9頭のサラブレッド種競走馬において, 10%グアイフェネシン溶液500ml, ケタミン29およびキシラジン500mgの混合薬による静脈内持続点滴麻酔法の有用性をイソフルレン吸入麻酔法と比較した。手術内容は関節構成骨の骨片摘出術3例, 血腫切開術3例および去勢術3例であった。アトロピンおよびキシラジンによる前処置後, ケタミンにより倒馬・導入した。麻酔時間は平均58.3分であり, 混合麻酔薬の点滴速度は平均1.23ml/kg/hrであった。麻酔中の特徴的な臨床所見は眼瞼反射, 眼球振盪および嚥下反射であった。これらの静脈内麻酔群ではイソフルラン吸入麻酔群と比較して, 動脈圧および心拍数の有意な高値, ならびに動脈血酸素分圧の有意な低値が観察された。また, 覚醒状態は良好で起立後に運動失調はみられなかった。これらのことから, 本麻酔法は適応術野の制限および酸素吸入の必要があるものの, 臨床的に有用な麻酔法であると考えられた。
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