獣医麻酔外科学雑誌
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27 巻, 2 号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
  • 中田 陽子, 船木 ひかる, 田中 茂男, 小坂 俊文, 桑原 正人, 小出 英興
    1996 年 27 巻 2 号 p. 35-41
    発行日: 1996/04/30
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    乳腺腫瘍の犬における腫瘍摘出術前後の血清α1-acid glycoprotein (α1AG) 濃度の動態について検討した。
    その結果, 血清α1AG濃度は悪性腫瘍症例で高値を示した。また良性・悪性腫瘍症例とも手術により血清α1AG濃度は術後2日目に上昇するものの14日目には術前値に戻った。しかし, 悪性腫瘍症例のうち術後再発・死亡した例では14日目においても血清α1AG濃度は高値を維持する傾向を示した。
    以上のことから, 犬において血清α1AG濃度は腫瘍の進行後, 術後の経過観察および予後の診断に有用であることが示唆された。
  • 中島 尚志, 吉田 裕也, 渡辺 修一
    1996 年 27 巻 2 号 p. 43-47
    発行日: 1996/04/30
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    骨盤隔膜の筋組織が重度に障害された会陰ヘルニア症例では, 外科手術による完全閉鎖は難しく再発の可能性も高い。我々は12歳の雑種犬の会陰ヘルニアに対し, 半腱様筋転移術を実施した。患側肢の半腱様筋を脛骨付着部付近から切離し, 反転させてヘルニア孔を被い縫合するという術式を実施したところ, 術後2年8カ月にわたり良好な経過を示している。
  • 伊藤 直之
    1996 年 27 巻 2 号 p. 49-55
    発行日: 1996/04/30
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    猫に対するメデトミジン80μg/kgまたはキシラジン2mg/kg筋肉内投与後の嘔吐発生状況について比較検討した。嘔吐発生率はメデトミジン群では20.0%であり, キシラジン群は70.0%であった。嘔吐回数は両群とも1回のみの嘔吐発生例が最も多く, また, 平均嘔吐回数はメデトミジン群で2.1±1.7回 (平均±S.D.) , キシラジン群で2.0±1.4回であり大きな差はなかった。嘔吐発生時間帯は両群ともに2分台から3分台に集中していた。平均伏臥発現時間はメデトミジン群では3.2分±1.6分, キシラジン群では6.8分±5.8分であり, メデトミジン群に比較して遅延していた。
    以上の成績から今回の投与量においては, 鎮静期の事故発生や飼い主の不安感を軽減する目的のためには, 嘔吐発生率が低いメデトミジンの方が有効である可能性が示唆された。
  • 森 崇, 奥村 正裕, 宮本 徹, Timothy MWANZA, 浅野 和之, 小賀野 淳, 大場 雅予, 角川 雅俊, 日登 弘, 藤永 ...
    1996 年 27 巻 2 号 p. 57-63
    発行日: 1996/04/30
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    上顎犬歯の根尖周囲膿瘍を発症した雌, 4歳のセイウチに対して, イソフルランによる全身麻酔下で抜歯を行った。麻酔前投与薬として硫酸アトロピン (0.01mg/kg, IM) , ジアゼパム (0.1mg/kg) および塩酸ケタミン (3mg/kg) を筋肉内投与した後, 確保した硬膜外脊椎内静脈内のチオペンタールナトリウム (5mg/kg, IV) の投与によって導入し, 酸素-イソフルランの吸入麻酔によって維持した。チオペンタールナトリウム投与後, 呼吸数が1/min以下に低下し, 10/minで間歇的陽圧換気を行ったが, 心拍数は術中100/min前後で安定していた。呼吸数は麻酔中止後40分に回復した。
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