住総研研究論文集・実践研究報告集
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最新号
選択された号の論文の31件中1~31を表示しています
  • 「ユニット型」教室配置をもつ特別支援学校への建替事例を通して
    境野 健太郎, 山脇 博紀
    2025 年51 巻 p. 301-312
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/06/01
    ジャーナル オープンアクセス
    近年,特別支援学校では,在籍者の増加とともに児童生徒の障害程度の重度化・重複化がみられている。本研究では,主に重度・重複障害をもつ児童生徒を受け入れている特別支援学校を対象に,個別教育に対応すべく採用された「ユニット型」教室配置の有効性について,全児童生徒の5分間隔の行動観察調査等により明らかにする。児童生徒の居場所・姿勢・行為・関わりの対象の分析から端部の教室が利用されやすい傾向と,ADLや障害の程度,周囲の環境に敏感な児童生徒に合わせた教室利用が確認できた。空間の落ち着きや教職員間連携が重視される一方,在籍者の増加や重度化に耐えうる学習環境としての課題も確認する結果となった。
  • 中川 純, 金 ジョンミン, 福島 加津也, 中谷 礼仁
    2025 年51 巻 p. 279-289
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/06/01
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究は,車載用リチウムイオン電池の環境負荷と再利用可能性について評価し,特に定置用蓄電池としての利用に焦点を当てた。日本の建築部門におけるCO₂排出量削減,および2050年カーボンニュートラル目標達成に向けて蓄電池の活用が期待されている。リチウムイオン電池の性能や耐久性が課題とされる中,本研究は,経済産業省統計データに基づく市場成長率とGHG排出量を分析し,家庭内転用後のCO₂ペイバックタイムを算出した。結果として,LCAに基づく環境負荷削減の方向性と,今後の建築分野におけるCO₂排出低減の可能性を示した。
  • 矢野 拓洋, 前芝 優也, 正林 泰誠
    2025 年51 巻 p. 291-300
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/06/01
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究は,集落における私有地の,一部または全部が所有者以外の他者が利用する「公的領域」の管理・利用の実態を調査している。8つの集落を対象に公的領域を調査し,比較することで公的領域が発生しやすい集落の特徴を明らかにした。また,特に公的領域の発生数が多い三重県鳥羽市答志島に位置する和具地区,答志地区を対象として,利用者へのインタビューを行い管理・利用の詳細を伺った。結果,敷地面積の全体を利用する利用者は少なく,一方で,利用者によって敷地面積の全部が管理されているケースが多いことがわかった。また,利用者の多くが,所有者の所在も連絡先もわからない状態で管理を継続していることがわかった。
  • 釜床 美也子, 小宅 由依
    2025 年51 巻 p. 225-234
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/06/01
    ジャーナル オープンアクセス
    茅葺屋根の材料の茅は自然由来の素材としてヨーロッパを中心に現代建築の屋根への利用も見られるが,日本の茅葺及び茅採取を行う茅場は減少の一途を辿っている。しかし,現在も住宅として茅葺民家に住み,その住まいの維持のために自家用の茅場で茅調達を毎年行っている事例がわずかにある。本研究ではそれらの活動に着目し,現代でも実践可能な茅葺民家の維持管理手法を導くことを目的として事例調査を行った。
  • 荒木 菜見子, 中川 理, 中野 茂夫
    2025 年51 巻 p. 235-246
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/06/01
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究は戦後住宅供給の制度として1962年度から開始された年金福祉事業団の住宅融資制度が果たした役割について,事業団設立の経緯や事業内容等の整理と,実際に制度開始初年度に融資を受けて建設された複数の,中小企業の事業協同組合による共同化住宅建設の事例調査を検証することで明らかにした。結論として,年金福祉事業団は,被保険者に直接還元融資が可能で,かつ住宅の建設基準の規定がなく任意の設計ができたため,従業員住宅の戸数の確保と福祉向上が求められた高度成長期において,中小企業が従業員住宅を共同建設する際に積極的に利用され,住宅の量的供給と質向上の両側面において一定の役割を果たしたことがわかった。
  • 岡崎 瑠美, 清水 郁郎, 山舩 晃太郎
    2025 年51 巻 p. 247-256
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/06/01
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究は,上川アイヌの伝統的住居「チセ」の建設技術を記録し,保存と継承を支援することを目的とする。現代の復元チセに焦点を当て,旭川市の嵐山チセおよび上川町チセの建設工程を調査し,実測や写真測量を用いた3D モデル作成を実施した。さらに,アイヌ文化の伝統的技術と現代の工業製品や工具の併用について分析し,技術の保存と効率化のバランスを考察した。本研究は,口頭伝承に依存する技術記録の不足を補い,次世代への技術継承を促進するものである。
  • 高齢者と学生の異世代ホームシェアの課題と効果
    是永 美樹, 和田 蕗, 片木 孝治
    2025 年51 巻 p. 257-268
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/06/01
    ジャーナル オープンアクセス
    高齢者の自宅に学生が同居する異世代ホームシェア「次世代下宿『京都ソリデール』事業」を対象に,間取り調査とヒアリング調査を行い,シニアと学生は最小限のルールのもとで互いの生活スケジュールを守りながら,適度な距離感による関係性を築き,安心感と日常的な交流を得ることによる生活環境の向上と精神的な充足感を得ながら,異なる世代からの刺激や学びによって自己の成長を実感できる住まい方となっていることを把握した。一方でシニアの自宅に「同居する」学生の立場からは,学生の個室から共用スペースに行く際に,シニアの個室の前を通らない動線,リビングに寄ることを状況に応じて選択できる動線の確保が望ましいことを指摘した。
  • 堀 裕典, パク ミンジョン
    2025 年51 巻 p. 269-278
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/06/01
    ジャーナル オープンアクセス
    近年,日本全国で3411条例の運用の見直しが行われ,廃止を行う自治体も見られる。その中で,本研究においては,2022年に廃止された倉敷市を取り上げる。アドレスマッチングを用いた分析からは,3411住宅には,倉敷市内市街化区域から移動している層が約57%であり,スプロールが起こっていることが明らかとなった。開発敷地では,敷地延長を用いた旗竿地における開発が多く見られた。3411住宅の居住者は,地域への愛着に関して評価が低いことが分かった。なお,「隣接する市街化区域と3411住宅にすむ住民の意識」と「市街化調整区域既存住宅と3411住宅にすむ住民の意識」について,災害不安度,住宅決定時の災害考慮の度合いという点で差異が見られた。
  • 岡山県瀬戸内市牛窓地区における実践を通じて
    前田 昌弘, 片岡 八重子
    2025 年51 巻 p. 343-352
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/06/01
    ジャーナル オープンアクセス
    「見て,聞いて,動いて感じる地域の可能性と住み継ぎの仕組みづくり・場づくり」 地域の過疎化と移住の増加が近年進行する港町・牛窓を対象として空き家等を活用した住み継ぎの具体的な課題や方策を探る活動とともに,地域の魅力や価値を掘り起こし環境像として共有する地域の全体像・将来像を見据えた活動を行ってきた。これらは住み継ぎを手がかりとした,「住まいの継承」と「地域の継承」の関係性の再編,新たな循環の生成をめざした仕組みづくり,場づくりであり,牛窓と同様,対象エリアが比較的コンパクトであり,空き家活用・エリア再生の主体に一定の重なりがみられる地域の住み継ぎに取り組む場合,特に有効であると考えられる。
  • 泉北ニュータウンを対象にして
    伊丹 絵美子, 中川 健太
    2025 年51 巻 p. 1-12
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/06/01
    ジャーナル オープンアクセス
    泉北ニュータウンでコミュニティ・ビジネス(以下,CB)起業家に活動の場を提供する中間支援主体に着目し,公的組織の計画・施策等がそれらの組成に及ぼした影響,建築関連事業者の場の開設への関与の経緯・方法,中間支援主体によるCB 起業における役割について,参与観察,中間支援主体等へのインタビュー調査,場を利用するCB 起業家へのアンケート調査をもとに検証した。その結果,NT 再生を主眼においたCB 支援に限定しない施策展開により形成されたプラットフォームが,市民や公的組織等の関係性の構築,公的組織による支援を促すことで,中間支援主体の組成に影響を与えたこと等が明らかになった。
  • 持続可能な「ポツンと一住宅団地」の戦略的方法論
    長岡 篤, 藤谷 英孝, 稲見 成能, 劉 一辰, 磐村 信哉, 小場瀬 令二
    2025 年51 巻 p. 13-24
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/06/01
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究は,関東地方の遠郊外住宅団地を対象に,様々な活動主体による取組と住民の住宅団地に対する認識の把握から,住民を中心とした多様な主体が関わり,維持・再生が可能な方策を明らかにすることを目的とする。手順は,4箇所の住宅団地を選定し,自治会・町内会による住民活動を把握し,住民を対象としたアンケート調査及びヒアリング調査,自治体に対するヒアリング調査を実施した。これらの調査を踏まえ,住民主体で遠郊外住宅団地を維持していくために,自治会,住民,自治体等各主体の役割と担うべき事柄を踏まえた,住宅団地の持続可能な戦略を提示した。
  • 米国の住宅地のマネジメントを参考に
    松林 優奈, 青木 留美子
    2025 年51 巻 p. 25-36
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/06/01
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究では,アメリカ合衆国での共有物を持つ住宅地開発において住宅地のマネジメントを実践するための法律がHOA(Homeowners Association:不動産所有者団体,以下HOA)による住宅地のマネジメントにどのような影響を与えているのか,HOA に関わる多様な団体がどのような運営を行い,相互に関係し合っているのかその実態を明らかにするために,2017 年州法改正を行い行政が住宅地のマネジメントに介入した事例を持つニュージャージー州に着目する。ニュージャージー州での住宅地のマネジメントに係る州法の特徴,行政対応,個別事例としてラドバーン住宅地での住宅地のマネジメント実態を把握し,法制度やそれから派生している政策が住宅地のマネジメントに与える影響を考察する。
  • ドイツ・ノルトライン・ヴェストファーレン州の社会住宅整備事例を対象として
    宮原 真美子, 佐藤 将之
    2025 年51 巻 p. 37-48
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/06/01
    ジャーナル オープンアクセス
    本論は,住宅への助成権限が連邦政府から州に移譲された2006 年以降に行ったノルトライン・ヴェストファーレン州の社会住宅整備の現状を概況し,中でも,近年社会住宅整備事業の事業主として期待される社会的企業が取り組んだ事例として,モンターク財団による社会住宅を含む再開発事業Nachbarschaft Samtweberei について報告するものであり,プロジェクトの整備プロセス及び運営・管理スキームを明らかにし,社会住宅の整備と合わせて面的にコミュニティの再構築に取り組む組織体制・空間スキームを示した。
  • 飯舘村での帰村者及び二地域居住者を対象として
    糸長 浩司, 内ケ崎 万蔵, 浦上 健司, 關 正貴
    2025 年51 巻 p. 49-60
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/06/01
    ジャーナル オープンアクセス
    東京電力福島第一原発の過酷事故により放射能汚染された福島県飯舘村での汚染実態の解明を,住宅,農地,森林で行い,同時に試験栽培で農作物への移行率,植林による樹木への移行率を解明する。定住,二地域居住の村民の外部・内部被ばくを解明し,住宅の放射能防御対策の検討を行う。聞き取りとアンケートにより,放射能汚染意識,対策意向,コミュニティ意識,施策要望を解明する。放射能汚染農村での住宅と農村計画の課題と展望について述べる。
  • 稲田 浩也, 三浦 研
    2025 年51 巻 p. 61-70
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/06/01
    ジャーナル オープンアクセス
    空き家問題に対する解決策として機械学習技術の活用を提案し,神戸市全域を対象としてる空き家の推定手法開発と発生予測分析を行った。複数の機械学習手法の中からCatBoostが最も有効であることを示し,物件情報や電力データから空き家分布の高精度の予測結果が得られた。また,この予測モデルを活用し2050年までの空き家分布の分布傾向を推定し,神戸市の中で空き家が増加する可能性の高いエリアを詳細に特定した。さらに,機械学習の解釈手法であるSHAP を用いてモデルの予測過程を解釈し,空き家発生に寄与する主要な要因を明らかにした。これまでは自治体全域で単一の対策を行われていたが,本研究の成果により,従来よりも狭い範囲で空き家問題に対処することが可能になることが期待される。
  • 近代期の資料調査及び実測調査を通して
    金谷 匡高, 打集 宣善, 邵 帥, 関根 康成, 細井 菜々子, 広田 賢, 余 鵬正
    2025 年51 巻 p. 71-82
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/06/01
    ジャーナル オープンアクセス
    新島の固有資源であるコーガ石は,近世より採石が行われ,近代以降は建材としての利用が普及し,石倉や石垣だけでなく,主屋の外壁や屋根材としても利用されるようになり島特有の集落景観を形成してきた。本村集落は,近代以降,屋敷構えにコーガ石を用いたことで,他の地域には見られない独自の景観が作られてきた。本研究では,近代以降,コーガ石産業が主流になり産業構造が変化したことで,屋敷構えなどに影響があったのか,資料調査及び実測調査により集落空間変遷の解明を行う。
  • LGBTQ+の住まいの権利の保障に向けて
    葛西 リサ, 長谷川 洋
    2025 年51 巻 p. 83-94
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/06/01
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究は,性別二元論が貫徹する社会において,LGBTQが住宅市場において如何なる不利を被るのかについて,主に同性カップルの住宅問題に着目して調査を実施した。不動産市場は,婚姻,血縁関係者が同居し,ともに資産(持家)を作る事を前提としており,それ以外の結びつきを排除する。にもかかわらず,地方自治体の多くがLGBTQの住宅問題を認知しておらず,ゆえに特別な支援も行っていなかった。他方で,婚姻カップルと同性カップルを同等の条件で扱う大手不動産会社も登場するなど,性の多様性を受容する住宅マーケットが整備されつつある事実も把握された。
  • 嶋﨑 尚子, 笠原 良太, 大原 俊秀
    2025 年51 巻 p. 95-104
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/06/01
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究は,「日本最大炭鉱」とされる三井三池炭鉱と関連会社の社宅をとりあげ,①三池炭鉱社宅の管理主体が,企業整備闘争(1953年)を機に会社から組合に転換したことによる社宅地区の持続と変容,②関連各社の産業特性・労働特性と社宅コミュニティの関連性,の2点を検討した。その際,「三池炭鉱(関連)社宅史資料」と関係者(炭鉱・関連会社の従業員と家族)へのヒアリングデータを用いた。本研究をとおして三池争議に関して新たな知見として,社宅地区における「家族ぐるみ闘争」の激化,争議による労働者世界の分断,分断の帰結による労働者世界の終焉と〈企業社会〉への転換のはじまりの3点を確認した。
  • BIMを活用した生産性を向上させる検討として
    高橋 栄人, 田中 茂, 田中 美奈子
    2025 年51 巻 p. 105-116
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/06/01
    ジャーナル オープンアクセス
    住宅の建築プロジェクトでは,BIMの活用が推し進められている。経営学の組織理論によれば,情報技術の導入は,組織構造のあり方を変えるとされている。住宅の建築プロジェクトの組織構造は,これまで階層型組織であった。階層型組織では,環境の変化に迅速に対応できない,組織の構成員のモチベーションを低下させる等の問題点が明らかになっている。建築プロジェクト組織では,若年技能労働者の定着率が低く魅力ある働き方が求められている。そこで,新たな組織構造の検討をとおして,組織の構成員のモチベーションを高めることで生産性を向上させる,住宅の建築プロジェクトの組織構造とその契約方法を検討する。
  • 大島町波浮港旧甚の丸邸庭園を対象に
    内藤 啓太, 張 平星, 高道 昌志
    2025 年51 巻 p. 117-128
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/06/01
    ジャーナル オープンアクセス
    東京都大島町波浮港の旧甚の丸邸は明治期創建と伝わる主屋が現存しており,本研究はその庭園遺構を対象に,雨水利用の伝統的水利システムによって成立する庭園空間の特質を明らかにしたものである。主屋と庭園遺構を中心とした邸内の測量調査を実施し,まず,天水井戸から庭園内の枯池への給水があったことを解明したうえで,雨水利用の実態を給水・貯水・排水の観点から明らかにした。次に,主屋の増改築の変遷を明らかとし,天水井戸と一体となった庭園空間の成立年代を明治中期頃と推定した。さらに,近代庭園史における位置づけを検討し,庭園様式と材料にみられる独自性と東京島嶼部における庭園文化の伝播状況の一端を明らかにした。
  • アーバニストたちの史的経験
    中島 直人, 武田 重昭, 後藤 智香子
    2025 年51 巻 p. 129-139
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/06/01
    ジャーナル オープンアクセス
    日本の都市計画史において「都市をつくる」ことと「都市を生きる」こととを重ねあわせた領域を意識的に探究した3人の都市計画家,石川栄耀,橡内吉胤,大村虔一について,彼らの住生活の様相と都市計画の思想・実践との応答関係を明らかにした。時代も場所も異なる3名であり,それぞれの動機をもって,アーバニスト的な行動をとることになったが,都市計画の担い手に関する問題意識がアーバニスト的活動を導いた点,そしてその住まいを地域活動の拠点として開く経験をしていた点は共通していた。
  • 日本・韓国・台湾における住宅地の都市再生事例の実態と比較から
    中西 正彦, 藤岡 麻理子, 楊 恵亘
    2025 年51 巻 p. 141-152
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/06/01
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究は,歴史・文化を活かしたまちづくりとコミュニティの持続性に着目し,日本・韓国・台湾の状況を調査し,比較を通じて,住宅地の歴史・文化を活かしたまちづくりの望ましい方策とその要件を探るものである。対象都市・地域を選定し,現地調査,文献調査等を行い,歴史文化を活かしたまちづくりの持続性向上の要件を導き出した。すなわち,地域活性化の地元主体の姿勢,行政の支援策の適切性,専門的知見をもつ者の様々な関わり,主体や体制の重層化等である。一方で,その具体的な姿について,国や都市による違いも明らかとなった。日本・韓国・台湾の比較研究は相互に資するところが大きく,今後も知見の共有を図っていくことが望ましい。
  • 西村 顕, 松田 雄二, 大泉 江里
    2025 年51 巻 p. 153-163
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/06/01
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究では,医療的ケア児の家族を対象に住生活上のストレスに関するアンケートを実施し,180件の有効回答を得た。特に外出介助や物品の収納のストレスが顕著で,住環境の整備が求められることが確認された。その後,希望者を募り全国14件の自宅を訪問し,実態を調査した。訪問調査では,訪問看護等のサービスの利用とともに住宅改造や福祉用具の導入を行うことで豊かな生活を実現している家族が多く見られた一方で,オムツやカテーテル等の物品の収納に苦慮する家族が多いことも明らかになった。最終的に,アンケート調査と訪問調査の結果を基に好事例を整理し,玄関,浴室,居室の設計ポイントを提案した冊子を作成した。
  • 南相馬市小高区における事例調査と実証実験から
    萩原 拓也, 益邑 明伸, 植田 啓太, 鈴木 亮平, 窪田 亜矢
    2025 年51 巻 p. 165-175
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/06/01
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究は,福島第一原発事故により被災し,大量の空き地・空き家が発生した地域における空き空間マネジメントの意義の解明,そして持続的なマネジメントの実現に向けてそのパタン検討を行うものである。人口減少・高齢化が著しい中,マネジメントによる派生的効用,複合的な手法によるコスト平準化,粗放的管理によるコストの低減等のパタンがあること,技能シェア型の協働的体制の構築によって創造的な空き家活用につながっていることを示した。また,空き地の粗放的管理に向けてカバープランツの有効性を検証した。一定の可能性を示したが,好ましい景観維持に向けては地域住民らとの対話が必要であることが確認された。
  • 老朽木造建築が密集する商店街の保全的・創造的再編に向けて
    原田 陽子, 真野 洋介, 野田 明宏
    2025 年51 巻 p. 177-188
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/06/01
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究は「小規模連鎖型更新」に関連する各都市の事例を整理し位置付けを把握した上で,福井市新栄地区における土地利用・暮らし方・権利関係の変遷,増改築の実態と法的課題,地権者やテナントの意向,創造的事業者の働き方の実態や近年の動きなどを明らかにし,小規模連鎖型更新での保全的・創造的再編を進めるために必要な検討課題と可能性を考察することを目的とする。本研究を通して小規模連鎖型更新での保全的・創造的再編を進めるためには,新栄地区だけでなく周辺地区と連動的に捉えることや,創造的事業者が能動的に関与したくなるような空間的・機能的余地を含む環境と地区の固有性を形成することが重要であることを明らかにした。
  • 山本 直彦, 向井 洋一, Pant Mohan Moorti, Suwal Ram Prasad, Maharjan Sampurna, ...
    2025 年51 巻 p. 189-200
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/06/01
    ジャーナル オープンアクセス
    Bhujung is the largest of the Gurung villages in Lamjung District, Central Nepal. The plans of dwellings there have changed from oval to rectangular forms partly because of modernization. The rectangular dwellings have also experienced significant changes in terms of extensions. The purpose of this study is to measure and preserve in detail the records of these traditional houses.
  • 文政年間から大正期を対象として
    依田 徹, 堀内 正昭, 金谷 匡高
    2025 年51 巻 p. 201-212
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/06/01
    ジャーナル オープンアクセス
    浅草山谷にあった料亭「八百善」の建築は,江戸の料亭建築を代表する存在であった。19世紀初頭から大正12(1923)年の関東大震災による焼失まで,増改築,時として再建が繰り返されていた。この八百善の建築については八百善の当主である栗山善四郎家に図面等の資料が残されている他,「組立絵」と呼ばれる一種のペーパークラフトが遺されていた。本研究ではこれらの資料に加え,浮世絵などの絵画資料,明治大正期の写真を用い,失われた八百善の建築を復元的な考察,そして時代ごとの変化を分析することを試みる。
  • 建物の価値基準,計画制度,運用体制,実態の視点から
    脇坂 圭一, 土屋 和男
    2025 年51 巻 p. 213-224
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/06/01
    ジャーナル オープンアクセス
    台湾の商店街の街路沿いに見られる公共用歩廊である亭仔脚に着目し,1)歴史的景観と経済活動・都市開発との両立,2)歴史的建造物の活用による住民・市民の意識,3)容積移転制度と都市再生前進基地の運用,4) 亭仔脚の使われ方の実態を調査し,台湾における取り組みから日本の防火建築帯,防災建築街区の更新に向けた示唆を得ることを目的とした。結論として,亭仔脚の現代的価値を明らかにすると共に,制度の柔軟性,市民の意見を施策に反映する仕組み等を見いだした。一方で,ジェントリフィケーション,オーセンティシティ等の問題があることが明らかになった。
  • 空間更新手法「トレード」を通じた都市への主体的関わり
    落合 正行, 雨宮 知彦, 関根 千紗乃, 土橋 悟, 照内 創
    2025 年51 巻 p. 313-322
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/06/01
    ジャーナル オープンアクセス
    「まちづくりボードゲーム『まちビルド』の教育的効果を実感!」 本実践研究は,まちづくりボードゲーム『まちビルド』の教育・普及効果をより向上させることを目指し,有益なフィードバックを得るため,『まちビルド』の体験会を全3回実施し,小学生を中心に参加者へのアンケート調査,ならびに体験会協力者へのヒアリング調査を行なった。その結果,①本ゲームを通して得られる効果,②本ゲームを広めるための工夫や課題を把握し,それを踏まえてボードゲームデザインのさらなる改善を行なった。
  • 施主参加DIY 型施工が建築にもたらすもの
    加藤 潤, 伊集院 良重, 守友 寅次郎, 黒木 裕哉, 俵 健太郎, 長留 晶
    2025 年51 巻 p. 323-332
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/06/01
    ジャーナル オープンアクセス
    「ひらかれた『たてものづくり』が育むコミュニティと新たな担い手の姿に迫る」 近年,空き家問題と職人不足を背景に,プロ以外の建築生産の担い手の育成に関心が集まっている。本実践研究では,鹿児島県での「コミュニティ大工」を中心とした施主参加型DIY空き家再生活動の実践内容を整理するとともに,参加者の成長過程とそこで参加者が受け取る価値を調査した。その結果,複数現場に継続して参加する事により素人が成長し提供できる価値が大きくなり果たす役割が変化すること,参加者はつくる行為・つくる仲間・つくる方法の3つの価値を受け取っていることが明らかになった。「コミュニティ大工」によって素人の建築への関わり方が変化し,新たな建築生産の担い手が継続的に育成されていると言える。
  • 景観レビュー型ワークショップの実践を通して
    柳田 良造, 坪内 健
    2025 年51 巻 p. 333-342
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/06/01
    ジャーナル オープンアクセス
    「話し合いでの問題「見える化」の実践による地域づくりの新たな展開」 ニセコ町での開発事業での住民と事業者の話し合いにおける「問題が見えない」状況に対し,課題解決の方策として「景観デザインレビュー」を実践し,問題の「見える化」をはかり,地域に「考える力」を取り戻していく研究実践である。住民主体を町是とする地域づくりにおいて対話型まちづくりの実現を試み,住民主体のエリアマネジメントの実践的方法をさぐる。
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