で落ち着いて居る場所)」の向きには,フロンテージと外部への眺望が影響を与え,「居」の位置には,冬至の日射の位置が関係している可能を示した。
  • 第2次産業の職住空間から第4次産業の職住空間に向けて
    藤原 紀沙, 横尾 昇剛, 小林 岳, 塩田 大成, 佐藤 大地
    2022 年 48 巻 p. 119-130
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/05/10
    ジャーナル オープンアクセス
     本研究では,職住近接が現在に至るまで行われてきた栃木県宇都宮市大谷エリアにおいて,この地域特有の採石産業と結びついた人々の暮らしと職住近接空間の特徴を調査した。居住地と観光・産業の場,両面の特徴を持ち,このような姿を残した発展が望まれる大谷エリアにおける,流動的な働き方と暮らし方を検討することで,大谷エリアにおける今後の職住シェア空間として,地域内の移動手段を兼ねた移動式のワークスペース兼寝室を提案した。プロトタイプを制作し,試験運用したところ,大谷エリアならではの雄大な風景のなかを自由に移動でき,屋外や半屋外で比較的快適に過ごせる空間となったことが確認できた。
  • 山口 健太郎, 園田 眞理子, 三浦 研, 中嶋 友美
    2022 年 48 巻 p. 131-142
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/05/10
    ジャーナル オープンアクセス
     本研究では,住宅型ホスピスを対象に家族の語りから,平常時およびCOVID-19下における家族の場の形成過程について明らかにする。調査方法は家族,管理者に対するインタビュー調査および管理者に対するアンケート調査である。以下に結果をまとめる。(1)平常時において家族は時間と空間の共有を通して,環境に対してなじみ,住宅型ホスピスの部屋を自宅にある入居者自身の部屋の延長上として捉えていた。(2)住宅型ホスピスではCOVID-19下においても家族の訪問や看取り時の家族の立会いが行われていた。(3)COVID-19下における看取りの事例から,短期間の入居であっても住宅型ホスピスの中に家族の場が形成されていた。
  • 材料,構法および工法の解明
    中村 航, 畑中 久美子, 村本 真, 山田 宮土理
    2022 年 48 巻 p. 143-154
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/05/10
    ジャーナル オープンアクセス
     本研究は,地震が多発し雨の多い日本においては珍しい,土を積んだ壁を有する建築に着目して,現地調査,材料実験および環境測定を行ったものである。現地調査の結果,小屋の構成について,構造形式や軸組部分との関係から分類を行い,用途や分布地域,および土積み壁部分の構成との関係を確認した。土積み壁から採取したサンプルを対象とした材料実験では,建物の鉛直荷重を支える強度があり,土だけで積む場合より,同時に石も積む場合の方が細粒の土を用いる傾向が確認できた。環境測定では,土積み壁を持つ建物は,外気温と比べて温湿度が安定しており,土の持つ蓄熱性と調湿性による効果が確認できた。
  • 福島 秀哉, 白柳 洋俊, 羽鳥 剛史, 渡部 哲史
    2022 年 48 巻 p. 155-166
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/05/10
    ジャーナル オープンアクセス
     地域住民の環境認識は,環境,経済,社会のバランスが取れた持続可能な観光戦略・地域戦略の策定や,地域の主体的な地域づくりにおいて重要な要素であるが,地域戦略や諸計画の前提となる地域の空間的特徴との関係の分析は進んでいない状況にある。本研究は,石垣島集落群から地域の歴史性や地域づくりの取組みの蓄積が豊かな集落を選定し,その歴史性を含む空間的特徴を歴史的景観キャラクタライゼーション等の手法を用いて明らかにした上で,地域の環境認識との関係性について明らかにすることを目的として分析を行った。その結果として,空間的特徴と景観価値,ならびに景観価値と地域愛着に関して,いくつかの関係性を示した。
  • 岡本 祥浩, 堀 容子, 岡田 昭人, 斎藤 縣三
    2022 年 48 巻 p. 199-208
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/05/10
    ジャーナル オープンアクセス
    The aim of this project is to provide everyone with a secure housing. In this project, we explored regional base activities aimed at realizing a safety housing for all at dilapidated social houses which had many vacant flats. Some of them have been converted into distributed service homes for the elderly, and the supermarket site has been converted into a community living base. Through the health lecture courses, experiments on the robotic pet, examination of events, surveys of residents, and search for local resources, we explored regional base activities that support everyone's lives. It was inferred the necessity to accumulate the life support functions for various people involved in the regional base facilities.
  • 川崎市宮前区を対象地とした「まちかどシェア」の実践
    辻 麻里子, 渡邉 秀樹, 藤牧 功太郎, 加藤 聖
    2022 年 48 巻 p. 209-218
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/05/10
    ジャーナル オープンアクセス
    「公共空間をコミュニティプラットフォームが生み出す創発の拠点に」 大都市郊外の典型的ベッドタウンである川崎市宮前区において,公園等の公共空間で住民主体のコミュニティプラットフォームによる「まちかどシェア」を展開した。屋外の公共空間で地域の各種活動が集合して可視化されることにより様々な活動主体が偶発的に結びつき活動が継続発展する創発が生まれコミュニティの活性化が図られた。コミュニティプラットフォームの形成とその運営が重要であることが確認されその担い手(プラットフォーマー)や運営方法等を考察しブックレットにまとめた。これは郊外住宅地の重要課題であるコミュニティ再生の方法として有望である。
  • 住まいの近代化と憧れを中心に
    田中 厚子, 松下 希和, 赤澤 真理
    2022 年 48 巻 p. 1-12
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/05/10
    ジャーナル オープンアクセス
    日本の住宅の近代化における女性の役割に関する研究の一端として,戦間期に女性が施主となった住宅6件を対象に,婦人雑誌というメディアを通した近代化への貢献および憧れの醸成について分析した。住まいの外観は,海外渡航の有無によって和風と国際様式に二分し,起居様式は床座,椅子座,混合に三分した。それらの平面計画は一例を除き伝統的な座敷などの家父長制の名残はなく,自立した女性としての要望を満たしていた。室内には布地と色彩へのこだわりがあった。憧れには施主の交友関係における住まいへの憧れと,一般読者の憧れの二重構造があり,婦人雑誌の記事では,本人が住まいの写真に写ることで憧れを呼び,共同の意識を生み出した。
  • 野澤 俊太郎, 小見山 陽介
    2022 年 48 巻 p. 13-24
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/05/10
    ジャーナル オープンアクセス
     20世紀初頭の日本において,組立構法および住宅設備は様々にイメージされ,デザインされた。在来構法ではなく,組立構法で以て壁体構造の住宅をデザインすることは,理想的で新しい住生活を生み出す手段として認識された。そして,電気設備,台所設備,暖房設備等を導入しようとする試みが,壁で囲われた空間の中に,住生活を巡る近代的快適性のイメージを具現化するプロジェクトとして機能したのである。本研究は,最終的に1930 年代に見られたトロッケン・モンタージュ・バウ(乾式構法)の試みを再訪し,構法計画と設備デザインが融合していく様子を描く。
  • ウォーカビリティに着目して
    加登 遼, 中村 昌平, 新開 邦弘, 吉田 友彦
    2022 年 48 巻 p. 25-36
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/05/10
    ジャーナル オープンアクセス
     本研究の目的は,ウォーカビリティの観点から,オールドNTの将来シナリオを評価することである。その方法として,マルチスケール分析法を採用して,大阪府茨木市山手台を事例としたシナリオ・プランニングと,大阪府のオールドNTを対象としたWebアンケート調査を行った。その結果,オールドNTの将来シナリオとして,循環交通型シナリオ・ヘルスケア型シナリオ・親子近居型シナリオ・リモートワーク型シナリオが想定されることを解明した。また,ウォーカビリティ評価に基づく各オールドNTの地域性に合わせて,循環交通型シナリオと,ヘルスケア型シナリオや親子近居型シナリオを組み合わせて目指す有効性を解明した。
  • 寒冷地における「越冬プラン」プログラムを事例として
    久野 遼, 大月 敏雄, 李 鎔根, 日野 裕輝
    2022 年 48 巻 p. 37-47
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/05/10
    ジャーナル オープンアクセス
     本研究では,数か月程度の間高齢者居住施設への入居を可能にする「ミドルステイ」の取組が,高齢期における円滑な住み替えにおいて果たす役割を,寒冷地における「越冬プラン」の事例に着目し分析した。越冬プランは自宅等から施設へ住み替える際の過渡的な居住形態として位置づけられ,一連の住み替えプロセスを分析することで,自宅・医療施設と施設をうまく併用しながら段階的に住み替えが進む実態が明らかになり,高齢期における自宅と施設の中間的な住まいのあり方に関する示唆を得た。
  • 丁 文磊, 松原 茂樹
    2022 年 48 巻 p. 49-60
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/05/10
    ジャーナル オープンアクセス
     本研究では,20 人の在日中国人高齢者を対象に,アンケート,インタビュー調査及び彼らの住宅と近隣での現地調査を通して,在日中国人高齢者の住宅環境,近隣環境,社会環境の実態を明らかにした。また介護環境について,郵送アンケート調査を通して,日本における中国語の対応が可能なデイサービスセンターの運営と利用の実態の全国的な傾向を把握し,その全体像を明らかにした。さらに,一つの在日中国人向けのデイサービスセンターと一つの日本人向けのデイサービスセンターでの行動観察調査を通して,利用者の一日の生活展開と滞在様態,施設の空間特性について考察して比較し,中国人高齢者向けの介護施設に関する建築計画的知見を得た。
  • 吸放湿性状を考慮した増殖予測モデル作成と人の汚れ感覚の調査
    中嶋 麻起子, 高田 暁
    2022 年 48 巻 p. 61-72
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/05/10
    ジャーナル オープンアクセス
     外壁汚れの主原因である気生藻類の発生を予測し,評価指標を確立することを目的とし,実態調査,藻類の平衡含水率測定,増殖予測モデルの改良,汚れの評価実験を行った。その結果,降雨の当たる外壁面では降雨の当たらない外壁面に比べ,降雨による水分供給と藻類自身の吸放湿性状により,藻類個体数が大きく増加することを明らかにした。さらに,汚れに対する人の感覚は汚れの面積比・色差の2つと強い相関を持ち,これらが増加すると人は汚れの程度が大きいと評価することが示し,汚れの物理指標により汚れ感覚を定量的に示すことが可能であることを明らかにした。
  • 中須 正, 川崎 昭如, ブラオ ラティア, アナツクソムスリ スティ
    2022 年 48 巻 p. 73-84
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/05/10
    ジャーナル オープンアクセス
     本研究の目的は,2011年のチャオプラヤ川洪水において被災した産業集積地に焦点を当て,長期的な視点から工業団地地域社会的脆弱性の変化やリスクを明らかにし,問題点を抽出,解決案を提案することによって,将来の持続可能な産業集積地地域社会の構築のために資することにある。研究方法は,マクロ的な視点からミクロ的な視点までを考慮に入れて,統計データ解析,質問紙,及びインタビュー調査を採用した。研究結果として,地域の社会的脆弱性の特定及びその変化について,県レベルから工業団地周辺のコミュニティレベルまで,分析し,そのギャップ及び課題を明らかにし,今後の災害対策への参考となる処方箋を提示した。
  • 平井 百香, 小野田 泰明
    2022 年 48 巻 p. 85-96
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/05/10
    ジャーナル オープンアクセス
     本研究では,地域生活や空間認知に課題を有する盲重複障害者を対象として,障害福祉サービス事業所を中心とした居場所形成の様子と,空間把握行動の特性を明らかにすることを目的とする。X事業所においてヒアリング及び行動観察調査を行い,1)盲重複障害者はX事業所のプログラムを介して地域内外の多様な人との関わりを実現していること,2)事業所においては他者とのコミュニケーションを積極的に取るために滞在場所を選択していること,3)空間把握行動は時間の経過と共に変化し,他者との関わり方にも影響することを明らかにした。盲重複障害者にとってX事業所は単なる就労の場ではなく,Well-beingの実現に繋がる様々な機会を得ていた。
  • 熊本地震後の借上型仮設住宅供与に着目して
    福田 健, 田上 健一, 範 懿
    2022 年 48 巻 p. 97-108
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/05/10
    ジャーナル オープンアクセス
     本研究では,熊本地震後の借上型仮設住宅への入居および住宅再建に伴う世帯の移動実態と発災前後の空き民間賃貸住宅ストック数を明らかにすることで,住宅ストックが移動に及ぼす影響を分析した。調査の結果,6,000戸程度が余っていたと推定される熊本市では住宅再建までの移動が市内で完結する傾向にあったが,100~300戸程度余っていたと推定される宇土市や宇城市では約25%は市外の借上型仮設住宅に入居していた。借上型仮設住宅への入居で一度市町村外に出た場合,住宅再建時には半数程度しか戻って来ない状況が多くの自治体に共通しており,市町村内の住宅ストックが住宅再建すなわち地域の復興に影響を及ぼすことが明らかとなった。
  • 維持管理が再販を考慮したライフサイクルコストに与える影響
    森 太郎, 中嵜 亜衣子, 服部 倫史, 三木 奎吾, 東出 憲明
    2022 年 48 巻 p. 109-118
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/05/10
    ジャーナル オープンアクセス
     建物を良質なまま維持し社会のストックとするためには定期的な維持管理計画の立案と実施が必要不可欠である。特に寒冷地において断熱材が用いられた住宅は内外温度差が大きくなるため,湿害が生じやすく,適切な維持管理を行っていないと大きなトラブルとなってしまう。本報告では,高断熱住宅のトラブルやメンテナンスの実態を把握することで,高断熱住宅の劣化のフロー図を作成し,それに対応する点検,メンテナンス手法について整理し,住宅の建設から将来の売却,流通までのライフサイクルコストについて,維持管理がどのような影響を与えるのかについて検討した。
  • 佐藤 圭一, 中嶋 健明, 秋岡 昌彦
    2022 年 48 巻 p. 179-188
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/05/10
    ジャーナル オープンアクセス
    「唯一の手織り中継ぎ畳表の職人から織機製作技術を継承」  動力中継織機の再生(修理・復元・改良)に注力した前課題に続き,本課題では手織中継織機の新規製作を実践する。いずれも備後地域発祥で,独自に発展,継承してきた「中継ぎ」という畳表の伝統的製織技法に着目したものである。備後表は,最高級と謳われながらその原料となる備後藺草はほとんど栽培されておらず,継承の危機にある。備後地域独自の「中継ぎ」の製織技術は,これを継承するための鍵となる。唯一の手織中継職人であり,手織織機製作技術もただ一人継承する来山淳平氏による織機製作工程を現地調査して記録し,2次元詳細図や3次元組立図,3DCGなどの製作図を作成して,織機製作と製織技術の一部を継承した。
  • 長崎市営住宅でのアンケート調査と居住参画による実践的研究
    橋本 彼路子, 定行 まり子, 平野 啓子
    2022 年 48 巻 p. 189-198
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/05/10
    ジャーナル オープンアクセス
    「公営住宅の改修計画・施工・居住を通じた直接参加型研究」  2019年11月,長崎市から長崎総合科学大学の近くにある市営住宅に,比較的安い賃料で最大4年の期限で学生に居住を認め,建て替えの支障なく居住者を増やすことを検討してほしいという申し入れがあった。「高齢者や子育て世代のニーズを把握し,生活サポートの検討」「自然災害に対して安全性の向上」など,事前に様々な学術的な研究や検討を行うこと,その調査の結果を建替えの住棟プランに活かすことが必要であると提案し,市の重点プロジェクトの1つ「住みよかプロジェクト」として実施されることなり,改修計画案と改修工事及び学生居住による直接参画型研究を行うことになった。
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